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  • 返信先: 創作倶楽部
    四人の現代Days4~13日金曜0時30分、それが理由です

    見せつけてもらおうじゃないか。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    リビング。唯とトヨは入浴中。

    源三郎「あの、若君様…」

    若君「ん?あ、あぁ、厠か?」

    尊「トイレ?じゃあ僕案内しますよ。使い方も教えますね。源三郎さん、こちらです」

    源「尊殿、手数をかけます」

    両親と若君だけになった。

    若「お父さん、お母さん」

    覚&美香子「はい」

    若「此度こちらに参った由を、話しとう存じますが」

    覚「うん、聞こうか」

    美香子「どうぞ」

    若「まずは、お父さんが階段から落ち怪我をされ、お母さんが食事も支度されておると聞き、これは速川家の危機と」

    覚「心配かけてすまなかったね」

    若「是非直ちに力になりたいと。お二方に恩返しがしたかったのです」

    覚「痛みはしばらくあるみたいだから助かるよ。ありがとう」

    若「次に、じきにクリスマスであると」

    美「やっぱりそれもあった?唯が騒がしかったんじゃない?」

    若「此度においては、唯はそこまで申してはおりませぬ」

    美「あら。忠清くんの意見なのね」

    若「未だ子の兆しはないのですが」

    覚「それは、いいから」

    美「気にしちゃダメよ」

    若「来年またその先に、こちらへ参る好機があったとして、その頃には身重になっておるか、子が居るやもしれませぬ。それはそれで良いのですが」

    美「臨月には来ない方がいいわ。3分後に生後1か月の子が急に一緒に居てはね」

    若「早い内に願いを叶えてやりたいと思い。デート、がしたいのならば尚更、身重でない内にと」

    美「なるほどね」

    覚「優しい旦那さんだよ」

    若「次に、何故四人で参ったかですが、唯の真の事情を承知しておる者が他に欲しかったのです。源三郎もトヨも信頼のおける者達ですので、令和という時代を見聞すれば、必ずや味方になってくれるであろうと思いまして」

    覚「唯が突拍子もない事言い出しても、背景を理解した上で、トヨさんなんか諫めてくれそうだもんな」

    若「戦のない世の姿も伝えたく」

    美「あー、そうね。あなたの考え方の、理解者が増えるものね」

    若「はい。その二人ですが、何というか…恋仲であるのに恋仲と認めず、今一歩踏み出しておらぬ感がありまして」

    美「え?すごくお似合いでいい雰囲気だから、てっきりお付き合いしてると思ってたわ」

    覚「さっき、まだって言ってたもんね」

    若「源三郎の腰が引けておるのです。このままでは、他の姫君と縁組み…こちらの世では結婚、の話が進んでしまいます」

    美「何が躊躇させてるのかしらね」

    若「どう転ぶかはわかりませぬが、場を変えれば、決断にも至るかと思いまして」

    覚「相当ヤキモキしながら見てたんだね」

    美「いっそ、源三郎くんの前で思いっきり、あなた達が仲良ーくしてるのを見せつけたらどう?」

    若「見せつける…」

    覚「そんなん忠清くんがしてくれたら、唯は大喜びだろうな」

    若「そう、ですか…」

    美「向こうでは立場上の問題もあるでしょうけど、こっちに居る時くらい、大っぴらにしててもいいんじゃない?」

    若「仲睦まじさでは、お父さんお母さんには敵いそうにありませぬが」

    覚「またまた~。持ち上げるのが上手いね」

    美「でも、悪くない話でしょ?」

    若「はい…」

    美「あらら、悩んじゃった?」

    若「いえ。励みます。最後に、実はこれが一番の決め手であったのですが、改めてお父さんお母さんにお頼み申したい」

    覚「え」

    美「なに?」

    若「源三郎もトヨも、既に両親は居りませぬ。共に父は戦で、母は病に倒れております」

    美「そうなのね」

    覚「戦国時代の宿命にもなるのかなあ」

    若「わしは、この先の世で、母の愛を知りました。父の愛も充分過ぎる程いただき」

    美「可愛いい息子だもの」

    覚「当然だよ」

    若「源三郎とトヨにも、同じように愛情を注いでやってはいただけぬでしょうか。子でもない者に対し、不躾な頼みとは重々承知の上ですが、お父さんお母さんにはそれをお願い出来ると勝手ながら思い、連れて参りました」

    覚「家臣思いというか…そこまで君にさせる程、優秀なお二人なんだ」

    若「此度唯に早う会えたのは、二人の尽力の賜物です」

    覚「尊に聞いたよ。唯が包まれていた様子が、君への贈り物みたいだったって」

    若「前に参った折、唯が陰口を叩かれておるのではと話が出ましたが」

    美「それ、気になってたの。どうだった?」

    若「正にその通りでした。わしが源三郎に伝え、源三郎はトヨに伝え。そして、あらゆる火種を消しに奔走してくれました。二人には恩があるのです。それゆえ、わしが感じた喜びを二人にも味わわせてやりたいと申しますか」

    覚「そうか。わかった」

    美「うん。私達で良ければ」

    若「ありがとうございます」

    覚「ちゃんとつとまるかわからないけど、また息子や娘が増えたようで嬉しいよ」

    美「ホント嬉しいわ。さすが忠清くんのお眼鏡にかなった二人だけあって、すごくいい子達だし」

    源三郎が戻って来た。

    若「それでは、お願い致します」

    覚&美「ははっ」

    源「お待たせ致しました。尊殿ですが、もうお休みになられるとの言付けを預かりました」

    美「そう。ありがとう」

    唯とトヨが風呂から出た。

    唯「見て!トヨの髪、すっごくキレイなの!」

    美「ホント綺麗な黒髪ね。まさしく濡羽色」

    腰まで届く程の長さがある美しい髪。

    美「女性の鑑ね」

    トヨ「そんな、お恥ずかしい」

    覚「それ、さっきも聞いたな。ははは」

    そろそろ寝ます。

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    12日のお話は、ここまでです。

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    返信先: 創作倶楽部
    四人の現代Days3~12日22時45分、まだ早い

    いつならいいんだ。
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    唯の部屋。

    トヨ「お召し物は、畳めばよろしいでしょうか?」

    唯「助かるぅ。ありがとう」

    着替えの途中、タンスの引き出しを開ける唯。

    唯「今からね、これ買いに行くの。ブラジャーとショーツって言ってね、こっちでは服の下に着るんだよ。ブラジャーは、胸を保護する的なモノ」

    引き出しを覗くトヨ。

    ト「まあっ!なんて可愛らしい!」

    唯「お母さんがさ、下着くらい可愛いのにしなさいって、どんどん買い集めてたんだよ」

    ザ・女子!といった、フリルが付いたり花柄であったり、色とりどりなラインナップ。

    ト「綺麗…このような品を私も?」

    唯「うん。サイズがあるからさ、一緒に行かなきゃいけないから。こっち来てすぐ車は、ちょっとびっくりだと思うけど」

    ト「可愛いい…」

    唯「みんなかわいいの好きだなあ」

    ト「そうは思われないのですか?」

    唯「思うけど、そこまでうっとり~とかはならない」

    ト「えー、すごくいいと思いますけど」

    唯「たーくんが喜んでるからいいけどね」

    ト「…良いのですか?そのような話を私に」

    唯「トヨにはなんでも話せるよ」

    ト「まぁ…勿体ないお言葉です」

    唯「ふふっ。お母さん待ってるから、急ごっか」

    お風呂。

    若君「わしの矢傷は」

    源三郎「はい」

    若「縫合は、お母さんの手による」

    源「なんと!金創医であらせられると」

    若「腹を下しても診る。幼き子らも同じじゃ」

    源「尊殿は、薬師ではない?」

    尊「違いますよ。医者…薬師は母だけです」

    源「いやはや、それは驚くばかり」

    尊「女性が開業しているのは、永禄に暮らす方にとっては驚きですよね」

    若「こちらの世では、至極当然な話じゃ」

    源「そうですか」

    風呂上がり。唯達はまだ帰宅していない。

    覚「源三郎くんの方が、ちょっと髪は短めだね」

    源三郎の髪は、下の方で軽く束ねてある。

    尊「雰囲気が違って、こっちもカッコいい」

    若「源三郎、褒められておるぞ」

    源「お恥ずかしゅうございます」

    覚「さてと。そろそろ布団用意しとこうかな」

    尊「あー、そうだね」

    若「ならば手伝います」

    源「いえ、わたくしが」

    覚「あ、うーんその前に。忠清くん、ちょっと来てくれるかな」

    部屋の隅に呼ばれた若君。

    若「いかがされました?」

    覚の囁き「源三郎くんとトヨちゃんってさ、寝るの一緒の部屋でもいいのかな」

    若君の囁き「おぉ、それは…ちと早いです」

    覚 囁き「早い。愛を育んでる最中って事?そうか。どうしようかな」

    若 囁き「何か困り事でも?」

    覚 囁き「客用の予備室はあるんだけどね、もし君が唯の部屋へとなると、彼らで一部屋になるもんだから。まあもう一部屋片付ければ、別々に休んでもらえるけどさ」

    若 囁き「ならば、わしと源三郎でその予備の部屋で休みます。トヨを唯と共に」

    覚 囁き「いいのかい?」

    若 囁き「はい。二人は参ったばかりで、不安もあろうと思いますゆえ、話をしながら休みます」

    覚 囁き「君はともかく、唯はさっさと寝そうだけどな。ちゃんと説明するかなー」

    若 囁き「いや、唯とトヨは遠慮なく話せる仲。案ずるには及びませぬ」

    覚 囁き「そうか。よく見てくれてるね。ありがとう」

    日付が変わった。二階で布団の用意が済んだ頃、ようやく女性陣が帰宅。

    尊「お帰りー」

    美香子「ただいま。あらっ、尊まだ起きてたの」

    尊「寝ろって言われても、気持ちが高揚しちゃってるから無理。布団出しといたよ」

    美「まあ、ありがとう」

    唯「たーくんただいまぁ」

    若「お帰り、唯。買い物は無事出来たか?」

    唯「うん。ねっ、トヨ」

    ト「はい。見る物全てが珍しく、とても楽しい時を過ごしました」

    若「車、はいかがであった?」

    ト「車。流れる景色が美しく、もっと乗っていたかったです」

    若「そう、か」

    源「若君様?」

    尊「あ、兄さんもしかして、初めて車乗った時を思い出してます?カッチカチでしたもんね」

    若「皆がそうではないのか…」

    尊「これに関しては、トヨさんに軍配ですね」

    若「完敗じゃな」

    ト「えっ、やめてください!若君様」

    唯「トヨ~着替え取ってきたよ、お風呂入ろっ」

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    夜はまだ続きます。

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    返信先: 創作倶楽部
    四人の現代Days2~12日22時30分、大騒ぎです

    見られるのは、予想か予定か。
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    実験室から移動中。

    覚「あー、サンダルが足りない」

    尊「僕、運ぶから」

    美香子「打掛を捲って歩くのは…仕方ないか」

    唯「外歩くもん、しょーがないでしょっ」

    源三郎「賑やかでございますな」

    若君「これぞ速川の家じゃ。源三郎、トヨ」

    源三郎&トヨ「はい」

    若「愉快で、心温まる一月になる。約束する」

    源&ト「はい!」

    リビングに到着。電気が煌々とついている。

    源「此処はまるで…日が差したかのようじゃ」

    トヨ「眩しい位」

    覚「なっなっ、唯が綺麗な着物着てる内に写真撮ろう。三脚取ってくるから、壁際に並んでくれ」

    若「はい」

    唯「はーい。じゃあこっち来て~」

    源「はっ」

    ト「床に敷物が。美しい柄だこと」

    七人、並んだ。

    唯「あれ、カメラって言うんだけど、あそこ見ててね。で、はいチーズって言ったらニッコリ笑って」

    源&ト「はいチーズ。はい」

    覚「はい、チーズ!」

    パシャリ。

    尊「どう?」

    覚「いい感じだ~」

    若「今撮った写真を確かめておるのじゃ」

    源「写真?」

    ト「確かめる?」

    美「お二人も見てみて」

    デジカメを覗き込む源トヨ。

    源「分身か?!」

    ト「小さくなってる!」

    若「わしも初めはそう思うたのう」

    唯「たーくんさあ」

    若「ん?」

    唯「二人のいろんなリアクションが見たくて、連れて来たってのもなぁい?俺は知ってるぞって」

    若「さあ」

    唯「あやしいな」

    若「どうじゃろ。お父さんお母さん、此度四人で参った由ですが」

    覚「あーいいよ。またゆっくり聞くからさ、お風呂入ったら?」

    若「おぉ、風呂ですか」

    覚「尊もまだだから、源三郎くんに色々教えながら三人で入っといで。あ、男性陣が先でいいか?唯」

    唯「いいよー。だって尊、明日普通に学校行くんでしょ。早く入んないと」

    覚「着替えは用意しとくから」

    美「着替え…下着…下着。あーっ、大変!」

    覚「何だ?どうした?」

    美「えーと、ショッピングモールはもう閉店してる…あと確か県道沿いに、もっと遅くまでやってる大きいお店あったわよね」

    尊「あるね。今すぐ何か要る物あるの?」

    美「あるの。その店、何時まで?」

    覚「えーと…0時までだな」

    若「お父さんの手元の小さき板で、何でもたちどころにわかるのじゃ」

    源「何と。最早何がどうなっておるのやら」

    美「そしたら、忠清くんと源三郎くんと尊はお風呂へ。お父さんは忠清くん達の着替えを用意。下着、新品あるから源三郎くんにはそちらを」

    覚「じゃあ取ってくるか」

    尊「僕も行くよ。兄さん、源三郎さんとここで少し待っててください」

    若「済まぬのう」

    美「唯とトヨちゃんは、今から買い物へ」

    唯「買い物?!え、今?なにを?!」

    そっと唯に囁く美香子。

    唯「あー。それ大事!」

    美「すぐ部屋に行って着替えてきなさい。トヨちゃんは悪いけどまだそのままね。で、タンスの中の唯のを見せてあげて。こういうのを買うんだよって。私、車暖めておくわ」

    唯「わかったー。トヨ、私の部屋は二階なの。行こっ」

    ト「は、はい」

    若「…あぁ。あれか」

    唯「うわ。たーくんもしかして、何買うかわかっちゃった?」

    若君は、自分の胸元を両手で押さえた。

    唯「やだー、ジェスチャーしないで!そんでもって、変な想像もしないように!」

    トヨの腕を引っ張りながら、二階に上がっていった。

    若「変、とは?唯が身に付ける様は至極可憐であるのに」

    源「畏れながら、若君様」

    若「何じゃ?」

    源「お母さんの急ぎ様を見るに、かなり重要な品とお見受けしました」

    若「そうじゃ。この先の世のおなごには」

    源「おなごに。とんと見当もつきませぬが、どのような品でございますか?」

    若「フフッ」

    源「え?」

    若「今にわかるやも知れぬ。いずれ目にするやも知れぬ」

    源「目にする…わたくしが見る折もあると?」

    若「源三郎次第じゃろう。ハハハ」

    源「?」

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    続きます。

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    返信先: 創作倶楽部
    (新)四人の現代Days1~2019年12月12日木曜22時10分、いらっしゃいませ

    この部屋、人口密度高し。
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    令和。実験室。

    尊 心の声(きっと来るはず)

    じっと一人で待っていた尊。すると、

    尊「あっ、光った!やったー…あれっ?」

    見え始めた人影がいやに多い。

    尊「え、ダブって見えてる?」

    眼鏡をかけたり外したりしていると、四人が現れた。

    唯「やったー!」

    若君「皆、無事であるな」

    唯「良かったぁ。よっ!尊!」

    尊「…」

    口が開いたまま、すぐに言葉が出ない尊。

    源三郎「尊…殿?此処は?」

    トヨ「何処?」

    若「尊、済まぬ。参る話は匂わせておったが、四人でとは申さなんだゆえ、驚かせてしもうたのう」

    尊「い、いえ。無事来れて良かったです」

    ドアを叩く音。

    覚「おーい、尊!」

    美香子「着いたんでしょ、開けて!」

    尊「あー、もう来ちゃった。お姉ちゃん、兄さん、源三郎さんとトヨさんに、簡単に説明しといて欲しい」

    唯「うん」

    若「わかった」

    尊「僕は、人数が多いのを説明してきます。じゃ、よろしく」

    尊は実験室のドアを開け、両親を押し出し外へ出て、素早く閉めた。

    若「源三郎、トヨ」

    源三郎&トヨ「はい…」

    若「ここは、永禄から四百五十年余り後、令和と申す時代じゃ」

    源&ト「…」

    唯「私が暮らしてた時代なの。で、尊は私のホントの弟でね」

    源&ト「…」

    唯「今、外で騒いでたのは、私のホントの両親」

    若「声も出ぬのも無理はない。わしが初めて参った折は矢傷を癒しておったゆえ、時間をかけ理解できた」

    源「…と、なれば」

    若「ん?」

    源「もしや此処は、若君様の隠れ屋にございますか?」

    若「ようわかったの」

    源「おぉ、それは…漸く腑に落ちました」

    若「そうか?」

    源「最早此迄と思う程の深い傷を負われ、隠れ屋にとはいえ、どう動かれたのであろうとずっと思うておりました。彼の折も、この術をお使いになられたのですね」

    若「そうじゃ。唯が救うてくれた」

    ト「まぁ…」

    ドアが開いた。尊が顔を覗かせる。

    尊「そろそろ、いいですか?」

    若「良いぞ」

    唯「いいよん」

    若君が、腰を下ろし床に手をついた。唯達三人も、ぎゅうぎゅう詰めになりながら同じ体勢になり、覚達が入るのを待つ。

    覚「こんばんは…わあっ」

    美「こんばんは。まあっ」

    ドアを閉める尊。尊達も、四人の前に正座した。

    若「お父さん、お母さん」

    覚&美香子「はい」

    若「只今、帰りました」

    覚「帰る…」

    美「参るじゃなくて帰るなのね。嬉しいわ」

    唯「ただいまっ」

    覚「お~唯。見違えたなあ」

    美「すっごく綺麗よ」

    唯「えへへ。一度、お父さんお母さんに見せたかったの」

    覚「そうか。そりゃ嬉しいな。ははは」

    美「後ろは伸びてるけど、前髪が元に戻ってるわね」

    唯「ん、まぁそういう事もある」

    尊「源三郎さん、トヨさん、えーとそっちでは昨日だな、お世話になりました」

    源「礼には及びませぬ。お父、さん、お母、さん。拙者、若君様の近習を務める、赤井源三郎と申します」

    唯「源三郎、赤井って名字なんだ」

    尊「今知ったの?」

    ト「あの、わたくし、奥方様のお世話をさせて頂いております、女中のトヨと申します」

    唯「女中頭ね」

    尊「二人とも、すごく優秀なんだよ」

    美「まぁ。唯と忠清くんがお世話になってます」

    源三郎&トヨ 心の声(忠清くん?!)

    若「一月、大所帯でござるが、よろしくお頼み申しあげる」

    源&ト 心(ひ、一月?!)

