フォーラムへの返信

50件の投稿を表示中 - 401 - 450件目 (全678件中)
  • 返信先: 雑談掲示板
    アシガール繋がりなら

    月食、綺麗でした。こちらも是非。岐阜城の上の月。合成じゃないそうです。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/45acc610514968cf3f92b9cb4e13eafbae564f25
    永禄10年に織田信長が居城としました。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days108~15日23時、旅立ちです

    妖怪千年おばば様、私のペースはお気になさらず、じゃんじゃん投稿してくださいね。

    昨夜の月食、赤銅色もしっかり目視できて感動しました。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    二度と会えない訳ではないので。きっと。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    リビングに唯と若君が戻って来た。

    唯「お待たせ」

    覚「おー」

    美香子「あら、ヘアスタイル、そのままでいいの?」

    唯「え、このヘアゴム持ってっちゃダメだった?」

    美「別にいいわよ」

    唯「お揃いにできるからさぁ」

    美「なるほどね」

    若君「千羽鶴は、風呂敷に包んでくださったのですね」

    美「ええ。中に、芳江さんに頂いた連鶴も入ってるからね」

    唯「ありがとう~」

    若「では、鞄、はわしが持ちます」

    唯「移動しよっか」

    実験室。尊が先に来ていた。

    尊「兄さん、重そうだね」

    若「いや、何程でもない」

    準備、完了。

    美「じゃあね、元気でね」

    覚「体に、気を付けろよ」

    唯「うん」

    尊「兄さん」

    若「ん?」

    尊が、右手を挙げた。

    若「おぉ」

    若君も、同じ形に。

    尊「イェーイ!」

    若「イェーイ!」

    パシッと、ハイタッチ。

    尊「また、会いましょう」

    若「あぁ」

    覚「若いな~」

    美「イイ事よ」

    若「お父さん、お母さん。此度も世話をかけました。心より礼を申します」

    美「いえいえ」

    覚「楽しかったよ」

    若「必ずや、唯を守り抜きます」

    覚「ありがとう。生き生きした唯が見られるのは、忠清くんのお陰だからさ。全て託すよ」

    美「よろしくお願いします」

    唯「お父さん、お母さん、いろいろありがとね。…じゃあ」

    起動スイッチを抜いた。

    唯「いつか、孫の顔を見せられるよう、がんばるから!それなりに」

    覚「それなりに、でいいぞ」

    美「無理しちゃダメよ」

    唯「ありがと。だからさ尊、三人用の新しいタイムマシン、早めによろしくね!」

    若「これ、急いてはならぬと申したじゃろ」

    唯「えー…」

    しゃべりながら、消えていった。

    覚「毎回、こんな風だな」

    美「ちゃんと、3分後に帰れたかしら?」

    尊が、パソコンを見ている。

    尊「あー、大丈夫だよ」

    美「なんでそう言えるの」

    尊「これ、見て」

    画面に、設定した日付と時間が出ており、大きくOKと表示されている。

    覚「なんだ?こんな機能、あったか?」

    尊「増えたみたい」

    美「みたい、って何?」

    尊「だって、2号作ったのは未来の僕だから、今の僕はわからないよ」

    覚「そうか」

    尊「多分さ、ニーズに応えたんだよ。無事帰れたかしら、心配だわ~の声に、未来の僕が」

    美「なるほどね」

    尊「まあ、安心して、って事で」

    三人、実験室を後にした。

    ┅┅┅

    その頃、永禄。辺りは暗い。

    唯「ん…」

    若「無事、着いたか?」

    飛ぶ前に居た、閨に到着。

    唯「二人とも無事だね、良かったぁ」

    若「尊のお陰じゃの」

    唯「でもさぁ、ホントに3分後なのかなぁ。もしかして一月後かもだけど、区別つかないよね」

    若「尊の事じゃ、恙なく終えておろう」

    唯「うん。たぶんね」

    荷物を、部屋の隅に寄せて置いた。

    若「夜が明けたら、仕舞おう」

    唯「うん」

    若「…静かじゃな」

    唯「そうだね」

    褥の上に腰を下ろした若君。唯も前に座る。

    唯「ふふっ、行く前と一緒だ」

    若「そうじゃな」

    唯「でも、もう不安じゃないから」

    若「そうか。唯の傍で、支えるからの」

    唯「ありがとう」

    若君の手が伸び、唯の髪を優しく撫でる。

    若「唯…」

    唯「たーくん…」

    その時、部屋の外に、人の気配がした。

    唯「えっ、誰か来たっ」

    若「何奴じゃ」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days107~15日22時45分、打ち明けます

    若君の好みにケチをつけるのか、って話。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    真剣な顔で、ゆっくりと話し出した若君。

    若君「…この先の世には、早う子を成せと申す者は居らぬ」

    唯「…」

    若「もしや永禄では、詰め寄られたり、陰で言われる心無い言葉に傷付いていたのではあるまいか?」

    唯「…」

    若「お母さんと先日、改めて話をした」

    ┅┅回想。8月12日21時30分、リビング┅┅

    唯はもう寝ている。月が綺麗だ話を、尊としていた後。

    若「お母さん」

    美香子「唯が居ないと静かね~。お茶飲む?冷たいのと温かいのとどっちがいい?」

    若「温かい茶を、お願いします。あの…」

    美「ん?ははーん、もしかして、訊ねたき儀がある?」

    若「仰せの通りです」

    美「わかった。じっくり聞いてあげよう」

    食卓に四人。

    覚「はい、お茶。僕らも居て、いいかな?」

    若「構いませぬ」

    尊「ありがとう、兄さん」

    美「さっ、何でも聞くわよ~」

    若「はい。お母さんにお尋ねしたい。唯がああも子を急いておったのは、何ゆえと思われますか?」

    美「なるほどね」

    若「此度、一番の拠り所であるお母さんと話が出来、唯も安心した様子でした。その後は話を切り出される事もなく、今に至っております」

    美「それは良かったわね。最初話聞いた時、どうかな?と思ったけど、その後はずっと私達の知ってる元気な唯だったわよ」

    若「はい。されど帰った後、またぶり返すのではと案じております。辛い思いはさせとうありませぬ。どうすべきか…どう支えれば良いのでしょうか」

    美「周りから期待されているのは当然よね。でもいくら何でも、たった七か月…ずっと離れてて再会してからその位でしょう。それで焦るのは早過ぎると私も思ったわ」

    若「はい」

    美「子供はすぐ出来るものだー、とたかをくくってたかもしれないけどね」

    覚「唯なら有り得るな」

    美「んー。あくまでも推測だけどね」

    若「何でしょうか?」

    美「もしかしたら、唯自身に対する中傷や陰口とかがあったかもしれない」

    若「えっ」

    覚「あー、それは悔しいが有り得るな」

    尊「ひでぇ…」

    若「それは…わしが総領だから、でしょうか」

    美「うん。人並み以上に、期待を背負ってるから、それは言える」

    若「…」

    美「違う理由かもよ?」

    若「いや、頷ける話です。唯が何も申さないゆえ、尚更」

    覚「人の口に、戸は立てられないからな」

    尊「でも言われっぱなしじゃ、かわいそうだよ」

    美「忠清くんはそういう地位の人だから、それなりの覚悟がいる、って自覚が足りなかったとも言える」

    覚「僕らが、もっと口酸っぱく言わなきゃいけなかったか」

    美「そうよね…ごめんね忠清くん。私達にも責任があるわ」

    若「何を申される。わしが、辛さがわからず寄り添うてやれなかったからです」

    美「忠清くんなら、丸く治められると思うな」

    若「折を見て、尋ねます」

    ┅┅回想終わり┅┅

    若「頼む、有り体に申してくれぬか?」

    唯「うん…そう…だね。さっさと産まないと、奥方として認めてもらえない。たーくんにふさわしくない」

    若「やはりそうであったか。何という…守ってやれず、済まなかった。この通り」

    深く頭を下げる若君。

    唯「やめて、たーくんは何も悪くない」

    若「されど」

    唯「ありがとう。でも大事なつとめでしょ…お母さんは大丈夫って言ったけど、私このまま妊娠しなかったらどうしようって、怖い」

    若「子など、なくても良い」

    唯「そんな…総領なのに、ダメだよ」

    若「兄上と阿湖姫も居る。わしは、笑顔のない唯を見る方が辛い」

    唯「でも」

    若「随分と前にの、わしは唯に誓いを立てたのじゃが、全くもって遂げておらぬと気付いた」

    唯「誓い?」

    若「これからは、わしが唯を守る、と」

    唯「あぁ、うん。すっごく嬉しくて、たーくんにダイブした時ね」

    若「色々申す者達には、耳を貸すな。二人で考えれば良い話じゃ」

    唯「…」

    若「わしが、全力で唯を守る。支える」

    唯「ありがとう。嬉しい」

    若「この先の世では、楽にしておれたようで、良かった」

    唯「うん。超リラックスしてたよ。それはなぜかと申しますとねぇ」

    若「なんじゃ?」

    唯「ちゃーんと、忘れている時間、にしてたからだよ」

    若「そうか。唯自身が、忘れている時間を大切にしておったのだな」

    若君が微笑みながら、唯の頬を撫でる。

    若「…今でも、初めて結ばれた日を思い出す」

    唯「うん」

    若「一つになりたいと申したあの時の思い、変わってはおらぬ。純粋に、今もそう思う。子は、あくまでもその次の話」

    唯「ありがとう」

    若「わしは、未来永劫、唯の味方じゃ」

    唯「嬉しい!」

    唯がギュっと抱きつく。優しく髪を撫でる若君。

    若「では、そろそろ参るか」

    唯「はいっ!」

    部屋の電気を消し、扉を閉めた。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    いよいよその時が。ですが、令和Daysはまだまだ終わりません。ご心配なく(?)

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days106~15日22時、ときめき全開です

    唯にも尊にも、絶対的に心優しき王子様。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯「なにかけよっかなぁ、悩むー。あれ、キウイのシロップなんてあるの?」

    覚「煮詰めて作ったんだ」

    唯「へー、すごーい。じゃあそれにするー」

    覚「忠清くん、どれにする?」

    若君「いかが致しましょう。この、朱よりも赤い」

    美香子「イチゴ?」

    若「前に参った折に、揃いで着たセーターの色味によう似ております」

    尊「あー、かなり近いかも」

    覚「これも渾身の作だから嬉しいよ。かけていい?」

    若「はい」

    美「また、いつか冬に来る時があったら、セーター着て見せてちょうだいね」

    若「はい!」

    みんなでかき氷タイム。

    唯「ん~美味しい!たーくんにも一口あげるね。はい、あーんして」

    若「うん、うまい」

    覚「良かった。どれも甘くなり過ぎないようにしたから、口に合ったかな」

    若「お気遣い、忝のう存じます」

    唯「尊のも美味しそう。これも作った?」

    覚「かなり難しかったけどな、旬の先取りで」

    尊「梨、なかなか良いよ。食べる?」

    唯「一口もらうねー。ん、いい!」

    尊「でしょ。兄さんも一口どうですか?」

    唯「ストップ!」

    尊「は?」

    唯「尊~、それは違うておるぞ」

    尊「だからなんで戦国言葉なんだよ」

    唯「あーんして、でしょ」

    尊「えーっ!!」

    若「おぉ、そうか」

    若君が、尊に近づくように、食卓に身を乗り出した。

    唯「ほら、たーくん待ってるじゃない、早く!」

    尊「う、うん。じゃあ…兄さん、あーんしてください」

    一口掬い、口元に滑らせた。

    若「これもうまい。お父さんはまことに、手練の技を持っておられる」

    覚「へへ、褒められちゃった。ありがとね忠清くん」

    唯「尊~?おーい」

    尊「はぁ…」

    美「目がハートになるって、ホントにあるのね」

    若「尊、どうした?なにやら呆けた顔をしておるが」

    尊「あ、いえ」

    若「あぁ、そうか。済まない、気付かなんだ」

    自分の、イチゴの氷を一口掬った。

    若「あーん、して」

    尊「ヒッ!」

    唯「わー、贅沢ぅ」

    美「優しいわね~」

    尊が、若君に釘付けになったままつぶやく。

    尊「お姉ちゃん…」

    唯「え、私?なに?」

    尊は、慌ててスマホを取り出した。

    尊「撮って」

    唯「うわっ、超贅沢!」

    スプーンをくわえた所を、パチリ。

    尊「お、美味しいです…」

    若「そうか。それは良かった」

    覚「おいおい、まんま恋する乙女の顔じゃないか」

    美「ふふっ、尊の気持ちがわからなくもない」

    覚「わからなくもない…僕の氷、食べる?」

    美「えー、貰うなら忠清くんからがいいわ」

    覚「やっぱりな」

    若「わかりました」

    美「…って、待って忠清くん、冗談だから!」

    若君は、掬った氷を美香子に差し出そうとしていた。

    若「良いのですか?」

    尊「兄さん、こぼれそうだよ」

    若「おぉ、これはしたり」

    唯「なら、それちょーだい!あ」

    スプーンは若君自身の口に吸い込まれた。

    唯「早いぃ」

    若「垂らすより良かろう」

    尊「残念でした~」

    全員「ハハハ~」

    会話が弾んでいたが、

    唯「んー、そろそろ…かな。早い?」

    覚「いや、キリがないからさ」

    美「そうね」

    唯「じゃあたーくん、着替えよっか」

    若「そうじゃな。では、行って参ります」

    三人「行ってらっしゃい」

    唯の部屋。着替え完了。

    唯「さてと、たーくんの布団も畳んだし」

    若「あぁ」

    唯「忘れ物、ないよねー」

    若「良かろう」

    唯「たーくん、ホントにありがとう」

    若「ん?」

    唯「一か月、すっごく楽しかった」

    若「わしもじゃ」

    唯「ふふっ」

    若「ところで、唯」

    唯「はい?」

    若君が唯の正面に立った。

    若「折り入って、話がある。聞いてくれるか?」

    唯「え、怖っ」

    若「帰ってからとも思うたが…」

    唯「なに?今言いたいんでしょ?どーぞ」

    若君は、ふぅ、と一呼吸した。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days105~15日21時、盛り上がってます

    興が乗ったまでの事。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    五人で、神経衰弱の真っ最中。

    覚「おーっ、取れた!初めてだ~」

    唯「やっと?」

    尊「ここへ来てようやく?」

    若君「さすがお父さんじゃ」

    覚「いや~。ありがとう、忠清くん」

    若「え?」

    覚「ヒント、出してくれて」

    尊「お父さん、ヒントじゃわからないよ。んーと兄さん、それとなく教えたりしました?」

    若「いや、何もしてはおらぬ」

    覚「またまた~」

    美香子「お父さん、せっかくこっそりと教えてくれたんだから、あんまり言っちゃダメよ」

    覚「そうか、そうだな」

    唯「たーくん、孝行息子だ」

    若「いや…」

    美「ふふっ、照れて可愛らしい。はぁ~。トランプ、楽しいわねぇ」

    尊「うん、間違いない」

    美「もっと色んな遊び、したかったわねぇ」

    唯「遊び~?例えば?」

    美「んー、みんなでカラオケとか」

    覚「うわっ、今この時間になってから言うか~?」

    唯「え~それ、たーくん聞いてるだけになっちゃうもん。すっごく音大きいしびっくりしちゃうよ」

    若「桶が空?」

    唯「言うと思った」

    尊「えーとですね、カラオケは…歌を歌う設備?場所?歌会?」

    若「歌会。ほぅ」

    唯「尊ダメだよ、永禄では歌はそれじゃないから、話がややこしくなる」

    尊「あ、詠じる方か。雅だね」

    覚「君が~、望むなら~」

    美「ヒデキ~!」

    若「?!」

    唯「もーなに!急に歌わないでっ」

    尊「すげぇ息ぴったりだし」

    覚「カラオケと聞いてつい。素晴らしき昭和歌謡を披露だ」

    美「思わずノッちゃったわ~」

    覚「さすが母さん~」

    唯「はぁ。たーくんごめんねぇ」

    尊「話が見えませんよね」

    若「大層楽しんでおられる、のはわかった」

    ひとしきり遊んだ後。

    美「お風呂、沸いたわよ。行ってらっしゃい」

    唯「わかったー。着替え取ってくる」

    美「後で慌てないように、お着物も出しておきなさいね」

    若「わかりました」

    唯の部屋。

    若「この先の世での、歌、は」

    唯「うん?」

    若「皆、きてれつな声をあげるのじゃな」

    唯「あっちゃー。私と親のしか知らないもんねぇ。ごもっともでございます」

    若「この話、内密に頼む」

    唯「承知いたしたっ」

    二人がお風呂タイム中、かき氷の準備をする三人。

    尊「お父さん」

    覚「ん?」

    尊「兄さんって、ホント周りをよく見てるし、何より優しいよね」

    覚「あぁ。さっきさ、僕の方がヒントに中々気付かなくて、忠清くんヤキモキしてただろうなぁ」

    美「さりげなくやってくれてるものね。父を立てるいい息子ね~」

    覚「忠清くんのお陰で、尊も成長してるしな」

    尊「僕?」

    覚「聖人君子のような彼が傍に居て、人としての在り方も学べただろ?」

    尊「うん…。えっ、兄さんと同じは無理だよ?努力目標にはするけど…道は険し過ぎる」

    美「いつか…ね、随分成長したな尊、って言ってもらえるように」

    尊「わぁ、そりゃ頑張らないと!」

    風呂上がりの洗面所。二人で交互に、髪にドライヤーをかけている。

    唯「真夏、お風呂出てすぐドライヤーって、厳し過ぎる~、暑いー」

    若「雫が垂れる程ではならぬゆえ、我慢じゃ」

    唯「たーくんはもうほとんど乾いたよ。まだ暑いでしょ、髷にしとく?」

    赤いリボンのヘアゴム登場。

    若「おぉ、これか。では頼む」

    唯「え、私が結んでいいの?」

    若「出来栄えは不問とするゆえ」

    唯「ん?なーんか引っかかるけど、まぁ良しとする。はい、できたよ」

    若「ありがとう唯。代わろう。うむ…粗方乾いたの。唯も、結ぶか?」

    唯「うん。やってくれる?」

    若「うむ。されどこの輪、実によく伸び縮みし、結わえ易いのう」

    唯「持ってく?てか、このまま結んどけば良くない?」

    若「そうか。そうじゃの。よし、出来たぞ。では戻ろう」

    唯達がリビングに戻ると、すっかり用意が出来ていた。

    唯「わー、キレイ~」

    若「色鮮やかな…これは何じゃ?」

    尊「シロップですよ。そっか、以前食べた時はもう氷にかけてあったかも」

    覚「外でも食べてはいるだろ?」

    唯「うん。プールででっかいのを三人で分けっこしたよ」

    美「お店で出る程、きめ細やかには削れないけど」

    唯「いいよ。私ちょっとガリガリしてんのも好きだから」

    氷を削り始めました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days104~15日20時、準備はスローに

    月が沈む前に帰ればいいんだから、まだまだ時間あります。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    尊「あれ?荷物が増えてる」

    唯「これ、すごいんだよぉ!ほらっ」

    尊「うわっ、繋がってる?」

    覚「連鶴か。芳江さんだな」

    若君「ご存じでしたか」

    覚「以前、患者さんへの快気祝いとして折ってみえたんだ」

    尊「へー。芳江さんもエリさんも、手仕事上手なんだね」

    覚「母さんが一番何にもできない」

    若「そのような」

    覚「ハハハ。三人とも医療のプロには違いないから。じゃあ、続きをしようか」

    若「はい!」

    はさみ揚げにまぶす粉の入ったバットが、二つ並んでいる。

    覚「こちらがいつもの。こちらが」

    若「カレー、ですか?」

    覚「そう、忠清ブレンド」

    尊「今日は二種類作るの?しかも兄さんお手製の。やったー!」

    覚「たまにはいいだろ?」

    若「ありがとうございます!」

    覚「あれ?唯が反応しないな。どうした?」

    尊「鋭意学習中だから」

    タブレットを凝視している唯。

    尊「連鶴の折り方をね」

    若「そうなのか」

    覚「ん、いい心掛けだ」

    いよいよ揚げ始める。

    美香子「ふう」

    尊「あ、おかえりー」

    唯「お疲れ様ぁ」

    若「一日お疲れ様でした」

    美「ただいま。あら?カレーの匂いがしてる」

    覚「お疲れ。忠清ブレンドで、はさみ揚げのアレンジだ」

    美「まぁ!食べる前から、美味しいって決定じゃない」

    覚「だろ?」

    美「ん~男子二人のエプロン姿が並ぶ、やっぱいいわ。よーく見とこ」

    覚「見納めって言わないのがいいな」

    美「当然でしょ~」

    唯「ねぇお母さん、これ持ってってもいい?」

    マニキュアセットを見せる。

    美「あらそう。いいわよ。忠清くんもいいって言ってくれてる?」

    唯「うん。これからも、塗ってもらうんだぁ」

    美「あらま。贅沢ねぇ」

    尊「ホントだよ」

    覚「まあまあ。美香子さんには、僕が塗ってあげるからさ~」

    美「いや、そういう意味ではないんだけど」

    覚「えぇっ!そ、そう…」

    美「は?もう、何拗ねてるの~」

    若「ハハハ、実に仲が良い」

    晩ごはん、出来ました。

    全員「いただきまーす!」

    若「うまい」

    唯「カレー味、いい!」

    美「うん、いいわ~」

    覚「だろ?」

    尊「おいしい!親子でコラボ、大成功だね」

    若「コ、コラ?」

    尊「あっ、ごめんなさい。コラボは…共同作業とか合作、かな」

    若「そうか。お父さんと手を携えて出来たと」

    美「手を携える。いい言葉ね~」

    覚「忠清くんと居ると、美しい日本語の勉強になるよな」

    尊「ずっと一緒でも、そう身に付いてないヒトも居るけど」

    唯「あぁおいしいっ。え、日本語がなにって?」

    尊「なんでもない」

    覚「まぁある意味、確固たる自己が出来上がっているんだが」

    唯「かっこ?カッコいいのはたーくんでしょ」

    尊「いい耳してるよ」

    若「ハハハ」

    晩ごはんも終わりかけ。

    覚「この後の話をする」

    四人「はい」

    覚「唯達、今回、寝間着姿で来たじゃないか」

    唯「うん」

    若「そうですね。寝所から参りましたゆえ」

    覚「だから、風呂上がりにそのまま、その寝間着を着ればいいっちゃいいんだが」

    唯「ちょっと暑いよ」

    美「確かに、あの白いお着物はそうよね」

    覚「そう。だからまず、少ししたら二人で風呂に入りなさい。で、一旦Tシャツジャージとか涼める格好に着替える」

    尊「それで?」

    覚「風呂上がりに、かき氷作ってやろう」

    唯「わぁ、あの手動でガリガリやるヤツ?」

    覚「そうだ。シロップは沢山用意したから。氷は向こうでは贅沢品だろ?腹を壊さない程度に食べて行きなさい」

    尊「やったー。かき氷機使うの久々。前に兄さんが一人で来た時以来じゃない?」

    若「おぉ、そうか」

    美「まだゆっくり寛ぎましょうね。じゃあ、ごはん終わったらまず」

    唯「なに?」

    美「トランプしない?神経衰弱、全員で一回もやってないもの」

    覚「うわっ」

    美「え?」

    覚「まだ、記憶力鍛えてない。でもやりたい」

    美「えぇ?」

    全員「ハハハ~」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    夜はまだまだ続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days103~15日18時、繋がります

    上手くやれば、冠みたいに輪っか状にもできるみたいです。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    リビングに戻ってきた唯。

