アシガール 戦国の木曽馬
戦国の馬は小さかったという話をよく聞きます。
実際には甲冑武者を乗せて走ることはできず、馬に乗って移動はしたが戦の時は降りて戦った。
従って戦国に騎馬隊といえるものはなかった…
という話なんですが…
以前、この話が気になっていろいろ調べて考えてみたことがあります。

小さい馬といえばポニーなんですが、ポニーとは馬種の名称ではなく、体高147cm以下の馬の総称です。
体高とは地面から馬の肩(き甲)までの高さで、頭部までの高さではありません。
日本の在来馬は確かにポニーに分類されるようですが、体高140cmあればそれなりにデカいです。
ポニーと聞くとどうしても動物園で見る小型の馬を想像してしまいます。
木曽馬、三河馬、南部馬といった方がいいかもしれませんね。
このうち現存するのは木曽馬のみで、三河馬、南部馬は木曽馬より大きかったようなのですが、残念ながらすでに絶滅しています。

アシガールの若君の愛馬・疾風役のスピンはアメリカ産のクォーターホース、西部劇に出てくる馬ですね。
体高は身長179cmの健太郎君の肩より少し低い150cm程度です。
クォーターホースとしては平均的な体高ですが、それでもポニーサイズの上限をちょっと超えるぐらいです。

この動画の木曽馬は疾風より少し小さいようですが、とりあえず甲冑武者を乗せて走ってます。
戦国のフル装備の甲冑武者よりはかなり軽いと思いますが…(^^;

馬というと、何となく競馬で走るサラブレットの姿を想像してしまうんですが…
あの黒澤監督が「影武者」(1980年)でサラブレットを使って撮影したところ、それをを観た調教師から「戦国時代にあのような格好のいい馬はいない」と指摘されたため、1985年の映画「乱」ではクォーターホースを使ったという話があるようです。

時速60km以上で走るサラブレットに比べると、在来馬は遅いけれど(時速40km程度)、蹄が堅く、丈夫で怪我もしにくい。
傾斜地を苦にしないので起伏のある地形が多い日本の実状に合ってます。
確かに、フル装備の甲冑武者を乗せて走れる馬はそう多くはなかったかもしれません。
戦で使える馬は貴重だったようで、若君も番外編で疾風を自慢してました。

現存する木曽馬の平均体高は130cm程度ですが、人の体格が千差万別なように、戦国にはポニーサイズを超える馬もかなりいたのではないかと思います。

やっぱり、戦国に疾風はいた…