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  • 返信先: 創作倶楽部
    新シリーズのご説明と創作の経緯について

    ぷくぷくさんのお話が佳境の所、失礼いたします。

    70話分にもなってしまった、私の創作話「平成Days」は、2018年11月23日から12月23日の、ドラマのSPで、唯と若君が平成に来た時のお話を過大に膨らませた物語です。この平成Daysを描いている時から、私には、どうしても二人に楽しんでもらいたい季節がありました。

    それは、夏です。二人にとって、二年に渡り辛い事が多かった季節です。

    2017年は、当初こそ初デートもありましたが、若君は襲撃され最後には感染症。唯はおたずね者で野宿で高熱。2018年は、若君は戦続き。唯は一人傷心の日々。若い女子が、夏中悶々と過ごすなんて、かわいそ過ぎます。

    そんな二人に、現代の平和な夏をぜひ楽しんでもらいたい!と考え、今回の創作となりました。原作からは当然かけ離れているし、ドラマとも違うし、なにこれ?!と思われるのは承知の上で、お送りしたいと思っております。設定は平成Daysの続きのままで進めます。

    もし、よろしければですが、またお付き合いくださるならば幸いです。

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    返信先: 創作倶楽部
    振り返ります二人の平成Days、69(終)まで

    no.576の続きです。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    51、no.527、守り抜きます┅┅┅

    自分の作品で好きな回ベスト3を挙げるなら、この回が1位です。困っている唯の前に歩み出る所なんか、SPで阿湖姫の前に出た成之のように、ときめく効果音入れたいです。
    夫は医学生です、速川の家を継ぐべく頑張ってますが、子供が出来ました、夫は遠方に住んでいて離ればなれもなんなので、しばらく実家は離れます…なら、近所で姿を見かけなくても辻褄が合います。此度の嘘は誰も傷つけてはおらぬのです。
    なによりも若君の誠実な対応が信憑性を増しました。見えなくなるまで頭を下げられていたら、コーチも、いい青年だったぞ!と太鼓判をおしてくれるでしょう。体が泳ぐ程の唯のセーターも、いい仕事しました。

    52、no.528、まるわかりです┅┅┅

    帰りの電車でいちゃつく姿、とても彼氏が戦国武士とは思えませんが、ここは平和な現代、大目に見てやってください。顔にメロメロと書いてある位なので(46話)。

    53、no.530、新居に届きます┅┅┅

    次に届くDMが待ち遠しい。写真館には、どんどん送ってもらいましょう。
    ここが新居…妄想の妄想ですが、もし、家を訪れてピンポーンと呼鈴を押したら、エプロン姿の若君と、子供を抱っこした唯が、はーいと出てきたら…そりゃあいいでしょう!

    54、no.534、感謝を形に┅┅┅

    クリスマスについて、若君はあまり説明してもらえなくなってます。でも唯はあんなに浮かれていた、わからぬがまあ良い、といった所です。
    急にしゃべってとか書き始めてもすぐ中断するわで、あい変わらず天衣無縫な感じの唯ですが、一方で、今日はお腹鳴らさないように!と小腹を満たしている辺り、やはり花が咲いたのかもしれません。

    55、no.535、お電話お待ちしています┅┅┅

    コントのような会話というか、完全に姉弟でコントやってます。テレビっ子(もう使わないか?)の若君は、理解していました。前回来た時、日本史の教科書は読破していた模様なので、勉強の合間にテレビ、かな?

    56、no.536、優しいハーモニー┅┅┅

    あえて両親のコメントを今聞かない、と決めたのは、最後の夜、家族笑って過ごしたいという気持ちの表れです。子供達三人、目を腫らしてリビングに戻って来たら、どうしてもしんみりしちゃいますので。両親に、また永禄でゆっくり観るねと言う様子が、ストーリー外で展開されたであろうと想像してください。

    57、no.537、普通ってなに┅┅┅

    唯と尊の言葉の応酬は、テンポ早めで読んでいただけるとより生き生きとします。そして、この釘引き抜きにくい的な、この姉侮れない、の早口言葉も生きます。で、唯は意味はわかっているよないないよな。ずっと会話はこんな感じの姉弟だったんだろうな、と推し量りました。
    全ての呼び名を見届けよ、イコール、一生共に居よ、は、さすがに唯も気付きました。

    58、no.540、多数決です┅┅┅

    一緒に風呂だと!!破廉恥な!とお叱りを受けそうですが、その部分はバッサリ抜けてます。風呂上がりのラブラブな様子で察してください。
    洗面所で、きっと大騒ぎしながら、唯は若君に髪を乾かしてもらいました。その時間に風呂に入っていたであろう尊も、なんか洗面所からハートマークが飛んでくる…と、いい迷惑だった事でしょう。でもって、急いで出たら早過ぎると二人に睨まれた。踏んだり蹴ったりです。
    二人の居ない所で、母の本音がちらりと覗きました。まあ、ファンタジーですから、いろんな現実的な話もバッサリ抜けます。
    これを話すとまた長くなるのですが…唯がこの22日23時40分頃「今日が満月かと思うくらいまんまる」と言います。実はそれは正解で、確かに翌日が満月なんですが、その満月になる瞬間は、23日の2時49分。翌日の夜実験室に入る前に見たであろう月より、唯がこの時間見上げた月の方がより丸かったのです。しかもこの22日は冬至だったので、一年で一番高い位置に月が輝いた日でした。