    覚「おーお帰り」

    唯「うん。ちょっと待ってね」

    実験室にBlu-rayディスクを持っていった。

    唯「ただいま」

    覚「慌ただしいな」

    唯「時間ないから」

    覚「そうだな」

    花瓶の花は今日も綺麗に咲いている。

    唯「お父さん」

    覚「ん?」

    唯「たーくんに、お小遣いあげてくれてありがとう」

    覚「フフフ」

    唯「こんなにキレイなお花に変わったよ」

    覚「使い方が、さすがだなと思った」

    唯「うん」

    覚「彼は戻ればまた、プレッシャーだらけの日常だろ。一緒に居られる時間は、ゆっくりさせてやるんだぞ」

    唯「うん。あのさ、やる事も責任もいっぱいあるのに、私の事も考えて、ってダメかなぁ」

    覚「それはない」

    唯「なんで言い切れるの」

    覚「唯が居るから、より頑張れるさ。帰れる家があるのはな」

    唯「家…城じゃなくて?」

    覚「家とは、唯自身の事だから」

    唯「そっかぁ」

    覚「支えてやるんだぞ」

    唯「うん!」

    晩ごはんの、蓮根のはさみ揚げの準備中。

    覚「まだ実験室、時間かかりそうか?」

    唯「んー、たーくんはそろそろ戻ると思うんだけど。あ、来たよ」

    若君が戻ってきた。

    若君「お父さん、お待たせしました」

    覚「全然大丈夫だよ~って、あれ?なんか目や鼻、赤くない?」

    若「感涙に咽びまして」

    覚「そうか。うん、いい事だ」

    唯「なんか約束してたの?」

    若「はさみ揚げの作り方を見せて頂きたい、と願い出ておきながら、遅くなり」

    唯「へー」

    覚「じゃあ始めるよ。ここに並べた材料の説明からね」

    若「はい!」

    19時になった。そろそろクリニックの診療時間が終わる。

    覚「あ、忠清くん、一旦手洗ってさ、エリさん達に最後の挨拶しておいで」

    若「わかりました」

    唯「千羽鶴持ってね」

    診察終了後、クリニックへ入る二人。

    美香子「いらっしゃい」

    芳江「まぁー、これが完成品ですか」

    エリ「綺麗なグラデーションですね」

    若「お二方のお陰です」

    芳「いえいえ。あら、この辺はウチの孫が折ったわね」

    エ「皆さんの個性が出てますね」

    美「芳江さん、例のお品をどうぞ」

    芳「あ、そうそう。実は今朝、渡しそびれた物がありまして」

    唯「鶴以外で?」

    芳「これも鶴なんですけれど」

    違う箱が登場。

    唯「なにー?」

    芳「予定の折り鶴があっけなく完成したので、僭越ながらお屋敷で飾っていただけたらと思いまして」

    一つ取り出す芳江。千代紙で折られた柄入りの鶴だが、

    唯「あっ、え!」

    若「何羽も繋がっております!」

    唯「糊でくっつけたの?」

    芳「一枚の紙なんですよ」

    唯「えーっ」

    若「なんと」

    エ「素敵ね~」

    美「素晴らしいわよねぇ」

    芳「私の実家辺りの地域が発祥なんですけど、連鶴と言いましてね。一枚の長方形の紙を、端を5ミリ位残して、正方形が繋がるように切って、それぞれ折っていくんです」

    唯「すっごい器用だね、芳江さん」

    芳「伝統工芸ですから、小さい頃から親しんでましたので。何とか五羽は繋いでみました」

    唯「五羽…あ」

    若「家族の人数でお作りいただいたのですね」

    芳「はい。これは翼同士が繋がってますけど、唯ちゃん達にはこちらの方がいいかしら」

    唯「やーん!くちばし同士くっついて、チューしてるぅ。こんな風にもできるんだー」

    若「今朝方、大きい折り紙を買うたのですが」

    美「あら、そうだったの」

    芳「ちょうどいいですね。裏を中にして縦半分に折って、5ミリ残して横半分に切り込み入れれば作れますよ。そうするとより丈夫に折れますから」

    唯「たーくん、やる気満々でしょ」

    若「あぁ」

    唯「目、キラキラさせちゃって。かわいいんだから」

    美「ところで、お別れのご挨拶しに来たんじゃないの?」

    唯「そうだった。芳江さん、エリさん、一緒に過ごせて、すっごく楽しかった!ありがとう~」

    若「エリさん、芳江さん。この忠清、受けたご恩は生涯忘れませぬ。ありがとう、ございました」

    芳「どうかお元気で」

    エ「遠い未来から、祈ってますね」

    若「ありがとうございます」

    唯「バイバーイ」

    手を振りながら、クリニックを後にした。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    源トヨ!

    やっぱ源トヨは可愛いですね。ほっこりします。私のお話令和Daysでも活躍してもらうつもりですが、出番はまだまだ先です。来月上旬には登場予定です。

    じゃあ、最終話はいつ頃って話ですが…年は跨ぎます。まだダラダラ続きます…(-人-;)長くてすみません。よろしければ、お付き合いください。

    今までの二人の令和Days、番号とあらすじ、37から85まで

    no.699の続きです。今回は、8月13日のお話までです。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    37no.641、8/3、旅行スタート。若君初めての買い物

    38no.642、8/3、古式泳法の授業

    39no.643、8/3、ボンキュッボンとは。浜辺で昼ごはん

    40no.644、8/3、美香子到着。寝顔をパチリ

    41no.645、8/3、浮き輪を奪われる尊

    42no.646、8/3、温泉へ。綺麗な夕日

    43no.647、8/3、飲み過ぎの覚を寝かせる

    44no.648、8/3、永禄でのジェンガの回想

    45no.649、8/3、トランプで盛り上がる

    46no.650、8/4、朝の海。願いは砂の中に

    47no.651、8/4、若君考え込み唯怒る。午後は二手に分かれる

    48no.652、8/4、男子城ツアー。天守で風を感じる

    49no.653、8/4、女子買い物ツアー。寝顔の写真で大騒ぎ

    50no.654、8/4、男子恋愛マスターの講義

    51no.655、8/4、女子買い物後にパンケーキ

    52no.656、8/4、帰宅。次回城ツアー決まる。覚がタジタジに

    53no.657、8/5、悩める吉田君がやって来た

    54no.658、8/5、若君の訓話でスッキリな吉田君

    55no.659、8/6、デートでずぶ濡れの唯

    56no.660、8/6、ボート競争は若君の勝利

    57no.661、8/7、髪を結い合う二人

    58no.662、8/7、ぷらぷら城ツアーで若君の考察

    59no.663、8/7、城からかつての黒羽城を思う。神社に参拝

    60no.664、8/7、若君が千羽鶴を作る宣言

    61no.667、8/8、昼は鶴を折り夜は花火大会。美香子は折り紙見てやる気アップ

    62no.668、8/8、唯の危機に駆け出す若君

    63no.669、8/8、花火を堪能

    64no.671、8/8、美香子の作る晩ごはん。大殿に理解してもらうには

    65no.672、8/9、旅行初日は自由行動らしい。カレーは忠清ブレンドで

    66no.674、8/9、昼はハーブをブレンド。体固まる程頑張って鶴を折る

    67no.679、8/9、キーマカレー完成。尊の理想のデートで恩返し

    68no.681、8/10、草むしりを隅々までキッチリと

    69no.686、8/10、コーチ親子の様子に若君妄想でデレデレ

    70no.688、8/10、若君を都会の女子から守るには

    71no.689、8/11、千羽鶴半分完成。二回目の旅行スタート

    72no.693、8/11、美香子と若君が着物の話

    73no.694、8/11、三人でパンケーキ両親へのプレゼント購入

    74no.695、8/11、唯が薬局で四苦八苦

    75no.696、8/11、全員合流して鰻を食べる。尊の様子がおかしい

    76no.697、8/11、美香子子作りを全力否定

    77no.698、8/11、夜景が煌めく中若君の仮定話を唯が諭す

    78no.700、8/12、大音量でさすがに起きた

    79no.701、8/12、永禄の食糧事情を考える若君

    80no.702、8/12、家族写真。溢れる思いも写る

    81no.703、8/12、月が綺麗は愛してる

    82no.704、8/13、ラジオ体操を愛聴する若君

    83no.705、8/13、お祝いの準備で子供達はスーパーに

    84no.706、8/13、結婚20周年パーティーは和やかに

    85no.707、8/13、それぞれの矢じり考

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days102~15日17時、一途です

    違うタイプの美形に育つ、かな。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    実験室に三人。

    尊「呼んだ用事は二つあってさ、一つ目。花火大会から一週間経ってるのに、まだ録画編集してないの、って思ってなかった?」

    唯「思ってた」

    若君「少しは思うたが、尊のことじゃ、頃合いを見計らっておるのであろうと」

    尊「さすが、いい読みです。あの、兄さんってラジオ体操好きじゃないですか」

    唯「うん、マニアだと思う」

    若「マニア、とは?」

    唯「超好きで夢中でしょ」

    若「ほぅ…ならば、わしは唯マニアでもあるのじゃな」

    唯「えっ?!あ、そうなる?やーん、もう、もう!」

    若「い、痛い」

    尊「はいそこー、叩かない、じゃれない!なんかとっ散らかってるなー。話戻すけど」

    唯&若「どうぞ」

    尊「花火だけより、もっとディスクの容量使おうと思って。体操さ、カセットテープだけじゃなく、毎朝テレビでやってるのを何日か録画しといたんだ」

    唯「へー」

    尊「兄さんがこれがいいって回をいくつか、ディスクに落とそうと。だからギリギリ今日まで溜めといたんだよ」

    若「それは…痛み入る。世話をかけたのう」

    尊「いえいえ。だからこの作業は、お姉ちゃんは関係ないっちゃ関係ない」

    唯「まぁそうかも。もう一つは?」

    尊「うん。さっきの花火のBlu-ray、もう一枚あってさ。こちらで保管する」

    若「先程そう申しておったのう」

    尊「前回は最後に、両親からのメッセージ入れたから、今回は二人にしゃべってもらおうと思って」

    若「そうか。存念…気持ちを伝えるのじゃな」

    唯「わかったー」

    尊「どっちからにする?」

    唯「メッセージからで」

    尊「その心は?」

    唯「お父さんずっとひとりぼっちじゃかわいそうだから、番組の確認になったら私、リビングに戻るよ」

    若「娘の鑑じゃな」

    唯「えへへ」

    メッセージの録画が始まった。

    尊「自然な感じにしたいから、基本流しっぱなしにするし、僕の声も入ると思う。じゃあ、スタート」

    唯「了解~。ん?たーくん、なんか緊張してる?」

    若「あ、あぁ。此処に居らぬ両親に話すとは、些か不得手じゃ」

    唯「いいんだよ、たーくんらしくで」

    若「ならば…此度も、お父さん、お母さんの深い愛情に包まれ、大層幸せな時を過ごしました。心より、礼を申します」

    唯「ん、良かろ。お父さんお母さん、今回も楽しかったよ。ありがとー」

    若「…」

    尊「兄さんまだ固まってる。んー、質問になら答えられます?」

    若「あぁ。済まぬ」

    尊「そうだな…えーっと、もし生まれ変わったとします。永禄がいいですか、令和がいいですか?」

    若「戦を知らずに、末永う幸せに生きる、のは良い」

    尊「でもそれも、戦国時代を生き抜いているからこそわかる喜びですよね」

    若「それもそうじゃの」

    尊「ぬくぬく生きててすみません」

    若「ハハッ、尊が選んでこの先の世に居る訳ではない」

    尊「まぁそうですけど」

    若「穏やかな里で穏やかに暮らせ」

    尊「はい!」

    唯「生まれ変わったらか~」

    尊「あー、そういえば前にさ、生まれ変わりの話で、お父さんにつっかかってたね」

    唯「ん~あったね」

    若「なんと。父に歯向かうなどと」

    唯「いいんだよ、結果オーライだったから」

    若「正解、であったと」

    尊「お姉ちゃんならどっち?」

    唯「たーくんが居る方」

    尊「だよね」

    唯「私さ、もし生まれ変わるなら、たーくんのお母さんになりたい」

    尊「え?妻じゃなくて?」

    唯「うん。でもね、私はずっと生きるよ。たーくんの成長を見守るの。淋しくないように、これでもかーってくらいに、愛情たーっぷりで、守り続けるの」

    尊「へぇ…」

    若「…」

    唯「妻は万が一別れちゃうかもしんないけど、母はずっと母だから、そこは安心だよね」

    尊「いつか別の女性と結婚しちゃうよ?」

    唯「今、この瞬間は私が妻だもん。いっぱい愛して、いっぱい愛してもらって、二人でラブラブのまま長生きするから」

    尊「添い遂げてからの次の世界ね」

    唯「うん」

    尊「えっ!兄さんまた」

    唯「へ?あっ」

    尊「静かだからわからなかったよ、ティッシュティッシュ!」

    若君が、うつむいたまま話す。

    若「尊よ」

    尊「あ、はい」

    若「この顛末を撮っておるじゃろ」

    尊「はい、逐一。嫌ですか?消しますか?」

    若「いや、わしらが持ち帰る方にも、入れてくれぬか」

    尊「なるほど。わかりました」

    唯「たーくん。なんか、ごめん。そんな風になるとは思わなくって」

    若「…末永う、寄り添うてくれるのじゃな」

    尊「鼻声なのが、なんかグッと来るなぁ」

    唯「あったり前でしょ。たーくんを守るんだもん!」

    若「…」

    尊「うわっ!ますます大変な事に!どうしよう~」

    唯「うーん。そろそろ録画、シメちゃおか?」

    尊「そうだね…」

    唯「よーし。はい、たーくん、拭いてね。良い?じゃあ一緒にカメラ見て。お父さーん、お母さーん、じゃあねっ。はい、手振って」

    目元が真っ赤な若君と、笑顔の唯が、ひらひらと手を振った。

    尊「かいがいしい所が母っぽいな。…はい、終了しました。兄さん、大丈夫ですか?」

    若「あぁ。色々済まない」

    尊「感動のるつぼの中、すみませんが…のんびりしてる時間があまりなくって」

    若「そうじゃな。では二つ目の用件に」

    唯「じゃあ、私戻るよ。ディスクだけ持ってきておくね」

    尊「お願いします」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days101~15日16時、心に響く声

    若君は、爆睡なんて一生しないかもしれない。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯が目覚めた。

    唯 心の声(なんか重い…ありゃ、たーくんがもたれかかってるんだ)

    唯に体を委ねたまま、まだスヤスヤ眠っている若君。

    唯 心(安心して眠ってる。私が守ってるから?なーんて。かーわいい)

    尊が様子を覗きに来た。が、口元に指を当て、シーと言うような仕草をして、そっと離れていった。

    唯 心(サンキュ、尊)

    16時30分過ぎ、ようやく若君が目覚めた。

    若君「ん…」

    唯「起きた?おはよっ、たーくん」

    若「何時じゃ?…なんと、そんなに眠っておったのか」

    唯「ぐっすりだったよ」

    若「幾日も眠ったように感ずる」

    唯「良かった。スッキリしたんだね。私と一緒だったから~?」

    若「違いない」

    唯「嬉しっ。寝れる時は寝ればいいんだよ。できない時もあるでしょ」

    若「そうじゃな…戦場では眠りが浅いからの」

    唯「…」

    若「あぁ、今は忘れておくのであったな」

    唯「うん」

    尊「お目覚めですね」

    覚「おー起きたな。麦茶飲むか?それかアイスクリームでも食うか?」

    唯「麦茶がいいー」

    尊「珍しい」

    唯「なんか、口カラカラで」

    尊「あー、口開けて爆睡してたからね。兄さんもお茶でいいですか?」

    若「頂く。喉はそう渇いてはおらぬが」

    尊「あー、兄さんは熟睡してましたからね」

    唯「ん?言い方、微妙に差つけてない?」

    尊「口開けてたヒトに言われても」

    唯「なにそれー」

    お茶タイム。

    尊「でさ、ごめんお待たせ。花火大会のラスト、今Blu-rayディスクに入れたよ。観る?」

    唯「待ってたよぅ。観たーい!」

    尊「了解~」

    テレビで再生し始めた。

    覚「荷物は、まとめ終わったのか?」

    唯「まだ。今朝買ってきたのもあるし」

    覚「なんだ。これ観たらすぐ始めるんだぞ」

    唯「うん」

    若「わかりました」

    花火が、画面いっぱいにひろがる。

    唯「すごーい、テレビでも大迫力ぅ。良かった観といて。おもナビくんだと画面ちっちゃいから」

    若「声が聞こえてはおらぬか?」

    唯「声?」

    花火観賞中の、唯や若君が驚いたり笑ったりした声も録音されていた。

    覚「…」

    尊「お父さん」

    覚「ん、ん?」

    尊「これ、もう一枚作ったから」

    覚「おー、そうなのか」

    尊「楽しそうな声、いつでも聞けるよ」

    覚「そうか…そうか、ありがとな」

    荷物の準備スタート。リビングの隅にずらっと並べた。

    唯「プレイヤー、イヤホン、カセットテープ、Blu-rayディスク、折り紙、蚊取り線香と線香入れ、写真集、絆創膏、消毒液、とグロス。千羽鶴は別で持ってくから、なんとか入るかな」

    覚「野草の本はいいのか?」

    唯「え、持ってっていいの?」

    覚「唯の本だろ。あるに越した事ないんじゃないか?」

    唯「わかったー」

    若「ありがとうございます」

    覚「その代わりと言っちゃなんだが、今回は戻るのが3分後だから、蓮根のはさみ揚げはないからな」

    唯「いいよー。晩ごはんにいっぱい食べとく」

    美香子が買ってくれたバッグに、荷物を詰め込む。

    唯「入ったー!ひぇ~重いっ」

    若「わしが持つゆえ」

    唯「お願いしまぁす」

    尊「キリがついたよね?あのさ、二人ともちょっと、実験室に来てくれないかな」

    唯「あっそう」

    若「わかった」

    尊「ごめんねお父さん。そんなにかからないから」

    覚「構わんぞ」

    実験室に三人向かいました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days100~15日14時、手に手を取って

    リラックス、存分にしといて欲しい。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯と若君は、ソファーに移動した。

    若君「見終えたら、爪を塗り直してやろう」

    唯「やーん、至れり尽くせりぃ」

    並んで座り、写真集を見始める二人。

    唯「プールだぁ、なんかすっごく前な気がするけど」

    若「随分と、色が違うのう」

    自分の腕の色と、写真を見比べる若君。

    唯「ホントだー、こうして見ると、だいぶ日焼けしたってわかるね」

    若「日焼け止めを、塗り過ぎておったからまだ白いのか?」

    唯「んー、そればっかりでもない感じ」

    若「これは」

    唯「あ、オムレツ登場。撮っといてくれたんだ、サービスいいなあ。ん、もしかして」

    ページをめくると、若君の作ったメニューの写真がちょいちょい出てくる。

    唯「お腹空いてる時に見ちゃうと、目の毒になるかも」

    若「皆が食うのに困る事のないよう、励まねばのう」

    唯「これ見て、気持ちを奮い立たせる訳ね。あ、次はバーベキューパーティーだ。これも、楽しかったね」

    若「エリ殿芳江殿と、賑やかに過ごせたの」

    唯「あっ、旅行スタートだぁ、海、海!砂浜キレイ~」

    若「海で泳げたのは貴重な経験じゃった」

    唯「そうだね。あれ?これって」

    若「城じゃな」

    唯「あー、男子城ツアーね。こんな風だったんだー。次が…一緒に行った方のお城かぁ」

    若「おっ、花火じゃの」

    唯「すごーい、キレイに撮れてる!」

    若「写真、とはまことにたまげた物よのう」

    唯「そのまんま写ってるから?」

    若「まるで、その一時の空を切り取ったかの如く、咲き乱れておる」

    唯「観てた時の雰囲気も思い出すよね。花火は、動画も撮ってたけど…あれ、そういえばまだもらってない。尊~!」

    覚「実験室だ」

    唯「あっそう。まぁいいや、行くまでにはくれるでしょ」

    若「おぉ、これは」

    唯「わぁ、ホテルで見た夜景!やっぱキレイ~。色々思い出して…うふふ」

    若「フフッ。ここからは写真館じゃな」

    唯「たーくん、超かわいい!」

    若「…」

    唯「片腹痛い?」

    若「そうじゃな」

    唯「最後は、結婚20年パーティーだぁ」

    若「皆、良い顔をしておる」

    唯「ふー。いっぱい思い出持って帰れるね」

    唯をソファーに座らせたまま、マニキュアとペディキュアを塗り直し始めた若君。

    覚「あい変わらず、いい身分だな」

    唯「たーくんがいいよって言うから」

    若「良いのです。永禄で、もしこのような姿を見られたら、咎められるのはわしの方です」

    尊「そっか、なるほど。兄さんにとっての方が、より貴重なんだね」

    若「然り」

    唯「やっぱしこのセット、持って行こっかなぁ。お母さんに後で聞こっと」

    覚「まだやらせる気か?」

    唯「こっそりと」

    若「ハハハ」

    塗り直し終了。隣に座る若君。

    唯「乾くまでじっとしてると、このまま寝ちゃいそう~」

    若「眠れば良い。肩を貸そう」

    唯「わぁい、ありがと」

    若君にもたれる唯。程なく、寝息が聞こえてきた。

    若君 心の声(あと、少しか…)

    その体勢のまま、天井を見上げたり、飾り棚を眺める若君。

    若 心(極楽浄土、が有るのであれば、まさしく此の地に違いないのじゃが)

    唯の様子を覗く。スヤスヤと安心した顔で眠っている。

    若 心(唯と共にならば、何処へ参ってもその地が幸せに満ちた極楽、と思える)

    若「ありがとう、唯」

    小さく呟くと、ゆっくりと目を閉じた。

    覚「…二人とも、眠ったか?」

    尊「うん」

    覚「ところで、何コソコソとカメラ構えてるんだ」

    尊がデジカメを持ちながら、アングルをあちこち変えている。

    尊「幸せそうに寝てるからさ、ベストショットを、写真集の最後に足しといてあげようと思って」

    覚「そうか。くれぐれも起こさないようにな」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days99~15日12時、気持ちも入ってます

    今まで、生物は運ばなかった筈。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯と若君、帰宅。

    唯「ただいまぁ!ごめーん、昼になっちゃってたね」

    覚「いや、大丈夫だ」

    唯「え?なにが始まるの?」

    キッチンの作業台に、ボウルやら海苔やらが用意されている。

    尊「お母さん、とても一緒に昼ごはんは無理なんだって」

    唯「そんなに患者さん、来てるんだ」

    覚「で、サッと食べられるように、おにぎり握ってやろうと思ってな」

    若君「握り飯。お母さんは、里の者に頼りにされておるのですね」

    覚「忠清くん、作ってみる?」

    若「え?」

    覚「僕が握るより、喜びそうだ」

    唯「私もやろっかなー」

    尊「おっ、珍しい」

    唯「令和の思い出に」

    覚「おーいそれは、涙腺が危険になるから言わないでくれよ~」

    唯「いっぱい作ってさ、全員の昼ごはんそれで良くない?ピクニック気分で」

    若「楽しく、という事か?」

    唯「そっ」

    尊「僕もやるよ」

    覚「わかった。じゃあ、手、洗ってきなさい」

    三人「はーい」

    おにぎり作りスタート。

    唯「たーくん、手が大きいのに、いやにおにぎり小さくない?」

    若「大きいと、お母さんが食べにくかろうと思うての」

    覚「さすが。気持ちが行き届いてるな」

    若「唯が食すなら、大きく作るがの」

    唯「どういうコトよ」

    若「そういう事じゃ」

    尊「夫婦漫才?」

    覚「じゃ、この叩いてある梅を、ぐっと中に入れて」

    若「はい」

    唯「この昆布や、おかかも入れていいの?」

    覚「いいぞ。海苔巻くから、どれが当たるかは食べてのお楽しみだな」

    おにぎり完成。ずらりと並んだ。

    覚「お疲れさん。お母さんの所に持ってってくれるか?」

    若「行って参ります」

    クリニック。

    若君の囁き「お母さん、ここに置きますゆえ」

    美香子の囁き「まぁ、ありがとう!もしかして…」

    若 囁き「わしが握りました」

    美 囁き「そうなの!嬉しいわ~」

    若君 心の声(繁盛、と申すべきではないが、多くの民に慕われ、忙しくされておるのじゃな)

