ひぐらしの泣く丘
ピアノソロ曲「TANPOPO」の弦楽バージョンです。
弦楽器のピチカートで始まり、高音部がボーイング(弓で弾く演奏)になった後、低音部もそれに従い全体が通常演奏になります。
「TANPOPO」から感じられるせつなさ・はかなさは、弦楽合奏になると抒情的な旋律として心に響いてきます。
ボーイングになる部分の前後でシーンには何らかの変化があり、それを感じ取るのもこの曲の楽しみの一つです。
ピチカート部だけを取り出してBGMとしている部分の他、ボーイングから始まる部分もあります。
アシガール・サントラ集では11曲目に納められています。

【第3話】白い米をもらいにおふくろ様の家に村人たちが訪れる場面
唯が平成から持ち帰ったおみやげの白い米をおふくろ様は村に配ることにします。
朝、米をもらいに村人たちが集まってくるシーンで曲が流れます。
高音部がボーイングになると三之助が現れます。
おみやげのお菓子を毒だと言って食べない三之助に、「せっかく持ってきたのに…」と唯が言ったところで曲は消えます。

【第6話】初めて会った阿湖姫から唯が水を分けてもらう場面
走り疲れて倒れている唯の口に水がかけられ、唯は跳ね起きます。
水をかけたのは松丸から黒羽城に向かう阿湖姫でしたが、「よかった。気がついたのですね。」と阿湖姫が言うと曲が流れ始めます。
その後、道に迷ったという阿湖姫の一行に唯は黒羽城までの道を教えます。
曲がボーイングに変わるところで姫のお供が戻ってきたので、唯は慌ててその場を去ります。

【第7話】天野家で若君が満月に帰ってくることを唯が訴える場面
満月の夜の若君の帰還を信じる唯が天野家で「信じましょう!みんなで信じて若君を待ちましょう!」と訴えるところで曲が流れ始めます。
曲がボーイングになると場面は変わり、唯は侍女の姿になり、満月までの間、天野家で奉公することになります。
先輩の侍女に「心して働くのじゃぞ。ふく。」と言われた唯は「しゃっ!」と気合を入れて答えます。
この返事に先輩侍女がたじろぐところで曲は終わり、場面も変わります。

【第8話】小平太パパがおふくろ様に告る場面
唯が戻ってくると、小平太パパがおふくろ様の部屋から出てきます。
唯を鍛えるために天野家を去ると言うおふくろ様に小平太パパが素性について尋ねると、武家の出であることがわかります。
それを聞いた小平太パパは心を決め、全弦楽がボーイングになるところで「そばにおってもらえたらありがたいのじゃが。」とおふくろ様に告白します。
「ありがたきお言葉なれど…」とおふくろ様が固辞したことを聞き、物陰に隠れていた唯が思わず「ソッコー振った!」と声に出したところで曲は止まります。
この後、おふくろ様たちの幸せのため、唯は自分が天野家を去る決心をします。

【第8話】若君に兄上の陰謀を報告する場面
前日は唯の危険を顧みない行動に腹を立ててしまった若君ですが、そのことを素直に唯に謝ります。
それは唯を両親の元に無事に帰そうという思いからくるものですが、もちろんそのことには触れられません。
唯は若君に兄上の陰謀を報告し、「私は足軽だから。若君様専属のアシガールだから。」と告げますが、このドラマで初めて、そして唯一「アシガール」という言葉が出てきたのではないかと思います。
ここで曲はボーイング部分から始まり、すぐにクライマックスとなります。。
この後は「嫌なのだ~」と唯が若君に思いのたけをぶつけて泣く名シーンが続き、若君はこの時、危険を顧みず無謀と思えた唯の行動の真意を知ります。
そこで曲は終わり、しばしのやり取りの後、曲は「綿雲の願い」へとつながっていきます。、

【第9話】戦国に戻った唯が楽しそうな若君と阿湖姫を見てしまう場面
蛙の鳴き声を耳にした阿湖姫が蛙をつかまえようと立ち上がると曲が流れ始めます。
蛙を手に笑い合う若君と阿湖姫の様子に「すげえ楽しそう…」と言い、小平太が来たところで唯はその場を去ります。
ボーイングとなったところで、若君が小平太の匂いに気づき、小平太は遠来の客がおいしいレンコンを持ってきたということを白状します。
場面は変わり、思い出の場所に一人寂しく座っている唯の姿を映し出して曲は終わります。
この後、唯の前に若君が現れます。

【第11話】逃避行の山中で唯が如古坊とにらみ合う場面
高山からの逃避行の山中で一休みしている時に如古坊が兄上の元を去った理由を語ります。
それを信じられない唯が、「若君様を裏切る人は許さないんだから。」と言うと曲が流れ始め、唯と如古坊はにらみ合い、それを悪丸が「同じ顔をしとる。」と茶化し、若君は笑います。
水場を探しに行ってその場を離れた如古坊の呼ぶ声がすると曲は終わります。
この後、山のふもと付近で羽木勢と高山勢が対峙している光景に一同は驚きます。

【第12話】殿とじいが若君と唯の結婚について話す場面
「何よりも若君がそう望んでおられます。」と言ったじいが、いぶかし気な殿の視線を避けるように慌てて後ろに下がったシーンで流れ始めます。
唯が習字をしている場面で曲は途切れるので、ピチカートまでで終わります。
自分だったら、この後の三之助・孫四郎が混ざるシーンも含め、兄上が登場する直前までずっとボーイング演奏を流し続けるかもです。

【第12話】兄上と阿湖姫がいい雰囲気になる場面
若君との婚礼が成らず国に帰ると言う阿湖姫に兄上が「戻るのは次の春まで待ってはいかがでしょう。」と言うところで曲はボーイングで流れ始め、いきなりクライマックスを迎えます。
「春、みなで花見をいたしませぬか?」と誘う兄上の言葉に少し不審気な阿湖姫でしたが、その表情に慌てふためいた兄上は「どう申せばいいかのう。」と焦りまくります。
その言葉に阿湖姫が嬉しそうに微笑むところで曲は終わり、場面も変わります。

さりげないシーンのようですが、実は、これは羽木家の将来にとって非常に重要です。
木村先生の歴史書によると、松丸が高山についたことが原因で羽木家は滅亡への道をたどります。
ここで兄上と阿湖姫が両家の絆となれば羽木家滅亡の歴史はおそらく変わることになるからです。