    59、no.544、川の字で┅┅┅

    美香子さんは若君を、息子としてもかわいいし、一人の男の子としてもかわいいと思っているのでしょう。でなきゃ隣の布団で、なんてリクエストはしない。
    家族五人の内、ずっと一人で寝起きしていたのは唯だけです。最後は両親とべったり仲良くおやすみなさい、でした。

    60、no.545、ずっと熱いままです┅┅┅

    自分の作品で好きな回ベスト3の3位です。
    好きとも言わずキスシーンもないのに、色々溢れ出ています。
    この翌朝(25話)で、朝一で唯が「浴衣は着てる…よし」と言っていますので、若君の着付け方が相当丁寧だったのでしょう。しかし、きちんと着付けられてる時点であれ?と思わないか?唯は、気づいていません。まあ、気づいたらまた大騒ぎでしょうが。
    この回のお気に入りは、ついギュっと抱き締めてしまい、唯がちょっと動いたら、あっきつ過ぎた?痛かったか?とちょっとオロオロする所です。

    61、no.546、塗り替えました┅┅┅

    看板がもう換わってるなんて、黒羽市の行政は素早い。それだけ市民の意識の中に浸透しているのでしょう。まだまだ変わりそう、変わって欲しい。
    若君のセーター、ファブる前にクンクンしたかった者は、正直に手を挙げましょう。

    62、no.547、心も支度します┅┅┅

    SPで唯が現代を去る時、両親に今まで育ててくれてありがとうとは言いましたが、悲しい顔はしていませんでした。今生の別れの可能性が高い中、どこかで負の気持ちを整理する瞬間があったのではないか、そうあって欲しいと願い、若君に促してもらいました。
    お願いすれば、いくらでも腕の中で泣かせてくれたでしょうが、唯は強い女の子、一人でカタをつけました。

    63、no.548、似て非なるもの┅┅┅

    ジェンガが出来た当日若君は、唯が欲しゅうなったと二階へ連れて行ってしまった(29話)ため、ちょっとほったらかしになっていた感はありますが、ちゃんと覚さんが入れ物を見繕ってくれていました。
    高野豆腐、私もストックしてありますが、思ったより賞味期限が短く3か月程なので、早めに使い切ってもらいたいです。
    父と息子が酒を酌み交わせるのは、いつになるでしょう。なんせ若君の年齢を証明できる物がないので、家呑み限定になりそうです。

    64、no.549、蜜月┅┅┅

    普段着の時かけてたレイを、最後着物に着替えてもかけてましたので、なぜわざわざそうなったかを考えて、私の話ではこうなりました。
    最後、言葉遊びで会話が成立。仲良し。

    65、no.551、バリアフリーです┅┅┅

    家族総出でパーティーの準備。美香子さんが割とゆる~い感じで会話をしてるのは、いいわね~こんな時間ずっと続くといいのにね~という気持ちの表れです。
    平成Days、唯は終始若君に対してタメ口です。最終話ダイブ!の続きではちゃんと丁寧語だったんですが。尊敬の念が薄れた訳でなく、現代のこのホームグラウンドでなし崩しにこうなっていたと言うか。たーくんと呼んじゃう心配よりも、同じ口調で話さないかが…「は?!何言ってんの?!」(29話)とか、絶対御法度だし。

    66、no.552、パーティー始めます┅┅┅

    やや危ない物と感じ取りましたので、若君は心の準備ができていた模様。音も火縄銃に近いから、戦で敵を惑わせるのに良かろうと思ったかも。

    67、no.557、怒りの矛先は┅┅┅

    今にして思えば、帰りたくないなどと思うてはならぬのじゃ決して、こんな弱くては…と自分に苛立っていたと。弱くはないと思いますが、自分を律し続けてきた若君ゆえの葛藤でした。
    SPのパーティーシーン、実際若君はほとんど笑っていません。クラッカーもケーキ入力も。はさみ揚げをかぶりついた所だけ笑顔。
    若君の来るなオーラ、唯が最初に見たのは、ドラマ4話でふくとなった時の、後ろ姿から放たれていたオーラでは。あの時は、切り崩そうとあれこれ頑張りましたね。今回はじっと観察しました。

    68、no.559、開いてみせて!┅┅┅

    唯の怒涛の勢いに、若君は言葉が出なかった。図星だったからですが、唯は言うだけ言って、それ以上なじる事なく、すぐに気持ちを切りかえています。この優しさに、若君は唯に母性愛を感じているんだと思う(5―2話)。結果、かなり大泣きした模様。すっきりした気持ちで旅立てたのは間違いないです。
    若君の泣き腫らした顔。唯がちょっと嫌味っぽく表現して、若君は当然わかっていませんでしたが、その…SPの旅立つ直前の健太郎くん、そんな風に見えたのは私だけかしら。なんか火照ってる感じでしたので。で、きっと心がからっぽになる程泣いた後なんだろう、と解釈させていただき、このように話を繋げました。