    昼ごはんスタート。皆でおにぎりを頬張る。

    唯「1個くらいさ、ハズレ作っときゃ良かった?」

    尊「ロシアンルーレット?怖ぇ。お姉ちゃん、とんでもない物入れそう」

    唯「ちゃんと食べられるモン入れるよ。んー、チョコレートとか?種の入った」

    尊「げっ!やめてくれー」

    若「それは…」

    唯「たーくん、好物でしょ」

    若「いや、さすがに別でいただきたい」

    尊「そういう妙な事言ってると、自分に当たるんだよ」

    唯「えー、やだぁ」

    尊「おいおい!」

    若「困った姫君よのう。ハハハ」

    昼ごはん終了。皆で片付け中。

    尊「あ、持って帰る写真さ、さっきプリントアウトしたから確認してね」

    唯「ありがとう~。花瓶のお花、いっぱい撮ってくれた?」

    尊「もちろん」

    若「さすがに持っては行けぬか」

    尊「生態系を乱す恐れがあるんで」

    若「何じゃ?それは」

    尊「種が落ちたりとか、既存の草花と受粉したりしてはいけないんです。永禄にあってはならない植物ができてしまうので。そういうのは、繁殖力も強いですから」

    若「なるほど」

    尊「兄さんの愛溢れるプレゼント、たくさん撮って残しましたから。じゃあ、持ってきますね」

    若「ありがとう、尊」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days98~15日11時、他人のそら似

    唯のクラスメートだった美沙ちゃんの先祖が、相賀の志津姫だったら、それはそれで一悶着ありそう。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    スーパーに移動。

    唯「この大きさだよね」

    若君「然り」

    大きめの折り紙を、幾つかカゴに入れた。

    唯「あとは、いい?」

    若「そうじゃな」

    買い物はすぐ終了。店を出ると、駐車場にキッチンカーが何台か並んでいた。

    若「寄らずで良いのか?」

    唯「え、なんで?」

    若「唯が飛び付きそうな品揃えに思えるが」

    タコスやクレープ、タピオカドリンクもある。

    唯「タピオカ…ううん、いい」

    若「そうか?わしの、おごり、でもか?」

    唯「うん。あれはいらない。たーくんには、超絶カッコよく居て欲しいから」

    若「ようわからぬが」

    唯「なら、自販機でいいからジュースおごってくれる?」

    若「うむ」

    日陰に入り、ジュースを飲み始める二人。

    若「格好良く、と申したが」

    唯「うん」

    若「唯には、情けない姿も晒しておるように思えるが」

    唯「そんな事ないよ。たーくんってカンペキだもん」

    若「いや、そうは思わぬ」

    唯「どんなトコが?」

    若「涙したり」

    唯「いいじゃない。お父さんも、泣くのは恥ずかしくないって言ってたしさ」

    若「そうであろうか」

    唯「永禄で人前で、はちょっとヤバいよねぇ。令和に居るあいだに、わーっと泣いとく?」

    若「今日の内にか?ハハハ」

    唯「涙は、たーくんが優しい証拠だよ」

    若「唯の方が優しかろう」

    唯「えー?」

    若「わしを守る、と出会うた頃から申しておった」

    唯「それは、優しいって言うのかわかんないけど。ううん、やっぱたーくんの方だよ、だって民や兵を守るために、敵に下ったり…敵方の姫と結婚しようとするような総領だもん」

    若「無用な戦は、避けねばならぬゆえ」

    唯「そうではあるけど。あー、あの結婚式さぁ…なんかムカムカしてきたっ」

    若「思い出してしもうたか」

    唯「ぶち壊せて良かったけどさぁ。それにしても、あの相賀の姫、どっかで見たような顔してたんだよね~、今にして思えば。まぁいいけど」

    若「あの婚儀においては、唯の怒りは頷ける。済まなかったの」

    唯「ん、まぁいいよ。そんなに自分を犠牲にしてさ、なかなかできないよ?」

    若「羽木に手出しはさせとうなかった。相賀に与すれば、皆の暮らしを守れたからの。当然の事をしたまでじゃ」

    唯「偉いっ」

    若「褒めてくれるのか」

    唯「ちょっと頑固でわからんちんなトコあるけど」

    若「…」

    唯「あれ?怒った?」

    若「ディスっておるのだな」

    唯「うわっ!使いこなしてるっ」

    若「ハハハ。そろそろ帰るか」

    唯「はーい」

    自転車置き場まで戻って来た。

    唯「また後ろに乗っていい?」

    若「勿論じゃ」

    唯「ありがと」

    若「これからは、疾風に乗せるゆえ」

    唯「うん!」

    唯は荷台に腰をかけ、腕をギュっと若君の体に絡ませた。

    唯「うふふ、たーくんの背中~」

    頬をスリスリ。その様子を、振り向いて見ていた若君。

    唯「わっ、びっくりした!なぁに?」

    若「唯が居る、と思うての」

    唯「え?ちゃんと居るよぉ。消えたりしませんから~」

    若「それは、良かった」

    唯「なぁに?ヘンなの」

    若君 心の声(今宵は満月。わしは…一人ではない)

    唯の温もりと、そこに居る幸せを背中に感じながら、若君はペダルをこぎ始めた。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days97~15日10時、輝き続けます

    カバンに入りきるだろうか。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君「行って参ります」

    唯「行ってきまーす!」

    覚&尊「行ってらっしゃーい」

    着替え完了。出かけていく二人。

    尊「お姉ちゃん、何買うつもりなんだろ」

    覚「土産とか?」

    尊「え、戻るのは3分後だよ」

    若君が運転。自転車に乗る。

    唯「あのね、今から行く所、たーくんは初めての場所だから」

    若「そうか。では道案内を頼む」

    唯「スーパーの向かいだけどね」

    若「ほぅ。ならば参ろうか」

    無事到着。

    若「ここは、何じゃ?」

    唯「薬局だよ」

    若「旅行の折に唯が居った所か?」

    唯「そうそう」

    店内に入る。

    若「この、何とも言えぬ香りは…」

    唯「あー、薬局だからかな。じゃあまず必需品から…あっ、たーくん偉い!ちゃーんと入口のカゴ取ったね」

    若「何を買うのじゃ?」

    絆創膏などのコーナーに来た。

    唯「初めてまぼ兵くん使って、高山を撃退した時にさ」

    若「ハハッ、あの時か」

    唯「その時、たーくん手を擦りむいてて、私持ってた薬で消毒したんだけど」

    若「勿論覚えておるぞ」

    唯「で、そういう消毒液系を買い込もうと思って」

    若「唯は、情け深いおなごじゃの」

    唯「へ?」

    若「戦は無いに越した事はないが、もしやの為に備えをしてくれるのじゃな」

    唯「だって、診察してくれるお母さん居ないしさー、また木村殿にお酒ぶっかけられてもさー」

    若「致し方ない。その頃は足軽小僧であったからのう。されど、速川家が永禄に居れば、戦に負ける気がせぬが」

    唯「えーそれ、言い過ぎじゃない?」

    若「お母さんは医師、として。尊は戦術を考え、お父さんは」

    唯「体力的に、戦は無理だよ?」

    若「飯炊きを」

    唯「ぷっ」

    若「三人共必要じゃろ」

    唯「ははは」

    消毒液や絆創膏の類いを、カゴにわんさか入れた。

    唯「さー、次!」

    若「唯、金は足りるのか?」

    唯「余裕。ちゃんと貯めといたもん。さてと」

    コスメのコーナー。

    唯「あのね」

    若「うん」

    唯「たーくんにキレイって思われたいし」

    若「充分麗しいがの。今も口元は輝いておるし」

    唯「だって、ちょっと塗るだけで、喜んでくれるから」

    若「唯が、より輝く」

    唯「んもう、うまいコト言うんだから。でね、他の色も、と思ったのと、あと同じ物をお土産にしたくて」

    若「土産。三分後に戻るが?」

    唯「この際置いといて」

    若「まあ、唯のする事じゃから、そこまでは驚かれぬが」

    唯「阿湖姫に、買って帰りたいの。よりかわいくなって欲しいし、兄上さんも大喜びするんじゃない?」

    若「そうか」

    唯「ダメ?」

    若「良かろう。そうか…兄上も、口元が輝くのじゃな」

    唯「うわっ、なんかいやらしい。胡乱な考えじゃのー」

    若「唯に言われとうない」

    唯「なんだとぉ、口が過ぎようぞっ」

    若「ハハハ」

    じゃれ合いながら、品物を選んでいく二人。そうこうして、買い物終了。

    唯「よーし、1つ目の任務完了!じゃあスーパーに移動ね」

    若「わかった」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days96~15日8時30分、浄化されます

    おねだりが上手くなっている。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    尊「おかえりー。あれっ、兄さんなんか様子が…」

    覚「どうしたんだ?」

    唯「ひとまず、座る」

    食卓のそれぞれの席についた四人。

    覚「鶴を折ってくださったのか。そりゃ僕でも泣いて喜ぶな」

    唯「全部で200あるんだって」

    尊「え!それ、千羽鶴完成って事じゃん」

    唯「そうなのー。だからこの状態、わかるでしょ?もー、かわいくってしょーがない」

    若君「取り乱した。済まぬ」

    唯「いいよぉ。だって、嬉しかったんでしょ?」

    若「嬉しかったのもあるが、お二方の話の中で、それぞれ家族が出てこられた」

    唯「うん」

    若「芳江殿は大勢で賑やかな団欒、エリ殿は娘御とのかけがえのない時間が見えた。その様子に心を打たれたのじゃ」

    唯「そっか」

    覚「うんうん、そりゃ良かった。泣けるよね。泣くってな、体に良いんだぞ」

    若「体に、良い?」

    覚「泣く行為で、心も洗い流すというか、浄化されるんだ。ストレスも消える。だから必要。特に君には。何も恥ずかしくないよ」

    若「そうですか。ありがとうございます」

    唯「あ」

    尊「あ?」

    唯「それで、前回のBlu-ray、お涙ちょうだい状態にした?」

    尊「いや、そこまで考えてない」

    唯「そお?でも、向こうでたーくんが辛そうにしてたら、それ観て泣けばいいんだね」

    尊「無理やり?」

    唯「だってー、どうせすぐ色々我慢するもん。無理にでもデトックスだよ」

    若「我慢などと」

    覚「立場上仕方ない時だってあるだろ」

    唯「みんなの前では立派な総領で居なきゃいけない、でも二人きりの時くらい楽にしてあげたい。リセットは大事でしょ?」

    若「唯…」

    覚「私の胸で泣かせてあげる、か。そういう活用方法は悪くないな」

    唯「やーん、胸でなんてぇ」

    尊「何くねくねしてんの。じゃあ、せっかく作ってもらったから、糸通し始めよっか」

    若「そうじゃな。ぜひ完成した品を、お二方にご覧頂きたいしの」

    唯「ん、了解~」

    作業中。

    尊「この箱が、芳江さんの方?」

    唯「うん」

    尊「皆さんで折ったのわかる。形がすごくバラエティ豊かで」

    覚「微笑ましいな」

    唯「みんなの力で、永禄を守れるね」

    若「まことに有り難い」

    千羽鶴、千羽の鶴で出来上がりました。

    唯「やったー!終了!良かったね、たーくん」

    若「あぁ」

    覚&尊「おめでとう~」

    唯「ねぇ、たーくん」

    若「なんじゃ?」

    唯「爪の塗り直しは後にしてさ、持ってきたいなーって物思い出したから、買い物に行っときたいんだけどぉ。昼には帰れるように、自転車でピューっと」

    若「デート、の誘いか?」

    唯「えへへ」

    若「ならば、わしが乗せていってやろう」

    尊「それって…見ようによっては、ただ足に使われてるような」

    唯「気のせい気のせい」

    若「そうじゃ、折り紙も、もう少しあった方が良いやもしれぬ」

    覚「え?持たせるつもりで、買ってあるぞ?」

    若「大きい紙を、持ち帰りたいのですが」

    覚「あー。それはごめん、ないわ」

    若「戻ったら、わしが皆に、お母さんに教えを乞うたようにしとう存じます」

    覚「ふんふん、教えやすいように大きいのがいいんだね」

    尊「みんな巻き込んでやるんだ。壮大になってきたなぁ」

    唯「決まりっ。じゃあ着替えよーっと!どうしよっかな、今日は例のニットとジーンズにしよっかなー。たーくんそのままで行く?」

    若「いや、このなりでは…」

    朝稽古の格好のまま、上は白Tシャツだが、下はジャージ姿の若君。

    尊「こなれてる感出てて、悪くないと思うけどなぁ」

    覚「それにサンダル履きだと、ちょいワルっぽい感じだな。意外に似合うかも」

    唯「たーくんはなんでも似合うけど」

    若「ならぬ、これでは唯を伴えぬ。着替えて参る」

    唯「そう?」

    覚「さすが、紳士だな」

    二人、2階へ上がって行った。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days95~15日8時、心通じ合う

    いろんな人の気持ちが、集まりました。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    芳江「私達、若君にお渡ししたい物があるんです」

    若君「え?」

    二人、手に箱や紙袋を持っている。そこに唯がやって来た。

    唯「呼んだ?なぁに、なんかイベント?」

    エリ「押し付けがましくて、どうかと思ったんですけど」

    芳「少しは、足しになればと思いまして」

    それぞれ、中を見せる。カラフルな何かが入っていた。

    唯「あっ、えっ!もしかして、折り鶴?!」

    若「鶴!」

    唯「いっぱいあるー」

    エ「100羽ずつあります。二人で200ですね。少しはお助けできたかしら?」

    若「…」

    唯「200!たーくん、800作ってあるからちょうど1000…千羽鶴になったよ!ねぇ、ねぇ良かったね!」

    エ「まあ!そうなんですか!」

    芳「良かったわ~作った甲斐がありましたね」

    若「これは…」

    唯「お母さんが頼んだの?」

    美香子「まさか。全然知らなくて。お二人のご厚意の賜物よ」

    芳「勝手に、始めちゃいました」

    若「勝手など、そのような…」

    美「折り紙さ、ここにしばらく借りてたじゃない」

    唯「うん。仕事のモチベーションあげるって言ってたね」

    美「それをご覧になって、同じ物を買いに行かれたそうなの」

    唯「わざわざ合わせてくれたの?!」

    芳「若君の志に感動して、私達も出来る所まで頑張ってみましょう、できれば100羽ずつ、と約束しまして」

    エ「でも、無事ノルマが達成できました」

    若「それは…」

    美「忠清くん」

    若「は、はい」

    美「お礼を言う前に、お二人のお話を聞いてあげて」

    若「そうですか。わかりました。お聞かせ願えますか?」

    唯「お母さん」

    美「ん?」

    唯「泣いてるの?」

    美「え?私の事はいいから。さ、芳江さんからどうぞ」

    芳「はい。私は、家で一人コツコツと折ってたんですが、息子達が帰省してきた日、うっかりやりかけの状態で出しっぱなしにしてまして」

    若「はい」

    芳「息子にこれ何と聞かれ、勤め先のお婿さんが今頑張ってるからって話をしたら、じゃあみんなでやれば早いじゃない、となりまして」

    唯「へー、なんか楽しそう」

    芳「楽しかったです。もうじいちゃんからお嫁さんから孫からてんやわんやで。で、あっという間に出来上がりました。それで、私は若君にお礼を申し上げたいんです」

    唯「逆に?」

    若「わしに、ですか?」

    芳「折っている間は、テレビもスマホもゲーム機器もなく、手作業しながら語り合うだけの団欒の時間でした。孫に張り切って教えるおじいちゃんとか嬉しそうで…。若君のお陰でそんな時間がいただけました。ありがとうございました」

    若「いえ、そのような…」

    エ「私も、いいですか?」

    若「あ、はい、お願い致します」

    エ「私も一人コツコツと進めてまして。孫達が帰省した日も、夜、みんなが寝静まってからキッチンで折ってたんですが、嫁に行った娘が、何してるの?と顔を出しましてね」

    唯「服作ってあげてた娘さん?」

    エ「そうです。で、若君の話をしたら、じゃあ手伝うよとなりまして。一緒に仕上げました。私も、若君に感謝してるんですよ」

    若「それは、何ゆえでしょうか」

    エ「私の子育てが終われば娘の子育てが始まりで、二人きりでゆっくり話すなんて、いつ以来だったか。静かな夜、手仕事しながら色々話が出来て、とても穏やかで嬉しい時間だったんです。そんな機会を与えてくださって、本当にありがとうございました」

    唯「なんか、いい話ばっかだね。お母さんは先に聞いてたんだね」

    美「そうなのよ」

    エ「余談なんですが、若君…ではなくもちろん私も、勤務先のお婿さんと言いましたけど、どんな人?と娘に聞かれたので、あの、バーベキューの際に、写真撮らせていただいたじゃないですか」

    唯「エリさんも芳江さんも、たーくんと二人で撮ってたよね」

    芳「宝物です~」

    エ「私もです。で、それを見せたら、ちょっと!こんなイイ男が受け取ってくれるの?!って、俄然ヤル気が出たらしく、結果、その晩に完成した次第です」

    唯「ははは~」

    美「やっぱり、若君はいろんな人を幸せにする天才だと思うな」

    若「いや…痛み入ります」

    若君は、サッと床に座り、両手をついた。

    エ「えっ」

    芳「あららら」

    慌てて正座するエリと芳江。唯と美香子も、同じく正座した。まず芳江の方に正対した若君。

    若「芳江さん、家族の皆様共々、わしの為に時間を割いて頂き、心より礼を申します。ありがとうございました」

    芳「いえいえ、そんな、恐縮です」

    向き直り、エリと正対。

    若「エリさん、心より礼を申します。娘殿にも直々に礼を申したい処ですが、くれぐれも宜しくお伝えください。まことに、ありがとうございました」

    エ「そんなご丁寧に。娘に伝えますね」

    床につく程深く頭を下げる若君。中々上がらない。

    エ「まあ、お願いですから、もうお顔を上げてください」

    芳「充分、お気持ちはわかりましたから」

    ようやく顔を上げたが、

    唯「あれっ、たーくん、涙目…泣きそう?」

    美「あらら」

    唯「あのさ、もう行こっか?お母さん達そろそろ準備あるし」

    若「そうじゃの…」

    唯「じゃ、エリさん芳江さん、ありがとうございました!鶴もらってくね」

    美「うん」

    唯と若君がクリニックを後にした。

    美「あー危なかった。もう少しでもらい泣きする所だったわ」

    芳「あんな若君、初めて拝見しました」

    エ「驚きました」

    美「実は彼、意外と涙もろいのよ」

    芳&エ「そうなんですか?!」

    美「うふふ。さっ、じゃあお仕事モードに戻りましょうか」

    芳&エ「はい!」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: アシガール掲示板
    差し出口をお許しくだされ

    妖怪千年おばばさんの質問はてんころりん様あてですが、朝通勤途上でチラっと見まして。すぐ答えられたんですが、ちょっと遠慮しておりました。でも大分お時間も経っておりますので、代わりにお答えします。

    美沙ちゃんは、志津姫で正解です。静姫で検索すると出てきません。

    あと一週間くらい後に、私が創作倶楽部に投稿予定のお話の、導入部に書いております。

    お邪魔いたしました。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days94~15日木曜6時、新しい朝が来た

    いよいよですが、明るく。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    庭の雀が、騒がしい。

    若君 心の声(朝、か)

    そっと瞼を開く。すると、

    若君「なんと」

    唯「おはよっ、たーくん」

    腕の中の唯に、じっと見つめられていた。

    若「起きておったのか」

    唯「うん。へへー、たーくんより早く目が覚めたから、かわゆい寝顔を見てた」

    若「そうか。それはちと片腹痛いのう」

    唯「え!お腹痛いの?大丈夫?!」

    若「いや、多分唯が思うておるような意味合いではないが…」

    唯「調子悪いんじゃないんだね?後で尊に意味聞こっと。あのね」

    若「ん?」

    唯「すっごくよく眠れたよ。昨日とは全然違った。たーくんが守ってくれてたからかな」

    若「それは良かった」

    唯「安心、だった」

    若「安心か。これから先も、唯がそう思えるよう励む所存じゃ」

    唯「ありがと」

    二人、起き上がる。

    尊「片腹痛いはね、恥ずかしいって意味だよ」

    唯「わっ、びっくりした!盗み聞き?」

    尊「まあまあ大きな声でしゃべってたけど」

    唯「そうだった?」

    若「わしが最後に起きたのか。不覚じゃな」

    尊「そんな時があってもいいんですよ。今朝は、雀の大合唱で起きちゃいました」

    唯「確かにちょっとうるさいくらいだったね」

    尊「あれが全部お姉ちゃんかと思ったら、うるさいのは納得だったよ」

    唯「ちょっとー、たーくんはかわいいって意味で、私は雀みたいって言ってるんだから!」

    若「ハハハ」

    唯「え!もしかして、そっち?!」

    若君の朝稽古も終わり、そろそろ体操の時間。五人揃った。

    若「家族皆では、初めてじゃの」

    美香子「嬉しいわ~」

    覚「いい記念になるよ」

    唯「よーし、張り切っていこー!」

    尊「もっと早い内から、張り切るべきじゃなかったの」

    体もすっかり目覚めた。朝ごはん。

    唯「なんか、気分爽やか~」

    覚「早起きの良さにようやく気づいたか」

    唯「ご飯もおいしい!炊きたてのご飯、あったかい味噌汁、うーん幸せ」

    若「そうじゃのう…」

    美「あらら、考え込んじゃった。ごめんね、最後の朝なのに、私が仕事だからバタバタしてるけど」

    若「いえ」

    尊「今日は患者さんいっぱいで、忙しそうだよね」

    美「そうね~。お昼ゆっくりは食べられないかも」

    食後。

    唯「そろそろ、落とさなきゃねー」

    尊「あー」

    マニキュアが塗られた指先を見つめる唯。

    若「いや、そのままで良い。なんなら、塗り直してやろう」

    唯「いいの?」

    尊「3分後にしては、激変じゃないですか?」

    若「構わぬ。唯に関しては、多少の変化は誰も驚かぬゆえ」

    尊「急に居なくなったり現れたりするし?」

    若「ハハハ、そうじゃな」

    唯「マニキュアセット、向こうに持ってく?」

    若「それは、どちらでも良いが」

    唯「ふーん」

    若「戻った後、唯の指先を見れば、この日々は夢ではなかった、と思えるからの」

    尊「ある意味、お土産ですか」

    若「そうとも言えるのう」

    唯「そっか。じゃあ部屋から持ってくるね」

    唯は2階に上がっていった。

    覚「まだ8時だもんな。今朝は色々順調だ」

    尊「そうだね。でも今日は一日長く過ごせる方がいいよ」

    バタバタと足音がした。廊下を走って来た、白衣姿の美香子。

    覚「何だ?どうした?」

    美「忠清くん!」

    若「はい、お母さん。どうされましたか」

    美「ちょっと、いらっしゃい。唯は?」

    尊「2階」

    美「そう。戻ったら、クリニックに来るよう言って」

    尊「うん。何慌ててるの?」

    美「はい、さあさあ」

    若「はい…?」

    クリニックに入る若君。

    若「おはよう、ございます」

    芳江とエリが、笑顔で待っていた。

    芳江「おはようございます」

    エリ「おはようございます。あら、また一段と日に焼けてらっしゃらない?」

    若「そう…ですか?お二方共、息災のようで何よりです」

    芳「まぁー、気にかけていただいて」

    エ「嬉しいわ~」

    若「それ、で?何の御用でしょうか?」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days93~14日21時、背中で語ります

