風降る森
風を思わせるギター伴奏に乗せて、チェロが控えめにメロディーを奏でます。
普通に吹いている風ではなく、タイトルどおり優しく降り注ぐような風を思わせます。
どちらかというと伴奏に重点がおかれているように聴こえるのですが、やはり伴奏が唯の動機でメインとなっているからでしょうか。
この曲が流れるのは全体を通して1回だけです。
アシガール・サントラ集では30曲目に納められています。
【第1話】おふくろ様に連れられた唯が梅谷村の家まで歩いていく場面
黒羽城でおふくろ様と出会い、いっしょに小屋までついていく時、「一夜の宿なら貸しましょう。その後はどこへなりと立ち去るがよい。」とやさしい言葉をかけられた時に曲が流れ始めます。
若君との出会いに続き、おふくろ様との出会いでも唯の心に希望が芽生えたことを表しているようです。
小屋まではずっと歩いていくせいか、他の風テーマの曲に比べてテンポは少しゆったりめです。
そのことが穏やかさと包み込むような暖かさを感じさせ、おふくろ様が唯にとってこれからどういう存在になるのかを暗示しているようです。
この曲では「唯の動機」を奏でているギターをおふくろ様を表すチェロが支えているように感じられます。
本来伴奏であるはずのギターがフューチャーされ、本来旋律を奏でるはずのチェロが控えめに裏方に回っているように聴こえるんですね。
おふくろ様の支えがあって唯は若君に近づくことができ、結局は正室になってしまいます。
そして、唯が若君に近づく過程でおふくろ様も天野家に入り、おそらく以前より豊で幸せに暮らすことができるようなっています。
この二人はアシガールでは切っても切れない関係。
まさに、この曲のように互いに支え合う一心同体の関係にあったわけですね。