    69(終)、no.560、永遠に名を呼んで!┅┅┅

    唯は、家族の前で泣かないと決めていたので、プレゼントも直接手渡そうとは考えませんでした。
    名残を惜しむように語らう二人。今までは、あの時はこんなだったね~と過去を振り返る話もしていましたが、この回ではほぼ未来の話しかしていません。現実は厳しいかもしれませんが、今は夢いっぱいであって欲しいし、きっと唯なら、願えば叶います。
    唯に瓜二つの娘は嫁に出さない、それを聞いて少し前の唯なら、キャー嬉しい!となったと思いますが、ダメだよ~と諭します。ちょっと大人になったかな?
    最後、部屋を出る所で終わったのは、リビングも、外へ出た時も、言葉はなくアイコンタクトで進んだと考えたからでした。

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    投稿したからにはフォローも必要と思いましたが、長文失礼致しました。最後まで読んでいただきありがとうございます。

    次回作は…近日発表いたします。

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    返信先: 創作倶楽部
    振り返ります二人の平成Days、26から50まで

    no.573の続きです。
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    26、no.443、磯の香り漂います┅┅┅

    覚さん、水を得た魚になったり、行いました報告にギャグのように慌てたり。そんな夫をかわいいでしょ?と美香子さん。ラブラブです。

    27、no.449、親子水入らず┅┅┅

    母と娘の時間を作ってあげようとそっと立ち去る、さすがの若君。考え方が大人。
    クラッカーのくだりの尊のセリフ「お姉ちゃんが、楽しみなだけじゃん」ホント、その通り。怒り出したかもしれなかったのにね。

    28、no.456、一つ一つ心をこめて┅┅┅

    いたって平和な日常です。父と息子が一緒に木片のヤスリがけ。微笑ましい。本人の意志に関係なく、巻き込まれてしまう尊も、若君の頼みとあらば別格の模様です。

    29、no.461、妬いちゃう!┅┅┅

    話は軽ーく展開していますが、唯はこの時、若君の子供を産み育て、守る!と決意しています(41話)。
    覚さんが、若君の今までを「諦め続ける人生だったんだな」と言いますが、そんな彼が出逢ったのが、諦めるなんて言葉、辞書にはない唯。惹かれて当然だと思います。
    この回のイチオシは、名を書くと言い出した若君が真っ先に書いたのが、速川の家族の名前だった所。走り書きとはいえ、これも大切に保管してある事でしょう。

    30、no.467、語り合おう┅┅┅

    お互いが尊敬の対象という、美しい兄弟愛です。生まれ変わっても、のくだりで、若君の答えに尊が驚いていましたが、これが唯に言わせると、とんちんかん(28話)なのでしょう。いや、これは心の純粋さゆえなんですが。

    31、no.472、腕が鳴るよ┅┅┅

    前段。一回しか着ない服を買わせるのは、と唯も若君も一旦遠慮します。いい子達です。しかし、二回目はありました(61話)。二人とも、二回目喜んで袖を通した事でしょう。
    後段。ひょんな事で、シェフデビューとなりました。観ていたのは、この日本当に放送されていたきょうの料理(no.491)。少しは、リアルを感じられたでしょうか。しかし鯛もあおさのりも、練習できる程買いこんでいたとは。覚さん、これがなかったら何を作ろうとしてたのでしょうか?

    32、no.476、泣けちゃう!┅┅┅

    しばらく若君は、両親を一人占めです。前回平成に来た時も、三人だけというシチュエーションはあった筈ですが、ここまでべったりではなかったでしょうね。懸命にモノにしようとする姿、そりゃあ頭も撫でたくなります。
    この回のお気に入りは、「微塵に、切る」。まるで刀に持ち替えたかのような、華麗なみじん切りが見られそう。

    33、no.477、笑顔を見せてね┅┅┅

    この日の美香子さん、午前の診察ちゃんと出来たのかと思う程、様子を見に来てます。
    覚さん、親の愛情は一方通行と言いました。実の息子ではない若君にも、惜しみなく注ぎます。

    34、no.481、伏せよ!┅┅┅

    車のドアを開けたら、体を頑張って小さくして潜んでた。びっくりだけどかわいい。
    若君のセーターの試着で、唯が腕まくりに興奮していましたが、腕フェチは間違いなく私です。ドラマの若君なら、5話、布団に横たわる姿を頭の方から足先に向けて映している時の、肩から腕のライン。ぼぉっとロウソクの光に浮かび上がっているのが良いです。あと、Blu-rayまたはDVD、SP版の映像特典の中の、クランクアップ集、美香子役の中島ひろ子さんの時、ちらっと映る、私服らしき白いパーカー姿。首の見え方もグッド。この白パーカーを、赤いセーターに脳内変換すると、私のイメージしたセーター姿に近づきます。

    35、no.484、腕の中で咲く花┅┅┅

    どれだけ唯がそこつ者でも、若君には花の蕾に見えるんだから愛の力はすごい。完璧な男性である若君、感性も豊かであって欲しいと思っております。

    36、no.486、行っちゃえ~┅┅┅

    あの手この手で、早いトコ唯と若君を二階に追いやりたかった三人。薄々怪しさに気づきながらも、理由がわからないので流されるように二階に行った二人。全ては録音のため(43話)でした。無事録れて良かった。