    お月見ミッション最終章。昨日の満月は、拝めました。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    身を焦がすような恋に落ちたら、どうする?尊。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    家族全員で、スイカを食べている。

    唯「尊」

    尊「何」

    唯「好きな人とか、いないの?」

    尊「何だよ唐突に。居ないよ。もし居たとしても、ここで発表すると思う?」

    美香子「え、居るの?」

    尊「ないない。僕はその点、茨の道が待ってるんだ」

    若君「何ゆえ?」

    尊「相当信用の置ける人物じゃないと、家の事情が話せない。これは男女関係なくだけど」

    覚「ふむ」

    尊「まずタイムマシンの話を口外しない人。次に、お姉ちゃんがなぜここに居ないかも、同じく秘密に出来る人。前途多難でしょ。友達が出来たとしても、家には連れて来れないよ」

    若「そうか。済まない」

    尊「わっ、なんで。一番謝る必要のない兄さんが」

    若「わしがこうして此処に居られるのも、そうした犠牲の上に成り立っておるゆえ」

    覚「タイムマシンに関しては、出来た時点で、唯や忠清くんの事がなくても、情報管理は自己責任だ」

    尊「そうだね。文句言ってる訳じゃないですから、兄さん」

    若「そうか」

    美「いいわねぇ、新婚旅行どこに行く?じゃなくて、どこの時代に行く?ができるんだ」

    唯「えー、うらやましい~」

    尊「何だよその、いろんな事を全部すっ飛ばした超楽観的な意見は」

    全員「ハハハ~」

    引き続き食卓で、ババ抜きがスタート。

    尊「お父さん、兄さんの隣は手強いよ」

    覚「そうなのか?攪乱させる?」

    若「そうかのう」

    美「戦術としてはさすがよね」

    何回戦も行うが、

    覚「しれっとジョーカーがやってくる」

    尊「でしょ?」

    唯「だって、たーくんすぐ引いてくんだもん」

    尊「そっか、お姉ちゃんに回ってくると、兄さんはつい引いちゃうんだ。やっぱり妻には弱いと」

    若「そうじゃな」

    唯「えー?」

    夜も更けてきた。

    美「私、そろそろ寝るわね。明日に差し支えないように」

    唯「じゃあもうおしまいにする?」

    美「いいのよ、まだ遊んでてちょうだい。みんながワイワイやってるの聞いてたいし」

    唯「そうなんだー」

    美「では、お先に」

    覚「悪いな。じゃ、おやすみ」

    若「おやすみなさい」

    唯&尊「おやすみー」

    一番遠い位置の布団で眠った母。食卓では引き続き、神経衰弱がスタート。

    唯「お父さん、全然取れないじゃん」

    覚「記憶力って、こんなにないものなのか」

    尊「年のせい?」

    覚「それは言うな」

    唯「お酒飲んどけば言い訳できたのに」

    覚「それも言うな」

    若「ハハハ」

    覚「ん?なんだ、もう1時じゃないか。さすがにそろそろ寝るか」

    唯「お父さん、一回も勝ってないけど。いいの?」

    覚「いい。次にやるまでに、記憶力鍛えておくよ」

    尊「前向きだなあ」

    若「素晴らしき志じゃ」

    唯「布団、どこが誰?」

    覚「僕は決まってるだろ?キッチンに一番近い所」

    尊「じゃあ真ん中の3枚だから…よし、僕がお父さんの隣、兄さん、お姉ちゃんだな」

    覚「その心は?」

    尊「二人はくっついて寝たいでしょ。でもラブラブが隣で繰り広げられたらお父さんには刺激が強いから、僕を挟む」

    唯「たーくんが真ん中なのは?」

    尊「兄さんがこちら側の方が、体の大きさから考えて、イチャイチャが見えにくい。お母さんからは丸見えだけど、どうせキャッキャ喜ぶだけだから」

    唯「あんた、よく平気な顔で解説できるよね」

    尊「平常心を保つ術を、僕は身に付けたのであった…」

    若「尊が、戦で陣に居ると、良かろうにのう」

    尊「え!いやいや、無理です!」

    唯「すぐに失神とかして、くたばってると思うよー、使えないよー」

    尊「うん、それは反論できない」

    若「そうかのう」

    覚「はいはい、よくわかったよ。その案採用する。さ、寝るぞ」

    消灯。

    覚「おやすみー」

    唯&若&尊「おやすみなさい」

    寝静まった深夜。ふと目覚めた尊が右を向くと、若君は唯側を向いており、背中だけが見える。

    尊 心の声(ん、正解でした)

    左向きに体勢を変え、尊は目を閉じた。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    明日は令和最終日。

    14日のお話は、ここまでです。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days92~14日17時、温もりも忘れない

    先月の中秋の名月は、雨雲に阻まれ…
    一昨日も今日も、美しい月を拝めたのに…
    昨日の十三夜は、居場所さえわからない程全く見えず(T_T)
    明日の満月は見られそう。期待します。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    カウントダウンが、始まっています。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯「なにこの袋、めっちゃ重いー」

    覚「スイカも買ってきた。半分だが」

    唯「どおりで」

    全員揃った。買い物袋の中身を食卓に並べている所に、別の袋が登場。

    美香子「見て、これ。良くない?」

    唯「ショルダーバッグ?大きいね」

    美「これで荷物持ってって貰おうと思って。リュックの代わりね。紙袋では無粋だから、探したの」

    唯「えーありがと~。蚊取り線香入れとか重たいもんね」

    美「お坊さんが荷物入れるのに使う頭陀袋ってあるんだけど、それ風だから向こうでも使えるかなと思って。あ、千羽鶴は別で風呂敷に包んであげるから」

    若君「ありがとうございます、お母さん」

    美「そろそろ荷物、まとめ始めなさいね」

    唯「うん」

    食卓にホットプレートが鎮座した。

    覚「そろそろ、肉も野菜もいいぞ」

    全員「いただきまーす!」

    美「あれ?お父さん、こんなメニューなのに、アルコールはいいの?」

    覚「うん。僕今日、やりたい事が二つあってさ」

    唯「二つ?」

    覚「一つは、忠清くんにマッサージしてもらう事」

    美「あ、それは私もお願いしたいわ」

    若「喜んで承ります」

    覚「お願いするのは今日で最後にするよ。明日帰る前に労働させても何だからな」

    美「そうね」

    若「そうですか」

    尊「もう一つは?」

    覚「海行った時さ、みんなトランプやってたよな?」

    尊「うん。酔っぱらいの動向を気にしながら」

    覚「帰る前に、僕も一緒にやりたい」

    唯「へー。いいよぉ。やろうやろう!」

    美「飲んでないから、布団につまずく心配もない?」

    覚「まあ、そういう事だ」

    美「じゃあ、ご飯食べ終わったら順番にお風呂ね。あ」

    唯「なに?」

    美「あなた達は、いいか」

    唯「え?入る入る」

    尊「顔のキラキラ消えてるよね」

    唯「それは置いといて」

    覚「ん、まぁいいんじゃないか?ハハハ~。じゃ、今日も男三人で行くか?」

    若「はい」

    唯「なんか、ゴキゲン?」

    尊「実は飲んでるんじゃないの」

    男子、風呂上がり。

    覚「あ、悪かったな。布団敷いといてくれたんだ」

    唯「掛布団出してないから、軽かったんで」

    美「じゃ、女子はお風呂行ってきまーす」

    尊「行ってらっしゃーい」

    覚「さて、と」

    若「では、早速」

    覚「うん…」

    若「お父さん?どうされましたか」

    覚「あぁ。最後って思っちゃうと、こみ上げるものがあるよ。明るく振る舞わないと、ちょっとね」

    尊「なるほど、そういう事だったんだね」

    若「…」

    覚「またいつか、頼むよ」

    若「はい!では精一杯、させていただきます」

    尊「じゃあ僕、残りの千羽鶴に糸通しとくよ」

    若「済まぬ」

    尊「いえいえ」

    全員揃いました。

    唯「尊、ありがと。手伝うよ」

    若「では、お母さんどうぞ」

    美「ありがとう。可愛いい息子とのスキンシップも、これで最後ね~」

    尊「別の意味で残念がってるな」

    美「尊、針と糸、よく似合ってるわよ」

    尊「なんだよそれ。そうやって、雑巾でも縫わせようとしてない?」

    美「バレたか」

    全員「ハハハー」

    マッサージ終了と同時に、糸通し完了。千羽鶴800羽分、十六束完成。

    唯「拍手ー、パチパチ~」

    尊「やったね」

    美「おめでとう、忠清くん」

    若「色々難儀をかけました。ありがとうございました」

    覚「では、完了記念に」

    唯「なに?」

    覚「スイカ切るか」

    唯「食べる食べるー!」

    尊「トランプ取ってくるね」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days91~14日13時、甘くていいのです

    だって貴重な時間だもん。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯「ただいまぁ」

    若君「ただいま戻りました」

    尊「おかえり。わっ、お姉ちゃんが埋もれてる!」

    美香子「お帰り~、まあ!なんて綺麗なの!」

    覚「立派な花束だなー。素敵なプレゼントだ」

    唯「うん!」

    美「ホントね~。でもずっと外にあったからかな、ちょっとしなっとしてるわね。すぐ花瓶に移しましょ」

    若「手伝います」

    美「ありがとね。…あら」

    若「何か?」

    美「ううん。うふふ、とっても熱ーい時間を過ごしたのね」

    唯「なにその、見てたかのような」

    美「強く擦ると肌を痛めちゃうから、お風呂までそのままでいいわよ」

    若「え?」

    唯「なんの話してるの?」

    尊「どれどれ。あ、あー」

    美「尊、科学的に説明してあげて」

    尊「え!科学的って。僕が言うの?!ハードル高いよ~」

    唯と若君に、なになに?と見つめられる尊。

    尊「うわっ。えーとですね、化粧品の成分って、色は比較的早く落ちるんだけど、光らせる成分は粒子が細かい物も多く、肌に浸透しやすくて」

    唯「難しい」

    尊「だって科学的にって言うから。だからさぁ、もうぶっちゃけ、兄さん、口のまわりがキラキラしてるんだよ」

    若「そうなのか?」

    唯「あ。よく見たらラメってる」

    尊「そうなるって事は、はみ出る程激しく…わー、もう勘弁してください!」

    若「なん、と…」

    唯「そ、そんな甘いワナがあるなんて」

    美「だから擦っちゃ駄目って。はい、花束ほどくわよ」

    両親が昨日受け取ったのと、今日のと、二つ花瓶が並んだ。

    唯「豪華~」

    美「お花はいいわね~」

    覚「はい、お待たせ、出来たぞ」

    唯「わっ、なに今日の昼ごはん!めっちゃ映えてるじゃん!」

    若「パン…ですか?」

    覚「フレンチトーストにした。ゆっくり用意出来たしな。お洒落だろ?」

    唯「うん、めっちゃオシャレ~」

    覚「はい、座ってー」

    昼ごはんスタート。

    唯「甘くておいしーい」

    覚「だろ?」

    唯「で、夜ごはんはなに?」

    覚「今聞くのか。このメニューを前に。まぁ、すっかり元気な証拠だな。焼肉にしようかと思ってる」

    唯「焼肉!」

    覚「ホットプレートでだけどな」

    美「昼、ちょっとしたら買い物に行くわね」

    唯「早くない?」

    美「お肉以外に買いたい物あるのよ」

    唯「そうなんだ。みんなで行く?」

    美「ううん、お父さんと行ってくるから」

    覚「尊はどうする?」

    尊「ついてっていい?僕も買いたい物ある」

    唯「へー」

    尊「ちょうど二人きりになっていいだろうし。理解ある弟なんで、邪魔はしない」

    唯「なによそれ~」

    三人を玄関で見送る。

    唯「帰りはどのくらい?」

    美「4時は過ぎるかな」

    唯「わかったー」

    覚「じゃあ忠清くん、留守番、頼むね」

    若「留守の番。承知つかまつりました」

    ドアが閉まった。

    唯「しばらく二人きりだねっ。うふふ」

    若「うむ…」

    若君が、立ったまま考え込んでいる。

    唯「どしたの?」

    若「家の何処に、控えておるのが良いのであろうか」

    唯「はぁ?控えるって…居場所って事?どこでも好きな所に。え~私てっきり、このまま部屋にさらわれて…やーん」

    若「唯は部屋に居れば良いが、わしは留守を守る為、下に居った方が良かろう」

    唯「え、もしかして…ずっと家の中を見張ってるつもりなの?」

    若「留守の番を任されたからには、全うせねばならぬ」

    唯「え、えぇ~?!留守番って初めてじゃなくない?」

    若「家に一人になった事はあれど、院は開いておったゆえ」

    唯「あぁ、完全にお父さんもお母さんも尊も居ないのは初めてなのね。って、違う~!」

    若「何が違うと申す」

    唯「今、玄関の鍵かけたじゃない。そう簡単に誰も入って来ないから!」

    若「それもそうじゃの」

    唯「もちろん、侵入者には気をつけなきゃいけないし、例えば火事とかならないように注意はするけど、ずっと見張ってなきゃならん、とかないの。ねっ、だからなにしててもいいから」

    若「そうか。わかった」

    唯「あーびっくりしたっ。まっ、そういうトコがたーくんのイイ所だけどね」

    若「…ならば」

    唯「はい?」

    若「まずは風呂に入るか」

    唯「へ?!きゃっ」

    ひょいと、あっという間に抱き上げられた唯。

    唯「あのぅ…」

    若「なんじゃ?」

    唯「いきなりの展開、早くないすか?」

    若「そうと決まれば、待てぬ」

    唯「出た!今褒めたばっかなのにこのヒトっ」

    若「4時過ぎには戻られるしの」

    唯「そんな計算まで!」

    若「嫌ならば降ろすが」

    唯「やだー、降りません」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    夕方まで、ご自由に。

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days90~14日11時、ゆらーりゆるーり

    見上げる空は、どの時代も変わらない。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    自転車を引きながら、ゆっくり歩く唯と若君。

    唯「スーパーは何度も行ったから、道わかったんだね」

    若君「帰り、詰めが甘かったがの」

    唯「まぁ無事会えたし。お花、買い方わかってた?」

    若「昨日見たように、これだけで作って欲しいと所望した。財布にあるだけ出した」

    唯「えっ!使い切っちゃったの?」

    若「少しは残っておるが」

    唯「この大きさだから、どーんと出したのはなんとなくわかる。そんなに稼いでたんだ…他になにか注文したの?」

    若「花の名がわからず、唯がどの花が好みかもわからなかったゆえ、とり混ぜて入れてくれと申した」

    唯「あー、だからこんなに色とりどりなんだね。お花畑みたいで、すっごく好き」

    若「それは良かった。そういえば、店の者が申しておったな」

    唯「なんて?」

    若「おまけします、と」

    唯「あはは、そうなんだ~。えー、どれがおまけかわかんなーい」

    遊具のある場所まで来た。

    唯「あっ珍しい、ブランコ空いてる。乗ろっ」

    ブランコの前に自転車をとめた。

    唯「たーくん、座って」

    若「ここに腰掛けるのか」

    唯「足ぶらーんってして」

    若「ほぅ。揺れておるが」

    唯「押しまーす、それぇー」

    若「おぉっ」

    ギーコギーコ、大きく揺らす唯。

    若「中々楽しい物よのう」

    唯「でしょ?私も乗るー」

    隣でこぎ始める唯。

    唯「ひゅ~」

    若「自分でも動かせるのか。やってみる」

    二人、同じくらいの高さまでこいでいる。

    唯「たーくん、さっすがぁ。さてと」

    ぴょーん、と飛び降りた。

    若「なんと」

    唯「あ、たーくんはやっちゃダメだよ。慣れてないから」

    また、若君の後ろから押してやる唯。

    唯「たーくん、帰ったらさ、また色々考えたり、背負ったりしなきゃいけないじゃない」

    若「そう…じゃな」

    唯「あとちょっとしかないけど、今くらい、こんな風にゆるーく過ごして欲しいな」

    若「そうか。忘れている時間、も必要かのう」

    唯「そゆこと」

    若「ありがとう、唯」

    若君は、揺られながらずっと空を見上げていた。やがて、ブランコが止まる。

    唯「失礼しまーす」

    若「ん?」

    ブランコに座る若君を、後ろから包みこむように抱き締める唯。

    唯「大丈夫、技かけたりしないから」

    若「ハハハ」

    公園の時計が、12時30分を指している。

    若「そろそろ帰るか」

    唯「はい」

    若「しかしこの、ブランコと申す物、中々良いのう」

    唯「作っちゃう?緑合って木に囲まれてるから、いい感じに伸びて丈夫な枝、いっぱいあるよ?」

    若「そのような。登って確かめぬと、丈夫かはわからぬが」

    唯「びくともしなかったけどね」

    若「なんと!いつの間に。困った姫君じゃ」

    立ち上がる若君。

    唯「…ねぇ」

    若「なんじゃ?」

    唯「ちょうどお昼だからかなぁ、右見て誰も居ません、左見て誰も居ません」

    若「それが何か?」

    唯「えーとぉ」

    若「公共の場で?」

    唯「うっ。すいません、調子に乗りましたっ」

    若「ハハハ」

    唯のイヤリングに触れる。

    若「懐かしいのう」

    唯「今まで忘れてて。良かったよ、帰るまでに連れて来れて」

    手が耳から顎へ。そのまま上を向かせ、そっと口づけた。

    若「帰るぞ」

    唯「はい!」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days89~14日10時、止まらない!

    眩しくて、直視できない。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    ひとり、途方に暮れる唯。

    唯「はっ!たーくん、一人で行動した事なんてないじゃない!どこに行けるっていうの…家に帰った?電話してみる?…って、このスマホ電話できないんだった」

    自転車が出て行った、公園入口の方をじっと見つめる。

    唯「信じて待つしかないか…あぁでも、事故にでも遭ってたら、どうしよう!」

    そのままベンチに座り続けていたが、

    唯「ダメだ、待てない!」

    公園入口まで、移動してきた。

    唯「こんなに車が走ってる…大丈夫かなあ。どこに行ったの?」

    その時、背後でブレーキの音がした。振り向くと、

    若君「ここに居ったのか、探したぞ」

    唯「たーくん!」

    自転車を降りて走ってきた若君。駆け寄り、若君の体を叩いて怒り出す唯。

    唯「バカ、バカっ、すっごく心配したんだから!」

    若「済まない」

    唯「居ても立ってもいられなくて、ここまで出てたの」

    若「そうか」

    唯「ベンチに居なかったのはごめんなさい。でもなんで、向こうから来たの?」

    若「戻る時に、道に迷うて」

    唯「えっ!」

    若「わからず走っておったら、公園が見えた。近付いたら裏門であったゆえ」

    唯「もうっ、無事着いたから良かったものの!いったい、どこに行ってたの?」

    若「あ、あぁ」

    自転車に戻り、手に何かを抱え、唯の元へ歩いてくる。

    唯「…えっ!」

    若「唯」

    あまりの驚きに、目を丸くし固まった唯。若君が、前に跪く。

    唯「…」

    若「悲しませて、済まなかった」

    唯「…」

    若「受け取って、欲しい」

    唯「あ、ありがとう…すごい、すごいキレイなお花…」

    夏の王子様から、両腕いっぱいの花束を受け取った姫。

    唯「いい香り…」

    若「その顔じゃ」

    唯「え?」

    若「両親に買うた際、同じ顔をした」

    唯「そうだった?」

    若「愛らしゅうて、もう一度見たいと思うて。で、自分も欲しいと申しておったゆえ、買うて参った」

    唯「嬉しい!それ、尊と話してる時のほんの一瞬の事だったよ?覚えててくれたんだ。でもなんで今?」

    若「一刻も早う、笑うて欲しくて」

    唯「そう、なんだ。もー、びっくりしたよ?」

    若「淋しい思いもさせてしもうたしの」

    唯「あ…」

    若「両親に咎められた。強くは申されなかったが。鶴ばかりではならぬとな」

    唯「…」

    若「唯を大切に思うのは、今までもこれからも変わらぬ。済まなかった」

    唯「たーくん…」

    黒羽城公園と書かれた入口の石碑。唯は持っていた花束を、そっと立て掛けた。

    唯「たーくん!」

    立ち上がった若君に、駆け寄る唯。両手で顔を包んだ。

    若君 心の声(また頬を引っ張るのか?あっ)

    引き寄せられ、一瞬の内に、唇を奪われた。

    若 心(!!)

    しばらく続いたが、若君は、動揺が隠せない。

    若「唯、此処は公共の…」

    唯「ギュってして」

    若「え?」

    唯「ギューって、して!」

    再び塞がれた唇。若君は、戸惑いつつも強く強く抱き締めた。

    唯「…」

    若「…」

    抱き合ったまま、見つめ合う二人。

    唯「ごめんね」

    若「何を謝る」

    唯「今まで、公共の場所だからダメって、ずっと避けてたのに」

    若「そうじゃの。しかも此処は…往来じゃ」

    すぐ近くで、車も人もひっきりなしに行き交っている。

    唯「もうね、たーくんしか見えなかったの」

    若「フフッ」

    唯「え?」

    若「それを申すなら、わしはとうの昔から、唯しか見えてはおらぬ」

    唯「え。ふふっ」

    若「ハハハ。このままでは目を引いてしまう。中に戻るか?」

    唯「はいっ」

    若「良い返事じゃ」

    自転車の前カゴに花束を乗せ、二人は公園内に戻って行きました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days88~14日9時、わかって欲しいのに

    事実と向き合うと、そういう答えにはなる。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    美香子「鞄は、今日も私のを使うから」

    小さめのショルダーバッグを斜めにかけて、完成。

    若君「昼には、戻ります」

    覚「弁当作りゃ良かったか?ゆっくりできたろうに」

    唯「ううん、家で食べるから」

    覚「帰るのは、1時位でいいからな」

    唯「ありがと。じゃ、行ってきまーす!」

    玄関のドアが閉まった。

    覚「一件落着か」

    美「なんとかね…ふぅ」

    尊「ため息?」

    美「んー。忠清くんも完璧じゃないな、って。折るのを何よりも優先しないでね、って最初に釘刺しといたんだけど」

    覚「つい、力が入ったんだろ。戦のない世界は、彼の切なる望みだしな」

    美「まぁ、丸く収まって良かったわ」

    覚「彼自身が、ちゃんと気付けたからいいんだよ」

    尊「そこは、さすが兄さんなんだな」

    その頃。自転車に乗る二人。

    若「遠乗りと言っても、いつもの公園じゃが」

    唯「全然OKだよ」

    若「では姫、後ろに」

    唯「はぁい」

    横向きにちょこんと座り、右腕を若君の体に巻きつけ、右頬を背中に押しあてた。

    若「それでは、出立いたす」

    唯「出立~」

    黒羽城公園。

    若「墓を見に行っても良いか?」

    唯「あー。今の時期は墓参りね」

    見つかった当時、ひっそりと竹林の隅にあった若君の墓は、今では周りが整備されている。

    唯「たーくんのお墓は市の物だから、ちゃんと定期的にキレイにしてもらえるからね」

    若「そのようじゃな」

    公園内。日陰になるベンチに、並んで座った。

    唯「雨宿り以来だね」

    若「そうじゃな。何か飲むか?」

    唯「ふふっ、まだいいよ。たーくん」

    若「ん?」

    唯「今朝は、ごめんね」

    若「何を申す。わしこそ、守ってやれず済まなかった」

    唯「気持ちだけで嬉しいよ。あのね」

    若「うん」

    唯「超、超、超好き」

    若君が、唯の方に体の向きを変え、ふわりと巻いた髪に触れる。

    若「わしも、心から想うておる」

    唯「うん、嬉しい。令和に来てね、朝も、昼も、夜も、寝る時も、ずっと一緒じゃない。永禄では考えられないくらい一緒で」

    若「あぁ。ここまで共に居れたのは、初めてじゃの」

    唯「ずっと一緒過ぎて、飽きられたらどうしようって」

    若「ハハハ、そのような。有り得ぬ」

    唯「逆に私が、飽きたらどうしようって」

    若「飽きて…しもうたのか?」

    唯「ううん。ますます好きになったよ」

    若「そうか。良かった」

    唯「好きで、しかたなくて…」

    涙が、一粒ポロリと落ちた。

    若「なんと、なぜ泣くのじゃ」

    慌てて拭う若君。

    唯「もうすぐ帰る。ここまで一緒には居られないよね」

    若「そうじゃな。戻ればまた、わしにはやらねばならぬ務めが山積じゃ。戦も、いつまた始まるやわからぬ」

    唯「離れたくない」

    若「それはわしも同じ」

    唯「今朝の夢ね、たーくんが…あの」

    若「命を落としたか?」

    唯「うん…そう」

    若「唯の様子で、そうではないかと思うておった」

    唯「怖かった。絶対嫌って思った。私を、ひとりぼっちにしないでね」

    若「あぁ。その為にも、戦なき世を求めたい」

    唯「戦に出ても、絶対、絶対、帰って来てね」

    若「うむ…その気持ちは強い。約束が出来ると良いのじゃが」

    唯「え?」

    若「負け戦の大将も、無事でと送り出されるのは、同じじゃ」

    唯「…なんで、なんでそんな事言うの?」

    若「必ず、とは申せぬ。そうなるやもしれぬという心持ちで居て欲しいのじゃ」

    唯「…」

    若「どうした?」

    唯「約束くらいしてくれてもいいのに」

    若「それは…」

    唯「ひどい、私なんか、どうでもいいんだ!」

    若「どうでもいいなど、微塵も思うてはおらぬ。落ち着いてくれ」

    唯「言ってくれるだけでも安心できるのに!うわーん!!」

    泣き始めてしまった。なだめる事ができず、途方に暮れる若君。

    唯「うっ、うっ」

    若「…唯」

    唯「なにっ」

    若「此処で、待っておれ」

    唯「は、はあ?」

    近くに置いた自転車に飛び乗った。

    若「すぐ、戻るゆえ」

    唯「はあ?!」

    若君は行ってしまった。取り残された唯。

    唯「えっ?なにが起こったの?ていうか、ひとりぼっちにしないでって言ってるのに、どうして勝手に居なくなるのよー!!」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君はいずこへ?