    唯「お願いしまーす」

    源&ト「お、お願い致します」

    四人、深々と一礼。三人も一礼。

    唯「一月こっちに居るけど、帰ったら永禄では3分後、180数えたくらいだからね」

    ト「あぁ、それが三分ですか」

    源「驚く事ばかりじゃ」

    唯「尊、戻る時の設定よろしくねん」

    尊「了解~」

    美「楽しくなりそうね」

    覚「賑やかで嬉しいよ。じゃ、リビングに行こうか」

    若君が覚にサッと駆け寄り、立ち上がるのを手伝う。

    若「まだ色々、不自由ではございませぬか?」

    覚「あー、嬉しいなぁ。息子が帰って来たんだなあって思うよ」

    若「そう思うてもらえ、わしも嬉しい限りです」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道、番号とあらすじ

    通し番号、投稿番号、描いている日付、大まかな内容の順です。
    なお、15話から18話は、令和の日付に読み替えています。
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    1no.818、2019/12/1、若君の日記が旧緑合の地で見つかる

    2no.823、12/2、不良達を成敗後城跡に着くまでの隙間

    3no.825、12/3、木村先生に会えた尊

    4no.827、12/3、覚が階段から落ちて捻挫

    5no.828、12/4、源三郎が煮え切らない

    6no.829、12/5、通販三昧と木村先生のメール

    7no.830、12/5、見つかった書の解説

    8no.831、12/6、若君の心の内

    9no.832、12/7、起動スイッチが新たに到着

    10no.833、12/8、行きたいダメよ行ってこい

    11no.834、12/9、源三郎を理解できない

    12no.835、12/10、唯はトヨが見張り中

    13no.836、12/11、子供達の幼い頃に想いを馳せる両親

    14no.837、12/12、尊永禄に出発

    15no.839、12/12、無事着いたが若君に翻弄される尊

    16no.841、12/12、源トヨのミッション始まる

    17no.842、12/12、まずは唯を起こして

    18no.843、12/12、ようやく会えた唯と若君

    19no.844、12/12、尊戻るさて飛ぶの飛ばないの

    20(終)no.845、12/12、褒美は現代への旅

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道20(終)~12日22時、絆の輪です

    絶対楽しい。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    永禄。満月の日の夕方。天野家は、朝に起こった話で持ちきりだった。

    小平太パパ「それはそれは、堂々とされ」

    じい「ほほぉ」

    吉乃「唯の、のどの具合はいかがでございましたか?」

    小パ「手を振りながら、治ったよと。すっかり元通りでこざった」

    小平太「治っておったのですな。それを見計らい動かれたとは、さすが若君様」

    小パ「お前もなぁ、それ程に熱い思いを寄せるおなごとかは」

    小「居りませぬ」

    小パ「色気がないのう」

    じ「それにしても、わしも見たかったわい、若君が唯之助を抱え歩く様を」

    ┅┅回想。今朝の若君┅┅

    唯と朝を迎え、朝の膳も二人分運ばせた。唯を居室へ送り届ける際、

    唯「たーくん、そんな、自分で歩くよ」

    お姫様抱っこ。

    若君「ならぬ」

    唯「なんで?」

    若「唯が勝手に参ったのではない。わしが拐ってきた姫をお返しにあがっておるからじゃ」

    唯「…守ってくれてるの?」

    若「当然じゃ」

    唯「嬉しいっ」

    小パ「あっ、わ、若君様…」

    ┅┅回想終わり┅┅

    夜10時になった。唯の居室。

    トヨ「随分と夜も遅いですが」

    唯「確かに。いつもならとっくに、たーくんとラブラブタイム」

    ト「お召し替えはなさらずで良いのですか?」

    打掛姿の唯。

    唯「うん。戦国の姫君の姿を見せてあげたいから」

    ト「え、若君様に?ではないですよね」

    外で声がした。

    若「唯」

    唯「どーぞぉ」

    入って来たのは若君と、

    若「おぉ、唯はそのなりか。良かろう。入れ」

    源三郎「は、はっ」

    ト「あ、源ちゃん」

    源三郎。

    唯「揃ったね」

    若「あぁ。源三郎、トヨ」

    源三郎&トヨ「はい」

    若「昨晩は、わしと唯の為に心を砕き時間を割いてくれた。心より礼を申す」

    源「並んだお姿を拝見出来るのは、この上ない喜びでございます」

    ト「お役に立て、胸を撫で下ろしております」

    唯「ごめんね、こんな遅い時間で。人目がないに越したコトないんで」

    源「人目?」

    若「折り入って二人に話があるが、その前にトヨに尋ねたい」

    ト「はいっ」

    携えてきた風呂敷を出した若君。

    唯「なかなか、入り心地良かったよぉ」

    源&ト「痛み入ります」

    若「二枚共、それぞれ何枚かを縫い合わせておるようなのじゃが」

    広げてみると、かなり細かく縫ってある。

    ト「わたくしが縫いました」

    若「やはり」

    ト「あの、昨晩ですが、ずっとブランコに居た訳ではないのです」

    若「申してみよ」

    ト「源ちゃんと、どうにかできないかしらとは毎日話しておりました」

    源「勝手ながら、いっそお包みし荷物に紛らせ、お運びするのはどうかと」

    ト「肌が擦れるのは以ての外ですので、肌当たりの良さそうな生地を、大きくするため縫い合わせました」

    唯「嬉しい。ありがとう」

    ト「仕事が終わった後に毎日少しずつ縫っておりましたが、ちょうど昨晩のあの時間に縫い上げましたので、どうしても警固中の源ちゃんに見せたくて、行きましたところ」

    源「ちょうどその時、若君様がお呼びになられたので」

    ト「サッと隠れ、お部屋に入られた後にブランコに戻り待っておりました。ですので、寒い中ずっとそこに、ではなかったのです」

    若「そうか…されど、折角の逢瀬をわしが呼んでしまい、邪魔をした。済まなかったの」

    ト「え!いえ」

    源「そのような…」

    若「唯、斯様な話じゃが」

    唯「うん。感動した。今の話聞いて、完全に決めたよ。連れてく」

    源「連れてく?」

    ト「どちらへ?」

    唯「あのね」

    源&ト「はい」

    唯「3分間、夢のような夢じゃない時間、過ごしてみない?二人にご褒美っていうか」

    若「唯、三分間ではわからぬ」

    唯「あ、そっか。ゆっくり180数えるくらいだよ」

    源「褒美で連れられて?」

    ト「百八十数える内?」

    若「是非、共に参りたいが」

    源「是非とあらば。心得ました」

    ト「御意のままに」

    若「うむ」

    唯「じゃあ、円陣で。寄って寄って」

    四人で輪になった。時計回りに、唯、若君、源三郎、トヨ。

    唯「隣同士で手を繋ぐよ。しっかりとね」

    源&ト「えっ」

    唯「つべこべ言わなーい。で、源三郎はたーくんの腕つかんでて」

    若君が、起動スイッチ2号を取り出した。

    源三郎 心の声(唯之助の脇差に似ておる)

    唯が若君の右腕をしっかりと掴んでいる。

    若「では、参るぞ」

    唯「お願いしまーす!」

    源&ト「え?」

    起動スイッチが作動する。

    唯「ねぇ、これってさ、向こうに満月の一日前に着かないよね?話がややこしくなるもんね」

    若「前にも満月の日に令和に着いた。こちらから参る折はそのようになっておるのでは」

    唯「そっか」

    若「今それを申すか?」

    唯「だよね~。まっ、なんとかなるっしょ」

    四人、消えていきました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    長い間、(仮)でしたが、次回からは正式タイトルで新たにお送りします。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道19~2019年12月12日21時20分、のるかそるか

    会いたい気持ちは全員同じ。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君の居室。

    尊「さてと。ミッションも完了したし、そろそろ帰るよ」

    唯「帰る?え、一月居なくてもいいの?!なにそれ!1号新機能?」

    尊「うん。バージョンアップしたから。未来の僕が」

    唯「ほえー。一月もここでどうするんかと思ってた」

    尊「明日普通に学校行けって言われてるからさ。長居してなんかあっても困るし」

    唯「そうなんだー。厳しいのう。でもホントありがとね」

    尊「来た経緯は兄さんに話してあるから」

    若君「尊。本当に、ありがとう」

    尊「いえいえ。じゃあ行きますね」

    起動スイッチを抜いた尊。スゥっと消えていった。

    唯「なんかお手軽になってる?」

    若「そうでもなかろうが。唯」

    唯「はい」

    若「わしが預かっておるスイッチ、今夜でも安全、に使えるらしい」

    唯「え?今尊が動いたばっかりなのに?」

    若「未来とやらはかなり術が進んでおるらしく、使っても大丈夫です、と、尊が申しておった」

    唯「えっ…その気になれば、今夜飛べるって事?えーどうしよう。向こうではいつからいつまでになるのかな」

    若「令和元年12月12日から、令和2年1月11日までらしい」

    唯「うわぁ、もしかして念願の」

    若「クリスマスデート、はできるのう」

    唯「えー、えー、行きたいっ!あ、でも尊、今超大事な時期だよね…」

    若「そこなのじゃ」

    唯「ん?」

    若「ん?」

    唯「普段のたーくんなら、邪魔をしてはならぬ、だから参らぬとか言わないっけ?」

    若「尊が熱心に学んでおる最中であり、心苦しい面もあるのじゃが…わしに考えがあっての」

    若君は、令和に飛ぼうと考える最大の理由を話し始めた。

    唯「えっ」

    若「唯は、如何思う」

    唯「うん。すごくいいと思う。それ、尊は知ってる?」

    若「いや」

    唯「飛ぶのはなんて言ってた?来てもいいよって?」

    若「良ければ、と」

    唯「ん、まぁそうなるよね。今の尊が、来て来て!なんて絶対言えないもん。ウチの家族は、普段は大歓迎だと思うけどさ」

    若「お母さんが特に厳しいと。尊の将来を案ずるがゆえであろうが」

    唯「でもね、そのたーくんの考えてる理由で来ました、なら怒らないと思うよ」

    若「だが、尊の学びを邪魔はしとうない。そこが悩みどころじゃ」

    唯「アイツは、出るな!って部屋に押しこんどけばいいんだよ」

    若「それは手荒な」

    唯「ウソウソ。あのね、尊は受験直前まで焦って勉強なんかしないよ。今までずっとがんばってきただろうしさ。たーくんと約束したじゃない、倍がんばるって。大好きなお兄ちゃんとの約束は絶対守ってるよ」

    若「さすが姉君じゃ」

    唯「へ?」

    若「尊をようわかっておるのじゃな」

    唯「さほどでもございませぬぅ」

    若「優しく見守うておる」

    唯「優しいと言えばたーくんでしょ。そんな優しいたーくんに」

    若「何じゃ?」

    唯「もっと、ギュ~ってして欲しいなぁ」

    若「ハハッ」

    唯「えー、してくれないの?」

    若「ギュ、では済まぬが良いか」

    唯「きゃあ!やーん、やっぱ生のたーくん、いい!」

    若「生?」

    ┅┅

    さて、令和の実験室。

    美香子「あっ、光った!」

    覚「無事か?!」

    尊「…ふう。ただいま」

    三人、手を取り合って喜び合う。

    美「ケガとかない?」

    尊「うん」

    覚「じゃあリビングに戻るか。積もる話はそちらで」

    尊「…ここで待ってようかな」

    美「え?待つってまさか」

    覚「唯、こっちに来るつもりなのか?!」

    美「そんな、尊の状況もわかってるはずなのに?もう、無茶ばっかりして!」

    尊「ううん、来ようと思ってるっぽいのは、兄さんなんだ。お姉ちゃんとはそんな話してなくて」

    美「忠清くんが?」

    覚「それって、もしかしてクリスマスが近いからか?」

    尊「多少はあると思うけど、兄さんとその話は一切してない」

    覚「何だろう?思慮深い彼の事だ、尊の状況を理解した上でなお、何か思う所があるんだろうな」

    尊「だから、良かったらどうぞって言ったよ」

    美「…もし来るとしたら、いつまでになるの?」

    尊「1月11日」

    美「え、センター試験って確かその翌週じゃない?」

    尊「うん。一週間もあるじゃない」

    美「…」

    尊「色々その、お父さんの捻挫の話とかしてた時も、所々何か考えてる感じだったんだ。兄さんがホイホイと来るなんて人じゃないのは周知の事実じゃない。それでも何かそうさせる理由があるんだよ、きっと」

    美「捻挫の話しちゃったの?それは心配するでしょう~」

    尊「兄さんに、何か隠してるだろうって詰め寄られて、白状したんだよ~」

    覚「さすが鋭いな」

    美「ん~。でも来るかははっきりしないんでしょう?ひとまずは着替えなさい」

    覚「そうだな。来ればここが光るから、リビングからもわかるし。風呂は…もうちょっと後にするか?」

    尊「うん…今日中は待ってみる」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道18~永禄4年11月21日23時45分、深夜に咲く花

    あなたに逢うために産まれた、みたいに。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯の居室。

    唯「あ、たーくんに会えるなら…ちょっと待ってくれる?」

    トヨ「はい」

    棚をゴソゴソ探す唯。グロスを取り出した。

    ト「あ。源ちゃん、ちょっと後ろ向いてて」

    源三郎「ん?わかった」

    仄かな明かりの中、艶々の唇になった唯。

    唯「えへへ。よしっ。じゃ、よろしくぅ」

    若君の居室。若君と尊、歓談中。

    若君「そうか、満月の日であったのに、はさみ揚げは食せなかったと」

    尊「そんな時もありますよ」

    外に人の気配がした。

    若「参ったか!」

    言うやいなや体が動き、襖を開けていた若君。

    源「若君様、尊殿、お待たせ致しました」

    なんと、源三郎は大事そうに大きな大きな風呂敷包みを抱えていた。

    尊「もしやお姉ちゃん、あの中に?」

    そっと床に包みを置いた源三郎。すぐに、後ろに控えていたトヨの位置まで下がった。

    若「…唯?」

    若君が優しく触れる。モゾっと動き、中から声がした。

    唯「…たーくん?」

    若「おぉ、唯、唯!」

    急いでほどき始めた若君。風呂敷二枚で包まれていた唯。ほどく度に、はらりはらりと花びらが開くようだ。

    若「唯…」

    全てほどき終わると、唯が両足を抱えるように座っていた。顔を上げると、まず艶やかな唇が見え、そして、被さった髪をかきあげると…

    唯「たーくん!会いたかったよぉ!」

    若「唯!」

    固く抱き合う二人。

    尊「良かったね…あ、いけねっ」

    くるっと二人に背中を向けた尊。ぽーっと二人の再会を眺めていた源トヨも、

    ト「あっ、私達も後ろ向かなきゃ」

    源「おっと」

    くるっと襖側に向いた。

    ト「尊様、慣れていらっしゃるわね」

    源「そうだな」

    どのくらい時間が経ったか。

    唯「尊~」

    尊「あ、ラブラブタイムは終わりましたか」

    声を合図に、体の向きを戻した三人。

    唯「久しぶりっ」

    尊「ようやく僕にも再会のあいさつね」

    唯「着物、なかなか良いじゃん」

    尊「サンキュ。あれ?前髪って、長く伸ばしてなかったっけ?」

    唯「がんばって伸ばしてたけどさ、ちょっとうっとーしくって切っちゃった」

    尊「自由にやってんなぁ。声、全然普通だけど、まさかもう治った?」

    唯「大根アメ、無敵!もーすっかり、のど全快っす!」

    尊「マジか。早ぇな」

    唯「お母さんが作ってくれた、ってだけで治るんだよ」

    尊「なるほどね」

    若「源三郎、トヨ。此度はまこと、大儀であった。心より礼を申す」

    源「お役に立てて宜しゅうございました」

    ト「私共も、心より喜んでおります。あ、こちらを」

    トヨが運んで来た、もう一つの包みを差し出した。

    ト「明日の奥方様のお召し物でございます。今宵は…こちらでお休みになられると思いましたので」

    若「何と気の利く」

    唯「嬉しい、ありがとう、トヨ!」

    若「トヨ」

    ト「はっ、はい!」

    若「明日も早うから忙しいのではないか?遅うまで時間をとらせ済まなかったの。今宵はもう下がって良い」

    ト「いえ、勝手にブランコに乗っておりましたし、そのような」

    若「源三郎」

    源「はっ」

    若「トヨを寝所へ送り届けよ」

    源「宜しいのですか?」

    若「しばしトヨの警固を」

    ト「まぁ…」

    源「ははっ!」

    尊「あっ、お二人もう行きますよね?これ僕もういいんで、良かったらどうぞ」

    立ち上がり、持っていた使い捨てカイロを源トヨに一つずつ渡す尊。

    源「若君様並に背丈のある御方だったとは」

    尊「まだしばらく使えるんで」

    源「これは温かい」

    ト「まぁ」

    尊「冷めてきたら、シャカシャカ振ってくださいね。少しはもちますから」

    源「そのように使うと。頂戴します」

    唯「あんた、二つも持ってたの?しかも何よ、その足!」

    尊「うるさいなぁ。寒いの嫌だからだよ!」

    尊の足元は、モコモコの毛糸の靴下だった。

    唯「たーくん、何とか言ってやって~」

    若「洒落ておる」

    唯「は?」

    笑いを堪えながら、源トヨは去っていった。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道17~永禄4年11月21日23時30分、どうなる?

    ここまで親身にしてくれるなんて。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    引き続き若君の居室。源トヨを信じて待つ、若君と尊。

    尊「千羽鶴、こちらでも完成したんですね」

    令和から持っていった千羽鶴と、永禄の皆で作った千羽鶴が、床の間に並べて飾ってある。

    若君「あぁ。父上にも、戦なき世を皆が願っておる、と伝える事も出来た」

    尊「それは良かったですね」

    若「ところで、今、そちらの世は安泰か?」

    尊「はい。今のところは大丈夫です。あの、タイムマシンなんですけど」

    若「うむ」

    尊「兄さんが持ってる方のスイッチの性能を、未来の僕が上げまして。5人は今回無理ですけど」

    若「今は学びに勤しんでおるからじゃな」

    尊「はい。燃料の残りでいくと、二人2往復できます」

    若「そうか」

    尊「一度に運べる人数が増えてて、今なら四人で1往復が最高値です。手を繋ぐとか、くっついて飛ぶのが条件ですけど」

    若「四人も一度にか。それもたまげる話じゃ」

    尊「五人以上タイプは、気長に待ってください」

    若「ハハハ。心得た」

    その頃、唯の居室。到着した源トヨ。

    トヨ「行ってきます」

    源三郎「頼んだぞ」

    そっと居室の中に入るトヨ。当然唯は就寝中。

    ト「奥方様、奥方様、起きてはいただけぬでしょうか」

    肩を優しく揺り動かしながら声をかける。

    唯「ん…」

    ト「あ、思ったより早かったわ」

    唯「ん…ん?わっ、びっくりした!どしたの、こんな夜遅くに」

    起き上がった唯。

    ト「あの、わたくし先程、尊様とおっしゃる御仁にお会いしました」

    唯「えーっ!」

    ト「しーっ!」

    唯「ごめんっ。え?尊?なんで?満月って確か明日…」

    ト「満月が何か?」

    唯「そっか、一日前に着くパターンの方で来たか。で、で?」

    ト「今、若君様の居室においでです。尊様から品を預かりましたが、あの」

    唯「えー、会いたい!でも品も気になるぅ。で?」

    ト「源ちゃんを呼んでも良いでしょうか」

    唯「え、何その全員集合な感じ。うん、良いよぉ」

    源「御免」

    風呂敷を持って、源三郎が入って来た。

    源「こちらでございます」

    唯「わぁ、なになに」

    風呂敷をほどく。

    唯「薬だぁ、あ、食べ物もある。あ、トヨ見て!」

    ト「まぁ、爪を染めるあの品ですね」

    唯「マニキュアまで入ってるなんて、気が利いてる!…あ、手紙だ」

    すぐに読み始めた唯。涙ぐんできた。

    源三郎&トヨ「…」

    読み終わると、何かを探し始めた唯。

    唯「どれがそれ?あ、これかぁ。手拭いに包んであるからわからなかった」

    中から出てきたのは、大根アメの瓶と、子供用のスプーン。

    唯「懐かしい…これでのどカンペキに治る!」

    すぐに蓋を開け、舐めだした。

    唯「甘ーい、おいしーい!」

    源三郎 心の声(幸せそうなお顔をされて)

    トヨ 心の声(尊様はやはり薬師なのね)

    唯「あ、あ、あ。どう?いい声でしょっ」

    ト「えっ、治ってる」

    源「なんとよう効く薬じゃ。しかも治られたならば益々好都合」

    ト「まさしく。あの、奥方様」

    唯「うん」

    ト「若君様の居室に、お連れしても宜しゅうございますか?」

    唯「えっ…たーくんと、尊に会えるの?でも私、ふらふら歩いてたら怒られない?」

    ト「私と源ちゃんに策がございます。あの、少々手荒とお感じになられるやもしれませぬが」

    源「大切にお運びいたします。我々に、ゆだねていただけますか?」

    唯「会えるなら何でもいいよ、お願いします!」

    源&ト「承りました」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    返信先: 初書き込み掲示板
    創作について

    てんころりんさんに呼ばれた、妄想作家の夕月かかりてです。

    Akita inuさんは、創作倶楽部に最新の投稿で出てくる私のお話で、きっと戸惑われましたよね。いきなり何だ、とお感じになられたとお察しします。すみません。また、名乗られずともそっとご覧になってみえる方に向けて、別の板の話ではありますが、お答えします。

    このアシガール掲示板は、元々NHKドラマの公式掲示板が前身ですので、原作を読まれていない方も数多く、私夕月かかりても、未だ原作は読んでおりません。

    単行本12巻の第77戦以降が映像化されていないとお聞きしています。そこまでの内容で且つ、ドラマではここからここに場面が飛んだけど、その間が気になる!なら埋めちゃおう!と隙間脚本が大盛況となりました。私は、その頃はこの地に到達しておりませんので、皆さんの楽しいお話は後から拝見いたしました。

    私の創作は、パラレルワールド系です。原作がお好きな方には、あれ?この日付だとこの時季はこんな内容じゃなかったよ、と不快にお感じになられるかもしれません。ご覧いただいた皆さんの温かい励ましで、今日に至っております。

    各作家様ごとに色が違うので、もしよろしければにはなりますが、お気に入りの方が見つかると良いですが。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道16~永禄4年11月21日23時15分、任せます

    夜中に外は寒いよ。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    引き続き若君の居室。

    若君「そうじゃな…」

    尊「…」

    若「よし。尊」

    尊「はい」

    若「近習を呼ぶ。信頼出来る者じゃ」

    尊「わかりました」

    若君は立ち上がり、襖を開け居室の外へ出て、中が見えないようにすぐピシャリと閉めた。

    若「源三郎は居るか」

    源三郎「はっ」

    庭から現れた源三郎。

    若「そこに居ったか。良いか源三郎」

    源「はい」

    若「中へ。そして、何を見ても大きな声を立てるでないぞ」

    源「え?はっ、心得ました」

    源三郎を居室に招き入れると、またしてもすぐ襖をピシャリと閉めた。

    源「うっ」

    尊を見て、明らかに狼狽えている源三郎。

    尊「こんばんは」

    源「こちらの御仁は…」

    若「大切な客人じゃ。そして唯の客人でもある」

    源「そうでございますか」

    若「頼みがある。何とか客人を唯に会わせたいが、世話をしているトヨと話は出来ぬか?」

    源「直ちに、でございますか」

    若「無理を承知で申しておる。済まぬ。このような夜更けに」

    源「今、呼んでも宜しければ」

    尊「え」

    若「出来るのか?」

    源「畏れながら申し上げます。トヨなら外に居ります」

    若「何と」

    源「若君様が使って良いと仰せになったので、今宵は警固番をしつつブランコで落ち合うておりました。警固が片手間のような形になり、申し訳ございません!」

    平伏す源三郎。

    若「そうだったのか。それは構わぬが、さぞかし外は寒かろう。すぐに呼べ」

    源「はっ」

    トヨを呼びに行く源三郎。

    若君 心の声(夜更けに逢瀬をする仲であるのに、何故縁組みを断らぬ?)