    37、no.489、絶妙な掛け合い┅┅┅

    自分の作品で好きな回ベスト3を挙げるとしたら、この回は2位です。唯と尊の言葉の応酬が大好きで、ずっとエンドレスに書いていられます。
    この中に、後に出てくる内容の伏線をいっぱい散りばめました。唯の願いが少しずつ叶っていきます。
    何かのインタビューで、結菜ちゃんが健太郎くんと、次に共演するなら20年後に倦怠期の夫婦役で、と言ってたのを見た覚えがあったので、関連させて入れ込みました。

    38、no.490、手さばきあざやか!┅┅┅

    無事シェフデビューを果たしました。どれも美味しそうです。来週も、と言えなかった両親がさみしそうですが、いつかきっと叶う筈。

    39、no.492、愛を届けます┅┅┅

    年賀状を書きました。このシステムに、唯よくぞ気付いた!しかし、部屋はそこらじゅう半紙だらけです。
    唯は、書かれた字を見て、読めないけど、素敵~と褒めてます。また書き終えた後、待てない若君が迫りますが、軽くいなしています。それぞれ徐々に大人な対応になってきています。

    40、no.493、時空を超えて┅┅┅

    受け取った年賀状を、喜びながらも読めなくて大騒ぎ。唯の願い通り、尊が気付いてくれました。いや、他に書ける所、あっただろと。←赤ペン瀧川さん風で

    41、no.497、フェードアウト┅┅┅

    高3の2学期終わりでの退学、余程の事情があるのだろうと、学校側は考えたでしょう。唯も覚もさみしそうだったし。若君は、朝父娘で出かけ昼過ぎても帰らない、またこの時持ち帰った唯の荷物など見て、ただならぬ雰囲気、どうやら…と感じ取ったのだと思います(46話)。

    42、no.500、お披露目です┅┅┅

    尊がかわいいのでしょう、やたらとからかわれています。まあ、若君に迫られたら、大抵の女子…男子もかも、は、落ちますよね。

    43、no.504、あの日の空と┅┅┅

    タイムラプス。最近はスマホでも撮れる機能がついていますが、2018年当時はそこまで普及していなかった模様なので、尊にデジカメを持たせました。
    オーディオコメンタリー。Blu-rayまたはDVD、本編版の音声特典で大人気でしたね。しゃべってる健太郎くんのお腹の鳴る音まで聞こえると。聞こえ過ぎて結菜ちゃんも呆れてましたね。私もイヤホン使用で聞こえました。今回、尊が鼻をすする音も、二人仲良くイヤホン使うと聞こえちゃうかも。

    44、no.515、冬に遊ぶ┅┅┅

    鏡の中の美しい若君にキュンキュンする唯。周りのアクセサリーが引き立ててました。だるまや雪だるまは江戸時代に登場したので、いくら唯が「歴史ありそうなのに」と思っても、わからなくて正解。
    彼氏が戦国武士である以外は、いたって普通なデートですが、これこそ唯が望んだ日常で貴重だと思います。

    45、no.516、ピッとね┅┅┅

    ICカードに馴染みのない方には分かりにくかったと思います。母心で名前まで入ってました。母心で言えば、唯に穿かせたいタイツを色々選んでいた時、きっと娘の可愛らしい姿を思い描いて、笑みがこぼれていた筈です。

    46、no.517、扉が開く┅┅┅

    唯のヘアスタイルが変わっていく様子をじっと観察。術だと目を見張っていましたが、綺麗に仕立てられていく様子にデレデレだったに違いないです。
    自動改札を、若君が恐る恐る通過した後に、何程でもないとサッサと通り抜けてくる唯が頼もしく、目立ちませんが守ってます。

    47、no.522、エスコートします┅┅┅

    この前の回もですが、公共の場ではしてはいけない事がある、と若君にちゃんと伝えないと、ラブシーンが展開されるので取り扱い注意です。
    混んだ電車内、「被さるように肘を壁に当てて立つ若君」は、Blu-rayまたはDVD、SP版の映像特典の中の、撮影現場メイキング「壁ドン撮影に密着!」内で、結菜ちゃんが冗談で、(どうせ壁ドンなら)これがいい!とやっていた仕草です。健太郎くんが笑いながら、ちっかー(近い)と言ってましたね。なんせ混み合う電車、あまり幅をとると人波に流されるかもしれないので、極力くっついてもらいました。

    48、no.523、告白します┅┅┅

    二人で写真を撮りながらじゃれあう姿、そっと物陰から見ていたい。
    キスシーンが出てきますが、平成Daysでは実はそんなに回数はありません。いや、多かったですかね?最終話ダイブ!の続き、7話、13話、15話、16話、この48話のみです。旅先で腹を決めた時でさえ、なかったのです実は。見ていない所でどうかは、知りません。

    49、no.524、風を纏って┅┅┅

    また、この世界に二人だけかのような展開です。空港そばですごくうるさいとは思うんですが、その分、より近づいて濃密な時間を過ごしています。
    芝生の話ですが、あれ?冬って枯れてない?と思ったので調べたら、夏芝・冬芝とあって、冬芝は冬でも緑色だそうなので、安心して二人を座らせました。