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 出演者情報板
    尊くんに一票

    たまーに違う板に現れます。この話はこちらで!

    他の候補者の方々も、また意外なバックグラウンドがあるかもしれませんが、専属になれば毎月お顔拝見できますよね?と、送信しました。

    尊くんこと翔大くんは、声もとても魅力的だと思ってます。一度体の中で反響してから出てるような…。是非、声の聞ける媒体にも出ていただきたいです。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days87~14日8時、ウキウキです

    やんわりと、諭される。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    何とか、食卓の席についた唯。

    唯「ごめん、お待たせ」

    美香子「すごく辛いとか、ない?」

    唯「だいぶ戻ってきたから。ご飯食べれば大丈夫だよ」

    覚「じゃあ、いただくか」

    朝ごはん中。

    美「食欲は、あるわね」

    唯「うん」

    尊「怖い夢って、どんなだったの?」

    唯「無理。説明できない」

    尊「そう。よっぽどだったんだね」

    ずっと考え込んでいた若君が、箸を置いた。

    若君「唯」

    唯「はい?」

    若「遠乗りへ、参ろう」

    唯「え?」

    若「…」

    尊「お姉ちゃん、なにボーっとしてんだよ。せっかく兄さんがデートに誘ってくれてるのに」

    唯「え?デート?だって、あとちょっと、できる限り鶴折りたいって言ってたよね」

    美「あらまそんな事を」

    若「まだ、体が辛いか?」

    唯「ううん」

    若「出掛けとうはないか?」

    唯「ううん、そんなわけ、ないじゃない。そうなの…わぁ、嬉しい!」

    若「ようやく、笑うてくれたの」

    唯「この後、すぐ?」

    若「行けるのであれば」

    唯「わかった。あっ、でも、ベリー汗まみれだったから、シャワー浴びてもいい?」

    若「支度は、どれだけかかっても良い」

    尊「服どうすんの。ワンピース、アイロンかけてないでしょ」

    唯「かけるかける!」

    尊「デートの一言のパワー、すごいな」

    食事が済み次第、元気に風呂場に直行した唯。

    若「お父さん」

    覚「ん?何だい?」

    若「わしは、唯に我慢をさせていたのでしょうか」

    覚「そう…だね。君の為に納得はしていたと思うが、鶴という女性にご執心なのを、淋しい思いで見ていたかもしれないね。夢との因果関係はわからないが」

    美「今、千羽鶴どこまで進んでる?」

    尊「ちょうど800いったかな。まだ糸は通してないけど」

    美「じゃあ、忠清くん。ここまでで、作るのはおしまいにしましょうね」

    若「承知致しました」

    美「帰るまで、唯だけ見てあげてね」

    若「はい!」

    シャワー後も、アイロンをかけながら大騒ぎ。

    唯「今日は、レースのワンピにするっ」

    尊「勝負服?」

    唯「そっ」

    若「誰と戦うのじゃ?」

    尊「兄さんと」

    若「え?」

    美「いかに綺麗とか可愛いいとか思ってもらえるか、頑張るのよ。おなごは」

    若「そのままで充分じゃが…」

    美「またまた~。よーし、見てらっしゃい。唯、それ終わったら、髪巻いてあげる」

    唯「わー、ありがとう!」

    尊「母まで参戦か」

    ワンピースに着替えた。洗面所。

    美「巻きました、グロスもつけました、よし」

    唯「イヤリングもしようかな?」

    美「あら、いいわねぇ。前に買ったあれ?」

    唯「うん。変?」

    美「全然。じゃあ、両耳が出るようにピンで留めてあげよう」

    唯「わーい!」

    毛先がふわふわに巻かれて登場。

    覚「おっ、可愛いいな。出来上がりか?」

    唯「あとちょっと~」

    二階に駆け上がっていく。

    尊「愛のパワーだ。さっきまでとは色んな意味で、別人」

    若「そう、じゃの…」

    下りてきた。

    尊「あ、雪だるまのイヤリング。冬限定じゃないもんね。服にぴったり」

    覚「うんうん、いいね」

    唯「ありがと。たーくん、どぉ?」

    若「とても綺麗じゃ、唯」

    尊「あ、綺麗だよの応用バージョンだ」

    唯「ありがとう。超うれしい!」

    美「よっしゃあ!」

    尊「こちらは勝利のガッツポーズですか」

    唯「たーくんのためだもん」

    若「尚更、嬉しい限りじゃ」

    そろそろ出発。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days86~14日水曜7時30分、夢でも嫌!

    見ている方が、血の気が引く。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    薄暗い部屋。褥に、若君が寝かされている。その前に座る唯。

    唯「え…何が起こった?私、足軽の格好してる…ここ、吉田城?」

    目の前の若君が、ぴくりとも動かない。

    唯「時間が戻ったの?…ううん、きっとまた夢、夢なんだ。でも」

    若君の右肩に手をかけて、揺する。

    唯「起きて!たー…若君!」

    反応が全くない。

    唯「えっ…嫌、嫌だ若君、ねえ、起きて!誰かっ!どうして誰も居ないの?!」

    激しく揺する。

    唯「そこは痛い、って、言って!」

    動かない。

    唯「…」

    若君の首元に触れた。

    唯「冷たい…えっ」

    顔の血色が、みるみる内に失せていく。

    唯「嫌、嫌っ、ねえ、ねえったら!あっ、起動スイッチは?…持ってないじゃん私!」

    意を決して、掛布団をめくった。

    唯「ひっ」

    矢が、心の臓を捉えている。周りが真っ赤な血の海になっていた。

    唯「キャアアアアアア!!」

    ここで、目が覚めた。飛び起きる唯。

    唯「はっ!夢…。自分の部屋だ…はぁっ、はぁ、はぁ」

    呼吸が戻らない。

    唯「はぁっ、ゴホッ、やだ…汗びっしょり。あぁっ、怖かった…昨日、矢じりなんか見たからかな」

    時計は、7時45分を指している。

    唯「たーくん下に居るよね、居るよね…うぅ、寒い。着替えないと…やだっ、腰が抜けて動けないよぅ」

    階段を上がる足音。部屋のドアが開いた。

    若君「唯、まだ寝ておるのか?じきに朝飯…なんと、どうしたのじゃ?!」

    唯「たーくん…良かったぁ」

    明らかにおかしい唯の様子に、駆け寄る若君。

    若「いかがしたのじゃ?熱、でもあるのか?…そうではなさそうじゃの」

    唯「怖い、夢を見たの」

    若「どのような?」

    唯「怖すぎて…説明できない」

    若「そう、か。なんと…これは、着替えた方が良い」

    唯「そうなんだけど、力が入らないの」

    若「それは…待っておれ、拭く物を持って参る」

    階段を駆け下りる若君。すぐに戻って来た。

    若「タオルを湯で絞って参った。皆には伝えたから、ゆっくりで良いぞ」

    タンスから、着替えを取り出した。

    若「手伝うても、良いか?」

    唯「お願いします」

    着ていたびしょびしょのTシャツを脱がせ、温かいタオルで拭き始める若君。

    若「こんなに冷とうては、震えて当然じゃ」

    着替えさせた後、まだ小刻みに震える唯を、ギュっと抱き締めた。

    若「何とか、温まって欲しい」

    唯「ごめんね」

    時間をかけ落ち着かせた後、手を貸す。

    若「立てるか?」

    唯「うん、たぶん。あっ」

    よろけた唯をキャッチ。

    若「おぶってやろう。さぁ、背中に」

    唯「はい。ごめんなさい」

    若「病、ではないのじゃな?」

    唯「うん。それは違うよ」

    若「腰が抜ける程、怖い夢とは。わしが助けに参らねばならなんだな?」

    唯「はは…」

    若「…」

    若君におんぶしてもらい、一階へ下りていきました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days85~13日15時、発掘は再会だ

    今まで、相当奥に隠れていた模様。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    ケーキも美味しくいただき、談笑中。

    唯「あれ?折り紙、鶴じゃないのが混じってる?」

    ラッパのような形の物が何個かある。

    美香子「あ、これね。千羽鶴の一番上の飾りにしようと思って、くす玉作ってたのよ」

    覚「出来上がりは、こうだ」

    タブレットを開いて画像を見せる。

    尊「よく、七夕飾りの上に付いてるヤツ?」

    美「そうそう。この折ったのをまとめて結んで、丸くするのよ」

    唯「なんか、難しそう」

    美「紙が一回り大きいし、きちんと折り目をつけて進めれば大丈夫よ。…ふふっ、忠清くんったら」

    若君 「はい?」

    美「早くやってみたい!って顔が、可愛いい」

    若「これは、忝ない」

    唯「えー、見たかったぁ」

    早速全員で作り始めるが、

    尊「一行程進む毎に、写真撮っとこうか。その方が、戻ってからおさらいしやすいでしょ」

    唯「あんた、ホント賢いよね。よろしく~」

    黙々と進む中、ふと、唯の手が止まり、若君をじっと見ている。

    唯「たーくん…」

    若「…」

    唯「たーくん」

    若「あ、済まぬ、何じゃ?」

    唯「呼んだだけ」

    美「なにそれ。集中してるんだから、邪魔しちゃ駄目よ」

    唯「ごめん」

    晩ごはん前に、まあるく完成。

    唯「かわいい!鞠みたいだね」

    若「お母さん、ありがとうございました」

    美「いえいえ~楽しかったわ」

    8時。晩ごはん後。

    美「唯」

    唯「なに?」

    美「お風呂一緒に、どう?」

    唯「あ、うん!行く行くー」

    リビングに男三人。

    尊「兄さん、あの」

    若「何じゃ?」

    尊「前に、僕の気持ち…存念を聞きたいって言ってましたよね」

    若「あぁ。聞かせてくれるのか?」

    尊「はい。今がチャンスかと。お父さん」

    覚「ん?」

    尊「僕達、実験室に行くよ。ごめん」

    覚「サシで話したいんだろ?いいさ。あ、そういう事なら、唯にも内緒か?」

    尊「うん。お風呂出たら、来るなって伝えてくれる?」

    覚「了解~」

    尊「後で、三人でお風呂入ろうよ」

    覚「おっ。じゃあ待ってるよ」

    尊「行きましょう、兄さん」

    若「何やら大仰じゃのう」

    尊「そんな事ないですよ」

    唯達が風呂から出た。男子二人はまだ実験室。

    唯「なんの話をしてるのやらー」

    大人しく待つ唯。リビング奥の棚の前に立った。

    唯「これは、たーくんが初めて折った大きい鶴。あと…写真、増えてるな」

    海で撮った、水着姿ではしゃぐ三人の写真。

    唯「うん、いい感じぃ。ん?なんか奥に…」

    小さい入れ物を見つけた。

    唯「なにこれ?指輪のケースはちゃんと二つあるし?」

    開けてみる。中から、金属製の尖った物体が現れた。

    唯「えっ?あっ、これ…キャー!」

    美「どうしたの?!唯!」

    叫んだ拍子に、中身が床に落ちてしまった。

    唯「これ、これって…」

    美「そう。忠清くんの体に刺さってた、矢じりよ」

    唯「怖い、なんでここにあるの?!」

    美「それはね」

    覚「あー、待て。置いていきたいと言ったのは、忠清くんだ。なぜかは、彼の口から直接聞いた方がいい」

    美「それもそうね。あ、ちょうど戻って来たわ」

    尊「ただいまー」

    若「お父さん、お待たせしました。ん?どうした、唯」

    唯「たーくん、これ…」

    若君が、拾い上げる。

    若「残してくださっていたのですね」

    唯「永禄に、持って行かなかったんだ」

    若「それは…持ち帰れば、いずれまた誰ぞを殺めるやもしれぬゆえ」

    唯「そう…なんだ」

    美「取っておいたのはね、唯にとっては見たくもない物かもしれないけど、間違いなく、忠清くんと私達を繋いだ架け橋の品だからよ」

    覚「これのお陰で、会えたからな」

    若「そうですね」

    唯「うん。まぁ、そうなるね」

    若「解せぬ顔をしておるの。大切にして頂き、わしは有り難いと思うておるぞ」

    唯の頭を、ポンポン。

    唯「はぁい。わかりました」

    尊「じゃ、お風呂行きます?」

    覚「行くかー」

    若「はい」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    尊と若君の秘密会談の中身は、後日。

    13日のお話は、ここまでです。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days84~13日14時、ギュっとね

    相手を思う気持ちで、自然と体が動く。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    ケーキ店の前。

    唯「あ」

    尊「何?」

    唯「あの、すいません」

    店員「いらっしゃいませ」

    唯「あのう、予約してないんですけど、今このホールケーキにメッセージ入れたりできますか?」

    尊「あー」

    店「出来ますよ。メッセージはチョコプレートに書いて乗せますが、よろしいですか?」

    唯「良いですぅ。お願いします!」

    店「文章はどのように?」

    唯「結婚20年おめでとう、で」

    店「かしこまりました」

    尊「お姉ちゃん、ナイス。すっかりショートケーキ買ってくつもりだったよ。よく気が付いたね」

    唯「ショーケースの中にあったから、ひらめいて…ダメ元で聞いたけど、良かったぁ」

    若君「ケーキでも、両親を祝えるのか。それは良い」

    尊「前回買った時は、一日早いクリスマスで、ケーキ入刀は兄さん達だったけどさ、今回は」

    唯「もっちろん、二人にやってもらうよ~。わぁ、楽しみ!」

    ケーキその他購入。

    尊「贈呈式さ、大分やり方の予定変わるよね」

    唯「うん。ケーキあるし、もう帰ってすぐ始める?」

    尊「そうだね」

    帰宅。

    唯「二人を席に座らせとくから、後から入って来て」

    尊「了解」

    若「承知した」

    唯「ただいまー!」

    覚「お帰り。暑かったろ」

    美香子「お帰り。あら、一人なの?」

    唯「いいから、座って座ってー」

    唯に誘導され、訳も分からず食卓の席につく両親。

    覚「帰って早々、何をバタバタやってるんだ?」

    美「何か企んでる?」

    唯「たーくん、準備OK?」

    若「良いぞ」

    唯「尊は?」

    尊「いいよー」

    唯「では、いざ!」

    突然、パンパンパン!と、子供達三人がクラッカーを鳴らした。

    覚「わっ!」

    美「キャー、何?!」

    唯が花束を持って来た。

    覚&美「え?え?」

    唯「結婚20年、おめでとう!」

    花束を受け取る両親。

    覚「ありがとう。いやぁ、驚いた。なんか、照れるな」

    美「ありがとう。サプライズしてくれたのね。まぁ、綺麗なお花~」

    唯「たーくん、来て」

    若「お父さん、お母さん。心ばかりの品でございますが」

    覚「あ。ペアの…湯呑みか?」

    若「わしが選びました」

    美「まぁ…」

    尊がカメラを構えている。

    尊「準備いいよ。どうぞ存分に」

    覚「何を?」

    尊「8か月前、残念がってたじゃない」

    覚「…あー」

    若君が両親に近づき、両腕を広げた。

    覚「そういう事か。よーし、じゃあ、2回分行くぞ!ありがとう、忠清くん!」

    ギュー。

    唯「たーくんがペチャンコになりそー」

    美「私もいいの?」

    若「勿論です」

    美「ありがとう~」

    ギュッ。からの、頭なでなで。

    若「あっ…」

    美「うふふ、赤くなった。あい変わらず可愛いい反応ね~」

    唯「もーっ、たーくんで遊ばない!」

    尊「はいはーい、ケーキ出すよ~」

    覚「おっ、これもスペシャルだな」

    唯「はい、ナイフ」

    美「あらん。もしかして入刀?」

    唯「どーぞ」

    仲良くケーキ入刀。

    美「ふう。なんか色々びっくりしちゃったわ」

    覚「紅茶いれるよ。さあ、座って座って」

    プチパーティーは、しばらく賑やかに続きました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days83~13日9時、夏休みと言えば

    遊びから学ぶ事もあるし。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    覚「じゃ、行ってくる。昼前には戻るから」

    唯「ごゆっくり~」

    美香子「デートじゃないから」

    両親が、墓参りに出かけていった。

    唯「さて、と。鶴がんばって折り折りするかなー」

    尊「成長したねお姉ちゃん」

    唯「は?」

    尊「だって学生の頃さ、夏休みの宿題、今くらいの時期でも全然手付けてなかったじゃない。そんなお姉ちゃんが今や、せっせと」

    唯「たーくんのためだもん」

    尊「愛の力か。兄さん、お姉ちゃんね、その宿題を挙げ句の果てに僕にやらせようとしてたんですよ」

    若君「それはならぬの」

    唯「尊が問題解くと、全部正解になるから手抜いてって」

    尊「ひどいでしょ?」

    若「困った姉君よのう。ハハハ」

    その時、ピンポーン。玄関の呼鈴が鳴った。

    尊「あ、来た来た。僕行ってくるよ」

    玄関に向かう尊。

    唯「グッドタイミング。ちょうどお父さん達居ないし」

    若「何じゃ?二人は何の話をしておる?」

    唯「湯呑みがデパートから届いたんだよ」

    若「なんと。来訪があるだけでそれがわかるとな」

    尊「はーい、無事到着~」

    段ボールを開ける。

    唯「うん、いい感じ。やっぱたーくんセンスいいわ」

    若「喜んで頂けるかのう」

    尊「心配無用ですよ」

    唯「たーくん、ハグの用意しとかないとね」

    若「そうじゃな」

    しばらくすると、今度は尊のスマホが鳴った。

    尊「あれ、お母さんだ。…はい、うん、いや今はいいよ。昼から三人で出かけるから、その時買って来てもいい?ん、じゃそういう事で、じゃあね」

    唯「お母さん、何って?」

    尊「ケーキでも買って帰るかって言われたんだけど」

    唯「あぁ。夕方、プレゼント贈呈式の時の方がいいよね」

    尊「うん。だから自分達で買うって言っといたよ」

    昼過ぎ。

    唯「そろそろ出かける?」

    尊「うん」

    覚「暑いぞ?車、出すか?」

    唯「ううん、大丈夫。ありがと」

    美「帽子かぶって行きなさいね」

    三人、麦わら帽子をかぶりプラプラ歩く。

    唯「なんかさ、こんなカッコだと、小学生の時に神社に虫取りに行ったの思い出す」

    尊「うん、あったあった。お姉ちゃんさー、鳴いてるセミ捕まえるから、もううるさくて仕方なかったからよく覚えてるよ」

    唯「セミハンターの血が騒いで」

    尊「何だよそれ」

    若「ハハハ」

    スーパーに到着。

    唯「どうしよっかな。先にお花買う?」

    尊「うん。本来の目的からで」

    花屋の店頭。

    若「色鮮やかじゃ。この、山の様にある中から選んでいくのか?」

    唯「んー、それでもいいけど、おまかせにしちゃうよ」

    若「任せる?」

    尊「まぁ見ててください」

    唯「すみませーん、予算これだけで、花束一つお願いしまーす」

    店員「ご希望の花とかありますか?」

    唯「どうしよっかな」

    尊「お母さんて、黄色好きじゃない?マニキュアも薄い黄色にしてたし」

    若「絽の召し物も、そうであったの」

    唯「そういえば、前に見送りの時、黄色いサマーセーター着てた気がする。じゃあ、黄色多めで作ってください」

    店「わかりました」

    花束完成。店を後にする。

    唯「お花いい香り~。フローラルぅ。でも思ったより重ーい」

    若「わしが持とう」

    唯「ありがと。うーん、たーくんが持つと…似合い過ぎる」

    尊「自分が渡されたいんじゃない?」

    唯「ホントだよ~。さて、ケーキケーキと」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days82~13日火曜8時、活用します

    完全に身に付くまでの、グッズ。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯が目覚めた。あい変わらず、朝起きるのは遅い。

    唯 心の声(早起きすると、たーくんの髪を結べるって特典がぶらさがってても、起きらんないんだよねー)

    階段を下りる。下りきって、一歩リビングへ踏み出したのだが、

    唯 心(ん?)

    思わずバックして、階段に戻った。

    唯 心(なに?なんか今…)

    今度は、そーっと顔だけ出して様子を覗く。

    唯 心(やーんなになに!たーくんが、現代男子になってる~!)

    食卓で、若君と尊が談笑している。若君が、小さいプレイヤーを手にしており、耳からはイヤホンのコードが垂れている。

    唯 心(いつの間に音楽に目覚めたの?軽ーくリズムなんか取っちゃって!J―POP?まさかの洋楽?!んもー、たーくんったらぁ!)