    すぐにやって来たトヨ。

    トヨ「若君様、申し訳ございません」

    平伏す二人。

    若「それは良い。これからも使うてくれ。わしにとっては好都合であったし。それで、頼みじゃが」

    源三郎&トヨ「はい」

    若「一番の望みは、この」

    尊「あの、尊と申します」

    若「尊を唯と会わせたい。無理であれば、尊が遠路運んだこの薬を、唯に渡したい」

    源「そうでございますか」

    源三郎 心の声(尊殿は、若君が呼ばれた薬師なのであろうか)

    トヨ 心の声(心なしか、奥方様に似ていらっしゃるような…気のせいだわ。きっと)

    若「如何であろうか」

    顔を見合わせる源トヨ。

    源「若君様」

    若「手立てはありそうか?」

    源「はい」

    若「おぉ」

    源「実は今宵私共、無茶とは思いつつ、若君様と奥方様を会わせて差し上げる事は出来ぬかと算段をしておりました」

    尊「優秀な家臣だなぁ」

    源「お預かりした品を届けるのは、容易うございます。まずは奥方様にお持ちして」

    若「頼む」

    源「その後、こちらにお連れする際ですが」

    若「出来るのか?!」

    源「私共に考えがございます。少々…手荒になっても宜しいでしょうか。傷つけるという意味合いではございません」

    若「…承知した」

    ト「大切に、大切にお連れいたします。どうかお許しください」

    若「そなたらのする事じゃ。案じてはおらぬ。宜しく頼む」

    源「では、尊殿、お品お預かり致します」

    尊「お願いします!」

    源トヨ、二人で荷物を持ち出て行った。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    返信先: 初書き込み掲示板
    いらっしゃいませ、Akita inuさん

    よくぞ辿り着かれました。新しい方に、来ましたよ~とおっしゃっていただけるのは嬉しい限りです(*^o^*)

    ここには、いろいろな場所が用意されています。メインの掲示板はじめ、自由に雑談できる場所や、私が主に巣くっている創作倶楽部なんて所もあります。Akita inuさんのお好みで、ぼちぼちとお訪ねいただければと思います。

    また、ここをどのように見付けられたかも、いずれお聞かせくださいね。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道15~永禄4年11月21日23時、着いたー!

    褒めて伸ばす?
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    変わって永禄。若君の居室。

    若君 心の声(寝付けぬ…)

    既に床についていた若君だったが、眠れずとうとう起き上がってしまった。

    若 心(…)

    このところ多忙だった若君は、唯にも未だ会えず、また源三郎にも縁組みへの考えを聞けずじまいでいた。

    若 心(どうにも落ち着かぬ)

    すると、急に居室がガタガタと揺れ出した。すぐに立ち上がり、刀を取った若君。

    若 心(揺れる?まさか…満月は明晩じゃ)

    すぐに揺れは治まった。が、背後に人の気配を感じた若君、即、刀を抜き振り向いた。

    若君「何奴!おぉ」

    尊「わー!命だけはっ」

    若「尊!」

    刀を戻し、部屋の奥で腰を抜かしている尊の前に座った若君。

    尊「あーびっくりした~。お久しぶりです…」

    若「尊」

    尊「はい」

    若「洒落ておるの」

    尊「うわっ、開口一番がそれですか」

    若「よう似合うておるぞ」

    尊「かたじけのうぞんじます」

    若「そうか」

    尊「え?」

    若「タイムマシンが出来、迎えに参ったのじゃな。さすが尊。ここまで早いとは見上げたものじゃ」

    尊「わー、やっぱそう思いますよね。違うんです。今日は、兄さんとお姉ちゃんを救いに来ました」

    若「救う?」

    すると、外で声がした。

    源三郎「若君様、ひどく屋敷が揺れましたが、ご無事でございますか?」

    若「今宵は、源三郎か。大事ない。下がって良い」

    源「はっ」

    源三郎の気配が消えたのを見計らって、話し出す若君。

    若「救うとは?」

    尊「兄さん、しばらくお姉ちゃんに会えてませんよね。風邪こじらせたかなんかで」

    若「何故それを」

    尊「兄さんの切ない書、見ました。発見されたんです。令和で」

    若「何、と…」

    尊「のどを傷めてるって書いてあったので、薬を持って来たんです。お姉ちゃんに何とか渡せませんか?」

    若「その為だけに参ったと?学びを止めてまでか?」

    尊「あの、実はこの起動スイッチ1号、未来の僕が機能アップしてくれて、満月の日に飛ぶと、前の日に着いて」

    若「聞き覚えがある話じゃな」

    尊「で、日付さえまたげば、すぐ令和に帰れるんです。一月待たなくても」

    若「そうなのか」

    尊「だからえーと、腕時計…良かった、狂ってなかった。あと1時間もすれば帰れるんです」

    若「されど、少なからず身を危険に晒してまでとは…済まぬ。息災であったか?」

    尊「はい!」

    若「お父さん、お母さんは?」

    尊「あ、あっ、はい」

    少し言いよどんでしまった尊。

    若「ん?」

    尊「え?」

    若「何やら隠してはおらぬか?」

    尊「いえ、元気、元気ですから」

    しまった、と下を向いた尊。そこへ若君の手が伸びた。

    若「尊」

    クイっと、尊の顎を掴み持ち上げた若君。

    尊 心の声(こ、これは、伝説の顎クイってヤツ?!)

    若「有り体に申せ」

    尊 心(やってる事は、尋問だけど)

    尊「兄さんはお見通しですね。実は少し前に、父が階段を踏み外して」

    若「何だと」

    尊「右手右足をひねって。足はもう大丈夫なんですけど、手がまだで」

    若「家事はどうしておるのだ」

    尊「料理は、母がほとんどやってます」

    若「それは…お母さんは院がある。体に障ってはおらぬか?」

    尊「あと少しだからって言ってます。だから大丈夫ですよ」

    若「そうは言えども」

    尊「で、お姉ちゃんには会えましたか?」

    若「いや。会うてはおらぬ」

    尊「そうですか。あの」

    風呂敷をほどいた尊。

    尊「色々持って来たんです。両親の手紙もあります」

    若「それは…是が非でも渡さねばのう」

    尊「何か方法ありませんか?」

    若「うむ…」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道14~12日木曜7時、いざ!

    なーんか、緊張感ないんだよなー。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    速川家。朝ごはん中。

    覚「晩飯は早めに用意する。あと悪いな、今日ははさみ揚げ作れないから」

    尊「うん。また来月楽しみにしてる」

    いつものように時間が進んで行く。

    尊 心の声(いよいよ今夜初飛行。学校行ってる場合じゃなくない?でも親は許してくれず、と)

    尊「行ってきまーす」

    覚「おー」

    美香子「行ってらっしゃい」

    そして夜になった。

    尊「晩ごはん、ステーキなの?!」

    覚「どーんとな。腹が減っては戦ができぬ、だろ?」

    尊「戦には巻き込まれたくないけど。そうじゃないから行けるんだし」

    覚「いざとなれば、走って逃げなきゃならんだろ?だから肉でスタミナをな」

    尊「いざ、になる前に捕まるよ」

    美「お父さん、縁起の悪い事言わないで~」

    覚「すまんすまん」

    尊「これだから、ウチの家族は」

    20時30分。いよいよリビングで着物の着付けが始まった。

    尊「ステテコって、これ?えーっ」

    覚「あると大分違うから」

    美「はい、穿いて」

    尊「うぇっ」

    着付け完了。

    覚「おー、似合ってる」

    美「カッコいいわよ」

    尊「痛み入ります」

    21時。荷物の確認。

    美「この辺が、市販薬。でこっちが栄養補助食品。こっちが包帯や体温計。でね、薬局でついマニキュアも買っちゃったから持ってって」

    尊「わかった」

    覚「で、これこれ」

    大根アメ。

    尊「あー、久々に見た。うん、これが一番喜びそう」

    美「あと、これ」

    封筒。

    尊「お姉ちゃんへの手紙?」

    美「うん」

    覚「唯に会えない可能性もあるだろ。最低でも忠清くんには渡せるといいが」

    尊「そうだね」

    美「荷物全部、風呂敷に包むわね」

    尊「あ、大事な物用意しなきゃ。カイロ」

    覚「あー」

    使い捨てカイロを袋から出した。二つ。

    美「そこまで寒いかしら?だって多分寝室に飛ぶでしょ?外じゃなく」

    尊「念には念をだよ」

    21時15分。実験室に三人移動した。

    美「いよいよね」

    覚「頑張ってこい」

    尊「うん」

    覚「日付変わったら、出来るだけ早く帰って来いよ」

    尊「わかった」

    美「ちなみに、明日も学校は行ってもらうからね」

    尊「やっぱしかー。ちぇー」

    覚「学生の本分を忘れるな」

    尊「はいはい」

    タイムマシンエリアに立った尊。

    尊「では、行って参ります!」

    覚「おー」

    美「行ってらっしゃい」

    尊「そのさぁ、見送り方が、朝学校行く時と同じってどうな…」

    起動スイッチ1号と共に、消えていった。

    覚「何か言いながら消えてくのは、姉弟一緒だな」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    現代Days(仮)への道13~11日水曜14時、特等席です

    あーんして、は想い出でもあるんだね。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    変わって令和。キッチンに、覚と美香子。

    覚「せっかくの休日に、働かせてごめんな」

    美香子「いいのよ~。作り置きは、やれる時にやっとかないと」

    美香子が材料を切り、覚が炒めたり煮込んだりしている。コンロがフル稼働中。

    覚「明日は満月だから、ホントは蓮根のはさみ揚げ作ってやりたいけど」

    美「まだ手が本調子じゃないもの。一回見送りにしましょう」

    覚「そうするよ」

    粗方の作業を終えた。15時。

    覚「お茶入れるよ」

    美「うん」

    一息つく二人。

    覚「明日の話」

    美「はい」

    覚「押し切るみたいになっちゃったけど」

    美「いいわよ。飛ぶなら今、って確かにそうだし」

    覚「薬とか、色々買ってきたみたいだな」

    美「うん。あとね、もしあの書の通り、残りはのどの痛みだけなら、とっておきの秘薬を持たせようと思ってるの」

    覚「へぇ…あ、あれか。大根アメ」

    美「さすがお父さん」

    休憩後。

    覚「これを煮沸消毒だな」

    美「作り方は簡単なのよね」

    小さめに切った大根とハチミツを、煮沸消毒済みのガラス瓶に入れ、蓋をした。

    美「明日の夜にはちょうど出来てるわ」

    覚「なんか、思い出すな」

    美「うん。いい思い出ばっかりよ」

    ┅┅回想。唯や尊が幼かった頃。日曜昼下がりの速川家リビング┅┅

    唯「うわぁーん、いたいよぉ、うわぁーん!」

    美「あーあ、泣き出しちゃった」

    隣で尊が、我関せずとばかりに積み木で一人遊びしている。

    覚「一緒に泣き出さないだけ助かるが」

    唯「ひっく、ひっく」

    美「まだお口の中、いたい?」

    唯「いたぁい」

    美「そっか。ちょっと痛みが残ってるかな。よしよし。そろそろアレが出来てるはず…ゆい~、ちょっとまっててねぇ」

    お盆に、瓶に入った大根アメとスプーンを数本のせて持って来た。ペタンとリビングの床に座る美香子。

    美「はい、ママのおひざにどーぞ」

    唯が走って来て、膝にチョコンと座る。

    美「あまーいのあげよう」

    唯「おくすり?にがいの、いや」

    美「おくすりじゃないわよ。ほら、ママいま、しろいおようふくきてないでしょ?」

    唯「きてない」

    美「みかこせんせいじゃないから、おくすりじゃないのよ~」

    瓶を開け、上澄みをスプーンで少し掬った。

    美「まずはママが味見。うん、上出来。ゆい~、あまいのできたよぉ~」

    唯「あまいの?」

    子供用スプーンに持ちかえて、ほんの少し掬った。

    美「はい、あーんしてくーださい」

    唯「にがくなぁい?」

    美「ううん、とーっても、あまいわよ~」

    おそるおそる、ペロッと舐めた唯。

    唯「あまぁい!」

    美「でしょ、ママの言ったとおり~」

    美香子 心の声(良かった、唯が好き嫌いのない子で)

    唯「もっと、もっと」

    美「あら、気に入ったみたいね。あとちょっとだけね~」

    また違うスプーンに、掬って与えた。

    美「はい、これで、おーしまい」

    唯「おしまい?」

    美「ふふっ。泣き疲れちゃって、お目目がくっつきそうじゃない。このままママのおひざでねんねしよっか?」

    すぐに静かになった唯。

    美「ふう」

    覚「お疲れさん。こっちも寝てるよ」

    見ると、尊が積み木を持ったまま、コテンと横になりスヤスヤ眠っていた。

    美「あらま。ふふふ」

    覚「ははは」

    ┅┅回想終わり┅┅

    覚「明日か…」

    美「明日ね…」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    11日のお話は、ここまでです。

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    現代Days(仮)への道12~10日火曜9時、負けない!

    良薬口に苦し、のはず。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯の居室に、唯とトヨ。

    トヨ「外へ出る、とおっしゃらないだけまだ良いですが」

    唯「え゛~?」

    声は枯れ気味だが、

    ト「体力が有り余っておられるようで」

    室内をぐるぐると走り回ったり、止まったと思えばスクワットを始める唯。

    唯「だってぇ。風邪引いちゃったのはホント、不徳のいたすところ、だったけどー。あとはのどの調子だけだもん、悪いのは。ケホッ」

    ト「そうですが」

    唯「動いてないと、どうかなりそうなんだよ」

    ト「若君様は、ここのところ気落ちされているのが目に見えてわかるそうです。それに比べれば」

    唯「私だって元気ないんだよ?これでも。早く、生のたーくんに会いたいよぉ!」

    ト「生?生身ではない若君様って何ですか」

    唯「え!えーと、ギュってできないたーくん、的な?」

    写真集や動画再生できるおもナビくんは、全て唯の居室にあるのでいつでも見られ、若君よりは気が紛れていた唯だった。

    ト「今日は薬は服されましたか?」

    唯「のんでない」

    ト「治すおつもりがないのですか?」

    唯「現代の薬ならすぐ効いたのに!」

    ト「現代、とは?」

    唯「あ、ごめん。何でもない」

    ト「そうですか」

    唯「でもさ、最近のんでるこれ、絶対罰ゲームだよ!苦過ぎ!」

    ト「またそのような」

    唯「トヨはのんでないから、そんなん言えるんだよ~」

    ト「わかりました」

    唯「え゛?」

    唯に処方された薬を少し手に取り、そのまま口に放り込んだトヨ。

    ト「そこまで苦うはございませぬが…ゴホッ」

    唯「わぁ、大丈夫?お水お水!」

    水を飲み落ち着いたトヨ。

    ト「失礼いたしました」

    唯「ごめん、まさかのんでくれるなんて思わなくって」

    ト「いえ。万が一、薬でなければ事が大きくなりますので」

    唯「薬じゃないなら何?」

    ト「毒を盛られるとか」

    唯「毒…そんな事あるの?!」

    ト「これは、薬師から直に受け取っておりますので、案ずるには及びませんが」

    唯「そう…」

    ト「さぁ、では奥方様も」

    今度は素直に服薬した唯。

    唯「私ってさ、まだ敵いるよね」

    ト「うーん…随分と蹴散らしたつもりですが」

    唯「たーくん人気あるもんね。このままさ、治らずに私なんか居なくなっちゃえーなんて思われてるんじゃない?」

    ト「それは…だから薬をのまれなかったのですか?」

    唯「ううん、苦いから」

    ト「あぁ、それだけの理由でしたら安心です。…少なくとも」

    唯「うん」

    ト「奥方様が居なくなれば、一番こたえるのは若君様です。今の若君様を拝見すればすぐわかるのに、未だそれをわからぬ者は居るのでしょう。残念ながら」

    唯「なぐさめてくれてありがとね」

    ト「若君様の、心からの笑顔を引き出せるのは、奥方様しか居られません」

    唯「そうかな」

    ト「そうですとも。天野の頃から長く仕えておりますが、奥方様と出会われてからは、格段によう笑うておられますし」

    唯がトヨににじり寄り、手を取った。

    唯「トヨ~。トヨがそばに居てくれて、ホントに良かったよぉ」

    ト「一刻も早く治し、若君様に会えるよう、全力でお助けいたします」

    唯「嬉しいっ。じゃあまずは」

    ト「いかがいたしましょう」

    唯「のどには、うがいかな」

    ト「はい、支度いたします」

    早速、口に水を含んでガラガラうがいをしては桶に吐き出す、のを始めた。

    唯「がんばる。私がんばるね」

    ト「お供いたします」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    10日のお話は、ここまでです。

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    現代Days(仮)への道11~9日月曜11時、それでいいのか?