    50、no.525、手のひらに想い出┅┅┅

    若君は、カタカナは読めてない筈です。でも、これ名前なんだよと言われ、そうかと納得して喜んでいます。後にアルファベットも出てくるし(64話)、この先の世は名前一つでも覚える事が多くて大変、と思ったかもしれません。

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    返信先: 連絡掲示板
    確認致しました

    早速解除いただき、ありがとうございました。
    字数が多い文章ですか(ToT)あと二回、同じような長さの文章を投稿予定です。引っ掛からないのを切に願うしかないですね。もし、またやらかしてしまったら、ご対応はゆっくりで結構です。

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    返信先: 連絡掲示板
    またやってしまったようです

    創作倶楽部に先程投稿しましたが、反映されませんでした。投稿先欄には残っておりませんので、フィルターにかかったと思われます。もし引っ掛かっていましたら、解除をお願いいたします。
    また、NGワード系の話なら、原稿を再考いたします。お世話ばかりおかけしてすみません。

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    返信先: 創作倶楽部
    振り返ります二人の平成Days、25まで

    全70話プラス2話でお送りしてきました二人の平成Days、書きっぱなしもなんですし、1話ずつ簡単に振り返ります。いや、簡単じゃないかも…。私の投稿ばかり幅をとって申し訳ないとは思っております。

    通し番号、投稿番号、サブタイトルの順です。どんな話だったっけ?と遡って投稿を探したい時、サブタイトルとあと通し番号を、掲示板の記事検索欄(板の下の方にあります)に入力すると、ページを戻っていくより早いと思います。

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    ドラマ最終話ダイブ!の続き(通し番号なし)、no.329、~唯篇~&同じく、no.329、~若君篇~┅┅┅

    静かなひととき、ようやく訪れた二人だけの時間、いつまでも未遂では…個人の感想ですが。どうせなら、たっぷり満喫してもらわないとと思った次第です。あ、そういえば二人きりでなく、源三郎とトヨは見てましたね(no.336、梅とパインさんの作品)。
    若君篇の最後、この世界に二人だけかのような、と締めました。実際、頭に浮かんでいたフレーズは「We’re All Alone」です。曲もありますね。名曲です。
    この回の私のお気に入りは、唯篇の中で若君にもたれかかった唯が、若君の声を「声が体越しにも響いて、全身で若君を聴いているよう」と感じてる所です。唯だけに許される贅沢です。

    1、no.330、一日一日を大切に┅┅┅

    この回の肝はやはり、若君の語る「毎日誰かの誕生日、だから毎日大切」に尽きますが、若き人格者の彼だからこそ、生きた言葉になったなと実感しました。

    2、no.333、仲良きことは┅┅┅

    優しい若君は、じいをカートに乗せたいのですが、もし手に入ったとしても…

    じい「もっと早う走らせい!押せ!」

    小平太パパ「あまり早う走らせると、この道では腰にひびきますぞ」

    じ「いいから押せ!」

    小パ「はあ。知りませんよ、はい」

    じ「おっほ~。ん、ギャー!痛たたた!これ!早う止めんかぁぁ…」

    小パ「しまった、この道少し下っておったわ」

    …てな感じでしょう。

    3、no.338、おつかいできたかな┅┅┅

    ケーキ越しに若君なんて眼福もいいところ、店員さん達は超ラッキーです。漫画で背景に薔薇をしょって、でなくケーキをしょって?実際には米をしょって帰りました。

    4、no.346、賑やかな食卓┅┅┅

    もし若君が、エプロン姿で手巻き寿司作ってくれて渡してくれたら?そんなイベントあったら行列できそう。
    平成Days中、若君は唯の手料理を食べる事はありませんでした(48話)が、この時だけ、やたらデカくて具がはみ出まくっている手巻き寿司を食べさせられています。

    5-1、no.347、質問です┅┅┅

    落雁は、唯の甘~い思い出お菓子ですね。眺めていたい気持ちはわかる。そして、ただぼやっと過ごす事なく、何でも吸収しようとする若君に、言葉尻を捕らえられてしまいました。迂闊な事は言えません。真剣に聞いてますから。

    5-2、no.348、慈愛┅┅┅

    ドラマ本編やSPをご覧になっている皆さんに、ここまで事細かに経緯を伝える必要は、ホントはありません。この時点では、くどいなと感じられたと思います。でもこのあと、美香子さんは怒り心頭に発する(19話)ので、なぜそうなったかの伏線的な回でした。

    6、no.353、尊の指南┅┅┅

    尊が言えば若君が言う。オウム返し状態で、いかにも勉強してますといった風情の、かわいらしい相思相愛の兄弟の姿です。愛の囁きの言葉のほとんどを、尊が教えている事実。それこそ「面白い」。

    7、no.357、早起きは三文の徳┅┅┅

    朝からラブラブ過ぎたりして感情の起伏が激しかったので、この日の夜には、唯の体がおかしくなります(15話)。若君の中では、愛してる、は自分の想いを的確にとらえていて、腑に落ちたのでしょう。意味を理解していると言ってますし(16話)。しかし、伝え方が策士。

