アシガール続編スペシャル(続編SP)の前半のクライマックスは、若君を救うために命がけで小垣城に赴いた唯が、「わしも生きよう」という若君の言葉を信じ一人平成に帰る場面です。
結局若君を救えないという悔しさと憤りから、起動スイッチを叩き壊そうとする唯を制した若君が、
「お前を失おうたら…わしは…」
とせつせつと訴えるシーンで流れるのがこの曲『TEARDROP OF THE MOON』です。
「それでも若君を守りたい。」
と返す唯の言葉を聞いて若君は生きることを誓うのですが、何度見ても感動的なシーンです。
ドラマではその次のシーンが、数ヶ月後の平成で黒羽城にある若君の墓を唯が訪れるシーンになってしまうので、さすがにちょっと跳んだ?感が…(^^;
「わしも生きよう」の直後にお墓っていうのは…やはり…
もう少し間に何かシーンを挟めば、前シーンの感動の余韻が持続すると思うのですが…
でも、『TEARDROP OF THE MOON』が流れる一連のシーンの感動の大きさにそのことが影響を与えることはないと思います。
サントラ集の TEARDROP OF THE MOON
続編SP放送日(12/24)翌日からSPサントラ集のダウンロードが開始されましたが、当然この曲も入っています。
曲は4分の3拍子。
メイキング映像で楽譜の一部が見えたし、指揮する作曲者様も3拍子で振ってました。
よく聴く3拍子のワルツのように3拍子をあまり意識させずに自然に流れている感じです。
個人的にも、その方が若君の気持ちをより伝える演奏になるように思います。
お気に入りのこの曲「TEARDROP OF THE MOON」の構成を、聴いた限りですが、クラシック楽曲風に整理してみました。
① 主題(テーマ)掲示部: 16小節
② 主題(テーマ)繰り返し部: 12小節
③ 展開部(サビ): 16小節
④ 主題(テーマ)再現部: 8小節
魅力的な主題(テーマ)旋律は8小節の長さで、前半では①・②で1度づつ、計2度現れます。
1度目は、前奏無しでハープの伴奏に乗せてヴィオラで奏されます。
何とも言えぬせつない憧れのようにも思える旋律…
内に秘めた情熱が感じられるものの派手さはなく控えめなのですが、それがかえって強く…深く心に響いてきます。
弦楽合奏が加わって厚みが増し、開始17秒でテーマの形を変えた旋律が現れた後、2度目のテーマは管弦楽で奏されます。
それを追いかけるようにオーボエがオブリガートで絡んで彩を与えます。
その後、再びヴィオラのリードでテーマの提示を終わります。
1分3秒からサビ(展開部)に入りますが、ここではそれまで抑えていた思いを解き放ち、強く訴えかけます。
ヴィオラは若君、弦楽は唯の気持ちを表しているように聴こえます。
ヴィオラの感情が高まると弦楽が優しく応え、それを受けてヴィオラが思いのたけを語ります。
これは、戦いを否定しつつも戦に巻き込まれ、ついに絶望的な立場となった若君の、平和な世に対する憧れなのか…
ここではもう言葉がありません。
1分40秒からテーマが再現し、後を追うようなチェロの助奏でぐっと低音の厚みが増します。
曲の終わりが近いことを予感させるようで心にズシンと響きます。
そして、そのまま終曲となります。
ドラマで流れた TEARDROP OF THE MOON
ドラマでは若君の「わしも生きよう。」の後、②まで終わったところで③のサビがカットされ、即④のテーマが再現して終曲になっています。
一番いいところが…(T_T)
映像あっての音楽なので仕方ないとは思いますが、曲のキモともいえる感動的な部分がドラマで聴けないのは少々残念です。
ドラマを見た時点ではもちろんサビ部分の存在を知らないので充分に満足してたんですが、サントラ集の原曲を聴いてしまうともう…
仮にサビを生かすとしたらシーンが追加になるのでしょうか。
この部分の曲想からしてそれは情熱的なものになるはず…
などと妄想が膨らんでいきます。(^^;
メイキング映像の TEARDROP OF THE MOON
BD・DVD特典のメイキング映像では、アシガールの音作りのプロセスが一通り見られました。
作曲者としての演奏者への指示を聞けるのは嬉しいですね。
こだわっているところが何となくわかります。
その部分をサントラ集で聴き直したりするのもまた楽しい。
作曲使者様が TEARDROP OF THE MOON に一番力を入れていたというのもまた嬉しい。
TEARDROP OF THE MOON では、のっけからドラマではカットされたサビの部分の収録映像が…
これにはさすがに感激しました…(´ー`*)ゥットリ
弦楽伴奏だけですが、SPサントラ集を聴いていない人にも雰囲気が伝わるでしょうか。
完成後の曲では、ここにヴィオラソロが加わり、弦楽との掛け合いになります。
残念ながらその部分のソロ映像は無いんですが…
後のミキシング作業中の映像でサビに入る時のヴィオラが少しだけ聴こえるんですが、
この部分の気になる倍音をサクッと除去するあたり、まさにプロの仕事です。
やはり出だしの音は大事ですから。
こうしてあの心地よい音楽が出来上がったんですね。
でも…
この素晴らしいサビの部分は結局ドラマでは使われなかった…(T_T)
これも劇伴音楽の宿命でしょうか。
作曲者様もこの曲に一番思い入れがあるとのことなので、カットは苦渋の選択だったかもしれません。
どことなくノスタルジックな気分に襲われながら…
もう何回も繰り返して見てます。