    姫じゃなきゃダメなの?
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    永禄。定例の軍議がそろそろ終わる。

    大殿「此れにて」

    全員「ははっ」

    若君は、未だ会えていない唯の身を心から案じながらも、日々の執務を粛々と続けていた。

    有山「木村殿、ちと話が」

    木村「有山殿?如何された」

    小平太パパが先に部屋を出たのを確認して、家臣二人が話し始めた。若君はまだ大殿と話をしている。

    有「どこぞに、源三郎に似合いの姫君は居られぬか。ご存じありませぬか?」

    木「源三郎?!」

    木村の甲高い声が部屋中に響く。話を終えた若君も驚いて立ち止まった。

    有「小平太殿が娶られぬ前に、先手を」

    木「ほほぅ…されどまだこの地は不案内で」

    有「心に留め置いてはくださらぬか」

    木「承知致した」

    若君が、二人に近付く。

    若君「源三郎が何か?」

    有「そろそろ縁組みは如何かと思いまして」

    若「縁組み…」

    有「はい。木村殿は、声が大きいからのぅ」

    木「若君様に隠す話でもなかろう~」

    若「源三郎は、承知しておるのか?」

    有「話はいたしました」

    若「して、何と」

    有「考えさせて欲しいと」

    若「…断ったのではなく?」

    有「はい」

    若「心に決めたおなごは、居らぬ様なのか?」

    有「わたくしには、居らぬと申しましたが」

    若「…そうか」

    腑に落ちない顔をしながら、自身の居室に戻った若君。すると、

    三之助「だから、そこではないー」

    孫四郎「ここはぁ~?」

    三「そこも、あっ」

    机の上でジェンガを広げる小さな武士が二人。思わず笑顔になる若君。

    三「また倒したー。あっ、若君様」

    若「好きに使うが良いと申したのはわしじゃ。続けよ」

    三之助&孫四郎「はいっ」

    少し離れて座った若君。遊ぶ二人の様子を微笑ましく眺めながらも、

    若君 心の声(源三郎。何故トヨの話を出さぬ?まさか遊びで付き合うておるとも思えぬのだが)

    渋い顔をしている。しばらくすると、

    三&孫「若君様ぁ」

    いつの間にか、二人並んで座っている。ジェンガは片付けられていた。

    若「おぉ。もう良いのか?」

    三&孫「はいっ」

    若「三之助」

    三「はいっ」

    若「此処で遊べと、吉乃殿が申されたのではないか?」

    三「…あのぅ」

    若「何じゃ?」

    三「母上が、若君様の気がまぎれるから、と」

    若「やはり。気が紛れる。その通りじゃ。ハハハ」

    二人の頭を、順に撫でる。

    若「よう紛れた、と、吉乃殿に伝えてくれ。礼を申す」

    三&孫「わかりましたぁ」

    一礼した後、走って出ていった。

    若 心(唯に会えず、気落ちする様が目に見えておるのだな。吉乃殿にまで気を遣わせるとは)

    庭に向いて座り直す。

    若「されど…解せぬ」

    源三郎の言動が、理解出来ない若君だった。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    9日のお話は、ここまでです。

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    現代Days(仮)への道10~8日日曜10時、思い立ったが吉日

    初めてのおつかいにしては、遠い。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    速川家三人、家族会議の真っ最中。

    美香子「飛んで行く日付と時間は間違いなくても、どこに着くかはわからないじゃない?」

    尊「毎回、一番安全な場所に到着してるみたいだよ。今はお姉ちゃんと兄さん離ればなれだから、多分兄さんの居場所に飛ぶんじゃないかな」

    美「尊は唯ほどタフじゃないから~。どうするの、場合によっては目の前に刀を突きつけられるかもしれないわよ?誰か他の人に見られて、曲者じゃ!って」

    尊「うーん」

    覚「でも最短で1時間だ」

    美「お父さん、行かせる気なの?」

    覚「唯は心配だ。それにその、前言ってたさ、このタイミングで忠清くんの心情を吐露した書が発見されたってのが何か」

    美「呼ばれてる?」

    覚「彼はそんなつもりはないだろうが。人に言えないから、書いて吐き出した感じに受け取れるし」

    尊「お母さんは心配じゃないの?だって連れて来るって言ってるんじゃないよ、せめて即効性のある、現代の薬を渡したいだけなんだよ」

    美「尊を心配してるのよ~」

    尊「僕?」

    美「こんな押し迫った時期に飛ぶなんて。ケガでもしたら受験に差し障るじゃない。これまで頑張ってきたでしょう」

    尊「まあね」

    美「どこか呑気よねぇ」

    尊「せっかくだから一度は行ってみたいってのはある。進化したスイッチ1号なら、向こうに一月居なくていいから超安全だし」

    美「安全かしらねぇ。遊びに行くのとは訳が違うわよ」

    覚「よし。尊にミッションを与える」

    美「え?!もう決まり?!」

    覚「今、やはり行くべきだと思うんだ。尊が動いて、唯や忠清くんが少しでも楽になるのならそうしてやりたい。いつでも行けるから一息ついた4月ね、では遅いだろう。彼らは今苦しんでるんだから」

    美「ん~」

    尊「お母さーん、行かせて欲しい!」

    美「わかったわ」

    尊「やったー!」

    美「色々持たせてやりたいから、準備しなくちゃね」

    覚「買い物か」

    美「昼過ぎに、薬局行ってくるわね。薬もだけど、栄養補助食品とかゼリー飲料とか」

    覚「あとさ」

    尊「なに?」

    覚「永禄に溶けこむためにはさ、洋服じゃなくて着物で行った方が良くないか?」

    尊「着物!」

    覚「僕もまあまあ数持ってるんだぞ?どうどう?」

    美「そういえば、羽織まで一揃えのとか、あったわね」

    尊「着させる気満々だな…えー、だって向こうすっごく寒いと思うよ?兄さんの部屋に暖房ないだろうし」

    覚「そりゃないだろ」

    尊「足とかスースーするんでしょ?」

    覚「ステテコも貸してやろう」

    尊「ステテコ…聞いた事あるような」

    美「首元も寒いだろうから、そうね~中にタートルネックの長袖Tシャツでも着て、マフラーも巻いてったら?」

    覚「おー、いいねぇ」

    尊「なんで服の話に変わったら、俄然やる気になってんの」

    美「なーんか、楽しくて」

    覚「ところで、永禄にあるスイッチが進化した話はするのか?」

    尊「うーん。一応話そうかな」

    覚「それは消極的なんだな」

    尊「僕、兄さんに散々、現代は安全とは限らないから来ちゃダメって言ってあるんだよ。おまけに今度は5人以上乗れるタイムマシン作ります、って大きいコト言っちゃってて」

    美「あら、そうなの」

    尊「来てはみましたが、まだそこまでは無理です、って謝らなきゃなんない」

    覚「そうか。まぁ今回は、唯に薬を渡す、これさえ何とかなればな」

    尊「うん」

    美「そうね。何とかなるわ~」

    尊「開き直った?」

    美「ウチは基本、楽天的」

    尊「そうでした」

    三人「ははは~」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    8日のお話は、ここまでです。

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    現代Days(仮)への道9~7日土曜21時、動く!

    どんな計算式なんだ?
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    令和。実験室に尊。

    尊 心の声(お姉ちゃんも兄さんも、何とかしてあげたいよ。このままじゃ受験勉強も身が入らない)

    パソコンをぼんやり眺めるだけの尊。

    尊「でも、なすすべはなし。あーあ、サッと行ってサッと帰ってこれるなんてタイムマシン、出来ないかな…」

    そう呟くと、実験室の電気を消した。

    尊「身が入らないけど勉強するか」

    暗闇の中出て行こうとしたところ、

    尊「あれ?」

    棚の一部が点滅している。もう一度、明かりをつけて近づいてみると、

    尊「これ起動スイッチ1号だ。点滅機能なんかつけたっけ?」

    スイッチはまだ点滅している。

    尊「あ…あーっ?もしかして?!」

    スイッチを細かく調べ始めた。

    尊 心(すごい、すごい!)

    どれだけ時間が経ったか。実験室の外に人の気配がした。ドアを叩く音。

    美香子「尊~、もう、一度籠ったら全然出てこないんだから!今はタイムマシンより受験勉強でしょ、開けるわよ!」

    美香子がドアを開けると、尊がパソコンを凝視していた。

    美「尊~」

    尊「お母さん!どうしよう」

    美「は?どうしようって何が」

    尊「この起動スイッチ1号、使えるようになってるんだ」

    美「使える?燃料を足したの?だってそんな時間なかったでしょう。夜中にこっそり作ってたの?」

    尊「何もしてない。でも燃料も入ってて」

    美「わかった、もう夜遅いからまずはリビングに戻りましょ。続きはそちらでね」

    尊「うん」

    食卓に三人。

    美「で?何が起こったの?」

    尊「起動スイッチ1号が点滅してた。おかしいなと思って入ってる機能を調べたら、すごいコトになってた」

    覚「使えるようになってるのか。ずっと触ってなかっただろ?」

    尊「うん。でね、こちらを満月の日に出ると、永禄の満月一日前に着くんだけど」

    美「それって2号の機能と同じじゃない?」

    尊「違うんだ。満月の日、こっちを何時に出ても、到着するのは永禄の満月一日前の子の初刻、今で言うと23時に設定されてて」

    美「時間指定なの?」

    尊「そうみたい。でね、なんと戻る時は、空にまだ満月が浮かんでる時間でも、日付さえまたげば帰って来れるんだ。もちろん出た時間の3分後」

    覚「何だって?それさ、例えば満月の夜8時にこっちを出ても、向こうには前の日だけど同じ夜8時じゃなくて夜11時に着いて、で0時、0時とは言わんか」

    尊「子の正刻ね」

    覚「そんな、滞在1時間とかでも帰って来れるのか?」

    尊「うん。ちょっとだけ行ってすぐ戻れたらってニーズに応えたみたい。だからさ、今回お姉ちゃんがまだ具合悪いのか確認したり、薬とか持ってってあげられるかも」

    美「そんな深夜に会えるかしら?ちょっとって簡単に言うけど。それに、今はもう治ってるかもよ?」

    尊「書に、一週間も会えてないってあったよ?風邪にしては日にちかかり過ぎじゃない?」

    美「まぁそうだけど」

    尊「で、もっと驚くのは」

    覚「まだあるのか」

    尊「永禄にある起動スイッチ2号も、違う新しい機能が付いてた」

    美「手元にないのにわかるの?あー、どうプログラムが変わったか見ればわかるか。で?」

    尊「2号、当初燃料が15回分くらいだったんだ。ずっと一人で使い続けるなら7往復半」

    覚「ほー」

    尊「充分だとは思うけど、2号は二人で飛べるから、カウント数が変わる」

    美「倍々で減ってくのね」

    尊「ううん、違うみたいで。今、計算上の残量よりちょっと多いんだ。なぜかな?と思ったんだけど、どうやら飛び方によってはもっと省エネになるらしいんだ」

    美「あー、そういえば省エネにしてって頼んであったわね」

    覚「どんな飛び方だとそうなるんだ?」

    尊「ひとかたまりで飛ぶ。どこかくっついてればいい。二人でこっちに来た時、一回目はお姫様抱っこで二回目は抱き合ってたから、それが正解だったみたい」

    美「で、あと何往復できるの?」

    尊「人数により変わる」

    覚「人数?」

    尊「一度に飛べる人数が、なんと増やせるんだ!今の残量なら、二人だと2往復、三人だと1往復半、四人だと1往復、五人だと往復は無理」

    覚「こんがらがるなぁ」

    美「ふーん。ちょっと待った!」

    尊「はい?」

    美「そもそもなんで、使えるようになったり進化してるの?」

    尊「令和元年12月7日、こんなタイムマシンあったらなと呟く僕が居た」

    覚「何?モノローグ?」

    尊「呟いただけで、1号も反応しなくて、今頃部屋で勉強してた。そして何年か経ち、欲しかったタイムマシンが出来上がった。その時、未来の僕はどうすると思う?」

    美「ややこしい話だけど…きっと、欲しいって呟いてた、今日の尊に送り届けると思う」

    覚「何だ~?わかったようなやっぱりわからんような。今は二度目の世界って事か?一度目なんて覚えてないぞ」

    尊「なんとなく、ふわっとわかればいいんじゃない?」

    美「向こうにある2号も、燃料の残量そのままで、機能アップしたプログラムを届けたのかしら」

    尊「多分」

    美「ファンタジーね」

    覚「ファンタジーだ」

    尊「で、どうしよう」

    美「どうしようって…まさかこの大事な時期に飛ぶ気?!」

    尊「でも心配じゃない?」

    覚「そりゃあ心配さ」

    美「唯の状態はね。ちょっと考えさせて」

    覚「僕も。まぁ今日はここまでにしとけ。頭フルに使っただろ。今夜はもう寝なさい」

    尊「はい。満月は12日だからね」

    覚「わかったわかった」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    7日のお話も、ここまでです。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道8~6日金曜15時、心が絶不調

    ビタミン唯が欠乏しております。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    変わって、永禄。若君の居室。

    若君「して、どうなっておるのだ」

    小平太「熱は下がったとの事」

    唯の病状を、小平太に聞く若君。

    若「そうか。ならば」

    小「まだ会うてはいただけませぬ」

    若「何故?」

    小「のどがまだ痛むと聞きました」

    若「何と…薬師は何をしておるのだ」

    小「薬は、あらゆるものを試しておるようでございます」

    若「それはかえって、具合を悪うしてはおらぬのか?」

    小「わかりません」

    若「…」

    若君の表情が曇る。

    小「どうか、気を落とされませぬよう」

    若「小平太」

    小「はい」

    若「ならば…離れた所で良い、一目姿だけでも見られぬか?」

    小「それは…部屋からほとんど出られておられぬようですし」

    若「大人しゅうはしておるのか」

    小「世話を女中頭がしており、しかと見張っておると」

    若「そうか」

    トヨが居るなら、と少し安心した様子の若君。

    小「若君様。畏れながら申し上げます」

    若「何じゃ」

    小「一目会いたいと思い煩うお心はお察しします。されど万が一若君様まで罹り、長う患うような事になれば家の一大事でございます。御月家の為にもご勘弁を」

    若「…わかった。下がって良い」

    小「はっ」

    控えの間に戻った小平太。

    小平太パパ「ご様子は如何であった?」

    小「いたく憔悴しておられました」

    小パ「であろうのう」

    じい「むじなもじゃが、若君が不憫じゃあ」

    小「然り」

    じ「一刻も早う、若君の御子を、とも思うておるのに」

    小「…今、その話ですか?」

    じ「良いではないか。わしはもう、そう長うはないのじゃ」

    小「誰よりも長う生きそうですが」

    じ「いずれにせよ、早う夫婦を会わせてやりとうてなぁ」

    小パ「声が枯れ気味らしい。それさえ治れば、すぐにでも会わせて差し上げたいのじゃが」

    じ「良い薬はないのかのう」

    小パ&小「…」

    一方、居室の若君。憂いに満ちた表情のまま。

    若「何故このような…」

    大きく息をつくと、立ち上がり外に出た。

    若「…」

    空はどこまでも青かった。

    若「唯は、空も見られぬのであろうか」

    雀が、軒先でさえずっている。見上げた若君。ようやく表情に笑みが戻った。

    若「わしに会いに参ったのか?」

    しばらく跳ねる様子を眺めると、室内に戻った。

    若「…」

    机に向かった。硯箱と紙を出す。

    若君 心の声(これはもう、吐き出してしまわねば何も手につかぬ)

    筆をとった。思いの丈を、筆先にぶつけるように書き進めた。

    若「ふう…乱れておるのう」

    書を何度も読み返す。次第に落ち着いてきた。

    若 心(とても人には見せられぬ書じゃな)

    フフッ、と自嘲気味に笑うと、棚の戸を開け書を日記の束の上に乗せた。

    若 心(このような病…お母さんにかかれば、たちどころに治すのであろうの)

    起動スイッチは、日記の脇に入れてある。

    若 心(見てはならぬ夢じゃ)

    戸を閉め、また立ち上がると、今度は庭に出た。奥に進むと、そこにはブランコ。

    若 心(ここに腰掛ける唯を、後ろから押してやったのが懐かしいと思うようになろうとは)

    ブランコに座り、軽く揺らす。

    若 心(出来るだけ早う、語り合えるようにと願う)

    しばらく、空を見上げながら風にまかせ揺られていた若君だった。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    6日のお話は、ここまでです。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道7~5日20時、助けられるものなら

    何が起こってるかは、まだ推測の域を出ない。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    食後。

    尊「まず、メール本文がこれだけど、読み上げるね」

    美香子「お願いします」

    尊「速川君、一昨日はありがとう。実に有意義な時間だったよ。それで早速だけど、中々興味深い手紙というかメモ的な物が見つかってね」

    美「忠清くんの?」

    尊「日記は勿論きちんと綴られているんだが、現地の解読チームによるとね、なぜか束の間から、これがヒラリと出てきたらしいんだ。書いてはみたが、すぐ処分するつもりだったのかもな」

    美「まぁ」

    尊「画像も訳も送るけど、大まかに説明するよ。内容から読み取れるのは、苛立ちと悲しみだ」

    美「え?」

    尊「日記と同じ人物が書いたとは推測される。なぜ推測かと言うと、あまりにも書体が異なっていてね。筆遣いにも心情が投影されている感じだ。何と言うか日記とは趣が全然違って人間臭い、本音が見える」

    美「忠清くんにしては珍しいわね」

    覚「だよな」

    尊「で、君にすぐ伝えたかったのはなぜかと言うと」

    美「何!」

    尊「日記の中には一切出てこない、妻女らしき名が一か所だけ出てくるんだ。これもつい出たんだろうな。名は、唯。唯姫だ。驚きだろ?」

    美「なるほどね…」

    尊「まぁ、一読してみて。ではまた。木村」

    次に、古文書の写真。

    美「ウチにある忠清くんの筆跡と比べても、明らかに乱れてるわね」

    今年の正月に唯と若君から受け取った、年賀状の若君の書体と並べても、それはよくわかる。

    尊「最後に現代訳ね」

    美「えーと…永禄四年十一月十六日。もう七日も愛する唯に会えていない。熱がひどく出る事は無くなったようだが、まだのどの具合が良くないらしい。医者は何をしているのだ。背中の一つもさすってやりたいが、近付くなと止められ実に歯がゆい。同じ屋敷に居るのに。代われるものなら代わってやりたい。辛い、胸が張り裂けそうだ。早くこの腕に抱き締めたい。一刻も早く」

    尊「お姉ちゃん、風邪でも引いたのかな」

    美「んー。そう読み取れるわね。治りつつはあるみたいだけど」

    覚「文章が、彼にしては情熱的だよな。確かに苛立ちと悲しみだ」

    美「居ても立っても居られない感じね」

    覚「すぐ治せる薬なんか、戦国時代にはないんだろうな」

    美「うーん…」

    黙り込む三人。

    尊「あのさ」

    美「何?」

    覚「何だ」

    尊「もしかしてさ、今これが出てきたのは、兄さんのSOSなんじゃ?何とか令和に届いて欲しいって」

    覚「なんでそう思えるんだ」

    尊「日付だよ」

    美「日付?この永禄4年11月16日?」

    尊「うん」

    尊がスマホで何か確認しながら、紙に図を書き始めた。

    尊「今月12月の満月は、12日」

    覚&美「うん」

    尊「今仮にタイムマシンが動くとして、飛んだ先が同じ満月だったら」

    美「一日前じゃなくね」

    尊「到着する日付は、永禄4年11月22日なんだ」

    覚「よくわからないが、そうなんだな?」

    尊「兄さんは、明日この文章を書く」

    美「よくわからないけど、そうなのね?」

    尊「今度の満月に、助けに来て欲しいんじゃ」

    美「だってそれは無理でしょ」

    尊「うん。無理。兄さんがその日に起動スイッチ抜いちゃうとも思えないし」

    覚「万が一抜いたとして、燃料が足りないとかはないのか?」

    尊「それは全然大丈夫。でも兄さんそんな事しないよ」

    美「うん、絶対しないと思う」

    覚「そうだな」

    尊「日付は偶然だろうけどさ、切ないね」

    覚「仕方ないな」

    美「そうね」

    尊「うん…」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    年賀状のお話は、この板no.492にあります。

    5日のお話は、ここまでです。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道6~5日木曜17時、食の全国制覇

    本格志向な物が多いけど、それでもちょっとした背徳感あり?
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    令和に戻り、速川家リビング。尊帰宅。

    尊「ただいま。うわっ、今何か蹴った!」

    覚「お帰り。すまんすまん、ダンボール畳んだヤツだ」

    尊「通販頼んだ?箱がやたらあるけど」

    覚「いやぁ、少し位は母さんを楽にしてやりたくて、レトルト製品をあちこちから取り寄せてみたんだ」

    尊「へー。全国各地の名産的な?」

    覚「あぁ。こんな機会でもないと買わないし」

    尊「どれも美味しそうだね。今日の晩ごはんはこれ?」

    覚「うん。見ると食べたくなるだろ」

    尊「やったー」

    畳んだダンボールを積み重ねる尊。すると、

    尊「あ、何か来た」

    ポケットのスマホが振動したので確認すると、

    尊「あ!木村先生からだ!」

    覚「おっ」

    尊「何か新しくわかったのかな?」

    メールを開いて読み始めた。尊の表情がみるみる内に変わっていく。

    覚「凄い発見でもあったっぽい顔だな」

    尊「凄いと思う…添付ファイルがあるから、実験室でプリントアウトしてくるよ」

    紙をひらひらさせながらすぐに戻って来た。

    覚「なんて?」

    プリントされたのは、メール本文と古文書の写真とその現代訳。

    覚「ん~。これは…彼って感情をこう表現するんだな」

    尊「何とかしてあげたいよ」

    覚「出来るのか?」

    尊「できない」

    覚「だよな」

    19時。晩ごはんの支度が、覚と尊で始まった。

    覚「よりどりみどりだ」

    尊「うん。どれにしようかなー」

    鍋2つに、湯が沸き始めている。

    覚「パスタ用とレトルトカレー用な」

    尊「僕これにする!牛タンカレー。美味しそう~」

    覚「それはいいが、具が大きいからパスタとの相性は微妙だな」

    美香子が仕事を終え、戻ってきた。

    美香子「ただいま。あら、湯気で加湿器不要な感じね」

    覚「お疲れ。母さんどれにする?」

    美「まぁー、綺麗に並べたわね。ってちょっと多過ぎよ。選べない」

    覚「まぁそう言わず」

    美「じゃあこのスープカレーで」

    尊「了解~」

    晩ごはんスタート。

    三人「いただきまーす!」

    尊「うん、美味しい。ずっとこれでもいいよ」

    覚「おいおい」

    尊「お母さん、木村先生からメール来たんだ。ご飯済んだら見せるね」

    美「あら。じゃあさっさと片付けなくちゃね」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道5~4日水曜17時、悩みが尽きぬ