    ようやく移動してきた。

    唯「おはよっ」

    若君「おはよう、唯」

    尊「おはようお姉ちゃん」

    唯「たーくん、なに聴いてるの?」

    若「お、これか。唯にも聴かせてやろう」

    イヤホンを外し、唯の耳へ。

    唯「えー、なんだろ~ワクワク。…ん?」

    若「どうじゃ、良かろうに」

    唯「たーくん、これ…」

    若「ん?」

    唯「ラジオ体操第一じゃん」

    若「良いじゃろ?」

    唯「どんだけ好きなのよ。しかも、なんかプレイヤーがレトロな…カセットテープってヤツ?」

    尊「そうだね」

    唯「あんたが工作した?」

    尊「違う。だって、兄さんに止められてるし」

    覚「それ、僕があげたんだ」

    キッチンでは、両親が仲良く朝ごはんの支度をしている。

    唯「はあ?」

    覚「戻ってからも体操を続けるって言うから。リズムとか確認しやすいように、プレイヤー、最新の小さいヤツ買ってあげるって言ったんだけど」

    若「負担をかけとうないので、断ったのじゃ」

    唯「ふーん。で、これは?」

    覚「元々ある物ならいいだろって。古いけど、カセットテープにラジオを録音して、僕のもう使わないプレイヤーで再生してもらおうと。その大きさなら、懐に忍ばせながら運動できるし」

    唯「電源は?」

    覚「電池でもコンセントでも、どっちもいけるタイプだから」

    尊「おもナビくんの、太陽電池使って充電してくれれば」

    唯「はあ」

    若「お父さん、大切に使わせて頂きます」

    覚「プレイヤーも、忠清くんに使ってもらえて喜んでるよ」

    唯「なんなのよ。私のトキメキを返して~」

    美香子「はいはい片付けて、朝ごはんよ~」

    朝ごはん中。

    覚「今日、この後母さんと二人で墓参り行ってくるから、三人で留守番頼むな」

    尊「ついてかなくていい?」

    覚「ん、まぁいい」

    唯「わかったー」

    美「プレイヤーと言えば、おもナビくんだっけ?観てるの?」

    唯「うん、観てる。ちゃんと動いてるよ」

    尊「良かった」

    唯「Blu-rayさぁ、一回全部通して観たんだけど」

    若「お父さんお母さんの有り難きお言葉に、涙して観ました」

    覚「そう?感動させちゃった?」

    唯「夜こっそり観たんだけど、翌朝二人とも、泣き過ぎて目が腫れちゃって」

    若「何事かと、少々騒ぎになりました」

    美「そうなの~」

    尊「太陽電池はどう?調子はいい?」

    唯「うん大丈夫。なんだけどさぁ、あれ、灯籠に乗せると案外目立つんだよ。で、不審物扱いになりそうだったから」

    美「うん」

    唯「さわるな、忠清。ってたーくんに紙に書いてもらって、貼り出しといた」

    美「ぷっ。何それ~」

    尊「兄さんが、いいように使われてる…」

    覚「誰の入れ知恵か、すぐバレるな」

    唯「いいんだよ、だってたーくんの字だもん。文句は言われない」

    若「これで周りに、力関係もつまびらかになりまして」

    美「ホントよね」

    尊「怖ぇ正室だと思われてるよ、きっと」

    唯「えぇ?いいよ、たーくんにそう思われなければ」

    若「唯ほど怖い物は、他にないが」

    唯「やだー!それはやめて~」

    若「ハハハ」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days81~12日13時、月に愛を誓います

    寝不足で満腹なんて、よく起きていられたモンだ。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    写真館を出た。車内。

    覚「昼、何か食べたい物あるか?」

    尊「朝あんなに食べたから、そうはお腹空いてないでしょ」

    唯「まぁ、そうだね」

    尊「兄さんもですよね」

    若君「あぁ、当分は何も入りそうにない」

    覚「じゃあ、どこも寄らずに、このまま帰るか?」

    美香子「そうしましょ」

    尊「いいの?ワンピースおニューなのに」

    美「写真いっぱい撮ったし。いいわよ。やっぱり家が一番だしね」

    尊「それ、旅行あるあるだな」

    唯「昼はサラっと?また冷麦?」

    覚「またとか言うな。なんなら、そうめんにするが」

    唯「定番のもう一つ?出されても、どう違うかわかんないし」

    覚「麺の太さが違う。そうめんの方が細い」

    唯「へー、そうなんだぁ。って、聞いてもすぐ忘れそう」

    美「ふふっ、なんか…いいわね」

    覚「何が?」

    美「この、何気ない日常会話が、いい」

    尊「こんなしょーもない会話が?」

    美「家族、って感じじゃない」

    覚「そうだな、何も特別じゃないのがいいな。そうだ、唯、尊、忠清くん」

    唯「なに?」

    若「はい」

    尊「何、改まって」

    覚「昨日今日、僕と母さんに付き合ってくれて、ありがとな」

    美「本当。ありがとうね」

    唯「ううん、すっごく楽しかったから」

    若「また新たに様々な経験もさせて頂きました。ありがとうございます」

    尊「で、じきに結果がわかると」

    美「そうね。神のみぞ知る」

    尊「えっ?!やっぱりそうなの?!」

    美「冗談よ。自分で話振っておいて、何よその驚き方は」

    尊「え…」

    全員「ハハハ~」

    夜になった。9時のリビング。尊が風呂から出た。

    尊「あれ?兄さん一人?お姉ちゃんは?」

    若「先程、眠ったところじゃ」

    尊「えっ、早っ。確かに、昼間鶴折りながらウトウトはしてたけど。ゆうべ寝るの遅かったんですか?…って、しまった、聞かなくてもいい事聞いちゃった」

    若「いつ眠りについたかは、覚えてはおらぬ」

    尊「そうですか。それ以上は聞きませんから」

    若君が、夜空を見上げている。

    若「今宵も、月が綺麗じゃのう」

    尊「わぁ、嬉しい!」

    若「嬉しい?…何ゆえに?」

    尊「あの、この前吉田さんが家に来た時に、留学先では英語を話すって言いましたよね。覚えてます?」

    若「勿論覚えておる」

    尊「その英語で、アイラブユー、日本語に訳すと、私はあなたを愛しています、って言葉があるんですけど」

    若「うむ」

    尊「日本人はそんな直接的な言い方はしない、訳すなら、月が綺麗ですね、位にしなさいと諭したという、ある人の逸話がありまして」

    若「ほぅ。それで喜んだと。まことに尊は、才覚がある」

    尊「恐縮です」

    若「実に風情があり、良い話じゃの」

    尊「兄さんには必要ないですよね。だってお姉ちゃんが好き好き言ってるのを、うなずいて聞いてればいいんですから」

    若「いや、わしはお父さんの弟子であるので」

    尊「そうでした。じゃあ直接、愛の言葉を囁いてやってください。あ、この逸話、お姉ちゃん絶対知らないですから」

    若「そうか」

    尊「うわっ、しまった…すいません」

    若「ん?なんじゃ?」

    尊「こんな話、恋愛のレの字も知らない僕が言うのは、ちょっと図々しかったですね」

    若「ハハハ。わしも唯に出会うまでは無頓着であったゆえ、構わぬ」

    尊「ありがとう兄さん。あー、良かった」

    若「良かった?」

    尊「だって、兄さんが元々恋愛マスターだったら、お姉ちゃんの入る隙なく、結果僕達出会えてなかったんじゃないかな」

    若「そうか。確かにそれは幸いじゃった」

    尊「はい」

    若「それにしても、つくづく月に縁があるのう。ハハハ~」

    尊「ははは~」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    漱石ですね。

    12日のお話は、ここまでです。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days80~12日11時、可愛くて可愛くて

    79話の前書きで、少し言葉が足りなかったのでここで訂正します。
    創作意欲をかきたてるドラマに出逢えた、を改め、ドラマは勿論大好きでもっと先が観たくてつい創作意欲が湧く、です。失礼致しました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    何度も言うが、今は緩んでて良し。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    ホテルをチェックアウト後、写真館にやって来た。

    若君「訪れるのは久々じゃのう」

    尊「思ったより混んでるね」

    覚「お盆は人が集まるから、この機会にってケースが多いらしいんだ」

    唯「ふーん」

    美香子「唯、ちょっといらっしゃい」

    唯「なに?」

    化粧室。

    美「グロス、持ってる?」

    唯「うん。これ」

    美「白ワンピースだとこのままでもいいけど、今日はひまわりの柄に負けないよう、ちょっと赤みを足すわね」

    口紅を薄く塗った上に、グロスを重ねた。

    美「うん、綺麗」

    唯「わぁ、すごい、ありがとうお母さん」

    男性陣の元に戻ると、ちょうど順番が来て、撮影室に通された。

    覚「おっ、いいじゃない」

    尊「さすがにスッピンで撮影はね」

    若「…おぉ」

    若君は、一瞬ハッとした表情をした後、はにかんだような笑顔になった。

    唯 心の声(喜んでくれてる…もっと早く、ちゃんとしとけば良かったな。ごめんね、たーくん)

    撮影スタート。

    唯「なんかさぁ」

    尊「ん?」

    唯「お父さんのはしゃぎ方が、朝から妙に激しくない?」

    尊「確かに。あ、ゆうべいい事あった?」

    美「それは置いとくけど」

    尊「置いとかれたな」

    美「ご機嫌なのは、これを身に付けてるからなのよね」

    唯「なに?」

    美香子の首元からチラリと見えていたネックレス。隠れていた下の方を引き出した。

    若「それは、もしや」

    尊「結婚指輪だ。そっか、ネックレスに通したんだね。今日はちゃんと連れて来たんだ」

    美「はまんないからといって、お留守番も何だから。唯達の指輪だってお出かけしてるのにね」

    尊「昨日は着物だったから、今日がお披露目なんだね」

    覚「へへ~。いいだろう?」

    唯「うん。みんな一緒に来れて、良かったね」

    五人で撮った後、両親二人で。その後、唯と若君で撮り始めた。

    カメラマン「お二人お若いので、もう少し動きのあるのを撮りましょうか」

    唯「動く?」

    カ「座るご主人の後ろから奥様がハグ、で行きましょう」

    唯「えー」

    準備完了。

    唯「えーい!」

    美「唯~!」

    尊「あー」

    若「く、苦しい…」

    唯「ごめぇん」

    覚「技かけてるんじゃないんだから。加減てのがあるだろう」

    カ「微笑ましいですね。はい、では次は立っていただいて、逆にご主人が奥様を後ろからハグしてください」

    チェンジ。

    若「こう、でしょうか」

    唯「え~恥ずかしい…」

    カ「はい、とてもいいですよ~」

    慈しむような、優しいバックハグ。

    尊「兄さん、あんな顔するんだ」

    覚「なんというか…なんというか、なんというかだな」

    美「ひまわりを包む日の光?」

    尊「そこまで考えて、シャツの色選んだの?」

    美「ううん、偶然だけど…」

    撮影終了。持ち帰る写真を選ぶ。

    唯「やーん、これいい!あっ、これもいい~」

    尊「うるさいなー、わかったから」

    若「…」

    美「照れちゃう?」

    若「心の内も全て、晒しておるような」

    覚「だね。いいんだよ、今はそれで」

    尊「こんなトコでいい?」

    美「いいわよ」

    唯「永禄に、持って行ける?」

    尊「余裕」

    唯「やったー、家族写真も入れてねっ」

    そろそろ帰ります。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days79~12日8時、思案します

    記念すべきアシガール第一回放送から4年ですか…金曜22時にしか出逢わなかった私は、超新参者でございますが、こうして本日も、創作が続いております。
    創作意欲をかきたてるドラマに出逢えた幸せと、このアシカフェでほぼ野放し状態で自由に描かせていただける事に感謝感謝です。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    それぞれの時代でできる事を。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    レストランへ移動中。

    尊「お母さん、もしかして、みんなの服の色合わせた?」

    母のワンピースは、ポートネックで肘近くまで袖があり、体のラインを拾うか拾わないか位の、細身の膝下丈。

    尊「そのワンピースが深緑でさ、お姉ちゃんがひまわり柄でさ、僕と兄さんのシャツが、黄色だったり緑だったり」

    尊は緑系のチェック、若君はクリーム色の無地。

    唯「ボタンのあるシャツひさしぶりで、たーくん手こずってたから留めてあげた」

    尊「で、お父さんは」

    覚「いいだろ?」

    白シャツに茶系のベスト。蝶ネクタイに緑色が入っている。

    尊「コーヒー淹れるのが上手そう」

    美香子「ワンピースはおニューだけど、後は元々ある物で考えてみたの。家族でトータルコーディネート、ね」

    尊「写真仕様なんだね」

    朝食は、バイキング形式。

    唯「さー、行くぞぉ~!」

    尊「食事となるとスイッチが入るな」

    唯「たーくんあのね、食べたい物を好きなだけ取っていいんだよぉ」

    美「取り過ぎて残してはダメよ」

    若君「少なく取るのも、構わぬと」

    尊「さすが。大人だ」

    若「しかし、これは…」

    食事が並ぶテーブルが、延々と続いている。

    若「何が何やら…」

    尊「わからない物は説明しますね。お姉ちゃん、もう遥か彼方に進んでってるんで」

    若「世話をかける」

    若君に付き添う尊。

    尊「うーんと。卵だけでも、ゆでたまごもスクランブルエッグも温泉たまごもあるしなー。こりゃ僕だって迷うな」

    若「…」

    尊「ん?兄さん悩んでる?…いや、違うな。もしかして、永禄の皆さんに食べさせてあげたい、とか思ってます?」

    若「それは、思う」

    尊「ですよね」

    若「思う事は、他にも数多ある」

    尊「あー。こんなにいっぱい選択肢も量もあって、贅沢ですもんね。なんか、すいませんって思います」

    若「いや。時代が違うゆえ、良い悪いは一様には申せぬ」

    尊「比べられないと」

    若「わしがすべきは、永禄を生きる民がひもじい思いをせず、平穏に過ごせるよう努める事じゃ。その為には、やはり戦はしとうない」

    尊「それで、千羽鶴に願いをこめるんですね」

    若「この先の世に居る内に、願掛けができるとは思わなんだからの」

    尊「また、手伝いますね」

    ようやく全員揃った。

    全員「いただきまーす」

    美「あら、尊も忠清くんも、お皿が色とりどりね
    ~」

    尊「兄さんが悩んじゃってたから、量少なめ種類多めにした。二人で分け合うよ」

    若「残さぬように頂きます」

    覚「偉いな二人とも。それでも、びっくりするような量ではないけどな。問題は」

    一斉に唯に視線が集中。

    唯「なに?あと一回おかわりして、最後はデザートが基本っしょ」

    尊「お腹出てくるよ」

    唯「そこはねー、エリさんのワンピ最高。いっくらでも入る。だってさー、こんな贅沢たぶんもう一生ないよぉ?」

    尊「んー、まぁそうだね今んところ。でもそれ、一事が万事そうだから、キリがなくない?」

    唯「おかわり行ってくるー」

    尊「聞いてねーなー」

    天井まで届く大きな窓から、レストラン全体に朝日が差し込んでいる。

    美「いい朝よね…。さっき、こんな機会一生ないって言ってたけど」

    覚「うん」

    美「私は、一生なかったであろう様々な体験を、忠清くんにさせてあげられて嬉しいわ」

    若「お母さん…」

    美「あまり、特別な事できなくてごめんなさいね」

    若「いえ、この日々、毎日特別と思うておりますゆえ」

    覚「さすが、一日一日感謝して生きてるんだな。見習わないとな」

    唯「なんの話~?」

    尊「また盛り盛りになって戻ってきた。このヒトも、ある意味一日一日しっかり生きてる感じ」

    若「そうじゃのう」

    唯「みんな、しゃべってばっかだなぁ」

    美「優雅に寛いでるのよ。ほら、今日も空はあんなに綺麗だし」

    朝の柔らかな光に包まれながら、朝食タイムは、ゆっくりゆったりと過ぎていきました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days78~12日月曜6時20分、リズムに合わせて

    そんなに見つめないで~。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    静かな朝だ。若君が目覚める。

    若君 心の声(そうか、ここでは鳥のさえずりは聞こえぬか)

    傍らでスヤスヤ眠る唯。

    若 心(ハハッ、やはり、褥の横幅を余す所なく使った寝姿じゃの)

    起こさないようそっとベッドから抜ける。カーテンを開けた。

    若 心(おぉ、下はこのような風景だったのか)

    ビルや、ビルの隙間の家々が見える。

    若 心(それぞれの暮らしが、そこにあるのじゃな。どの時代も変わらぬ)

    時計が、6時25分を指している。

    若 心(お、体操の時間じゃ)

    テレビのリモコンを手に取るが、勝手がわからない。

    若 心(家と違うてわからぬ…)

    なんとか点け、チャンネルも合わせたが、音量の下げ方がわからない。

    若 心(これで下げるのか、いや、上がっておる!)

    時間になり、軽快な音楽が大音量で流れた。

    唯「ひゃあ!なに!」

    唯が飛び起きる。

    唯「どしたのたーくん、あーうるさい!リモコン貸してっ!」

    ようやく普通の音量に。

    唯「あーびっくりした。おはよう」

    若君「おはよう、唯。済まぬ、起こさぬよう努めたつもりが」

    唯「いーよー。私も体操しよっと」

    二人仲良く、ラジオ体操。

    若「共にするのは初めてじゃの」

    唯「そうだね。でもちゃんとできるんだよー」

    若「両親が、皆できるものだと申されておったが、まことにそうであるな」

    最後、深呼吸で終了。

    唯「あー、動いたらお腹空いたっ」

    若「朝飯は何時からじゃったかのう」

    唯「8時からだから、7時50分に着替えて部屋の前に集合だよ」

    若「そうか」

    唯「ふぁ~。やっぱまだちょっと眠いかな」

    若「唯は、また寝るのか?」

    唯「え?」

    若「寝てしまうのか?」

    唯「それ、寝るなって言ってるのと一緒じゃん」

    若「食事まで時間がある」

    唯「ありますねぇ。えーと、いつの間にやら、ずいぶんと…お近くにいらっしゃいますねぇ」

    若「…」

    唯「もー、目で訴えるの、反則!」

    7時50分。部屋の前。

    美香子「おはよう~」

    覚「おはよう、忠清くん、唯」

    若「おはようございます」

    唯「ふぁ~、おはよぉ」

    覚「眠れてないのか」

    美「ふーん」

    唯「なによその、なんか言いたげな感じ!今朝は早く起きたからだよぅ」

    若「そこまで早うはなかったがのう」

    唯「私の話はいいから。あ、お母さんのワンピ、お披露目だねっ」

    覚「どおどお?忠清くん、よく、似合ってると思わない?」

    若「はい。よう似合うておられます」

    美「ダメよ~お父さん、そんな誘導尋問しちゃ」

    覚「ん?ははは」

    唯「超ご機嫌じゃん」

    若「尊が居らぬの」

    唯「あれ、ホントだ。どうした?」

    尊部屋のドアが開いた。

    尊「お、おはよう。遅くなってごめんなさい」

    覚「どうした。珍しいな」

    尊「着替えなきゃいけないのを忘れてて」

    美「おやまぁ。高級ホテルだからそこはね」

    尊「あ、ワンピースそれなんだ。いい色だね」

    美「あらありがと。じゃ、行きましょうか」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    今までの二人の令和Days、番号とあらすじ、36まで

    中秋の名月…の筈が、こちらはガッツリ雨雲に隠れております(>д<)ご覧になれる地域の方は、どうぞお楽しみください。

    さて、投稿し始めてから大分経ってしまいましたが、平成Daysの時と同じくあらすじを出します。
    番号が36までなのは、描いている日付の区切り(今回は8月2日のお話まで)に合わせたためです。

    通し番号、投稿番号、描いている日付、大まかな内容の順です。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    二人のもしもDays3no.572、とある年の3月下旬、遠出して花見

    二人の令和Days1no.585、2019/7/17、スイッチ起動させてしまった唯。若君と共に令和に登場

    2no.590、7/18、何かを訴えている唯

    3no.592、7/18、旅行先決定。尊は受験勉強後回しに

    4no.593、7/18、無事同部屋&面会時間取っ払いに

    5no.594、7/19、マクワウリを食べる

    6no.595、7/20、バーベキューパーティー開催決定で準備。働かざる者食うべからず

    7no.596、7/20、花火などを画像で説明。沼で拾い物は大変だった

    8no.597、7/21、吉田君登場に気が気でない若君

    9no.598、7/21、三人の様子を観察していた尊と美香子

    10no.603、7/21、仲良く水着を選ぶ男子達

    11no.604、7/21、ビキニ選びで大騒ぎ

    12no.605、7/22、コンロや浮き輪など買い込む。美香子が若君に頼み事

    13no.606、7/23、芳江とエリにオムレツを振る舞う

    14no.607、7/24、プール。白過ぎる男子達

    15no.608、7/24、タピオカドリンクは若君に飲ませない

    16no.609、7/24、巨大滑り台に挑戦

    17no.615、7/24、泡にはならない人魚姫

    18no.618、7/24、生きてるって素晴らしい

    19no.619、7/24、互いの呼び名を変更で親密度アップ

    20no.620、7/25、急に体操する両親に戸惑う若君。高野豆腐入りのミニハンバーグ

    21no.623、7/26、金曜は若君シェフの日。今日は餃子

    22no.624、7/27、地元のお祭りを見に行く

    23no.625、7/28、バーベキュー予行練習。シャボン玉で幻想的な世界

    24no.626、7/29、エリにワンピース芳江にサンダルを貰う

    25no.627、7/30、バーベキューパーティーの買い出し。人並みがわからない唯

    26no.629、7/31、飾り付けの工作を着々と。若君が両親をマッサージ

    27no.630、7/31、スイカの重さや大きさは

    28no.631、7/31、バーベキューパーティースタート。アイスは転がして作る

    29no.632、7/31、蚊取り線香と激しいポップコーン

    30no.633、7/31、スイカを切り分け花火を楽しむ

    31no.634、8/1、答えが5になる二回目の旅行発表

    32no.635、8/1、今後は経済活動に参加する若君。マニキュアの手伝いも

    33no.636、8/2、クリニックの休診日説明とホワイトソースの素作り

    34no.637、8/2、昼寝をしに全員二階へ上がる

    35no.639、8/2、夢で若君がドライブに誘う

    36no.640、8/2、現実と夢がリンク。カニクリームコロッケ爆発

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days77~11日23時、地上に瞬く星

    都会は、空もなかなか見えないけれど。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君「…」

    唯「たーくん?」

    外を眺めたまま、若君が話し出す。

    若「こうではなかった時、を考えておった」

    唯「どんな?」

    若「唯が、永禄に来なければ、また、わしに出会わなければ」

    唯「うん」

    若「ここに座るのは、この先の世の男じゃ」

    唯「ん?あぁ、でも私田舎もんだからさ、こんな所に連れて来てくれるヒトならだけどね」

    若「珍しい」

    唯「へ?」

    若「普段なら、そんな事有り得ない、などと申すのに」

    唯「今日は、じっくり話を聞いてあげる」

    若「そうか。で、羽木は、とうに滅びておる」

    唯「うん。他に戦に勝つ方法がなければね」

    若「わしは、愛など知らぬまま」

    唯「阿湖姫は、家同士で結婚の約束はしてたけど会ってないもんね。でもたーくんなら、どんな姫が相手でも優しくしてたと思うけど」

    若「今日は随分と殊勝な」

    唯「なによ。ちゃんと聞いてるでしょ?続きは?」

    若「あぁ。唯は、この先の世の男と幸せに暮らすであろう」

    唯「たーくんを知らないままなら、いつかは誰かとそうなるだろうね」

    若「少なくとも、戦など知らずに済む」

    唯「で?」

    若「話はここまでじゃ」

    唯「そっちが良くない?って、いつもの仮定の話?」

    若「そう…じゃな。いつも申すが、唯の幸せを願っての事じゃ」

    唯「ふーん」

    若「またか、と思うておるのであろう?」

    唯「ん?まあ。えーっと。…あのね、私の前には、たーくんに続く道だけがまっすぐ伸びてた」

    若「…うん」

    唯「永禄に飛んだのも、たーくんと出会ったのも、好きになったたーくんに振り向いてもらいたくて頑張ったのも、結果羽木を助けたのも、目の前の道をまっすぐ進んだだけ」

    若「…必定であったと」

    唯「まっしぐらに走って、たどり着いたゴールがたーくんでホントに幸せだよ。たーくんと一緒に居ない私は考えられない、存在しないんだよ」

    若「わしも、唯が居ない世は考えられぬ」

    唯「心配してくれるのは嬉しいよ。でもそろそろわかって欲しいんだけどな。ずっと一緒に居てくれる方が、何倍も、何万倍も嬉しい」

    若「それは、わしもじゃ。なのに、つい考えてしまい…堂々巡りで済まぬ」

    唯「あのね、前におふくろさまにね」

    若「吉乃殿に?」

    唯「お前のおりたい場所に力を尽くし、ただおればよい、って言われたの」

    若「そうか…。吉乃殿が母上でおられる事に感謝せねばの」

    唯「たーくんのお母さんでもあるじゃん。妻の母、でしょ?」

    若「ん?そう、か。…ハハッ」

    唯「え、なに?」

    若「いや、信近に、父上と声をかけたらさぞや愉快であろうと」

    唯「あはは~、それ、腰抜かしてしばらく動けなくなるって」

    若「母上か…」

    唯「でね」

    若「あぁ、済まぬ」

    唯「私のおりたい場所は、永禄とか令和とかそういうのじゃなくて、たーくんのそば、なの。それだけなの。だから、そばに居させてね」

    若「…」

    唯「離れるなんて、ぜぇーったい、イヤだからね!」

    若「唯…」

    唯「たーくん優しいから。もうね、もしこうだったら、なんて考えなくていいからね」

    若「…心得ました」

    唯「起動スイッチ抜いちゃった時、しっかり捕まえてくれたから、離れずにいられて嬉しかった。ありがとう。すごく危険だったのに」

    若「唯とは、一心同体じゃからの」

    唯「出たっ。うふふ」

    若「ずっと共に」

    唯「うん!」

    若「いつまでも仲良う。両親のように」

    唯「あの二人、特殊な気がするけどねー」

    若「そうか?わしは見倣おうと思うておる」

    唯「ずっとラブラブ?」

    若「そうじゃ」

    唯「やったっ」

    唯の肩を抱き、引き寄せる若君。

    若「さて」

    唯「さて…とは?」

    若「精もついたしの」

    唯「なんか言ってるなー」

    若「ハハハ。まだ眠りはせぬだけじゃ。このまま夜景を眺めるとしよう」

    唯「夜景ね。キレイだもんね。ずっと見てられる」

    若「眺めつつ」

    唯「つつ…。えー、ど、どう続く?」

    若「まっしぐらに、唯にゴールじゃ」

    唯「あ?そう来たか~。うまいっ!」

    若「ハハ…」

    唯「あ」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    夜はこれから。

    11日のお話は、ここまでです。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days76~11日21時、計画的に