    8、no.358、速川家の婿殿┅┅┅

    この日、軽く転機を迎えます。若君の苗字を速川と書きました。こうやって、現代の生活に溶け込んでいきます。この時の美香子さんの機転が、後にICカード(50話)やDM(53話)に繋がりました。

    9、no.362、誓います┅┅┅

    SPの小垣城での別れの際の約束は、生き抜く、遠く離れていても、でした。この回で、傍らに居て、共に生き抜くと誓います。平成に飛ぶ直前、櫓の上で唯が「もう二度と離さないで」と呟きましたが、若君は微笑んだだけでした。彼が離さぬとはっきり告げるのはもっとずっと後(46話)ですが、この誓いを聞いて、唯は安心できたと思います。

    10、no.363、降臨!┅┅┅

    女子二名がキャーキャー選んでいます。これが母娘か、と微笑ましく思いながら相手を務める男子一名。一番大人しくて一番大人。

    11、no.364、親しみをこめて┅┅┅

    この日、大きい転機。呼び名が変わります。聞きなじみのない音の響きに、さぞかし戸惑ったでしょう。
    唯の事だから、彼氏っぽくって良くな~い?とか思ったに違いない。お慕いします若君、から一緒に居ようねたーくん!位の大転換。なれなれしいと言えばそうなんですが、現代では若君~と叫ぶ方が周りが驚きますから、たーくんで妥当だと思います。家族としても距離が縮まりました。

    12、no.368、本物だもの┅┅┅

    守ると決めたらトコトン守る。カメラマンに声をかけられても、一切若君に喋らせませんでした。世渡りも上手い唯。

    13、no.371、笑顔で完成┅┅┅

    ドタバタしながらも、順調に撮影。最後に指輪登場。きっとこの日一番の笑顔が撮れたと思います。

    14、no.375、家族の一員┅┅┅

    若君が、結婚指輪の意味や意義をどれだけ理解していたかはわかりません。唯が実際どう思ってたかの補足ですが、実は話の流れの関係で、除いたセリフがあります。

    覚「指輪、持って行きたいんじゃないのか?」

    唯「ううん。失くしたら立ち直れないから、置いてく」

    …ちゃんと納得の上でした。

    15、no.383、溢れるほどの┅┅┅

    一日色々あって、体調を崩したのでしょう。好きな女の子が目の前で大泣きしている。放っておく筈がない、と女の打算が働いたとは思いませんが、ちゃんとわがままを聞いてくれました。

    16、no.385、溢れたあとは┅┅┅

    ラブラブが展開されてる裏で、どこか調子っ外れな両親と、いつもツッコミ役に回らざるを得ない尊のコンビネーション。この対比が好きなので、所々出てきます。若君が頑張ってくれたおかげで、面会時間も一時間延びました。かなり自由度が増したと思います。

    17、no.388、邪魔しないで┅┅┅

    都合良く給湯器が壊れ、大きいお風呂の予行練習となりました。尊は、少しでも岩盤浴行ったのか?汗はかいたのか?行ってない気がします。

    18、no.392、ママ!┅┅┅

    この回で若君が、ありがとう、を使います。礼を申す、が良くない訳ではありませんが、彼なりにこうした方がいいんじゃないかと考えた結果の選択ではないかと。戦国言葉と現代語、二つを使い分ける、バイリンガル若君です。

    19、no.394、大事な息子┅┅┅

    親の心子知らずとしたモノで、ホントにこの子ったら!とかなり叱られてしまいました。唯もほとんど口を挟んでいません。そして口答えもせず素直に聞く。彼が知ったのは、唯が居る幸せプラス、実の子のように接してくれる両親や、慕ってくれる弟が居る幸せでした。

    20、no.395、歩み寄ります┅┅┅

    唯は完全浮かれモード。説明はほとんど、小姓の尊がしてます。with小姓…確かに柚子胡椒と似てる(2話)。呼ばれて返事をする時は、声を揃えると喜ばれるらしいと学習する若君。この回の中で変化していきます。

    21、no.404、願いは叶う┅┅┅

    イルミネーションと、夜の海。相反しますが、どちらの美しさにも感動。優しく見守る父と弟。そして、はしゃぐ女子二名。いくつになっても、女子にしといてあげてくださいな、覚さん。

    22、no.412、ひらめいた!┅┅┅

    ずーっと、考えていたんですねぇ。答えが出て良かった。豪華会席料理、旅行の醍醐味の一つですね。
    お気に入りは、若君が固形燃料が燃え尽きるのをじっと待ってるところ。松明やロウソクとはまた違う、揺らぐ炎。見入っちゃうのはわからなくもない。

    23、no.422、ショック!┅┅┅

    ジェンガ登場。見てる限り、若君は倒してばかりです。戦国の皆さんにお披露目する前に、猛特訓する筈。
    部屋割にグズグズする唯、この後の展開がわかっているから怖かったのかな。避けてひっぱたいてオロオロします。祝言あげたんじゃないのか!とツッコまないと。