    それって重要なの?今でも?
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    変わって、永禄。源三郎が、自身の住む屋敷に帰って来た。

    源三郎「只今戻りました」

    有山「おー」

    源「酒でございますか」

    吉田城代だった有山とその家の者達は、緑合では与えられた屋敷で、源三郎と居を共にしている。

    有「月見酒じゃ」

    源「今宵は見事な…半月ですが」

    有「まぁ座れ。お前も呑め」

    源「はい」

    暗くなり始めた空に、白く月が光る。見上げる源三郎。

    源三郎 心の声(月が、綺麗じゃな。俺はあの時から…変われなかった)

    トヨとの仲は進んでいないらしい。

    有「なあ」

    源「はい」

    有「縁組みは、考えておるか?」

    源「は、はぁ?」

    有「はぁ、とは何だ。お前の歳なら、妻女の一人や二人居っても」

    源「二人は要りません」

    有「いや、俺も一人しか居ないがな」

    源「急な話でございますな」

    有「急ではない。ずっと考えておったが、今宵は酒の力を借りて滑らかに話せそうじゃ」

    源「そうですか」

    有「忠清様近習として信頼も厚いお前の、その培ってきた才腕を、世継ぎにも伝えようとは思わぬか?」

    源「…」

    有「天野家は」

    源「はい」

    有「小平太の嫁取りはいつになるか、見当もつかぬが」

    源「その様で」

    有「お前もそう思うか。ただ幸いな事に、信近殿が男子を二人養子に迎えておる。見た所、躾も行き届いておる故、いずれどちらかは近習を継ぐのではと見ておる」

    源「なるほど」

    有「千原家由来の我々も、そろそろ手を打たねばならぬのでは?」

    源「未だ対立しておるのですか?」

    有「いや今は至って平穏。元次と信茂の戦い、程ではない」

    源「じいお二方が若かりし頃は、随分と不仲であったとは聞いております」

    源 心(その因縁の対決が…)

    有「お前の技量や気の遣い様を、子へ伝授もして欲しいが。あ、それこそ子が既にあるおなごを娶ると手っ取り早いな。お前より随分と年上になるやもしれぬがな?」

    源「酔いが回っておるようでございますな」

    有「…すんません」

    源 心(年上でも子がないおなごは…ならぬと言われたような気がする)

    有「いやでもな、近隣の地の姫君で、探し始めようかとは思うておる。どうじゃ?ん?」

    源「それはあの…既に父も母もない私を、今では千原繋がりというだけで居を共にもしていただいており、それ以上気にかけていただくのは」

    有「そう?」

    源「考えさせてくだされ」

    有「誰ぞ好いたおなごでも居るのか?」

    源「いえ…」

    有「悪い話ではないと思うぞぉ?」

    源「永季殿、ちと飲み過ぎではございませぬか?」

    有「そうかも」

    あとは軽い話をして、その場を離れた源三郎。自分の部屋に戻ったが、

    源「はぁ…」

    再び襖を開けて表に出た。半分でも輝きを放つ月を見上げる。

    源 心(トヨは…天野由来の者じゃ)

    そのまま下を向き、しばらくうなだれていたが、

    源 「仕方あるまい」

    そう呟くと、部屋へ戻っていった。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    4日のお話は、ここまでです。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道4~3日19時、よもやそんな

    てんころりんさん、タイミング良く話題にしていただきありがとうございます。

    このお話は、当然ながらタイムマシンが活躍します。マスター様がブログで設定数を求められていたので、それに準ずる形で飛ぶ日付を決めようかとも思いました。
    でも起動スイッチ2号はそもそも未来の尊が作った物だし、もっとフレキシブルなんじゃないかと思いまして。

    結果、日付は既に自由に決めさせていただいております。今後、お話の中で日付や時間がいっぱい出てきますが、尊がそう言うからそうなんだね~と大目に見てくださると幸いです。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    着信音あるあるに気を付けてください。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    尊が帰宅した。

    尊「ただいま~。ん?」

    リビングの明かりは漏れているが、いやに静かだ。

    尊「なんかいつもと違うな」

    そぅっとリビングを覗く尊。

    尊「ただいま、お父さん?」

    覚「おー、ここだ」

    尊「え、そんな所に居るの」

    覚は奥のソファーに座っていた。キッチンの電気はついていない。不思議に思いながら、父に近付く尊。

    尊「どうしたの?…えっ」

    覚「お帰り、尊」

    尊「何!手も足も包帯してる!ケガしたの?!」

    覚「うん…」

    ┅┅回想。今朝8時30分、クリニック┅┅

    美香子「支度は完了、と。あら?今朝はまだモーニングコーヒーのデリバリーがないわね」

    エリ「ご主人、お忙しいんじゃ?」

    美「でも時間はキッチリの人よ?まさかと思うけど、倒れてるといけないからちょっと様子を見てくるわね」

    芳江「行ってらっしゃいませ」

    廊下を進む美香子。リビングに一歩入ると、

    美「え?キャー!お父さん、どうしたの!!」

    覚「うう…」

    階段下に、うつ伏せに横たわる覚を発見。

    覚「さっき…階段踏み外した」

    美「なんて事!」

    覚「右手も右足も痛くて動けないんだ」

    美「それは…うーん。お父さん、手のここ押すわよ、痛い?」

    覚「痛くない」

    美「足も押すわよ、どう?」

    覚「大丈夫だ」

    状態を確認する美香子医師。

    美「骨が折れてるまではないと思うけど、レントゲン撮ろうかしら」

    覚「僕の事はいいから。患者さん待ってるから、開院しないと」

    美「目の前に居るのも患者よ!でもこんな時間…ちょっとだけ待ってて!」

    クリニックに慌てて戻った美香子。

    美「エリさん、頼めるかしら?レントゲン撮ります」

    エ「えっ」

    芳「まさか」

    美「患者は、ウチの階段下に居ます。もう開院しないといけないから、運ぶところからお願いできる?」

    エ「わかりました。お任せください」

    ┅┅回想終わり┅┅

    尊「で、右手右足は捻挫と」

    覚「そうなんだよ」

    尊「なんで踏み外しちゃったの?」

    覚「洗濯物干して二階から下りてきたら、スマホが鳴ってるのが聞こえてさ。慌てて下りたらスリッパが脱げて、三段目位からズルっといっちゃったんだ」

    尊「あちゃー」

    覚「おまけに、後で着信履歴見ても無くて。テレビの音だったらしい」

    尊「あちゃちゃー。全治どのくらい?」

    覚「足は一週間位で、手は10日位らしい」

    尊「はあ。だからご飯の支度とか無理なんだね」

    覚「掃除や洗濯はいいんだが、料理は利き手が使えないとなあ。昼も母さんにやってもらってさ。夜も、今日は私がやるって言うから、大人しく待ってたんだ」

    尊「僕、何かやれる事あるならやるよ」

    覚「いや、受験前の大事な時期だ。母さんも、できるだけさせないって言ってた」

    尊「そうなんだ」

    覚「ところで、木村先生には会えたのか?」

    尊「そう!会えたんだよ!僕の事覚えててくれたよ」

    覚「そりゃ良かった。待った甲斐があったな」

    尊「うん!」

    覚「風呂は沸かしておいたから、ゆっくり入って体を温めな。出る頃には、母さんも仕事が終わってるだろうし」

    尊「わかった。話はご飯の時にするね」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    3日のお話は、ここまでです。

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    返信先: 連絡掲示板
    ありがとうございました

    確認致しました。お手間ばかりかけてすみません。

    毎回引っ掛かるなんてのは避けたいのですが…何よりマスター様にご迷惑かけたくないのですけれど。悩みどころです。

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    返信先: 連絡掲示板
    恐縮です…

    どうも相性が良くないらしく、ユーザー雑談板に投稿しましたが、また消えました。

    もし、フィルターにかかっておりましたら、二つ送信しておりますので、後の方だけ解除いただけませんでしょうか。急ぎません。まことに恐れ入ります。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道3~3日火曜17時、歴史のおさらい

    妖怪千年おばばさん、お人形見ました。素朴で愛らしいけど、成長するとキリっとするんですね。
    創作倶楽部が賑わうのは喜ばしいので、皆様どんどん割り込んでください(^-^)b
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    ビビって通勤経路変えてはいなかったんだ。二年も経つしね。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    今日も、学校帰りに昨日と同じ場所で待つ尊。

    尊 心の声(やっぱ無茶だったかな…)

    すると、遠くに新聞で見た姿を発見。

    尊「あっ、やったー!」

    木村先生が歩いて来た。早速駆け寄る尊。

    尊「あ、あのぅ、黒羽東高校の木村先生ですか?」

    木村「え?!その制服はあの高校…そうだけど、何の用だね?」

    尊「えーと、何から話そう、お久し振りです。僕二年前の夏、ここで先生にお会いして、というか出くわして」

    木「二年前?…あ、あーあー!君か、思い出したよ!不良の連中から助けてくれたあの時の子だね?もう一人、その制服着た美男子と二人だったね」

    尊「思い出してもらえて良かったです。で、もう一つお伝えしたい事がありまして、僕、速川尊と言います。姉の唯が、高校でお世話になってませんでしたか?」

    木「え!!それは驚きだ。うん、歴史を教えてたよ。…うーん」

    尊「多分、ある時期まで居眠りばっかりだったんじゃ」

    木「見てたのかい?そうだね。ある日突然、人が変わったように陣形とか聞いてきたな。なんだ、なぜあの時名乗ってくれなかったんだい?君たち、逃げるように走り去ったよな」

    尊「色々事情がありまして」

    木「で、こんな寒い所で待っててくれたの?もしかして新聞記事の話がしたかったかな?」

    尊「はい。昨日も居ましたけど会えなかったので」

    木「え、昨日も?ちょっと待って、君今、何年生?」

    尊「三年です」

    木「えっ!!こんな大事な時期に僕なんか待っててくれたの?それは嬉しいやら申し訳ないやら。じゃあ立ち話も何だからさ、そこに入ろう」

    尊「あ、はい」

    道の角にある喫茶店を指差す。二人で入っていった。

    木「ホットコーヒーでいい?ご馳走するよ」

    尊「はい。あ、ちゃんと払いますから」

    店員「いらっしゃいませ」

    木「いいからいいから。コーヒー二つね」

    尊「すみません」

    木「しかし、まさか速川の弟くんが、あの有名進学校に通ってるとは驚きだよ。大学は勿論行くよね?」

    尊「一応は」

    木「余裕が感じられるね。そうか。お姉さんは…あれ確か、急に退学したよな?」

    尊「はい、結婚しまして」

    木「結婚!噂は本当だったんだ」

    尊「遠くに嫁ぎましたので。この夏に里帰りしました。元気でしたよ。で、旦那さんが僕と一緒に居た美男子です」

    木「え!!今日は驚き過ぎて、心臓持つかなー。そうかね、そんな縁があるとはなあ」

    コーヒーが運ばれて来た。

    木「あー。落ち着く。で、用件を聞こうか?」

    尊「はい。記事、とても興味深かったです」

    木「そうか。あの書物、永禄3年の終わり頃から始まっててね」

    尊 心(間違いない。前々回、12月半ばに永禄に帰ってるから、兄さんの日記だ!)

    木「そんなに面白い物ではないよ」

    尊「そうなんですか?」

    木「日記というより備忘録に近いかな。書いた人間の実直さが窺えるんだ。どこで戦があったとか静観している感じだし、川の水量や作物の収穫量とかも書いてあったな」

    尊「後で読み返しては、対策を練ってたかもしれないですね」

    尊 心(さすが兄さん。お姉ちゃんとのラブラブが書いてある訳ではないと)

    木「最初の頃の物はさすがに破れとか酷くてね、あとどうしても、書いた人物の名前がわからないんだよ。時代と地理からすると、当時だと御月家の誰かだと思うんだけど」

    尊「そうなんですね」

    尊 心(あー、言ってしまいたい)

    先生が、グッと身を乗り出した。

    尊「え?」

    木「実はね」

    尊「はい」

    木「御月家はね、その頃には地元の歴史上姿を消した、羽木家の生き残りじゃないか、と僕は睨んでるんだ」

    尊「へー。ずっと永禄2年には滅びたって言われてた、あの羽木家ですか。それは面白いですね」

    尊 心(さすが先生)

    木「…ってさ、こんな事聞く為に、寒い中待っててくれたの?こんなんでいいのかい?」

    尊「はい。とても勉強になりました」

    木「そうか。それは嬉しいよ。この日記に興味があるならさ、何か新しいネタ出たら教えようか?」

    尊「いいんですか?」

    木「あぁ、歴史に興味を持って貰えるのは、教師としてとても嬉しいからね」

    尊「ありがとうございます!」

    木「何かあったら…そうだな、君のメルアド教えてくれる?」

    尊「はい!」

    メルアドを交換した。喫茶店を出る二人。

    木「すっかり暗くなっちゃったな。悪いね、貴重な時間付き合わせて」

    尊「いえ、僕こそ勝手に待ち伏せしてたのに、本当にありがとうございました!コーヒーごちそうさまでした!」

    深々と礼をして、先生を見送った尊。

    尊 心(待ってて良かった。早く帰って報告しよう!)

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    角の喫茶店は、CafeMARGARETですね。

    続きます。

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    返信先: 連絡掲示板
    確認致しました

    毎度ご迷惑をおかけしてすみません。ありがとうございました。
    また、一日おきに投稿する生活がスタートしますので、どうか引っ掛かりませんようにと祈ります。

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    返信先: 創作倶楽部
    現代Days(仮)への道2~2日月曜16時、勝ち目ないので

    妖怪千年おばばさん、てんころりんさん、カマアイナさん。ありがとうございます。反応があるだけで嬉しい今日この頃です。

    前に他の板に訪れた際、ほぼ通りすがりの人になっておりまして。板によって色も温度も違いますね。つい先程ユーザー板に行ってきましたが(今この時間は投稿が行方不明中ですが)、いかがなものでしょうか。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    美香子さん、長袖二枚も着せるから。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    学校帰り、若君が木村先生を救った、黒羽城公園近くの例の場所にやってきた尊。

    尊 心の声(確かに当てずっぽうだけど、ここで会えば思い出してもらいやすいし)

    あの日、杖を置いておじいさんが休憩していた、椅子に腰かけた。

    尊 心(あの後も、大変だったなぁ…)

    二年前の夏を、思い起こす。

    ┅┅回想。2017年7月、場所は同じ┅┅

    成敗直後。

    若君「精進致せ」

    木村「はい…」

    若「では、此れにて」

    木村先生にそう告げると、若君は杖を取り上げて歩き出した。尊も慌ててついて行く。

    若「お返し申す」

    持ち主のおじいさんに返却。

    若「さて尊、城へ参るか」

    尊「あ、あの若君」

    若「何じゃ。申せ」

    尊「逃げましょう」

    若「何だと?また下郎どもか?ならば討たねばならぬ、どこに潜んでおるのじゃ」

    尊「既に、囲まれつつあります…」

    遠巻きに見ていた女子高生達が、若君に近づこうと、ジリジリと幅を詰めてきていた。

    若「なんと。…おなごは討てぬ」

    尊「走ってもいいですか?」

    若「走る?…良かろう」

    尊「行きます!」

    若「うむ」

    ダッシュで、弾かれるように走り出した二人。女子高生達が不意を突かれ、キャー、待ってぇ!と背後で悲鳴をあげている。

    尊 心の声(ヤバい、僕そんなに足速くないのに)

    必死に走る尊。ついて来る若君も、やや腰を落とした独特の走り方をしている。

    尊 心(時代劇で見た事あるヤツだ!)

    間一髪、JKの輪から逃れ、公園の隅にたどり着いた二人。

    尊「あーなんとか逃げ切れて良かった。若君すみません!こんな暑い格好してるのに走らせてしまって。上脱いでください」

    若「あぁ」

    尊「僕持ちますから」

    紺色のカーディガンを脱ぎ、白いワイシャツ姿になった若君。

    尊 心(これはこれで、お母さんまたキャーキャー言うんだろうな)

    若「尊。城は近いのか?」

    尊「あ、はい、すぐそこです」

    若「一向に姿が見えぬが?」

    尊「えっと…こちらです」

    城跡に案内した尊だった。

    ┅┅回想終わり┅┅

    尊 心(ようやく現実がわかった時の兄さんの後ろ姿、今でも忘れられないよ)

    そうこうする内に、周りはすっかり夜の帳が下りていた。

    尊 心(今日は諦めるか…)

    後ろ髪を引かれながら、帰路についた。

    尊「ただいま~」

    覚「お帰り。遅かったな。木村先生には会えたのか?」

    尊「会えなかった」

    覚「無理はするなよ、受験生なんだからな。はいお茶」

    尊「うん。明日もう一回だけ行ってみるよ」

    温かいお茶をすする尊。

    尊 心(お姉ちゃんが木村先生に教わってたなら、まぼ兵くん使った戦、戦術とか相談してたりして?わー、お姉ちゃんに聞いとけば良かったな)

    手はまだ冷たいが、心はほんのり温かかった尊だった。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    明日は会えるといいね。

    2日のお話は、ここまでです。

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    返信先: 連絡掲示板
    画面展開が早いと思いましたら…

    ユーザー雑談板に投稿しましたら、見事に消えてしまいました。
    文章の再考が必要でしたらそうします。
    お手数おかけしてすみません。

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    返信先: 創作倶楽部
    (新)現代Days(仮)への道1~2019年12月1日日曜8時、出ました!

    2019年12月の満月は、12日です。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    日曜の朝、令和の速川家リビング。尊が二階から下りてきた。

    尊「おはよう」

    美香子「おはよう~」

    覚「おーおはよう。今朝はピザトーストだ。焼き始めるぞ」

    尊「うん…」

    美「まだ寝させろって返事ね」

    尊「規則正しい生活しろって言うから。ゆうべは遅くまで勉強頑張ったんだよ?」

    美「わかってるわよ。でもね、これ見たら眠気が一気に覚めるわよ~?」

    目の前に、今朝の新聞を出された。

    尊「何か重大なニュースが載ってるの?」

    美「中の方のね、地域のニュースというかコラムの辺り」

    尊「へ?一面じゃなくて?」

    怪訝そうに、開いて確かめる尊。

    尊「これ?あ、あ?あーっ!」

    美「何その、驚きの三段活用」

    記事に目を奪われている。

    覚「焼けたぞー。おっ、思った以上に記事に食い付きがいいな」

    トーストを手に取るが、新聞に釘付けのまま。

    美「新聞は逃げていかないから。チーズがトロっとしてる内に食べたら?」

    尊「あ、うん。…熱っ!」

    食後。

    美「これ、書いたの忠清くんよね?」

    尊「うん。間違いなく。すごいな、ちゃんと残ってたんだ」

    記事は、隣の県のとある寺に保管されていた古文書を読み解いたところ、どうやら当時に日記として書いた物らしいと判明した、現代語訳には地元の高校教諭も関わっているという内容だった。

    尊「このお寺の場所、昔の地名は緑合だし」

    美「なーんか、感慨深いわよね」

    覚「忠清くんはホントに、歴史上の人物なんだな」

    尊「さっきの三段活用だけどさ」

    美「うん?」

    尊「僕、この写真の先生に会った事あるんだ。それでびっくりして」

    美「そうなの?!」

    覚「え、知り合いなのか?」

    尊「知り合いじゃないけど」

    覚「はぁ?じゃあ何だ」

    尊「兄さんを初めて黒羽城跡に連れて行った時にさ、途中で不良達を成敗した話したの覚えてる?」

    美「覚えてる。さすが忠清くん、正義感の強さはピカイチね、と思ったもの」

    尊「その時助けたおじさんが、この木村先生」

    記事内、複数人写る中の一人を指差した。

    美「そうなの?!ん~言われてみれば、いかにもオヤジ狩りに逢いそうな風貌よね」

    覚「おいおい。でもそんな繋がりがあったとはな。それに黒羽東高校教諭って書いてある。唯の母校だ」

    尊「これまたびっくりだよね」

    覚「これもまた繋がってる」

    美「唯もこの木村先生に歴史を教わっていたのかしらね」

    尊「…先生、僕の事覚えてるかな」

    美「助けてもらったのは覚えてるでしょ」

    尊「助けたのは、九割方兄さんだけど」

    覚「覚えてたら、何なんだ?」

    尊「中身を詳しく教えてもらえないかなって」

    覚「え?貴重な物だろ、簡単には無理じゃないか?」

    尊「でも記事にさ、歴史的資料になるかは全訳出来次第ってあるもん、今の内なら聞けるかも」

    覚「そう上手くいくか~?」

    美「それにしたって、どうアポイントメントを取るのよ?尊の高校じゃないのに」

    尊「夕方、通勤経路で待ってみようかなって。その成敗した現場、駅に近いから、今でもそこ通ってるんじゃないかな」

    美「そんな当てずっぽうな~」

    尊「二三日張ってみて、会えなかったら他の方法を考えるよ」

    尊 心の声(兄さんに、日記の話聞いてから四か月。もう資料として出てくるなんて、これも運命かな。あー、楽しげな予感。何か久々にワクワクしてきた!)

