綿雲の願い
ピアノの独奏による繊細で美しく、せつない感じの曲です。
この曲が使われているシーンからすると、人に対する思いや願い、それも自己犠牲的なものを表す曲のように思えます。
曲想もまさにそういう雰囲気があり、この曲が流れる場面はどれも涙を誘います。
「綿雲の願い」は、ELISE、ぷりんと楽譜などのサイトで楽譜が販売されています。

第8話の最後で唯と若君が平成と戦国に別れた後にこの曲がCelesteという楽器で流れますが、このバージョンはアシガール・サントラ集には入っていません。
手持ちのMIDI音源の「Celeste」でこの曲をそのまま再現できるのですが、「Celeste」の元の楽器がチェレスタなのか、セレステというハンドオルゴールなのか、今のところ判断がつきません。
ちなみに、この音源のカテゴリーは鍵盤楽器ではなく打楽器になっているので、セレステである可能性が高いとは思うのですが。

アシガール・サントラ集では29曲に納められています。
なお、アシガール・サントラ集には、この曲の別バージョンが納められています。
・ピアノの伴奏でチェロがメロディーを奏でる「見上げた空に」
・クラシックギター独奏による「とこしえの空」
・クラシックギターの伴奏でバイオリンがメロディーを奏でる「君を想う歌」
このうち、「とこしえの空」と「君を想う歌」は、以前クラシックギターを弾いていた関係で好きな曲なのですが、残念ながらドラマでは使われていません。

【第7話】自分の替わりに捉えられたおふくろ様の元に唯がかけつける場面
「だっておふくろ様がいなかったら…」と唯が言うところで曲が始まります。
第1話でどこの者ともわからない唯を受け入れて優しく接するとともに、時には厳しく叱責する姿はまさに母親そのものです。
おふくろ様が唯の出自について尋ねる場面は一つも無く、唯のおかしな言動も普通に聞き流し、全てをそのまま受け入れて完全に母親になりきっています。
おふくろ様無しでは唯は戦国を生き延びることはできなかったという唯の思いが曲から伝わってきます。
この後、おふくろ様は天野家預かりとなりますが、唯は牢に入れられてしまいます。
その場面でも曲は続きますが、今夜は満月で若君が平成から戻ってくるはず。
牢の寒さに耐えかねた唯が、「一晩の辛抱。しゃ~」と気合を入れたところで曲は終わり、場面も変わります。

【第8話】女子の姿の唯を見送りたいと若君が伝える場面
唯が兄上と高山の動きを偵察に行って罠に落ちた件での誤解が解け、唯の真意を知った若君が空を見上げ、「そういえば、明日は満月じゃのう。」と言うところで曲が流れ始めます。
「悲しませたわびに明日はお前が帰るのを見送ろう。」と若君は続け、その時に以前自分の前に現れた女子(ふく)の姿を見せて欲しいと唯に頼みます。
「おしゃれしてデートってことですか?」と喜んだ唯は裸足のままわらじを持ってその場を走り去ります。
唯が去った後、「どうやら、わしも…いやなのだ。」と若君が言うところで曲は終わり、場面も変わります。
この「いやなのだ」は特定のことをいやだと言っているのではなく、「いやなのだ」と言って直接的に自分への思いを伝えた唯と同じように自分も唯のことを思っているということを伝えたかったのだと思います。

【第8話】平成に戻った唯がもう戦国に戻れないと聞く場面~エンディング
若君に見送られて平成に戻った唯が、尊からタイムマシンの燃料がなくなったことを聞き、「へっ?うそ。」と言うと綿雲の願いがセレステで流れ始めます。
セレステはハンドオルゴールで、オルゴールを大きくしたような楽器です。
戦国では一人悲痛な表情で城へ戻る若君が映し出されます。
若君と唯の再開を願うようにセレステの音色がせつなく響き、エンディングとなります。

【第10話】行方不明になった唯の身を案じた阿湖姫が若君と話す場面
唯が行方不明になった翌日、唯の身を案じる阿湖姫の前を若君が通りかかったところで曲が流れ始めます。
唯が女子であることを若君に伝えると、「足軽のなりをし、わしを守らんとするたわけたおなごでござる。」という答えが返ってきますが、いうまでもなくこの言葉には若君の唯に対する思いが込められていることがわかります。
「忠清様を守ろうと…」と返した阿湖姫の言葉には、普通の女子には思いもよらぬ唯の行動に自分はとてもかなわないと感じたのかもしれません。
ここで阿湖姫は若君の唯への思いを確信しますが、この阿湖姫の気持ちを曲がせつなく表現しています。
この時、阿湖姫は若君と唯の幸せのために力を尽くすという悲しくも健気な決意をしたのでしょうか。