    特別感満載のお部屋。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    ようやく口を開く尊。

    尊「あのさあ」

    美香子「なに?」

    尊「何企んでるの」

    覚「企むって?」

    尊「ベッドが、ダブル」

    美「ダブルじゃないわよ、クイーンサイズよ?あ、唯達の部屋も同じだからね」

    唯「へぇー、確かに大きーい」

    若君「唯向きじゃの」

    唯「どういう意味かなー」

    美「僕も大きいベッドが良かったって?」

    尊「違うよ。来年の春、無事に大学デビューしました、すぐに、小さい弟か妹の世話もデビューするって事?」

    覚「え?」

    尊「鰻も食べたしさ」

    唯「どゆこと?尊が、私達の子供の世話してくれるの?」

    若「違う。弟か妹と申しておるゆえ」

    美「…えっ、えーっ!ヤダ、そんな訳ないでしょう!無理無理!」

    唯「あー、やっとわかった」

    覚「そういう事か、そうか…」

    美「嫌だお父さん、考えないで!」

    若「それはめでたい」

    美「忠清くんまで!」

    唯「それって、うまくいけば子と孫が同級生になる?」

    尊「お姉ちゃん、いやに冷静だね」

    唯「この夫婦ならありえるかもって」

    尊「あ、誤解がないように言っとくけど、世話が嫌な訳じゃないから。という事で」

    唯「という事で?」

    尊「僕達は早々に引き上げるべきらしい」

    若「退陣か」

    唯「了解っ」

    覚「ビール、もう少し減らせば良かったかな」

    美「だからー!」

    唯「お菓子と飲み物もらってくねー、じゃ!」

    若「おやすみなさい、で良いのであろうか」

    尊「休まないから違いますよ。お邪魔しました~」

    美「ちょっとー!」

    部屋が一気に静かになった。

    美「ホントにもう…ふっ、ふふっ」

    覚「ははは」

    廊下の三人。

    唯「さて、どうしよう」

    若「もうしばらく、三人共に過ごそう」

    唯「了解~」

    尊「いいんですか?両親と同じ理由で、早く二人きりになりたいとかないですか?」

    若「早々に一人では。折角家族で来ておるのに」

    尊「わぁ、嬉しい。じゃあ、僕の部屋に来てください。確か、ツインの部屋をシングルで使うって言ってたから」

    尊の部屋に入る。

    唯「ホントだー、ベッドが二つあるぅ」

    若「外の美しさは変わらぬ」

    尊「なんなら今、火曜日どうするか打ち合わせします?」

    若「そうじゃな」

    唯「賛成~」

    秘密の会議。

    唯「じゃあ、そんな段取りでよろしくっ」

    若「承知致した」

    尊「じゃ、そろそろ行きなよ」

    唯「もういいの?」

    尊「鰻の効果がある内に」

    若「効果…」

    唯「いや、それどうなの」

    尊の部屋を出て、ようやく自分達の部屋に入る二人。

    唯「わーい!」

    若「なんじゃ?」

    荷物を置き、靴を脱ぎ捨て、ベッドにぴょーんと、うつ伏せにダイブする唯。

    若「随分と跳ねるのう」

    唯「さっきは尊の部屋だったから遠慮したけど、こういうトコのベッドは、ウチのとは違ってね」

    若「そうなのか」

    若君が、唯の寝転ぶ横に腰掛けた。

    唯「ねえねえ、靴脱いで、ベッドにあがって」

    若「ん?こうか?」

    唯「ほら、びょーんびょーん!」

    ベッドで飛び跳ねる唯。弾む動きに翻弄される若君。

    若「な、何を揺らしておる!」

    唯「へっへー」

    若「これ、唯!」

    唯「きゃはは~!えいっ!」

    若君の胸元にダイブ。

    唯「ふふっ、捕まえた」

    顔を上げ、若君と見つめ合う。

    唯 心の声(目をつぶる場面…ううん、それ以上?!)

    しかしその瞬間、若君が視線をそらした。視線の 先には、夜景。

    唯 心(え!夜景に負けた~。キレイだもんね、しかたないかぁ)

    若君は立ち上がり、窓に向いてベッドの端に座り直した。夜景が正面に見える位置だ。

    唯 心(ん?)

    隣に座る唯。

    唯「たーくん、どしたの?」

    若「…」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君、どうした?

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days75~11日18時45分、パワーチャージ!

    会計もうなぎのぼり。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    鰻店に向かっている三人。アーケード街をプラプラ歩いている。

    唯「あ、サングラス見っけ!ねー、たーくん絶対似合うと思うー、かけてみてっ」

    若君「これか。どれ」

    唯「やーん、やっぱ超カッコいい!」

    尊「より無敵感が増してる」

    若「なにやら暗いの。おぉそうか、これはあの、金の煙玉を使えば見えるように」

    尊「ならないです」

    若「ならぬのか」

    唯「コントやってんの?キャハハ、ウケる~」

    店に到着。

    尊「どこだろ?あっ、居た」

    覚「おーい」

    美香子「こっちよー」

    若「お待たせ致しました」

    唯「お待たせー」

    美「あら、唯、綺麗。いい色選んだわね」

    唯「えへ。ありがと」

    三人、席につく。

    美「さっ、好きなの注文していいわよ」

    尊「鰻屋で好きなのって、危険じゃない?予算的に」

    唯「えー、私、ひつまぶしが食べたいっ」

    覚「いいんじゃないか?」

    美「私も一緒で」

    唯「お父さんは?」

    覚「うな丼。特上な」

    尊「えっ、すごい、僕もそれがいい!」

    唯「たーくんどうする?って言ってもわかんないよね」

    美「いろんな食べ方があるのは、ひつまぶしよね」

    唯「たーくん、私と同じのでいい?」

    若「頼む」

    尊「兄さん、僕には少し多いかもしれないんで、良かったら少し食べてくださいね」

    若「おぉ、デートは共有が醍醐味であったな」

    唯「まだデート続いてたんだ」

    注文した。

    唯「どうだった?美術館デート」

    美「良かったわよ~。それに、どこも涼し過ぎる位でね」

    尊「そこ重要だね」

    覚「お前達は?炎天下、大丈夫だったか?」

    唯「うん、途中デパートも寄ったし。ちょうど涼めた」

    若「パンケーキ、も食しました」

    覚「おっ。いいねぇ」

    美「良かったわねー」

    鰻のオンパレード。

    全員「いただきまーす!」

    唯「まず、おひつの中で四つに分けてね、そのまま食べるのと、薬味で食べるのと、だしをかけて食べるのと」

    若「残りは?」

    唯「お好きにどーぞ」

    尊「兄さん、僕の一切れどうぞ」

    唯「わー、もっと豪華になった」

    覚「沢山食べて、精つけてな」

    美「あらぁ、理解ある父ね~」

    若「…そのような意味合いがあるのですね」

    尊「応援してます」

    唯「げっ、なにそれっ!」

    晩ごはん終了。ホテルまで、夜の繁華街を歩く。

    若「随分と、光が瞬いております」

    美「いいの?お父さん、寄り道しなくても」

    覚「いいに決まってるだろ。今大分ビール飲んだし」

    尊「部屋って、上の方の階?」

    美「そうね」

    尊「じゃあ、きっと夜景が綺麗だね。兄さん、この景色を上から見られますよ」

    若「上?」

    唯「わぁ、楽しみ~」

    ホテルに到着。

    美「荷物は私達の部屋にあるから、持ってって」

    唯「はーい」

    部屋の扉が開いた。

    唯「わぁー!すごい!キレイ!」

    若「これは…美しい」

    大きく開いた窓。眼下には、眩い程の光の絨毯が広がっている。

    美「こんなに綺麗なのね~」

    覚「いいね~。ん?尊、何て顔してるんだ」

    ベッドの前で、なんとも言えない表情のまま、固まっている尊。

    唯「どしたの?尊」

    尊「…」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    尊、どうした?

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days74~11日17時30分、めざめました

    ちょっと足すだけで劇的に。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    電気街の中の店。様々な部品が、壁から迫るようにぶら下げられている。

    唯「なんか、所狭しというか。こんなんで欲しい部品とか見つかるわけ?」

    尊「見つかるんだなこれが」

    唯「今回も、なんか作ってくれるの?」

    尊「ううん」

    唯「えー、そうなんだ」

    若君「わしが止めた」

    唯「そうなの?」

    尊「僕は、また何か作ろうかなって思ったんだけど」

    若「作る時間があるなら、勉学に充てよと」

    唯「なるほどね。弟思いの優しいお兄ちゃんだなぁ」

    尊「あ、新しい写真集とか、この前撮った花火の動画は、編集して持たせてあげるから」

    唯「ありがと」

    若「尊、これは何に使う品かのう」

    尊「あ、これはですねぇ」

    唯 心の声(二人して目を輝かせちゃってさ。たーくんも男の子なんだなあ。楽しそうで良かった)

    今日の唯は、白レースのワンピース。カーディガンは手に持っている。

    唯 心(服はかわいいけど…やっぱ化粧くらいしなきゃいけないんだよね。気付くの遅過ぎ?)

    店の外に出た唯。ガラスに自分が映っている。

    唯 心(身だしなみ、か。うーん…)

    道の少し先に、大きい薬局を見つけた。

    唯「あ。…ねぇ、尊~!」

    尊「何~?」

    唯「私、あそこの薬局に居る~」

    尊「わかった~」

    唯 心(えっと…どこかなぁ)

    店に入り、何かを探す唯。

    唯 心(あった。うぇっ、ここ、すっごくキラキラしてるんですけどっ!)

    若い女性向けのコスメのコーナー。

    唯 心(プチプラなのがいいよねぇ。いや!そんな事より…どうしよう、化粧品なんて買うの初めてだからわかんないよぅ)

    自分の指先に目をやる。マニキュアやペディキュアは、最初に若君が塗ってくれたパール調の桜色のまま。

    唯 心(たーくん、この色がいいって、あれから何度か塗ってるから…同じ感じがきっといいよね)

    口紅の棚。リップグロスを物色する。

    唯 心(試供品がある!あ、この白い紙に塗って試すんだ。これでイメージつかめるかなぁ)

    片っ端から紙に色をのせていく。

    唯 心(こんなモンかな…。これ以上、考えるのムリ~)

    お買い上げ。店を出て、早速塗ろうとするが、

    唯「あちゃー、そう言えば鏡も持ってないんだった!つくづく、女子失格だよね…」

    スマホのインカメラを鏡代わりに、なんとか完了。

    唯「うん。たぶんオッケー」

    尊「お姉ちゃーん」

    若「唯」

    さっき居た店とは違う方向から、二人登場。

    唯「え?もしかして、すっごい回った?」

    尊「僕にとってのワンダーランドだからね」

    唯「ちょっとしたテーマパークなんだ」

    若「ん?唯、なにやら…」

    尊「あ、唇がキラキラしてる。わかった!お店の試供品、塗りたくってきたんでしょ」

    唯「なにっ、聞き捨てならぬ!ちゃんと買った!ほらっ!」

    グロスを、男子達の目の前にどーんと出した。

    唯「もーっ」

    尊「で、いきなり化粧してどしたの」

    唯「え?えっとぉ」

    尊「周りの女性と比べて、焦った?」

    唯「だってー」

    若「唯」

    唯「は、はい」

    若「わしに、顔をよう見せてくれ」

    唯「はいっ」

    顔を上げた唯。若君の表情が緩んだ。

    若「綺麗だよ、唯」

    唯「わぁ、ホントに?…いや、ちょっと待て」

    若「え?」

    唯「たーくん、そのフレーズ、尊に教わったでしょ」

    尊「確かに教えたけど」

    唯「かわいいよ、もだけどさ、こう言えば喜ぶ的な暗号みたいに使ってない?」

    若「唯が何を気に入らぬのかわからぬが…愛らしく麗しいと思うて話しておったがの」

    尊「まさかお姉ちゃん、今の今まで、疑ってたの?」

    唯「うん」

    尊「ひでぇ!」

    若「心がこもっておらぬように感じたか。それは、済まなかった」

    尊「なんで兄さんが謝る展開?いやいやいや、おかしいって」

    唯「そっか、わかってたんだ。ごめん疑って。あまりにもサラっと言ってくれるから…ねぇねぇ、愛してる、もそう?」

    若「唯を、かけがえのないおなごと思うておるぞ」

    唯「そっか、そっか、良かったぁ」

    尊「そういうのは、もっと早くに確認しとくべきでしょ!」

    唯「失礼しましたっ。もう街は堪能した?」

    尊「うん。したよ。ありがと」

    若「姫君を、一人にして済まなかったの」

    唯「そろそろ鰻屋さんに移動する?」

    尊「そうしよっか」

    若「参ろう」

    若君が、唯の手を取った。そして、

    若「尊もじゃ」

    尊「うわぁ。じゃ、今はお言葉に甘えまして」

    三人、繋がりました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days73~11日15時、Go!ショッピング

    徒歩圏内になんでもあるから、都会は便利。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯「尊、店選び正解。生クリームがそんなに甘くない」

    尊「でしょ。兄さん、どうですか?」

    若君「これなら、食べられそうじゃ」

    唯「すごーい。じゃあ、一口ちょーだい!」

    少し切って、唯の前に差し出す若君。

    若「食せ」

    唯「違うぅ」

    若「違う?あぁ。あーん、して」

    唯「わーい。うん、こっちも美味しい!」

    尊「やらされてる感が否めないけど」

    唯「えへへ。ラブラブカップルは、今どこに行ってるんだろうね」

    尊「美術館巡りって言ってたよ」

    唯「へー!そうなんだ。なら、着物も納得~」

    唯がご機嫌で食べる姿を、優しい眼差しで見守る若君。

    尊 心の声(元々何でも美味しそうに食べるお姉ちゃんだけど、永禄に戻っても、こういうシチュエーションがいっぱいあるのを願うよ)

    三人、完食。店を出た。

    尊「あー美味しかった。兄さん、良かったですね」

    若「あぁ。ありがとう、尊」

    唯「なにが?」

    尊「男子の秘密」

    唯「あっそう。あ、ねぇねぇ今さ、もらった小遣いで支払いしたじゃん」

    尊「うん」

    唯「もう使う予定なくない?」

    尊「山分けしたいの?」

    唯「違う。せっかくだからさぁ、両親に20周年おめでとう、しない?」

    若「それは良いの」

    尊「なるほど。早速検索…ふーん、結婚20年って磁器婚式って言うんだって。だからプレゼントは陶磁器とからしいよ。ペアのカップとか?」

    唯「へー、そうなんだ。あとさ、花束もあると良くない?」

    若「花を献上と」

    尊「カップの値段がわからないけど、花もだとちょっと金額が足りないかも」

    唯「喜んで出すよ」

    若「わしも出す」

    尊「え、いいんですか?」

    若「自由に使いなさいと申された。二人の為に使えるなら尚更良い」

    尊「じゃあ、デパートも近くにある事だし、今から探す?プレゼント」

    唯「探すー。電気街はいいの?」

    尊「まだ全然時間あるし」

    デパートの売場。

    唯「カップもいいけどー、なんか湯呑みも良くない?」

    若「おぉ、これなどお父さんに似合いそうじゃ」

    尊「どっしりしてるね。色違いもあるから、それにします?」

    若「良いのか?」

    唯「たーくんが選んだって聞いたら、倍喜ぶよ」

    尊「そうそう。前に、クリスマスプレゼントでスノードームもらったじゃないですか」

    若「あぁ。わしが選んだ小さき物じゃな」

    尊「僕ももちろん超嬉しかったけど、二人、何で目の前に居ないんだ、抱き締めたかった~って大騒ぎだったんですよ」

    唯「そうだったんだー。じゃあ今回は、直接ギューってしてもらおう」

    若「ハハハ。喜んで頂けたのじゃな」

    お買い上げ。

    唯「これ、持ち運ぶの?バレバレになるし、重いよ?」

    尊「ご心配なく。僕あてに家に配達してもらうから」

    唯「へぇ、さっすがー。デキる男だねぇ」

    デパートを後にする。

    唯「お花はどうする?」

    尊「そうだね。あと、一人千円ずつくらい足すとまあまあ大きい花束にできそう」

    若「ならばそうしよう」

    尊「湯呑みもちょうど届くだろうし…火曜日に買いに行く?」

    唯「三人で行こうよ」

    尊「よし、決まりだね」

    電気街に到着。

    尊「ミッションが確実に進んでる。よしよし」

    唯「顔つきが変わってるよ。ニヤニヤしちゃってさー」

    尊「兄さんとデートだもん、ニヤけずに居られるかって話」

    若「デート。手でも繋ぐか?」

    尊「い、いや、そこまではいいです」

    唯「肩でも抱いたら?」

    若「そうか」

    尊「いや、マジ無理だから!」

    唯「キュンキュンしちゃって?」

    尊「そうだよ~」

    若「ハハハ」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    遠慮せずとも良かろうに。

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days72~11日13時、実践中です

    言われた事をきちんとこなします。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    母、着物姿で登場。

    美香子「お待たせ~」

    覚「う~ん、いいねぇ」

    唯「きっちり着込んでるー。暑くない?」

    美「訪問着だもの、そりゃあきっちりよ。これね、案外暑くないのよ」

    若君「よう似合うておられる。麗しい」

    美「まぁ〜。嬉しいわ~」

    近寄って、生地をじっと見つめる若君。

    若「これは、紗ですか?」

    美「違うのよ。絽って言うの」

    若「ろ?」

    美「忠清くんなら聞いてくると思って調べたんだけど、まだあなたの時代にはない織り方だったのよね」

    若「山吹の花を思わせる色の地に浮かぶ、縞が美しいです」

    美「ありがとう。うーん、いい!持つべきは、お着物の話ができる息子ね~」

    唯「この二人、日本語しゃべってる?シャとかロとか言ってるけど」

    尊「着物の話してんだから日本語でしょ」

    準備完了で出発。車内。

    美「ねぇ、最後14日の夜、またリビングに布団敷いてみんなで一緒に寝たいんだけど」

    唯「いいよー」

    美「でも私翌日から仕事だから、話し込むとか出来ないかもしれないのよ。ただ居るだけになってもいい?」

    覚「いいんじゃないか?お互いの気配を感じられるだけでもいいもんだろ」

    唯「うん。良いよそれで」

    尊「恒例行事って事で。了解一」

    若「わかりました」

    車窓の景色が、都会のビル群の光景に変わってきた。

    若「ほう…天を突く程高く、地に刺したが如く細く鋭い屋敷の数々じゃのう…」

    美「あら?初めて見る風景?前来た時に、デパート行ったって言ってなかった?」

    唯「そこ、駅から直結だったから、ビルを見るのはほぼ初めてなんだよ」

    そろそろ二手に分かれる。 車を降りる三人。

    美「チェックインして、荷物も運んでおくわね」

    唯「うん、よろしくー」

    覚「尊、鰻店の場所は大丈夫か?」

    尊「うん。地図確認したよ。7時に予約してあるんだよね」

    覚「そうだ」

    唯「デート、楽しんできて」

    若「ごゆるりと」

    尊「行ってらっしゃい」

    美「ありがとう。じゃあね」

    手を振りながら、両親は去って行った。

    唯「さてと。パンケーキの店は目星付けた?」

    尊「うん。あ、やっぱ一番に行く?」

    唯「だって時間のメドがわかんないし、あんまり遅い時間だと、鰻入んないよ?」

    尊「そうだね。じゃあ行こっか」

    尊と若君が前を歩き、唯は後ろから付いて行っている。

    尊「後ろでいいの?」

    唯「デートの付き添いなんで。ついでに、たーくんに変なのが寄って来ないか見張ってる」

    やはり若君は、道行く女性達の視線を集める。

    女性1「超イケメン…モデル?それか俳優?」

    女性2「絶対それ系だよね。あ、指輪してる。え一結婚してるんだー」

    女1「イイ男って、残ってないよねー」

    尊が振り向き、囁く。

    尊「指輪効果出てるね」

    唯「うん、サンキュー。助かってる」

    尊「…」

    唯「なによ。顔になんか付いてる?」

    尊「街行く女性達と比べて、負けてる点があるとするなら」

    唯「えっ、なに?」

    尊「どスッピンな所。みんなきちんと化粧してるから。現代の街中なんだからさ、身だしなみ的に少しくらいしてくれば良かったのに」

    唯「うわぁ、痛たたっ。それ、薄々感じてた」

    パンケーキ店に到着。ほどなく席に通され、注文も完了。

    尊「大ブームの頃なら、絶対来なかったよ。店の外にズラーって並んでる映像、よく見たから」

    唯「それは言えるかも。ねぇ、たーくん、今さらなんだけどさぁ」

    若「なんじゃ?」

    唯「また店に行こうとは言ってくれてたけど、ホントに良かったの?」

    若「勿論じゃ」

    唯「無理してない?」

    尊「兄さん向けに、めちゃめちゃ甘くはない系の店にはしたけどね」

    若「唯が、この世の幸せ、と頬張る姿が見とうての」

    唯「誰かの入れ知恵?」

    尊「だとしても、兄さんがいいって言ってるんだからいいじゃない」

    唯「ふぅん。お礼は、誰に言えばいいの?」

    尊「お父さんに」

    唯「えっ!意外な答えだった」

    パンケーキが三皿運ばれて来た。モリモリと、生クリームがうず高く鎮座している。

    唯「わーい!」

    若「おお」

    尊「壮観だなぁ。恋愛マスターは、食べるの見てるだけでもいいって言ってたけど」

    若「一口ちょうだい、がやりたかろう?」

    唯「いやに詳しく指導されてるなあ。でも嬉しい!だって、お父さんが師匠でたーくんが弟子なら、絶対甘くて優しいもん」

    尊「同感です。では」

    三人「いただきます!」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    妖怪千年おばば様

    気を遣わせてしまい、すみません!