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    1日のお話は、ここまでです。

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    返信先: 創作倶楽部
    お三方へ

    妖怪千年おばばさんへ。

    蘇芳のお話の途中にすみません。

    若い男性二人がなまめかしく…違いますが、そんな出来事もあったなあと、唯&若君、源トヨの二組の夫婦が笑い合う日がきっと来ると思える、楽しいお話をありがとうございました。

    私は、どうにもこうにも戦国の言葉遣いが苦手で…尊敬しております。

    ┅┅

    カマアイナさんへ。

    平成令和Daysを2周?!1周210話もありますよ!それは本当にありがとうございます。

    私はカマアイナさんに甘やかされている気がします。こんなに盛り立てていただいて、どれだけ気持ちが救われたことか。感謝しております。新作がお気に召すと良いですが。

    ┅┅

    てんころりんさんへ。

    お待ちしてました(^.^)いつも激励ありがとうございます。
    番号案内をこまめにですね。新作が何話になるかは皆目見当がつきませんが、そのように致します。

    私がこのアシカフェを見つけた頃には、創作倶楽部ができあがって随分経っていましたので、いろんな企画物に乗れずじまいでした。また妄想列車走んないかなー。
    PR、ですが。アシカフェの中の他の板に行くという意味でしょうか?すみません、そこが今一つわからなくて。私はいつも「最近の投稿」欄をチェックして、全ての投稿を読ませていただいておりますが、皆さんそうではないから、ですかね?

    この後の新作について

    また、あいも変わらずDaysシリーズのその後を、ゆるーくぬるーく始めます。よろしくお願いします。

    私、令和Daysを描いた時に、自分でかけた枷がありまして。
    「コロナ禍になってから二人を飛ばさない」だから2019年夏のお話となり、138話、尊と若君の秘密会談内で尊が説明する内容も、半年後の状況を見据えた物にしました。だから令和Daysはまだこのご時世、続きは無理だから完結のつもりでした。

    でも、速川家を描きたい。ほのぼのと現代を楽しむ時間をまたあげたいという気持ちが強くなり、枷ははめた状態で無理やり始めてしまおうと決めました。
    よって新作は、コロナ禍ギリギリ前の話となります。なぜそうなったか、からのスタートなので、プロローグが長くなります。

    そしてしばらくは、唯も若君もほとんど登場しません。あしからず。

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    返信先: 創作倶楽部
    朧月夜に寄せて

    ご無沙汰しております。

    帰宅の道すがら、西の空に浮かぶ月を眺めていました。
    心なしか輪郭が滲んでいて、あぁ、朧月夜。と、「夕月かかりて」としてはかなりの喜びでしたので、お知らせを兼ねて久々にお邪魔しました。

    新作、そろそろ出します。またDaysと付きます。また、ですみません。私にはこれしか描けませんので(+д+)

    今週か来週には始める予定です。

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    返信先: 創作倶楽部
    新作、練り始めました

    前回は、平成Daysが終わる頃には令和Daysを平行して書いておりましたので、インターバルは半月程でした。
    今、ゼロから大まかに組み立て始めたところです。いつ出せるか、そもそも出せるところまで行くのかも未定ですが。お時間をください。

    かなり自由にさせていただいておりますが、創作倶楽部で、いくら「原作にあること以外は許せないという方は閲覧注意!」とマスター様の説明があるにせよ、こんなにかけ離れて良いのだろうか?と自問します。特に私の話は、時系列で流れができているシリーズ物で、既に違う世界が広がっているし。大丈夫でしょうか?

    出てくるキャラクターが皆、楽しんでいる様子が描けたら、とは思います。
    あと、源トヨをもう少し何とかしたいんですが…寸止めしない夕月の毒牙にいよいよかかるのか?!これ如何に。まだ何も書いておりませんので、「止めよ!」の声が聞こえましたらご意見に従います。

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    返信先: 創作倶楽部
    キャラが語り出す

    梅とパインさん、労いのお言葉をありがとうございます。遅いなんてないです。描いた甲斐があった!と喜んでおります。
    ご質問(違う?)の回答他もろもろは後ほど。まずは、本日投稿する予定でした、物語作成中のこぼれ話から。

    著名な小説家や漫画家の方々が、「物語の中のキャラクターが、時折自分の手を離れ自由に話し出したり動き出したりする」などとおっしゃっているのを耳にした事があります。
    そういうモノなのかー、へーと思っておりましたが、妄想作家の端の端の端くれの私にも、そんな瞬間が訪れて驚きました( ゚Д゚)!しかも2回です。

    まず2回目を先に説明しますが、それが令和Days9話の吉田君でした。
    彼を、美香子先生のファンとしましたので、意外な場所でバッタリ会えればそりゃ嬉しい。ニコニコ顔を想像していたら、「病んでる時にしか会わない人に、元気な時に会えて嬉しい」としゃべり出しました!な、なんてカワイイ奴。なのでセリフに組み込みました。唯に会える方がレアケースと彼が気付く由もなく、ただただ喜ぶ吉田君でした。

    1回目なんですが、今更ながら告白します。平成Days14話(投稿番号no.375、サブタイトル:家族の一員)の若君です。
    尊が作った結婚指輪を戦国に持って行くのか、と聞かれ「我らが去った後、ここに置いて欲しい。父上が、ここに母上の指輪がありいつも傍に居るようだと申された。我らの指輪もそのように、いつもここに居るように思うて欲しいのじゃ」と答えました。
    指輪は作ってあげたかった、だがその後はどうしよう?と話を練っていたら、ふと若君が現れ、話し出したのです。うわっ、すぐに書き留めなきゃ!で。だから私も若君の話に感動した一人でした。発表当時、皆さんに比較的気に入っていただけたエピソードを今更で、本当にすみません。こんな経験二度もあると思っておりませんでしたので(>_<)

    ずっとそのキャラの事を考えているので、ただ妄想が甚だしいだけだとは思いますが、よくぞ現れてくだすった!と、若君と吉田くんには感謝です。

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    返信先: 創作倶楽部
    振り返ります二人の令和Days、140(終)まで

    結局長文になっております。no.798の続きです。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    86、no.708、夢でも嫌!
    87、no.709、ウキウキです
    88、no.710、わかって欲しいのに
    89、no.711、止まらない!
    90、no.712、ゆらーりゆるーり
    91、no.713、甘くていいのです
    92、no.714、温もりも忘れない
    93、no.715、背中で語ります┅┅┅

    以前「唯が待つ元へ必ず帰るという強い決意で、これからも戦に臨む」って話してるんですが(27話)。いろんな方向から物事を考え、軽く口約束なんかしないであろう若君だからこそ、かえって仇になって怒らせたというか。
    友達が出来ても家には呼べないよと話す尊に、真っ先に謝った若君(93話)でしたが、この前の日の夜に実験室での秘密会談が行われ、その際新型タイムマシンに尊の妻女も乗るのかと話しており(138話)、それが軽々とは叶わないと知って、即詫びたのです。
    唯を怒らせたくだりがなくても、デートの帰りに花屋には寄ってたでしょうね。ここで、90話で若君を接客した、花屋の店員の会話をお送りします↓
    店員1「今の客、昨日も来てなかったか?」

    店員2「来てた!超イケメンは毎日でも来て欲しいよ」

    店1「息切らしてたな。急いで来たようだったけど」

    店2「早くしてとかなかったね。ジェントルマンだった」

    店1「動きがなんつーか、優雅でさ」

    店2「花束抱えた時のオーラ、すごかった!王子様現る!だった~」

    店1「500円玉をジャラジャラ出された時は驚いたけどな」

    店2「それさ、もう萌え萌えだったよ~。あんなマンガの世界から抜け出たようなイケメンがさ、貯金箱にコツコツ小銭貯めてたのかしらんなんて想像したらもう」

    店1「ヨダレ出てたんじゃないか?」

    店2「そこは飲み込んで、オマケしますっ!となった訳でして」

    94、no.716、新しい朝が来た
    95、no.717、心通じ合う
    96、no.718、浄化されます
    97、no.719、輝き続けます
    98、no.720、他人のそら似
    99、no.721、気持ちも入ってます
    100、no.722、手に手を取って
    101、no.723、心に響く声
    102、no.724、一途です
    103、no.728、繋がります
    104、no.730、準備はスローに
    105、no.731、盛り上がってます
    106、no.732、ときめき全開です
    107、no.733、打ち明けます
    108、no.735、旅立ちです
    109、no.736、納得できぬ┅┅┅

    若君が言いにくそうだったので、すっかり一人称が「わし」に戻っております。
    94話に、片腹痛いという言葉が出てきます。大変申し訳ありません!恥ずかしいという意味が全くないわけでもないようですが、ほとんどの場合、笑止千万とかちゃんちゃらおかしいといった意味で、私が恥じるという意味のみがあると勘違いし使用しました。本来の意味で読み進めると、若君が唯を滑稽だと思っていたかのようになりますが、決してそうではありません。100話も同様です。これはと苦々しくご覧になっていた方もいらっしゃったと思います。お詫び申し上げます。書き直しに関しては、内容が随分変わるのと、一度世に出た作品には責任もありますので、今のところはこのままにいたします。
    千羽鶴が完成しました。関わった全ての皆さん、芳江さんのお孫さんも、これは平和を願って作ってるんだよと理解して折り上げています。だから大殿に、手掛けた者達の総意だと断言できました(133話)。
    花火大会の動画を撮ってあげてお土産、にするつもりが、両親への置き土産にもなりました。覚さんの「そうか…そうか」は、描いていた私自身、こみ上げるものがありました。
    芳江さんが折り上げた連鶴は、三重県桑名市の伝統工芸です。黒羽城があったと推測されるいなべ市のお隣の市です。看護師さんお二人は、今のお住まいは速川クリニックからそう遠くはないでしょうが、少なくとも芳江さんは、ご実家は程良い距離にあるようです。
    唯ちゃんが若君の母に生まれ変わった世界では、やはり永禄二年に一族は滅びるでしょうか?例えそうであっても、母の愛を知らぬままよりは、ずっとずっと幸せな一生ですよね。

    110、no.737、どの花見ても綺麗だな
    111、no.738、応えて欲しい
    112、no.740、ミッション遂行中┅┅┅

    女子がキャーキャーしゃべりまくる様は描いてても楽しいです。名前が言いにくいってアンタ…本人の耳に入らないのを祈ります。
    千吉さん、さすがの安定感というか、とても描きやすかったんです。これからも唯之助奥方様を、時には諫めつつ手助けしてくれると思います。

    113、no.741、ズバリ正解です┅┅┅

    若君は朝から何を書いてたか(116話、119話も)、それは日記でした(138話)。

    114、no.742、怒らないでください┅┅┅

    115、no.743、じゃれ合います
    116、no.744、待て!
    117、no.745、聞こえないフリ
    118、no.746、月に酔う┅┅┅

    お待たせしました。源トヨようやく登場です。私にしては珍しく、寸止めの美を守っております。でも次回作があり、また登場するならば…どうでしょう。そっか、パラレルワールドだから何でもアリか。いやいやいや。誰か私を止めてください。

    119、no.747、希望の朝だ
    120、no.748、喜びに胸を開け┅┅┅

    ラジオ体操話を引っ張った甲斐がありまして、無事二元中継ができました。これからも実現するかは、唯が早起きできるかにかかります。

    121、no.754、秘めておきます
    122、no.757、セット完了です
    123、no.758、所以が知りたい
    124、no.760、最強の味方┅┅┅

    吉乃様なら、ちょっとのヒントで隠れ屋の謎を解いてしまうと思いました。やはりおふくろ殿には読まれておったか。大したお方じゃ。
    誹謗中傷は勿論ダメです。ただ唯ちゃん自身がちょっとガサツだったり、妻としての修行にあまり身が入っていなかったと推測されますので、恰好の餌食となってしまった。守りはするがやるべき事はきちんとやるように若君に諭されましたので(134話)、これからは変わっていく筈です。

    125、no.762、自覚が足りぬ!
    126、no.763、そっち?
    127、no.767、探り合いです
    128、no.771、先手必勝です
    129、no.772、勇気をください┅┅┅

    感覚が足軽の頃と変わっていないのんきな奥方を、ここでビシッと叱っておかないと、今後どんな危険な目にあうかわかりません。無事で良かった。
    夫婦揃って源トヨの恋路を応援してるのに、遅々として進まず。フーフーからのあーんしては、ちょっとは刺激になったかしら。源三郎が逃げずに自分の気持ちに向き合える日は来るかな?

    130、no.775、優秀な家臣達
    131、no.776、心も彩ります
    132、no.777、推して知るべし
    133、no.778、鶴翼を語る
    134、no.779、出生の陰に
    135、no.780、美しさそのままに
    136、no.781、どんな薬よりも
    137、no.782、氷が解けるように
    138、no.790、答え合わせです
    139、no.791、お見事です
    140(終)、no.792、そして明日へ┅┅┅

    若君の母は既にこの世を去っている。ドラマのこの設定で、若君の淋しさは勿論わかりますが、大殿だってそうじゃなかったの?後添えが居なかったのは何故?と、熟考しまして。私はこう答えを出しました。
    成之が若君を山中に救いに向かった日から、一年数か月経ってますから、仲直りというか成之の心の内のわだかまり自体はない筈ですが、ハイタッチでもいいから、兄弟が向き合い手を取り合える場を作ってあげたかったんです。固く握られた手がほどかれた時、兄の心も完全にほどけ、感極まるものがあったと思いたい。あとは阿湖姫にお任せしました。
    ドラマ8話で、別れ際に若君が悲痛な思いで語ったあのセリフ。少しバージョンアップして、未来を約束しました。消えた後のあんな切ない後ろ姿、もう私達が見る事はないでしょう。
    この令和Days、実は極力「キス」という言葉を使わないよう努めました。他の言葉で表しているから、何が違うんだって話ですが、なんとなくはっきりした表現じゃない方が良いかなと思ったまでです。最後、甘いチョコに甘い時間の小道具になってもらいました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    最後までお読みいただき、ありがとうございました。

    投稿フォームへ

    返信先: アシガール掲示板
    明るい話題は良いですね

    月文字さん、嬉しいお知らせをありがとうございました。
    もし、同じ世界に居るならば、唯ちゃんとママ友になれるチャンスがありますね。育児の悩みを互いに相談とか?パパにも会えたりとか?それは羨ましいな~。

    投稿フォームへ

    返信先: 創作倶楽部
    振り返ります二人の令和Days、37から85まで

    どの回も思い入れがありますので、選り抜きに時間がかかっております。no.797の続きです。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    37、no.641、唯先生の授業
    38、no.642、忠清先生の授業
    39、no.643、視線にご注意
    40、no.644、安心しておやすみ
    41、no.645、アオハルしてます
    42、no.646、効能は
    43、no.647、会話がBGM
    44、no.648、誰もが持つ宝物
    45、no.649、頭をフル回転┅┅┅

    楽しい楽しい海水浴の日。
    何も派手な遊びはしていませんが、両親に温かく見守られながら、夏の海を満喫してもらいました。
    41話、浮き輪でプカプカからの追いかけっこシーンは、若さ溢れる感じで三人に体験して欲しかったので、今回私の一番お気に入り回です。

    46、no.650、時間をプレゼント
    47、no.651、お見通しです
    48、no.652、瞼に浮かぶのは
    49、no.653、だって女子だもん
    50、no.654、君の為に僕は
    51、no.655、山盛りです
    52、no.656、かけがえのない時間┅┅┅

    輝く笑顔、真っ白なワンピースに風をはらませ、浜辺を裸足で駆ける天使のような唯ちゃん自身が、実は海の女神様で、砂に書いた願いを彼女自身が叶えていくに違いないのです。
    今回美香子さんに、娘と二人きりの時間をどこかで作ってあげたかったんですが、結果とても賑やかなドライブ&お買い物になりました。
    男子チームが訪れたのは、滋賀県彦根市にあるお城です。

    53、no.657、人生相談です
    54、no.658、導きます┅┅┅

    吉田君って、名前も呼ばれるしセリフもまあまああるのに、影が薄い。男性キャラで若君以上に目立つ訳にもいかず、仕方ないんですが、もう少し出番をあげようと再登場してもらいました。

    55、no.659、ふんわり守ります
    56、no.660、昵懇の仲です┅┅┅

    この日実は、隠れテーマが「五感を満たすデート」でした。雨に濡れて冷たく、ふと触れた体は温かく、カフェオレはより甘く、愛する人の香りに包まれ癒される。なので、少々生々しいと感じられる部分もあったかと思います。失礼しました。

    57、no.661、男も女もなく
    58、no.662、安全な時代とは
    59、no.663、願い事はなに
    60、no.664、千里の道も一歩から┅┅┅

    今回は、神社のくだりはほぼ創作ですが、愛知県犬山市にあるお城がモチーフです。天守で若君が、黒羽城があった方角を静かに眺めますが、この直前に信長の勢力拡大話を尊に聞いた(132話)ので、その距離の長さに思うところがあったのでしょう。

    61、no.667、コツコツと
    62、no.668、ヒヤヒヤです
    63、no.669、咲き誇ります
    64、no.671、教えてあげたい┅┅┅

    二人にでっかい花火見せてあげたいなぁと、現代に居る頃にどこかで花火大会やってなかったか調べましたら、ちょうどこの日、琵琶湖畔で開催されていました。お話の都合上だけなら土日か水曜開催にすれば良かったですが、実際の日付に合わせたので木曜日でした。私が代わりに?この花火大会の動画をじっくり観賞しましたが、カエルも猫もキノコも、ホントに打ち上がってたんですよ。

    65、no.672、色と香りに包まれて
    66、no.674、成長しあうのです
    67、no.679、恩返しします

    68、no.681、気が利きます
    69、no.686、私のモノ!
    70、no.688、これが目に入らぬか┅┅┅

    コーチ登場。前のシリーズ平成Days51で、デパートでばったり出くわした際「娘も小学生にもなると…」と言っていました。その娘が今回の上の子ですね。一年経って小2になりました。
    自分が娘達に取り合いにされる様子を想像して、デレデレしてた若君ですが、ここで、唯と若君の娘の名について、私の見解を述べさせてください。
    マスター様のブログ「アシガールの世界」内の「御月家の家系図からわかること」にて、「末の女子の名は美香。なぜ最初の女子につけなかったかはわかりません」とあります。私が思うに、覚は覺高に、尊は忠尊にマイナーチェンジして名付けてるけど、美香子は美香で呼び方もそのまんまなんで、畏れ多くて初めは名付けをためらったんじゃないかと。母の名を呼び捨てみたいになりますので。でも7番目に女子が生まれ、やっぱ付けようよと、ようやくリスペクトが勝ったと考えます。
    ただ、末っ子ってそもそも手放しで可愛くないですか?若君が思いっきり、母の名を連呼してる姿が想像されます。

    71、no.689、定番はどっち
    72、no.693、実践中です
    73、no.694、GO!ショッピング
    74、no.695、めざめました
    75、no.696、パワーチャージ!
    76、no.697、計画的に
    77、no.698、地上に瞬く星┅┅┅

    都会への旅行。子供達はあくまでも付き添いで、ずっと親の事を考えて行動し計画まで立ててます。だから夜、両親を早く二人きりにしてあげたのも、親孝行。
    鰻、私は断然ひつまぶし派です。そのままと薬味のせを少しいただいたら、だしを少しずつかけながらちびちび食します。

    78、no.700、リズムに合わせて
    79、no.701、思案します
    80、no.702、可愛くて可愛くて
    81、no.703、月に愛を誓います

    82、no.704、活用します
    83、no.705、夏休みと言えば
    84、no.706、ギュっとね
    85、no.707、発掘は再会だ┅┅┅

