アシガール 石高先に羽木氏の領地の場所について考えてみたのですが、そうなると今度は羽木氏がどれぐらいの石高の領主なのかが気になってきます。
ドラマにもあるように、当時の兵力の大部分は足軽百姓だったので、石高でほぼ動員できる兵の数が決まります。
1石は1人が1年で消費する米の量です。
米の生産量に従って住む人間の数も多くなり、動員できる兵の数も多くなるということですね。
1万石で250人動員できるという定説に従うと、次の公式が成り立ちます。

動員兵力数=250人×石高(万石)

あるいは、

石高(万石)=動員兵力数÷250

例えば、3千の兵を動かすためには、少なくとも12万石の石高の領地が必要ということになります。
3千の兵で他の領地を攻める場合、自国の守備にも兵力が必要なので、実際にはその5割増しぐらいの石高が必要でしょう。
守備兵力については、その時の周辺の事情にもよりますが。
ドラマでは高山氏の石高に関する情報も出てきますので、羽木氏とともに検証してみることにします。

 

第2話:木村先生の歴史書
社会科準備室で木村先生が棚から出してきた歴史書に以下の記述が見えます。

羽木忠高の嫡男である羽木九八郎忠清が総勢一万の兵を率いて小垣城奪還に成功した。
この時忠清は十八歳であった。

これは第3話終盤に出てくる羽木氏が大勝した戦のことだと思います。
ちなみに、この戦では、唯は戦いの最中怖くて何もできずに気絶しただけでした。

それにしても、正直言って兵が1万とは驚きです。

この時、小垣城周辺の領地は失っているものと思われますが、その状態で1万の兵を動員できるとなると、羽木は中小領主などではなくりっぱな大名ということになります。

計算上の羽木氏の石高は、1万÷250=40(万石)

あの織田信長の尾張が57万石ですから、1560年頃では織田に肩を並べる大名になってしまいます。
参考までに、推定ですが、1560年ごろの有力戦国大名の石高は、武田50万石、上杉60万石、斎藤54万石、今川65万石、北条90万石、六角40万石、毛利80万石。
米の収穫量なので、面積的には小さい尾張が異常に石高が高いです。
ここらへんに織田信長が勢力を伸ばすことができた鍵があるのかも。

第1話:小垣城落城
戦国にタイムスリップした唯は最初に「負けて逃げる痛い集団」に遭遇しますが、これは高山に奇襲された小垣城から命からがら逃げてきた20人ほどの足軽を中心とした集団でした。
この集団の大将である「へたれ城代の木村様」(唯いわく)の報告では、守備兵は200人ほどとのことでした。
この数では城というよりは砦にすぎませんが。
仮に、羽木氏が40万石の大名であるならば、対立する高山氏に近くいわば最前線の重要な城に200人ほどの兵力しか配備していないというのはちょっと合点がいきません。

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