    24、no.427、あなたの全て┅┅┅

    やっと、やっと…です。私のお話では無事?こうなりました。
    途中、おいで、と言っています。え、そこは、近う参れじゃないの?と思われたかも。どこで覚えたかですが、多分、覚さんが呼ぶ時に使ってたか、テレビで言ってたか。唯が、キュンとさせる作戦?と思いながらハマってるので、まあ良しとしてください。実際、目の前で言われたらドキッとするでしょうし。
    この回の肝は、唯が話す「言って」です。以前戦国にて、二人のお気に入りの場所で再会した時、唯が心で叫んだ言葉です。その時は、勿論どうしようもなかったけれど、欲しい答えは言ってもらえなかった唯。だから、流れでなんとなくでなく、どうしても若君の口から伝えて欲しかった。思っていた以上に優しく誠実に申し込んでくれて、感動していました。

    25、no.437、特別な朝┅┅┅

    終始、からかわれている唯です。ただ、この前の晩の話(60話)では、若君は好き好きモード爆発してます。唯はそれを知りませんが。愛する唯をとうとう手に入れて、安心した男の余裕、かもしれませんが、どちらかというと、好きな女子についちょっかい出しちゃう男子、に近いかな。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人のもしもDays3、記憶に残るお花見篇

    初めてご覧になる方へ。私が僭越ながら描きました妄想物語、「二人の平成Days」の設定で、唯と若君が、本来現代に居ない時季に居たなら、どう季節のイベントを過ごしたかをお送りしています。

    今年は、桜前線が通り過ぎるのが早いですね。早春の風情を、少しでも感じていただけたら。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    3月下旬のある日、夜8時の実験室。

    若君「…」

    尊「…」

    男子二人は、将棋を指している。

    唯「…」

    唯は、3月4月のカレンダーの拡大コピーに、何やら書き込んでいる。

    尊「お姉ちゃん、さっきから黙って何やってんの?妙に静かで変だし」

    唯「…は?作業中だから、邪魔しないでよ」

    尊「わざわざここでやる意味あんの?」

    唯「いいじゃん、9時まではたーくんのそばに居ても」

    若「傍には居るが、ずっとこのような案配なのじゃ」

    尊「えーっと、この状況を整理しないと訳わかんないな。まず若君は、姉が構ってくれないので僕の所に来た。だけど、なぜか姉はついて来た。ほったらかしなくせに近くには居たいらしい。…いや、そもそもさ、若君がフラれたってどういう事?!前代未聞、空前絶後!どうした姉ちゃん!」

    唯「…」

    尊「聞いてる?」

    唯「え?私?」

    尊「若君がこんな、捨てられた子犬みたいな顔してるのに」

    唯「あー、悩むなー」

    尊「聞いてないな。一体何してんの」

    唯「いつ、花見に行こうかと」

    尊「花見?黒羽城公園だってまあまあ咲くよ?」

    唯「わかってる。せっかくだから、わさわさ~っていっぱい咲く名所に、たーくんを連れてってあげたいの」

    尊「ほー。そんなん、行く場所決めればすぐじゃん。何か所も行くの?」

    唯「たぶん一か所しか行かない」

    尊「じゃあ何でそんなに悩むの」

    唯「名所ってさ、たいてい桜祭りとかやるじゃない」

    尊「やるね。凄い人だよ。僕なら、桜より人が多い所は行きたくない」

    唯「桜は咲いてるけど、お祭りはやってない時に行きたいの」

    尊「へ?出店とかないよ?いいの?」

    唯「超イケメンのたーくんを、そんな人混みに連れてったら…」

    尊「囲まれそうで、守るのが大変?」

    唯「さらわれそうで、守るのが大変」

    尊「まさか、と言いたいところだけど、スカウト的なのは有り得るな」

    唯「だから、最新の開花状況と、いろんな名所のお祭りの日程を書き込んでんの」

    尊「なるほど、それはかなり複雑だ。…じゃあ、僕も考えるよ」

    唯「え、関係ないのにいいの?」

    尊「僕も一緒に行きたくなった。デートの邪魔はしないからさ」

    若「尊も共に?」

    唯「え?それは逆に、二人でたーくん守れるから安心だけど、なんで?」

    尊「人がそこまで居ないから、静かに花見ができそう」

    若「全く以て出るのは苦手、ではないのじゃな」

    尊「はい。若君と遠出もいいかなって」

    唯「私が邪魔みたいじゃない」

    尊「そうかも?ウソウソ、じゃあ将棋の続きはまたという事で。お姉ちゃん、考えとくからさ」

    唯「なに」

    尊「早く子犬拾ってあげて」

    唯「え?あ、お待たせ~たーくん、ごめんね~」

    尊がバイバイと手を振る。

    唯「ん?出てけって?」

    尊「制限時間が迫っていますどうぞお時間を有効にお使いください」

    唯「なによその棒読み~」

    若「ならば唯、部屋へ参ろう。尊、忝ない。また9時に戻るゆえ」

    尊「はい、お待ちしてますね」

    二人を見送る尊。

    尊「子犬かそれとも狼か。まぁ、どのようにでも」

    9時。若君が実験室に戻って来た。

    尊「お帰りなさい。大体、書き込みましたよ」

    表は、パソコンの中に作成済み。

    若「おぉ、さすがに尊、事が早いのう」

    尊「超体育会系の姉が考えるより、超理系の僕が考えた方が、早いは早いですね」

    若「その、超何系とやらは」

    尊「はい?」

    若「わしならば、どのように表す?」

    尊「あー。えっと、何か一つの分野が優れているとそう言うんです。僕だと、こういうのは得意ですけど、運動は全くダメですから。若君は、全てに優れているから、当てはまる物はないです」