    覚さんなら、昔のグッズも大切にとってありそうだったので、この度プレイヤーを提供してもらいました。
    セミハンター、相当やかましそう。虫にキャーとか言う女子じゃなかったので、永禄で夜の草むらに飛ばされようがタフに生き延びたんだと思います。
    結婚20周年のお祝い。こんなイベントを計画してくれた子供達の成長に、両親は20年がより感慨深かった事でしょう。

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    返信先: 連絡掲示板
    確認いたしました

    マスター様、ありがとうございました。

    似たような投稿を、今後あと二度いたします。何度もお手を煩わせないようにしたいのですが、長さだけでもないようですし、引っ掛からないのを願うばかりです。

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    返信先: 連絡掲示板
    久々にやってしまいました

    創作倶楽部に先程投稿しましたが、見事に消えてしまいました。
    もし、フィルターにかかっているだけでしたら、お手数ですが解除をお願いします。
    届いていない模様でしたら、文章内のNGワードを探します。

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    返信先: 創作倶楽部
    振り返ります二人の令和Days、1から36まで

    通し番号、投稿番号、サブタイトルの順です。 どんな話だったっけ?と遡って投稿を探したい時、サブタイトルを掲示板の記事検索欄(板の下の方にあります)に入力すると、ページを戻っていくより早いと思います。

    今回、なにせ長いので(*_*)、かいつまんでの振り返りとし、描いている日付や内容が連続するお話は、まとめて解説いたします。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    1、no.585、短気は損気?┅┅┅

    子供がすぐ出来ないのは僕のせいだよ、と言ってくれる旦那さんが、どのくらいの比率でいらっしゃるかはわかりませんが。二人にはこの一月、様々なプレッシャーから解放される日々を送ってもらいます。

    2、no.590、急いで検索!
    3、no.592、兄の激励
    4、no.593、時間無制限です┅┅┅

    ドラマの設定からより離れていってますが、尊が受験生という事情もあり、無事一緒の時間が増えました。
    一応申し上げておきますが、これで毎晩同衾、とまでは考えませんでした。私はどこでもすぐ眠れるんです、と言っていた唯。イベントがあった日など特に先に寝てしまう(64話)し、そこまでイチャイチャしてないと思います。

    5、no.594、ほんのり甘く┅┅┅

    マクワウリ、食べた事があったかは覚えがないんですが…一昨年、ホームセンターに苗が売っていまして。購入しまして育て始めたのですが、ダメでした(ノд<)メロンの育て方に近いらしく、ハードル高かったです。昨年は苗が手に入らなかったので、また機会があれば頑張りたいと思います。

    6、no.595、食欲旺盛です
    7、no.596、目白押しです

    8、no.597、静かにパニック
    9、no.598、そっと見てました
    10、no.603、まるで買い物デート
    11、no.604、色っぽいね┅┅┅

    吉田君、クラスでも席近かったし、ただのクラスメートよりは仲良かったんではないかと。ただ彼、ドラマでの一人称は「俺」ではなく「僕」でした。失礼しました。
    美香子先生、妖怪千年おばばさんのお話でも後にコーチになる尾関君に慕われていますが、私も、ドラマのあのキャラならきっとそうだろうと思いました。この9話については、こぼれ話がありますのでそれは後日に。
    男子の水着がグラデーションカラーなのは、永禄のお着物は皆さん絞りをあしらった柄が多く、にじみ具合や色の淡さなどが、見慣れていて手に取りやすかろうと考えたからです。尊も派手好きではないので地味めな黒白でとなったら、あらお揃い、となったと推測しました。

    12、no.605、買い込みます
    13、no.606、ふるまいます

    14、no.607、過ぎたるは…
    15、no.608、幻滅はイヤなの
    16、no.609、レッツトライ!
    17、no.615、結末変えます!
    18、no.618、口どけ優しく
    19、no.619、近う寄りたい┅┅┅

    楽しい楽しいプールの日。
    映画「犬神家の一族」の、犬神佐清の白マスク姿を彷彿とさせる程白かった模様の男子達。1976年公開の映画ですが、この前4Kデジタル修復したとニュースになってました。それまでもちょくちょくリメイクなどされていて、関連グッズも見た事ある気がしまして、唯が知ってる体で進めました。白い若君はイケてないらしい(42話)。
    タピオカですが、カップの底に沈む感じはちょっとカエルの卵っぽくはあり…私は好きですよ。だから唯に止められなくても、若君が実物見たら引いたかもとは思います。
    プールを大満喫した帰り道、名前で呼んでくださいと両親にお願いした若君。若君って呼び名、どこか敬語っぽくありませんか?令和に居る間くらい、総領とか何の肩書もない一人の男の子として過ごせばいい。より家族として絆が深まったと思ってます。

    20、no.620、いっちにーさんし!
    21、no.623、イケメンシェフ再び┅┅┅

    若君がラジオ体操と出逢った朝。永禄でも続く彼の新たな日課の始まりです。
    ハンバーグに高野豆腐を混ぜこむのは私の定番でして。未だ分量など模索中ですが、出来たハンバーグをお箸で割った時に、プチューと肉汁が出る動画を撮って、ほくそ笑んだりしております。

    22、no.624、あの頃の私と僕┅┅┅

    どうせお祭りを描くならと、黒羽城があったと推測される三重県いなべ市のお祭りの日程を調べましたらこの日でしたので、神輿などモチーフの参考にさせていただきました。

    23、no.625、屋根まで飛んだ

    24、no.626、君はプリンセス┅┅┅

    13話の後、エリさんはワンピース2着の仕立てに着手するのですが、久々で腕が鳴ったのでしょう、一週間かからずに出来上がりました。

    25、no.627、もてなします

    26、no.629、労います
    27、no.630、ずしりと重く
    28、no.631、製造中です
    29、no.632、香ってます
    30、no.633、光ほのかに┅┅┅

    戦の後、討ち取った敵の首を大将が確認していたそうですが、戦に寄らぬ和平の道を探りたかった若君には、とても辛い役目ではなかったかと推測します。体を優しくさすってもらって、辛さが少しは和らいだなら良いのですが。

    31、no.634、積年の夢
    32、no.635、社会勉強です┅┅┅

    両親は若君に、現代の仕組みも覚えて帰ってね、労働にはこのような対価があるんだよと教えたかった。親の教えを素直に聞き、よく働き、コツコツと貯め、そのほとんどを唯が喜ぶ品物に支払いました(56話、89話、98話)。

    33、no.636、働き者です
    34、no.637、シエスタです
    35、no.639、どうか醒めないで
    36、no.640、柔らかくて温かい┅┅┅

    「夢の中に出てきた、あなたはとても素敵…」松田聖子さんの「Eighteen」の歌い始めですが、唯の夢を書いている間中、ずっとこの曲が脳内リピートされていました。2019年8月は、唯がまだ誕生日を迎えていなければ、ちょうど18歳。まだまだ夢見てていい年頃だもの。忠清王子も唯姫の望みなら何でも叶えてくれそうだし。と若君に、反対のご意見もあったであろう車の運転をさせました。唯は泣いて喜んでおりましたので…ご容赦ください。

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    返信先: 創作倶楽部
    今までの二人の令和Days、番号とあらすじ、86から最終話まで

    no.727の続きです。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    86no.708、8/14、悪夢で体が動かない

    87no.709、8/14、デートに誘われご機嫌に

    88no.710、8/14、公園に取り残される唯

    89no.711、8/14、花束に超感動のあまり

    90no.712、8/14、ブランコから見上げる空

    91no.713、8/14、顔に残る証拠。留守番は任せて

    92no.714、8/14、両親に最後のマッサージ

    93no.715、8/14、尊が彼女を家に招く日は来るか。寝る位置の考察

    94no.716、8/15、最後の朝。呼ばれて芳江とエリの元へ

    95no.717、8/15、鶴が集まった。家族の話に感涙

    96no.718、8/15、千羽鶴完成

    97no.719、8/15、薬局でイチャつくカップル

    98no.720、8/15、スーパーの軒先で一休み

    99no.721、8/15、昼ごはんはおにぎり

    100no.722、8/15、写真を眺めながらゆったり過ごす二人

    101no.723、8/15、お目覚めの後花火観賞。荷物をまとめ始める

    102no.724、8/15、両親にメッセージ収録中にハプニング

    103no.728、8/15、芳江とエリにお別れの挨拶。鶴がまた増えた

    104no.730、8/15、はさみ揚げはカレー味

    105no.731、8/15、両親昭和歌謡にノリノリ

    106no.732、8/15、かき氷であーんして

    107no.733、8/15、唯の焦燥感はなぜ

    108no.735、8/15、無事永禄へ。誰か来た

    109no.736、8/15、からかわれる小平太

    110no.737、8/16、花の保管方法は。阿湖に会いに行く唯

    111no.738、8/16、土産を渡す。女子会大盛り上がり

    112no.740、8/16、千吉に頼み事する唯

    113no.741、8/17、成之を訪ねる若君

    114no.742、8/18、呼び名を優しく受けとめた吉乃

    115no.743、8/19、成之源三郎小平太の三者三様

    116no.744、8/19、じゃれ合いながらも何かを思い付く若君

    117no.745、8/19、源トヨを呼んだ若君。トヨにお願いが

    118no.746、8/19、源三郎に恋愛の教示

    119no.747、8/20、じいが体操を催促

    120no.748、8/20、ラジオ体操二元中継

    121no.754、8/21、吉乃が隠れ屋の謎に気付く

    122no.757、8/21、表門前のブランコ完成

    123no.758、8/21、悪丸の名の由来を推理する尊

    二人のもしもDays4no.759、とある年(ほぼ2021年)の12月23日から25日、唯の望みは叶い二人の望みはもうすぐ叶う

    124no.760、8/21、尊の読みは当たった。女中を成敗するトヨ

    125no.762、8/22、唯の無防備な行動に激怒した若君

    126no.763、8/22、トヨの勇気の結果は

    二人のもしもDays5no.764、とある年の大晦日から元日、家族五人で迎えた新年。誕生日を祝う

    127no.767、8/22、サポート体制万全で若君の料理始まる

    128no.771、8/22、もんじゃ焼き完成。トヨが攻め勝つ

    129no.772、8/22、源三郎一人相撲

    130no.775、8/23、庭にブランコ設置。悪丸の告白

    131no.776、8/23、男前のトヨにご褒美を

    132no.777、8/23、有頂天のトヨ。大殿登場

    133no.778、8/23、大殿に千羽鶴の意義を説明する若君

    134no.779、8/23、初めて語られる母の話

    135no.780、8/23、尊手芸男子の扉を開く

    136no.781、8/23、手当ては温かく優しい

    137no.782、8/23、固い絆のハイタッチ

    138no.790、8/23、尊と若君の秘密会談

    139no.791、8/23、速川家の三人が最後の若君手製の料理を堪能。しばし想い出に浸る

    140(終)no.792、8/23、聞きたかった言葉と離れても家族を思う心

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    返信先: 創作倶楽部
    カマアイナ様

    唯とたーくんの物語を、手放しで喜んでくださっているご様子がとても嬉しく、創作のうえで大変励みになりました。こちらこそ、ありがとうございました。心より感謝いたします。

    ご期待に添えるかはなんとも未定ですが、いつか作れたらいいなと思います。二人のラブストーリーなんていくらでも描けるんですが…私は速川家五人揃ってるのが好きなので、五人一緒がいいし…辻褄のちゃんと合う良さげな理由ないかしら。考えます。

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    返信先: 創作倶楽部
    140話終えて

    春先から始めた夏のお話、真冬に無事終えられまして、ほっとしております。
    唯と若君に味わわせてあげたかった夏の日々。他にも出来る事はあったかもしれませんが、家族の時間もたっぷり作ってあげたかったので、まあまあ詰め込んだつもりです。
    所々設定や呼び名も変えるし、至らない表現ですとか、気に入らない展開もあったであろうと思いますが、自由に描かせていただけました事、感謝感謝です。皆様、そっと見守ってくださいまして、ありがとうございました。

    今回、速川家へのプレゼントの如く現れた二人。三分後に戻れるならまさしく気楽な里帰り。現代の夏のシーンと家族共に過ごす幸せを堪能して欲しい。また永禄の皆さんの生き生きした姿を私が見たくて、38日間全ての日付を描きました。
    ドラマ7話で若君が「我らも確かに生きておったのだ…食らい、戦い、笑い、嘆き」と語りますが、日本史の教科書に載らない人々の日常こそ現代に続く訳で。令和Daysは、永禄と令和、これからも脈々と続く日々のほんの一部です。一部だからラストも淡々と。明日は何かが起こってしまうかもしれないけれど、それはいつの時代も同じ。おやすみまた明日の挨拶ができる幸せが、長く続くのを願うばかりです。

    終わって今思うのは…うん。淋しいですね。それにルーティンが無くなって、生活習慣が変わるなと(;^_^A
    話のストックを小出しにしてはいましたが、1日おきと決めた投稿ペース、毎日夕方になると、あれ今日投稿日だっけ?と焦りΣ(×_×;)
    休日に、今日は何話か書き進めるぞ!と日がな一日格闘する事も多々ありました。

    とはいえ、しばらくタイムマシンの行き来は無理ですし、モチーフもないし。こういうテーマで!となれば、少し前のパラレルワールド話の如くネタは出せますが…隠居生活に入ると思います。

    ひとまず、86話以降のあらすじの表を出します。あと、振り返りですが、140話全部では、場所ばかりとって申し訳ないので、かいつまんで、これだけは言っておきたい、弁解したい回だけにいたします。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days140(終)~23日20時、そして明日へ

    それぞれの場所で。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君が懐から、布に包まれた何かを出した。

    唯「あれ?それって、千羽鶴が包んであった風呂敷じゃない?」

    若君「そうじゃ」

    唯「えー、なにー」

    開くと、中身は小さい箱。

    唯「え?アーモンドチョコ!どうしたの?いつの間に買ってた?」

    若「千羽鶴と共に、包まれておったのじゃ」

    唯「そうなの?!そっか、次の日の朝、たーくん早起きだから、先に部屋に風呂敷ごと持ってったんだよね」

    若「あぁ、ほどいたらこれが出て参り驚いた。何も文は入っておらなんだゆえ、多分即座に思い立ち、入れてくださったのであろう」

    唯「お母さんが包んだって言ってたしね。え、でもなんで今まで隠してたの?」

    若「特に意味はないが」

    唯「そう?」

    若「ゆうべはこの時間、もんじゃ焼きで満腹であっただろうが、逆に今日の昼飯」

    唯「ギクッ」

    若「あまり食しておらなんだように見受けたが」

    唯「阿湖が居たから、ちょっとだけ見ならって、おしとやかにしてみた」

    若「ほぅ。で、腹も減っておろうと思い」

    唯「大当たりー!助かるぅ。じゃあ一緒に食べようよ。写真見ながらとかどう?」

    若「良かろう」

    蝋燭で照らしながら、二人で写真集のページをめくっていく。最後に近付いた所で、

    唯「あれ?これって」

    若「おぉ、これは…あの、爪を乾かしていた折の」

    ソファーでうたた寝する、二人の写真が増えていた。

    唯「ラブラブを激写されてるぅ。お父さんかな、尊かな。でもいい写真」

    ガッツリ唯にもたれていた若君。

    若「少し重そうにしておらぬか」

    唯「重かったもん」

    若「それは、済まなんだ」

    唯「ううん。安心して寝てるんだな、って嬉しかったから全然OK」

    若「ハハ、そうか」

    写真集をパタンと閉じた唯。顔を上げると、若君に見つめられていた。

    唯「…チョコもっと食べる?」

    若「あ?いや、唯が食せ」

    唯「要らないの?」

    若「唯がこの世の幸せ、と食す姿が見たい」

    唯「えー。そんなコト言うと、たーくんの分なくなるよ?」

    チョコを頬張る唯。優しく見つめる若君。

    若「図らずも、父上と存念が同じであった」

    唯「あー、今日の話?」

    若「わしも、妻は生涯、唯だけじゃ」

    唯「嬉しい!あっでも私、ずっと生きるから」

    若「…うん」

    唯「だってさ、愛するって、その人を幸せにするために生きる事じゃない?遠くじゃ嫌だよ。もちろんそばにも居たい」

    若「そうじゃな。…その、生きる話じゃが」

    唯「うん?」

    若「わしは唯に謝らねばならぬ」

    唯「謝るって?」

    若「戦へ出ても、必ずや唯の元へ帰る。無論生きての」

    唯「…」

    若「約束する」

    唯「いいの?」

    若「常に前を向いておらねばならぬのに、約束も出来ぬとは、敵に背中を向けるのと同じであった。気付くのが遅く、済まなかった」

    唯「…良かった。私ちょっと、心配してたの。あんなにたーくん、みんなに生きろって言ってたのに」

    若「考えた上で申した事ではあったが、かえって不安にさせてしもうた」

    唯「万が一、のために覚悟はする。でも必ず戻って来るって、強い気持ちで居てくれるだけで嬉しいよ。ありがとう」

    若「共に生きよう」

    唯「はい!」

    唯の肩に手を置いた若君。引き寄せようとすると、

    唯「はい、あーんして」

    口にチョコを入れられた。

    若「…避けておるのか?」

    唯「そんなコトないよぉ。まだチョコもあるし」

    若「今食べ切らずとも」

    唯「まぁそうだね。なんとなく、もうちょっとたーくんと話してたいなって」

    若「そうか。何を話す?」

    唯「あのね、初めて永禄に飛ばされた時、私ここで…って絶望したけど、たーくんに会えたのは奇跡で、今こうして一緒に居られて、ホント良かったなって」

    若「出会っていきなり刃先を向けられても?毒キノコを食せと申しても?」

    唯「あっ…そっそうだよ、まぁ、どうせだったら、たーくんに斬られるならまだいいのかなー。いや、痛いのはヤダな」

    若「ひょうげた小僧など斬らぬ」

    唯「どう見ても、おなごじゃなかったと」

    若「フフッ」

    唯「ちぇー」

    若「ハハハ」

    唯の髪を撫でる若君。見つめ合う二人。

    若「唯」

    唯「はい」

    若「この世に、わしの前に現れた事、心より礼を申す」

    唯「あ、それ…。そっか、私すぐ戻るつもりで、もう一回言ってってリクエストしてたんだった」

    若「お前の事は生涯…」

    唯「…」

    若「離さぬ」

    唯「キャー!」

    若「シッ!声が大きい!」

    唯「ごめぇん。あ~今のセリフ、動画でとっときたかったな~」

    若「幾度でも申すが」

    唯「やーん、それもっといい!嬉しいっ」

    唯が姿勢を正した。若君も正対する。

    唯「えっとね」

    若「うん?」

    唯「たーくんも大殿も優しくしてくれるけど、赤ちゃんが欲しい気持ちは変わってないの。もう、くよくよはしないけど、いつか…いつか会えるといいね」

    若「ゆるりと、待つとしよう」

    唯「うん。でも、子供にデレデレのたーくんも見たいな」

    若「ハハッ。まぁ、身籠れば、唯を戦に出さずには済む」

    唯「前に言ってたな、それ。うん。私は、子供を守って、だから家族を守れて、たーくんも守れるんだね」

    若「そうじゃな…」

    唯「あ」

    若「…」

    唯「ふふっ、チョコの味だ」

    ┅┅

    変わって、令和。速川家リビング。

    美香子「ふぅ。新聞も読み終わったし、そろそろ寝ようかしら。あら、尊」

    覚「喉でも渇いたか。麦茶なら冷蔵庫に」

    尊「あ、ううん、歯磨きに来た。今日はもう寝ようかと思って」

    覚「お?日中から細かい作業で疲れたか?」

    尊「なんか…兄さんの声が聞こえた気がしたんだ。程々にって」

    覚「降臨したか」

    美「忠清くん、静かに見守っててくれそうだもんね」

    ┅┅

    夜も更けてきました。五人、寝支度です。

    唯「さすがに眠くなってきたなぁ。たーくんそろそろ寝る?」

    若「うむ…」

    唯「って、なんか考え事してるし」

    若「尊は、このような夜更けにも、学問に励んでおるのでは?」

    唯「だって一か月遊んでたよ?アイツ」

    若「されど無理はならぬ」

    唯「じゃあさ、そう願ったら?気持ちを送る感じでさ」

    若「心通じ合うようにか」

    唯「そっ」

    若「…尊。体に気を遣い、程々にせよ」

    尊「あっ、…兄さん?」

    唯「たーくん優しいよ。ねぇねぇ、明日の予定は?」

    若「朝から領内の見回りに」

    唯「忙しいね。武士は週休二日とかないからなぁ」

    若「何じゃ、それは」

    唯「完全土日休みとかならいいのに」

    若「土日。そういえば、明日は土曜日じゃ」

    唯「え?よく覚えてたね。そっか、たーくん毎日日記つけてるからわかるんだ」

    若「土曜日なら、院は開いておるではないか」

    唯「半日ね」

    若「お母さんも、忙しゅうされるであろう」

    美「さて、明日あと半日、頑張ろっと」

    覚「そろそろ寝るか」

    唯「そうだね。じゃあ、寝るとしますか」

    若「あぁ」

    尊「おやすみなさーい」

    美「おやすみなさい」

    覚「おやすみ~」

    若「おやすみ、唯」

    唯「おやすみたーくん、また明日ね」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    彼らの日常は、続きます。

    この度も、ご覧いただいた全ての方に感謝いたします。かなり長くお付き合いいただきましたが、なんとか走り切る事ができました。ありがとうございました!