    源トヨの登場は、うーんと先です。存分に、発表してください。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days71~11日日曜9時、定番はどっち

    千羽鶴ミッションも着々と進む。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    朝ごはん後、食卓に、折り鶴を色分けして入れた箱を並べた。

    美香子「お待たせ、裁縫箱持ってきた。針と糸と、あとボタンね。一番下に付けて糸から鶴が抜け落ちないようにするの。プラスチックじゃ何だから木製にしたわ」

    唯「いよいよ千羽鶴の形になるよ、たーくん」

    若君「皆総出で済まない」

    覚「何羽ずつにする?」

    美「それもだけど、どうやって並べる?この箱の並びのまま、グラデーションにする?」

    唯「グラデーション賛成。キレイだから」

    尊「50羽ずつだとこの位の長さだよ」

    美「いいんじゃない?」

    尊「じゃあさ、箱の横にこの箱から何羽か取り出すか書こう。足して50になるように」

    美「あー、それ楽ね。出して並べて、下になる色から糸で掬っていけばいいもんね」

    若「手筈が整っていっておる…」

    唯「黙って流れに乗るのが正解だよ」

    あれよあれよという間に、束が出来上がっていく。

    覚「順調だな。じゃあ、早めだけど昼ごはんの支度始めるよ」

    唯「了解~」

    若「実に美しい」

    尊「50羽、糸通ったよ。上はどうすんの?」

    美「そこにあるリングに、軽く結んでおいて」

    11時。十束完成した。

    美「旅行から帰ったら、また続きをしましょうね」

    若「わかりました」

    覚「はい、撤収してー。ごはんだぞ」

    冷麦です。

    唯「夏の定番だから今日もこれなの?」

    尊「え、夏の定番はそうめんじゃない?」

    唯「そうだった?どっち?」

    覚「どっちもだろ」

    美「お父さんは冷麦派よね」

    覚「うん。そうめんはな、ゆで時間が短過ぎて、家事好きの僕としてはあっけなくてさ~」

    唯「そんな理由なんだ。どおりでよく出る」

    覚「今日はな、晩ごはんがスタミナ系だからこうした」

    唯「スタミナ?お肉とか?」

    覚「鰻食べに行く」

    尊「うなぎ!」

    唯「わぁ、ひっさびさだ!」

    美「忠清くん、食べた事あった?」

    若「いえ、初めて聞く名です。食した覚えはありませぬ」

    唯「そっかぁ、じゃあ楽しみにしててー」

    若「そこまで皆が喜ぶのであれば、楽しみじゃの」

    昼ごはん後。

    美「支度、ゆっくりでいいからね。じゃ」

    唯「なに?」

    覚「今日は、着物を着るって張り切ってるんだ」

    唯「へー」

    覚「まぁ本人がそうしたいって言ってるから」

    唯「あー、デートだから特別ぅ?暑いのに大変だね~」

    覚「永禄では年中着物だろ」

    唯「まっ、そうだけど。だってまさかお母さん浴衣じゃないだろうし」

    覚「浴衣じゃあないな」

    若「お母さんが、着物を召されると」

    唯「うん。絶対たーくんに聞いてくるから、褒める用意しておいて」

    尊「褒める用意って。兄さんなら普通に素直に褒めるでしょ」

    覚が、尊に手招きしている。二人で部屋の隅に。

    尊「お父さん、何?」

    覚「あのさあ、鰻、背開きか腹開きか、気にしなきゃいけなかったかな?どう思う?」

    尊「え?あ、あー。腹開きだと切腹を連想させるからってヤツ?」

    覚「店には聞いてないんだけど、地域的には両方あるらしい」

    タブレットで検索する。

    尊「んー兄さんの時代には、鰻はあっても開いてなかったみたいだね。て事は知らない料理なんだから、わざわざ、聞いた事のない言い伝え的な物を教えなくてもいいんじゃないかな。兄さんなら、聞いたとしても気にしないとは思うけど」

    覚「そうだな。黙っておくよ」

    唯「なにコソコソしゃべってんのー」

    尊「今日の段取り」

    唯「ふーん」

    覚「あ、そうそう、今日な、僕と母さん自由にさせて貰うからさ、三人に小遣いをやるよ」

    唯「マジで?やったぁ!」

    尊「ラッキー!」

    若「わしにもですか?」

    覚「三人一括だけどな。はい」

    唯「わっ、1万円だ」

    尊「こんなにいいの?」

    覚「まあ、お好きなように。残ったら、山分けしな」

    唯「へー、ありがとー」

    尊「ありがとう」

    若「ありがとうございます」

    覚「さ、じゃあ僕らもそろそろ出かける支度するか」

    三人「はーい」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days70~10日16時、これが目に入らぬか

    あんまりカッコいいと、それでもチャレンジしてくる強者が居るかも。気をつけよう。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    看板は、ピカピカになった。

    唯「カンペキ!たーくんお疲れさま」

    若君「まだ何かする事はあるかのう」

    唯「働き者だなぁ」

    家に戻ると、母が出迎えた。

    美香子「お帰り~。あ、脚立は玄関でいいわよ。もうね、掃除もほぼ終わりだから、お風呂一番に入っちゃってくれる?」

    唯「いいの?やったー。じゃあ、どっちが先入る?」

    美「何言ってるの」

    唯「え、もしや」

    若「わかりました」

    唯「出た!」

    美「みんな汗たっぷりかいてるもの。晩ごはん前に全員お風呂済ませたいからよ。はい、行ってらっしゃ~い」

    18時。晩ごはんの支度が始まった。覚と若君はキッチンに。尊と入れ換わって最後、美香子が風呂に。唯は、ホットプレートがセット済みの食卓で、ぼーっとしている。

    尊「あーさっぱりした。げっ!なんだよ姉ちゃん、その腑抜けな状態は。兄さんと一緒のお風呂で、湯あたりしたの?」

    唯「してなぁい。お風呂は超ラブラブだったしぃ」

    尊「成長してるな」

    唯「…ああっ、そういえば!あ痛っ」

    ガン!と音が。急に飛び起きた唯が、膝をテーブルにぶつけた。

    唯「い、痛ぁい」

    尊「あーあ。何いきなり覚醒してんだよ」

    唯「ねぇ、どうしよう!都会で、たーくんが尋常じゃない数の女達に囲まれたら」

    尊「カッコいいのは罪だな。でもそれ、そんなに心配するような事?」

    唯「都会の女は怖い」

    尊「歩いてる人のほとんどが、都会の人ではないと思うけど」

    唯「えー。でもー」

    尊「わかった。要は、兄さんを守れればいいんだよね?」

    唯「うん」

    尊「そんなん簡単だよ」

    唯「うっそぉ」

    尊「これ使えばいい」

    リビング奥の棚から、ケースを一つ取り出す尊。

    唯「あ!尊お手製の結婚指輪!」

    尊「これはめてれば、そうそう近づいては来ないんじゃない?」

    唯「そっか…そっか、結婚してますってアピールすればいいんだもんね!」

    尊「そゆこと」

    美「あー、いいお湯でした。あら、懐かしいグッズ出してるわね」

    唯「どうしよう、指に入らなかったら…あ、入った。たーくぅん!」

    若君の元へ指輪を持っていく唯。

    若「おぉ、これは」

    唯「ねっ、はめてみて!まだぴったり?」

    若「ふむ。…ぴったりじゃな」

    唯「わぁ、良かったぁ。たーくん、今から、慣れるためにそのままにしててね」

    若「心得た」

    覚「騒がしいな。はい、もんじゃ焼き作るよ、席について~」

    具材を炒め、土手を作り、だしを流し入れ、なじませる。

    若「これで固まるのか?」

    唯「固まらないよ」

    若「え?」

    ホットプレートの上が、ふつふつ言い始めた。

    覚「そろそろいいな」

    美&尊「いただきまーす」

    唯「はい、たーくんこのヘラ持ってね」

    若「小さいのう。どう使うのじゃ?」

    尊「見ててください。これをこうやって、隅からはがして押し付けて、ちょっと焼く」

    若「ほぅ」

    尊「これをこのままパクリと。あ、熱いですから気をつけてくださいね」

    若「ほぅ…」

    唯「はい、フーフーしたよ。あーんして」

    若「うまい。わしもやってみよう。…はい、唯」

    唯「キャー!私にくれるの?嬉しーい。ねぇねぇ、あーんして、って言ってぇ」

    若「あーん、して」

    尊「そ、総領の威厳が…まだ棒読みで良かったけど、永禄の皆さんには見せられないな」

    唯「おいし~い!ふふっ」

    若「お父さん、これは、どんな材料でも出来る物でしょうか?」

    覚「そうだね。それっぽい物でいいなら、永禄でも作れなくはないと思うよ」

    若「そうですか」

    唯「作ってみちゃう?!すんごい野望~」

    全員「ハハハ~」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    10日のお話は、ここまでです。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days69~10日14時、私のモノ!

    ちょっと位、緩んでもいいよ。令和だもん。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    クリニックは盆休みに入った。そろそろお昼ごはんが終わる。

    美香子「さあ、暑いけど、もうひと頑張りして大掃除するよ~」

    若君「お母さん、その大掃除ですが」

    美「はい?」

    若「普段出来ぬ所を掃除すると聞きました」

    美「うん、そうね」

    覚「どこか、汚いなぁって所あった?」

    若「相当汚れておる、とは申しませんが」

    覚「うん。でも、気になったんだろ?」

    若「表に掲げた、院の名が入った、夜に光る」

    尊「あー、さっき兄さんが見てた、クリニックの看板ですね」

    若「虫が集まるゆえ、所々黒うなっております」

    美「あー。なんかすっごく恥ずかしいわ。それ、きちんと磨いた覚えないのよ」

    覚「目につく所なのにな。ちゃーんと見てなきゃいけないな~。さすが忠清くんだ」

    美「じゃあ忠清くん、そこ、あなたにお掃除お願いしてもいい?」

    若「承知致しました」

    唯「私も手伝うー」

    尊「かなり暑いよ?」

    唯「一緒がいいもん」

    尊「そこは、愛の力が勝るんだ」

    覚「高圧洗浄機位買っときゃ良かったなー。ブラシとバケツと雑巾と、あと脚立が要るから用意するよ」

    外に出た。看板を見上げる若君と唯。

    唯「これかー。確かにうす汚れてる」

    若「始めるか」

    若君が脚立に登った。雑巾で水を含ませながら、ブラシで擦る。みるみる内にバケツの水が真っ黒に。

    唯「水、替えてくるね」

    若「頼む」

    一人黙々と擦っている若君。すると、

    若君 心の声(何やら、視線を感ずる…ん?)

    いつの間にか、門の外に小さい女の子が立っていた。脚立に乗る若君を下から見上げている。

    若 心(近くの屋敷の娘御であろうか。年は孫四郎程か)

    そのまま掃除を続けていると、またもや熱視線を感じた。見ると、

    若 心(なんと!分身の術か?!)

    一回り大きく、そっくりな顔で同じ服を着た女の子がもう一人増えて、二人に見つめられている。

    若 心(これは、どうしたものか…)

    若君が戸惑っていると、

    男「あー、やっぱり里帰りしてたなー!」

    若「…あっ、これは」

    急いで脚立を降り、麦わら帽子を脱いで、現れた男性に近づく若君。

    若「久方ぶり、です、コーチ」

    コーチ「元気そうだね。速川は?あ、君も速川だったな」

    若「水を汲みに行っておりまして」

    唯「あー!コーチ!」

    コ「おー、元気かー」

    唯「え?なんでここに居るの?てか、もしかして娘ちゃん?二人?かーわいい!」

    コ「ウチの娘だ。小2と年長」

    若君の囁き「…何の話じゃ?」

    唯の囁き「年は、7才と5才、って意味だよ」

    コ「妻の実家がこの近くでな。ゆうべから来てるんだが、子供が飽きだしてさ、公園にでも行こうと思ったんだが、あーそう言えば速川の実家この辺りだったな、って様子を見に来てみたんだ。済まんな、娘達がじっと見ててびっくりしただろ?」

    若「いえ」

    上の娘「パパ、この人たち誰?」

    コ「このお姉さんは、パパが教えてる高校の部活で頑張ってたんだ。で、このお兄さんと結婚したんだよ」

    上娘「けっこん。あ、わたしがしょうらい、パパとすることだね」

    唯&若「え」

    下の娘「ちがうよ!あたしがしょうらい、パパとけっこんするんだもん!」

    上娘「わたしだもん!」

    下娘「あたしだもん!」

    唯「か、かわい過ぎるっ。コーチ、めっちゃ愛されてるじゃん!」

    コ「嬉しいんだが、いっつもこれでケンカが始まるんだ。さ、パパはまだお話があるから、先に公園に行ってなさい」

    娘達は、走っていった。

    コ「ふう。騒がせて悪かったな。君らも子供…あっ」

    唯「あ、私、子供できてませんから。コーチが勘違いしただけだよ」

    コ「そ、そうか。まだしばらくこちらには居るのか?」

    唯「お盆の頃に、帰ります」

    コ「そうか。じゃ、そろそろ行くよ。元気でな」

    唯「うん。元気でねー」

    若「では、これにて」

    走って行くコーチ。後ろ姿を見送る唯と若君。

    コーチ 心の声(速川、綺麗になったな…)

    唯「あのさぁ」

    若「ん?」

    唯「さっき、ホンの一瞬だけど、とても永禄のみんなに見せらんない顔してたよ」

    若「そう…やもしれぬ」

    唯「デレッデレもいいトコだった」

    若「唯に瓜二つな愛らしい娘達に、取り合いにされる様を思い浮かべての」

    唯「ははは。でもそれ、ちょっと違うよ」

    若「違う?」

    唯「私も取り合いに参加するもん」

    若「そうか、ハハハ」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の現代Days(仮)か…

    てんころりんさん、いつも感想をありがとうございます。心に染みまする。

    なんせ「寸止めの美」がないので、いつイチャイチャしだすかと、ハラハラしながら御覧いただいてると思います。恐縮です。

    今日のお話から、速川クリニックが盆休みに入りますので、家族五人の場面がちょっとは増えるかな。速川家は、両親を筆頭に今日も平和です。

    題名の件ですが…そりゃあ現代で生活を営む二人は、私も見たいです。でもここで、超現実的な事案が頭をもたげ…若君は「登録」されてない人物だから、唯達と同じようには生活できないし…ファンタジーはどうなった!って話なんですが。

    ひとまず、と言ってはなんですが、令和Days、満月の2019年8月15日以降のお話もちょっぴり描きますので、今しばらくお付き合いくださいませ。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days68~10日土曜8時30分、気が利きます

    郷に入っては郷に従う。いや、馴染み過ぎ。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    朝ごはん後。

    美香子「じゃあ、あと半日、頑張りまーす!」

    四人「行ってらっしゃーい!」

    覚「さて、と。昼からは大掃除だけど、午前中も色々やっとかないとなー」

    若君「お父さん」

    覚「何だい?」

    若「掃除と、大掃除は、何が違うておるのですか?」

    覚「あー。大掃除は、普段中々出来ない所だったり、大がかりにしか出来ない所だったり。いつもより念入りにって感じかな」

    若「普段出来ぬ所ですか」

    覚「どこか、ここやらないとって気付いた所あったら教えてな」

    若「わかりました」

    覚「まずは、気温が上がらない朝の内に、庭の草むしりだな。帰って来た早々に抜いてもらったが、もう大分伸びてるから」

    若「わかりました。では早速三人でいたします」

    唯「私と」

    尊「あ、僕か」

    覚「よろしく。日焼け止めも軍手も帽子もタオルも忘れずにな」

    若「はい。では支度が出来次第、参るぞ」

    唯&尊「ははっ」

    草むしり中。

    唯「どうせならさぁ、食べられる野草とか生えてきてくれれば一石二鳥なのにね」

    若「そうじゃのう。この辺りの草は、まず無理であろう」

    尊「それ、もしかして本読みました?」

    若「あぁ。実に為になった」

    唯「私が買った本でしょ」

    尊「その本、しばらくお父さんが持ってたんだよ。僕はその時読んだ。多分今回帰ってくるちょっと前に、お姉ちゃんの部屋に戻してると思う」

    若「おぉ、それで合点がいった。わしはこの前、初めて見たのじゃ」

    尊「実際、永禄で役に立ったの?」

    唯「立ったよ。ひもじい時にモグモグしてた」

    若「いつの話じゃ?梅谷村に居った頃か?」

    唯「まっ、そう…だね」

    尊「お城入ってからもやってたら怖いよ」

    庭の草むしりは終了。

    若「先程、お父さんが、普段出来ぬ所を掃除すると申された」

    唯「うん」

    若「草はまだ、そこらに生えておるのだが」

    クリニックの駐車場の隅を指差す若君。

    尊「じゃあ、もうちょっと頑張りますか?」

    唯「どしたの尊?やる気じゃん」

    尊「だって、昼過ぎに頼まれたら、もっと暑い時にやんなきゃいけないんだよ?」

    唯「なるほど。なら、やっちゃおー!」

    建物近くから、門の辺りまで手分けして、草むしり続行。

    覚「あれ?おー、感心感心」

    クリニックの中からも三人の様子が見える。

    美「あら、こんな所までやってくれるなんて。さすが忠清くん…いや、これは尊が主導かな」

    芳江「草むしりの分析ですか?」

    美「感情で動くのが唯。でも納得すればすんなり言う事を聞く。感情と理論のバランスがいいのが忠清くんだけど、今日の場合、多分忠清くんが提案して、理論で動く尊が、全員が納得するような答えを出して、こうなってると思うわ」

    エリ「まあ。まるで会話をご覧になったかのようですね」

    門の前まで来た。クリニックの看板をじっと見つめる若君。

    尊「ふう、こんなトコかな。あれ、看板がどうかしました?」

    若「うむ。後でお母さんに聞いてみようと思うての」

    尊「そうですか」

    敷地内全て、草むしり終了。抜いた草をゴミ袋に集め、覚の元へ。

    唯「あー、あっつーい」

    尊「ふう、重っ」

    若「お父さん、これで宜しいでしょうか」

    覚「あー、ありがとねぇ。ホント助かったよ。ごめんな、永禄なら周りが何でもやってくれる身分なのに、つい甘えちゃってさ」

    若「いえ、此処は先の世ですので。何でも致します」

    覚「みんなお疲れさん。麦茶飲んで、涼んで」

    時計は、11時を指している。

    覚「ありがとな。午前中はここまででいいぞ。また昼から頼むな」

    若「わかりました」

    覚「ところで、今日の晩だが、いよいよもんじゃ焼きにしようと思う」

    唯「おーっ!」

    尊「楽しみー!」

    唯「具はなに?」

    覚「明太チーズでどうだ」

    唯「お餅も入れて~」

    覚「了解」

    唯「たーくん、できた所からどんどん食べてくんだよ。楽しみにしててね」

    若「出来た所から?…少々解せぬが」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days67~9日17時、恩返しします

    尊は、これで三倍以上頑張れるに違いない。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    キッチンに四人集合。

    覚「じゃあ忠清くん、始めるよ」

    若君「はい!」

    覚「今日は、色々同時進行だから、唯も尊もよろしくな」

    唯&尊「はーい」

    カレー作りスタート。ショウガ、ニンニクを炒めたところに、玉ねぎ投入。

    覚「色が変わるまでじっくり炒めるよ。これで味が決まるからね」

    ひき肉、スパイスを入れ、炒め続ける。隣では、野菜スープが出来上がった。

    尊「ひき肉なんだ。わかった!キーマカレー作るんだね」

    覚「そうだ。肉じゃがじゃないだろ?」

    唯「お母さんに対抗してる?」

    トマト、ヨーグルト、水、調味料を入れてしばらく煮る。その間に、トッピング用のピーマンやパプリカを細切りにして炒めている。

    覚「ご飯は、炊いておいた。これだよ」

    若「色が付いております!」

    覚「ターメリックライスだから黄色だよ。おーい」

    唯&尊「はーい」

    覚「ご飯とスープ盛り付けてくれ」

    唯&尊「はいはーい」

    キーマカレー、出来上がり。

    美香子「美味しそう!」

    若「これで良かったのか、わかりかねます」

    覚「大丈夫だよ。では」

    全員「いただきまーす!」

    心配そうに皆が食べるのを見ている若君。

    唯「おいしい!」

    尊「辛過ぎなくて、なんか爽やかで」

    美「人となりが出てる感じね。美味しいわ」

    覚「味がまとまってて、美味しいよ。食べてごらん」

    若「はい。…なるほど」

    覚「どう?」

    若「これが、わし、なのですね」

    覚「うまいだろ?」

    若「はい。されど、人となりが出ておるとなると、身構えてしまいます」

    覚「ははは、そうか。料理って、そんなもんだけどな。バッチリ大成功だからね」

    食後。久々に、実験室に子供達三人集合。

    唯「さて。旅行の話しよっか。親に隠れてこっそりと」

    尊「まだあんまり考えてないけど、もう日にちないもんね」

    唯「私、思ったんだけどさぁ」

    尊「うん」

    唯「尊が、たーくんと二人で出かけるとしたら、どうする?」

    若「二人?」

    尊「えっ!二人で?!えーっと…ホテルからちょっと歩くと、電気街があるんだ。今すぐ何か欲しいって訳じゃないけど、プラプラしたい」

    唯「理系男子版ウィンドウショッピングだね。で?」

    尊「その近くの商店街もプラプラ。アーケードだから、暑くないし」

    唯「うん」

    尊「で、僕もモリモリのパンケーキ食べてみたい」

    唯「おっ」

    尊「こんな機会でもないと、一生口にしない気がする。これは、お姉ちゃんも一緒じゃないとちょっと無理かな」

    唯「わかった。それで行こー!」

    尊「は?」

    唯「大好きなお兄ちゃんとデート、良くない?二人で出かけるなんて、なかったでしょ」

    尊「兄さん一人だけ来た時にはあったけど…だいぶ前だな」

    若「此度は、ないのう」

    唯「尊とたーくんのデートに、私が付いてく体でどう?邪魔はしないからさ~」

    尊「え、いいの?やったー!」

    唯「今回さ、受験勉強を後回しにしてくれてるから。そのお礼というか」

    若「なるほど、それは良き計らいじゃ」

    尊「わぁ、ありがとう、お姉ちゃん」

    唯「ちゃんと、行く店やルート、決めといてよ?」

    尊「うん!」

    夜も更けてきた。唯の部屋。

    若「心優しい姉君じゃ」

    唯「そぉ?ありがと。たーくんも尊を気にしてくれてたからさ。あ、ごめんね、勝手に盛り上がって決めちゃって」

    若「構わぬ。これで丁度、恩返しが出来るのじゃな」

    唯「そうだね」

    若「…今日は、眠くはないか?」

    唯「眠くないよ。あはは~、なんか、狙ってる顔になってるよ」

    若「狙っておるからじゃ」

    唯「やっぱしか。えっ、もう?!」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    夜はいつまで続くかわかりませんが、9日のお話は、ここまでです。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    ありがとうございます!

    梅とパイン様、驚かせてすみませんでした。創作は自由とは言え、やはり承諾はいただきたかったので、感謝感謝です。

    では、頑張って描き進めます!

    投稿フォームへ

50件の投稿を表示中 - 401 - 450件目 (全678件中)