Nothin’s enuf…(if you ask me)
前奏はなく、伴奏と「if you ask me」という印象的なフレーズの歌が同時に始まります。
ゆったりとしたギターの伴奏でやさしく語りかけるように歌われますが、実は強い意思を表現した歌詞のようです。

もしも、あなたがそうして欲しいなら
あなたの望み通りの私になってみせる

そのせつなく悲しい響きゆえ、主に別れの場面、悲しい決意をする場面などに使われています。
終曲の余韻には何とも言えない寂寥感があるので、エンディングに使われることも多いようです。
アシガール・サントラ集では19曲目に納められています。
「Nothin’s enuf…」は、ELISE、ぷりんと楽譜などのサイトで楽譜が販売されています。

歌無しのインストルメンタルバージョンも使われており、こちらは少々早めのテンポでピアノの前奏から入ります。
ポップ調のアレンジで途中コーラスも入って力強い感じで盛り上がります。
シンプルでせつない原曲とは違い、こちらは希望や思いの強さを表現する場面で使われています。
同じ曲が対極の場面で使われているのですが、アレンジの素晴らしさを感じます。
作曲者SNSによると、完成までかなりの試行錯誤があったようです。
このインストルメンタルバージョンは「Pop Romantica」という曲名でアシガール・サントラCDに納められています。

【第4話】若君の寝屋を去る場面
あやめ姉さんの協力を得て、若君の寝屋への潜入に成功した唯。
若君としばしの時を過ごし、疲れて先に寝てしまった若君に「若君様。私、必ず…必ず守りますから。」と言い残し、若君の寝屋を去る時に曲が流れ始めます。
その後、実は寝たふりをしていた若君が起き上がり「面白い。」と一言、笑顔で言います。
翌日、黒羽城に凱旋する若君を迎える多数の足軽たちの中に唯の姿があります。
唯が心の中で「どこまでも、あなたについていきますから。」と言うところで曲は終わります。

【第5話】唯が若君を平成に送り出す場面~エンディング
深手を負って横たわる若君にタイムマシンを持たせ、平成に送り出した唯。
若君が消えた後、「若君様~」と唯が叫ぶと曲が流れ始めます。
この後、外に出た唯は満月に向かって若君の無事を祈ります。
うまくいけば3分で戻ってくるはずの若君を迎えるため、意を決したように唯が部屋の方を振り返るところまで曲は続き、エンディングとなります。

【第7話】若君が唯を平成に帰すために嘘をつく場面~エンディング
若君がタイムマシンが1回しか使えないと伝えると、唯の両親の予想どおり「だったら家に帰るのは諦めます。」と唯は答えます。
しばらく考えた若君は「それはあと2度使える。」と悲しいうそを言い、両親との約束を果たすため唯を平成に帰そうとします。
それまで流れていた「TANPOPO」が終わり、BGMが無音となってから、唯を平成に帰すために若君は、1度しか使えないタイムマシンが2度使えると嘘をいいます。
「次の満月には必ず帰れ。そして…戻ってまいれ。」と若君が言ったところで曲が流れ始めます。
嬉しそうに後ろで大きく手を振る唯に背を向け去っていく若君の、辛そうというよりは呆然としたような表情が印象的です。
この後の満面笑顔の唯のアップと曲のやるせなくせつない響きは見るものをどうしようもなく感傷的な気持ちにさせます。

【第8話】若君が平成に帰る唯を見送る場面
平成に帰る唯を見送る若君の様子がおかしいのに気づき、「何すか?永遠の別れみたいに。」
それに応えて「唯。お前のことは生涯忘れぬ。」と若君が絞りだすように言うと曲が流れ始めます。
タイムマシンの起動スイッチを入れた唯が若君に駆け寄り、「私今までちゃんと言ったことないから、今言いますね。」「私、若君様のことが…」と言いますが、そこでタイムスリップして消えてしまいます。
唯に触れようとした手が空を切り、呆然と自らの手を見つめる若君の姿とともに曲は終わります。

【第9話】若君の自分への思いを尊から聞いた唯が突然元気になる場面
もう戦国には行けないため、若君と会えなくなり、すっかり気分が滅入っている唯ですが。
「わしは唯ほど好もしいおなごに会うたことがない。」と若君が言っていたと尊が告げると、ベッドからムクッと起き上がり「若君が?」と確かめるところで、インストルメンタルバージョンが流れ始めます。
「タイムマシンがつかえなくなったのって・・・」と聞くところで、テンポが速まり、唯の気持ちの高まりを暗示しているようです。
その後曲が流れている間、唯はずっと尊に燃料ができたかどうかを問い続けます。
「そして平成30年。戦国時代の永禄3年を迎えた。」という唯のナレーションが入ると、曲は止まります。

【第9話】思い出の場所で半年ぶりに唯と若君が再開する場面
思い出の場所で落ち込んで独り言を言っていると目の前若君が現れ、喜ぶ唯ですが。
「わしがどのような思いでお前を返したと…」と強く咎める調子で言われます。
えっ?とたじろぐ唯を言葉とは裏腹に若君が抱きしめるところで曲が流れ始めます。
婚礼をぶち壊しに来た唯が「でも、それは無理なんですよね。」と言うところで曲は止まりますが、この後、若君に伝える唯の強い決意を暗示しています。

【第11話】逃避行道中の寺で唯が若君に思いをぶつける場面
高山の追手からの逃避行の道中に立ち寄った寺で、悪丸に蹴られて起こされた唯は眠れぬ若君と庭先で顔を合わせます。
若君自ら救出に来てくれたことへの礼を言う唯に対し、「お前を助けるのはわししかおらぬと。お前を思うわししか。」と自分の思いを告げます。
これを聞いて腹を決めた唯がいつものように顔をパンパンした後の「っしゃ!」と気合を入れたところでこの曲の歌無しのインストルメンタルバージョンが流れ始めます。
告白とは思えぬ唯の勢いに思わず笑ってしまった若君ですが。
「失礼しました~!」と背を向けた唯を若君が後ろから抱きしめたところで曲はピタリと止まります。
音がなくなったことで、この後のいい感じのシーンに見事につないでいます。

【第11話】唯が鉄砲の射撃を浴びながら川を走って渡る場面~エンディング
高山の誘いにのり罠とも知らずに出てきた兄上たちの危機に、自らの危険を顧みずたまらず唯が走り出した瞬間に曲が流れ始めます。
「兄上さん、来ちゃだめ~!」と叫びながら、川を走り渡って味方に危機を知らせようとします。
かなり動きのあるシーンですが、ゆったりとやさしく流れるこの曲が一瞬その動きを忘れさせ、「とにかく若君を、羽木を救う」という唯の心の中を色濃く映し出し、感動的なシーンにしているように感じます。
この後、高山の鉄砲隊の射撃にさらされた唯は数発はかわせたものの、ついに…
その瞬間、曲はプツリと途絶え、唯は川に倒れこんでしまいます。

【第12話】若君が唯にプロポーズする場面
唯を一人敵陣を走らせてしまったことを詫びる若君に「でも、無事で(若君が)よかった。」と自分のことはさておき、とにかく若君のことを気にかける唯に心を決めた若君は、「この忠清の妻になれ。」と言います。
すぐにはその言葉が理解できず、しばらく時間をおいた唯が「なります!」とよい返事で答えたところで曲が流れ始めます。
ぎゅ~っとして目をつぶっていい雰囲気になり、今度こそと思ったところで、若君に殿のお召しを伝えに来た源三郎にじゃまをされます。