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days139~23日19時、お見事です

    このブランド、爆売れに違いない。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    引き続き令和。キッチンに覚と尊。

    尊「スパイス、忠清ブレンド使う?」

    覚「今日は使わない」

    尊「って言うか、どれが兄さんのかわかんなくなってるけど」

    覚「へへ。どうせなら、全部貼りたかったからさ。壮観だろ?」

    スパイスの棚に整列した小瓶。ラベルが統一されているのだが、

    尊「全部、忠清って書いてあるし」

    ┅┅回想。8月10日6時、キッチン┅┅

    覚が一階に下りてきた。すると、庭から若君登場。

    若君「おはようございます、お父さん」

    覚「おはよう、忠清くん。え?今朝はもう稽古終わったの?」

    若「今日は、大掃除をすると聞きましたので、早めに体を温めました」

    覚「そうなの!クリニックが昼までだから、本格的にやるのはそれからだけどね。さすが、志が違うなぁ」

    若「然程でもございませぬが」

    覚が、キッチンの棚を眺めていたが、蓋付の瓶を一つ取り出した。

    若「どうされましたか?」

    覚「あのさ、昨日スパイス混ぜてもらったじゃない。忠清ブレンド」

    若「はい。この瓶、ですね」

    覚「僕の字でラベル…あ、この貼ってある紙ね、書いたけどさ、どうせなら忠清くんに書いて欲しいな~なんて」

    若「それはお安い御用ですが、ここに書くのですか?」

    覚「いや、それは書きにくいから。ちょっと待ってね」

    紙と筆ペンを持ってきた。

    覚「ここに、名前だけ書いてくれる?」

    若「忠清、だけで?」

    覚「うん。それで充分だから」

    サラサラと達筆で名が書かれた。

    若「これで良いでしょうか」

    覚「カッコいいな~。ありがとう」

    若「で、どうされるのですか?」

    覚「ペタっと貼れるように、シールにプリントさせて貰うね。あ、えーと、この僕の字から、君の字に貼り替えるよ」

    若「そうですか。それは楽しみです」

    ┅┅回想終わり┅┅

    尊「コピり過ぎだし、肝心のスパイス名は小さくしか書いてないし」

    覚「あまりに美しいから、達筆メインでな」

    尊「それよりこれ、超笑えるんだけど」

    酒やみりんの瓶にも、まるで銘柄のように忠清と大きく貼ってある。

    覚「高級酒みたいだろ?」

    尊「人気ブランドだなぁ」

    19時30分、美香子が顔を出した。

    美香子「8時前には席に着くから。あら、今日はスープがメイン?もしかして」

    覚「金曜だから忠清くんの料理の日。最後のホワイトソースだ」

    美「嫌だわ、最後なんて」

    覚「仕方ないだろ、いくら冷凍でも日持ちの問題はあるからな」

    20時、三人で晩ごはん。

    全員「いただきます」

    美「あ~美味しい。五臓六腑に染み渡るわ~」

    覚「最後の一掬いまで、堪能してくれ」

    尊「おいしいな。あ、そういえばさ、お母さん、花火大会の動画、観てないよね」

    美「観てないわね」

    尊「ご飯済んだら流してあげるよ」

    晩ごはん後のお茶タイム。

    尊「お父さんも座って」

    覚「僕は観たけどな。あ、もしかして、何か足したのか?」

    尊「うん」

    美「えー、何~」

    上映スタート。

    美「綺麗ね。まぁ」

    覚「気付いたか?」

    美「うん。唯と忠清くんの声が聞こえるわ」

    尊「僕、極力静かにしてたから」

    美「なんか嬉しい。ありがとう、尊」

    画面は、実験室の中に切り替わった。

    覚「お?」

    美「あら」

    二人からの感謝のメッセージ、生まれ変わったらの話と続く。

    美「今までで最高の泣きっぷりじゃない?」

    覚「あなたの母になります、なんて、我が娘ながら中々のモンだ」

    美「そうね…。あのさ」

    覚「何だ」

    美「ウチって、彼が帰ってきたい場所になってるかしら」

    覚「なってると思いたい」

    尊「なってるよ。絶対」

    美「うん。じゃあ、いつ来てもいいように」

    尊「すぐは来ないはずだけど」

    美「アクセサリー作り、頑張ろっと」

    覚「細かい作業だぞ~」

    美「顕微鏡で覗きながらやろうかしら」

    覚「なるほど、それいいな」

    尊「どんだけ小さい物作る気なの」

    美「やっぱり?」

    全員「ハハハ~」

    ┅┅

    その頃、永禄。唯の居室。

    唯「たーくん、お疲れ様ぁ」

    若「待たせたの、唯」

    唯「あのね、聞いて!さっきね、小平太パパが妙だったの」

    若「妙とは何じゃ」

    唯「いっつも、会えば小言を言われてたんだけどさ。子はまだか攻撃も」

    若「まぁ、養父としての立場はあるからのう」

    唯「今日は、言いかけて、アッて口をふさいでたの。たーくんが止めてくれたの?」

    若「いや、直には申しておらぬ。吉乃殿には、わしの存念は伝えたが」

    唯「そーだったんだー。さすがたーくん、さすがおふくろさま。小平太パパさー、まぁ一応家族だけどさー、パワハラ気味だし、ちょっとうっとうしかったんだよね」

    若「パワハラ?」

    唯「あ、えーっと、どう説明しよう」

    若「それは」

    唯「ん?」

    若「鹿之原には近いのか」

    唯「…近くないっす」

    若「そうか。まぁ良い。今宵はの、唯が喜ぶ品を持って参った」

    唯「えー!なになに?」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

    次回、最終回。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days138~23日17時、答え合わせです

    自由に行き来できる未来が早く来ますように。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    令和。食卓に尊。早速買ってきたレジン液を型に流し込み、花を入れ、専用のライトで固めるという作業をしている。

    覚「カーテン開いてて、眩しくないのか?」

    覚が麦茶を運んできた。

    尊「わざと開けてあるんだよ」

    覚「そうなのか」

    まだこの時間は、太陽が燦々と降り注いでいる。

    尊「日にかざした時、どう見えるか確認したいから。だって使うのは日中でしょ、かんざしとか帯留めとか」

    覚「まぁ、そうだな。まだ練習段階か?」

    尊「うん、ひとまずは」

    覚「あまり根を詰めるなよ」

    尊「大丈夫。昼間しかやらないから」

    覚「そうなんだ」

    尊「花がどう日差しに映えるか見たいから、夜よりは明るい内に作業したくて。そのために、紫外線で固まるUVレジンじゃなくて、LEDライトで固まるLEDレジンにしたから」

    覚「色々あるんだな。面白そうだ。お母さんもやりたそうだったぞ」

    尊「今の内にモノにするからさ、土日で作ろうよ」

    覚「いいね~」

    尊「受験勉強は、夜にするから」

    覚「再始動な」

    尊「うん。三倍頑張ってるよ」

    再び作業を続ける尊。

    尊「ふう」

    一呼吸して顔を上げた。窓の外には、夏の庭の景色と、実験室。

    尊 「…」

    尊は、若君と二人、実験室で話し合った日の事を思い出していた。

    ┅┅回想。8月13日20時30分、実験室┅┅

    向かい合って座る尊と若君。

    若君「お父さんには、聞かれとうなかったのか?」

    尊「そんな事はないんですけど、なんとなくサシで話したくて」

    若「そうか」

    尊「それでは…前に、家族全員でお城に行った時の話ですけど」

    若「尊の隠れた存念じゃな」

    尊「はい。僕あの時、令和の現代は安全だと思いますか?って聞きました」

    若「そう思うておる、と答えたのう」

    尊「率直に言います。450年後の現代は、色々わからない分危険です。兄さんは特に」

    若「…聞かせて貰おうか」

    尊「永禄と令和。お互いに今どうしてるかな?と思いを馳せた時、令和に居れば永禄の大まかな状況はわかります。それは、歴史として残っているから。いつ戦があったとか、黒羽城はどうなっているとか」

    若「うむ。語り継がれるからじゃな」

    尊「兄さん、前回帰った後、向こうで日記付け始めたんですよね」

    若「あぁ。少しでも日々の様子が末代に残れば良かろうと思うての、前の日の事柄を、翌朝に」

    尊「翌朝なんですね。さすが兄さん、ちゃんと覚えてて書けるんだ」

    若「無事に朝を迎えられた事に感謝し、書き始めるのじゃ。何より、夜は出来るだけ長く唯と過ごしたい」

    尊「のろけですか?」

    若「ハハハ。朝の唯は居らぬも同然であるし」

    尊「ダラダラ寝てるんですね」

    若「その分、書く時間は取れると」

    尊「はは…。そういうのもあって、令和の僕達は永禄の状況を把握しやすくなってますけど、逆は無理ですから」

    若「そうじゃな」

    尊「いつかすごく改良されたタイムマシンができて、行き来が簡単安全にできるようになったとしても、現代に着いて驚くかもしれません」

    若「それは、例えるならば?」

    尊「家族の誰かが居なくなってるとか。事情は色々考えられますが、家が無くなってるとか。帰る場所としてその時速川家が存在してるかは、永禄ではわかりません」

    若「まぁ、考えとうはないが、わからなくもない話じゃな」

    尊「実験室自体が無くなっていれば、まず飛べませんけど、それはそれで、未来で何があったかと心配になりますよね」

    若「ふむ。あとは?」

    尊「無事着いた。僕も両親も健在。でも、見えない危険があるんです」

    若「どのような?」

    尊「初めて兄さんがここに来た時、感染症にかかったじゃないですか」

    若「うむ」

    尊「あの時の兄さん、矢傷が癒えつつあって万全な体調ではなかったにせよ、兄さんだからかかった気がするんです」

    若「わしだから。弱いとな?」

    尊「いえ、育った時代の違いです。いろんな免疫…病気やバイ菌から身を守る力がやや少ないというか」

    若「尊には、それがあるのか?」

    尊「僕に限らず、両親もです。必要な免疫は、赤ちゃんの頃からつけるような制度にもなってて」

    若「幼子は、病を恐れず育つ事が出来ると」

    尊「はい。で、兄さんにはそれがないけど、お姉ちゃんにはあります」

    若「良いではないか」

    尊「それがもっと危険で」

    若「何ゆえ?」

    尊「お姉ちゃん自身はピンピンしてても、知らずに現代の何かしらの菌などを、永禄に運んでしまうかもしれないんです。そうすると、兄さん始め永禄の皆さんが危ない」

    若「目に見えぬからか」

    尊「はい。今こうしてサシで話してる僕も、兄さんを危険に晒しているかもしれないんですが。前回は飛ぶ前に感染がわかったんで、治してから帰れましたけど…」

    若「それはないと思いたいが」

    尊「また、もし次回があったとして、現代に到着した時、もう空気自体が汚染されているかもしれない。普段からこれ着けていないといけない世界になってるかもしれません。そうすると、降りたった以上、永禄には簡単には戻れなくなります」

    隅に置いてある、防護マスクを指差した尊。

    若「そうか…」

    尊「という訳です。でね、兄さん」

    若「ん?」

    尊「まずは、大学入るための勉強を頑張ります。無事入り、手がつけられるようになったら、タイムマシンの改良をして、起動スイッチも新たに作ります。いつになるかは約束できませんけど」

    若「うん」

    尊「無事完成して、こちらの世界もまぁ安全、となったら、僕から迎えに行きますから、それまで待っていて欲しいんです」

    若「そうか。わかった。今の起動スイッチは、無闇に引き抜かぬ様、わしが預かっておく」

    尊「そうしてください。お願いします。新型の野望としては、一度に5人以上運べるようにしたいです」

    若「家族より多くか。子や…尊の妻女か?」

    尊「えっ?!そっちは…何とも言えません。どっちにしろ、早めに頑張って作ります」

    若「ハハハ。わしの頑張りが早いか、尊が早いか」

    尊「頑張りますか。ははは」

    若「ようわかった。わしばかりでなく、永禄の皆まで案ずるとは、さすが尊じゃ」

    尊「話せて良かったです。じゃあ、戻りましょうか」

    ┅┅回想終わり┅┅

    尊「今日はここまでにするかな」

    覚「お、終わりか?じゃあそろそろテーブルの上片付けてくれ」

    尊「うん。晩ごはん何?」

    覚「今日は例の日だから、ごちそうだぞ」

    尊「例の日?今日は金曜…あ、兄さんの料理の日?まだ残ってるの?やった~!」

    覚「忠清くんは居ないが、手伝ってくれよ」

    尊「はーい!」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    返信先: 創作倶楽部
    最終回のお知らせです

    ついノリで、源トヨの投稿を先にしましたが、大事なお知らせをこのままさせていただきます。

    桜と薔薇さま。お読みいただいているのですね。嬉しい限りです。

    でも、そろそろ…なんです。長々とお送りしてきました「二人の令和Days」ですが、全140回となります。

    次が138なので、あと3回です。皆様、もう少しだけ、お付き合いください。

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    返信先: 創作倶楽部
    支社版『源・トヨ』

    二人の令和Daysを書き終わっておりまして、余裕があった所に、楽しげな投稿が!ちょっと別の角度から乗っかってみました。
    ┅┅
    トヨ「源ちゃん、パラレルワールドって知ってる?」

    源三郎「何か聞いたことあるような…」

    急に辺りが暗くなる。すぐに明るくなった。

    ト「え?何が起こった?」

    源「おぬし、誰じゃ」

    ト「へ?」

    源「トヨによく似ているが…」

    ト「…って何言ってるの?目の前に居るのはトヨちゃんですよー!」

    源「違うだろう」

    ト「えっ?」

    源「妻のトヨはどこに行ったんだ…」

    ト「つ、妻?!」

    トヨ 心の声(もしかして、もしかすると、あたしホントのパラレルワールドに迷い込んだの?)

    源「おぬし、名は?」

    ト「トヨ、です」

    源「そうか。同じ名なんだな。道に迷うたのか?」

    ト「そんなつもりはないんですけど…」

    源「隣の村境まで、送ってやろう」

    ト「は、はい…」

    ト 心(もう、言う事聞くしかないわね)

    歩きだした二人。

    ト「あのう…」

    源「何だ?」

    ト「トヨさんって、どんな奥方ですか?」

    源「ずっと好きで」

    ト「まあっ」

    源「ようやく射止めたんだ。もうじき子が生まれる」

    ト「そ、そうなんですか」

    ト 心(こっちの世界の方がいいじゃない!)

    草の生い茂る間に、暗くなっている箇所があった。なぜか、体が吸い寄せられるトヨ。

    ト「え!キャー!」

    ト 心(こ、これは、ドラマ1話の冒頭で、若君様を追った唯様がはまった穴?)

    ト「…はっ!」

    源「お前何だ、急に居眠りなんかして」

    目の前に源三郎。

    ト「あたしの知ってる源ちゃん?」

    源「何寝ぼけてるんだ?小さい頃から知った仲だろ」

    ト「良かった…」

    源「で、パラレルワールドが何って?」

    ト「ん?もうその話はいいや」

    源「何だそれ」

    ト 心(一瞬見たあの世界、別にこっちでも、そうなってもいいもんね。頑張ろっと!)

    梅とパインさんのように、なにわ色豊かにはできません。夕月かかりてに、お題「パラレルワールド」を与えるとこうなったと。お邪魔いたしました~。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の令和Days137~23日15時、氷が解けるように

    スピンも逝きましたか。名脇役でした。ドラマアシガールを彩ってくれて、ありがとうございました。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    もう心配ない。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君の手ほどきで鶴を折る、成之と阿湖。

    成之「なるほど」

    阿湖「ここを折るのですね」

    若君「はい」

    阿「あら、唯は違う紙ね。鶴ではないお品を作ってるの?」

    唯「鶴だよ。バージョンアップした」

    阿「え?」

    若「より、折るのに技が要る物じゃな」

    唯「えーっと、ここ折ると…違う!これじゃ翼に噛みついてるみたいだから…」

    ブツブツ言いながら、連鶴に挑戦していた。

    唯「できた。けどなんか、クチャってしてるなー」

    クチバシで繋がる二羽の鶴。そのクチバシがヨレっとしていた。

    阿「まあ!この二羽…いい、すごくいいわ」

    唯「ごめん、肝心のチューしてる部分がイマイチだった」

    阿「いえ、この、この感じがいいの。ねじれて重なり合うクチバシがなんか…狂おしくて」

    唯「え?激しいのがお好みなの?意外~。阿湖ってさぁ、現代に居たら、ドロドロ恋愛関係のドラマとか観まくるタイプで、私とは話合わなかったんだろーなーって思う」

    阿「所々わからない言葉があるわね…でも、唯と合わないなんてないと思うわよ?」

    唯「ありがと。今が永禄で良かったよ。じゃ、これ阿湖にあげる」

    阿「まぁ!嬉しい!」

    仲良く四人で折り進めている。

    唯「なんかさ」

    若「なんじゃ?」

    唯「せがれ達が二人、仲良くしてるのって、イイ」

    阿「あら、さっきは母は嫌って言ってたのに」

    唯「なんとなく、ノリで」

    成「調子の良い事を申しておるのう」

    唯「いいじゃん、たーくんと兄上さんは、仲良くしてて欲しいってみんな思ってるよ」

    阿「そうね…」

    若「そう、じゃな…」

    成「…済まない」

    唯「やだ、なに謝ってんの?カンペキに仲直りしたでしょ」

    成「あぁ」

    若「うむ」

    唯 心の声(うわぁ、言葉少なっ。ヤバい、私が微妙な空気にしちゃった?どうしよう…うーん。そうだ!)

    唯「ねぇねぇ、心通じ合いました記念でさ、ここらでちょいと、アレやってみない?」

    若「アレとは?」

    唯「ハイタッチ」

    若「おぉ、なるほど。そうじゃな」

    成「今、何と?」

    阿「はい?」

    唯「やってみてあげるね」

    成之と阿湖が見やすいように移動し、向かい合って座った唯と若君。

    唯「では、座ったままバージョンで。いきまーす」

    若「うむ」

    唯「イェーイ!」

    若「イェーイ!」

    右手を高く挙げ、パシッといい音でハイタッチした。

    成「なんと」

    阿「まぁ」

    唯「はい、次は仲良し兄弟でどーぞ!」

    若君が、成之の前に座った。

    若「宜しいか?」

    成「あぁ」

    右手を高く挙げた二人。

    若「イェーイ!」

    成「イ、イェーイ!」

    パン!と大きな音でハイタッチ。すると、成之が合わせた手をすかさず握った。固く握られたまま、腕が下ろされる。

    若「兄上…」

    成「末永く、宜しく頼む」

    頷いた若君。手はゆっくりとほどかれた。

    阿「素敵…」

    唯「うん」

    成「阿湖」

    阿「はい」

    成「そろそろ、参るか」

    阿「あっ、はい。ねぇ唯、この折り紙、少しいただいてもいいかしら?もうちょっと作ってみたくて」

    唯「どーぞぉ」

    阿「出来上がったら、お持ちするわ」

    若「忝ない」

    成「では、これにて」

    若「では」

    成之が去っていく。阿湖が、唯に耳打ちした。

    阿「ごめんなさいね、そそくさと。なあさま、きっと涙を堪えてると思うの」

    唯「いいよん。早く行ってあげて」

    二人に会釈して、阿湖も出ていった。

    唯「たーくん偉いよ」

    若「ん?」

    唯「矢の傷とか、マジ辛かったでしょ」

    若「済んだ事じゃ」

    唯「大人だねぇ」

    若「…そうじゃ」

    唯「なぁに?」

    若「結果オーライ、とは、このような折に使うのではあるまいか?」

    唯「…はあ?!」

    若「違うたか?」

    唯「ううん、合ってる」

    若「そうか」

    唯「めっちゃゴキゲンな顔してるし」

    若「ハハハ」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。が、

    次回は令和の尊からスタートです。

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