    若「弱い分野、はあるぞ」

    尊「何ですか?」

    若「唯じゃ」

    尊「なるほど」

    若「ハハハ」

    ドアを叩く音。

    覚「おーい、また何か作ってるのか?コーヒー持って来たぞ」

    覚が、お盆片手に入って来た。

    尊「お父さん、ありがとう」

    若「痛み入ります」

    覚「将棋か。ん?何だこの、線だらけの紙は?」

    尊「お姉ちゃんが、若君と花見に行きたくて、日程を吟味してた跡」

    覚「花見?黒羽城公園もそろそろ咲くじゃないか」

    尊「やっぱりそう思うよねぇ。若君を、名所に連れて行きたいんだって。でも、お祭りとかやってない時がいいって言うから、どうずらすか日程をパソコンに入れ直してたんだよ」

    覚「どんな桜が見たいんだ?」

    尊「どんな?それは聞いてない。やっぱり満開なんだろうと思うけど」

    覚「オススメの、桜の名所があるんだがな。ただ、満開じゃなく、終わりかけがいいんだ」

    尊「散りかけって事?」

    覚「ああ。風情があるから、若君は気に入ると思うけどな。お前達さえ良ければ、車で乗せてくぞ」

    尊「え、いいの?って、お姉ちゃん居ないのに決められないか」

    若「父上がそう仰せられると、是非にとは思いますが」

    覚「一つだけ条件があるしな」

    尊「何?」

    覚「家を、朝3時頃に出発する」

    尊&若「えっ」

    翌日。

    唯「じゃあ、満開の桜は、いつもの公園で楽しめって?」

    覚「満開だけじゃないぞ。桜は、ちらほら咲き始める様子もいい。近いから頻繁に行って、そういう移り変わりも楽しめばいい」

    唯「そのオススメスポット、わさわさ~っていっぱい咲く?」

    覚「勿論だ。朝早く行くから、人は居ないし」

    唯「わかった。じゃあメインのお花見はそっちにするよ。いつ頃行くの?」

    覚「多分、4月始めのどこかだ。開花状況で変わるから、行くと決めた日の前の晩に言うからな」

    4月になりました。第一週。

    覚「明日、決行だ」

    唯「わかったー。今日は早く寝ないとね」

    尊「面会時間終わったら、すぐ寝ますか」

    若「そうじゃな」

    美香子「今年も行くのね」

    覚「行ける時はな。目測を誤って、シャッターチャンスを逃した年もあったが」

    唯「たーくん、お父さんね、実はカメラが趣味なの。あそこに並んでるでしょ」

    リビング奥の棚に、ずらりとカメラが並ぶ。

    若「あれは、使いもするのじゃな」

    唯「使うって?」

    若「父上が、よく磨いては戻されるので、ただ眺めて愛でる物かと」

    美「あら~。これはお父さん、ぜひいい作品撮影して、若君に見せてあげないと」

    覚「そうだなー」

    翌朝3時。まだ真っ暗。車に乗り込む四人。

    覚「では出発、じゃないな、出立いたす」

    唯&若&尊「ははっ」

    尊「お母さんも行きたかっただろうね」

    覚「平日だからな。渾身の一枚を土産にする。着いたら起こすから、寝てていいぞ」

    唯「おやすみー」

    尊「早っ」

    しばらく車内は静かだったが、

    若「父上」

    覚「え?あ、若君起きてたのか」

    若「父上が運転する中、眠るのは忍びなく」

    覚「そうか~。若君が優しい息子で嬉しいよ」

    若「遠方なのですね」

    覚「車で一時間位かな?あ、最寄り駅からそう遠くないから、電車でも行けるよ」

    若「そうですか」

    覚「もし、また行ける時があったら、な」

    若「はい」

    覚「桜はどう?永禄のとは全然違うだろうけど」

    若「城にも桜はありました」

    覚「そうなんだ」

    若「本数の多さにも驚きましたが、色が違います」

    覚「その当時は山桜かな。確か白いよね。今、主に咲いてるソメイヨシノは、もっと後の時代に生まれた品種だからね」

    若「唯が、これが桜色だと申しておりました。あと、一斉に咲くと聞き、どうしても解せぬのです」

    覚「あぁ、接ぎ木で増やすからね。全部が元の木の分身だから、咲く時期も同じ。クローンってヤツだ」

    若「それがわからぬのです」

    覚「尊には聞いた?」

    若「はい。ただ、詳しく尋ねようとしたら、唯が、そういう物と理解せよと」

    覚「変な横槍が入った?ごめんね、乱暴な娘で。また尊にこっそり聞くといいよ」

    若「ハハハ、はい」

    4時半頃到着。辺りはまだ暗い。現地は、比較的小さな川。川に架かる橋の上で三脚を立てる覚。

    覚「早く出た甲斐あって、いい位置に陣取れたよ。あ?これも戦っぽい言葉だな」

    両岸に、何キロにも渡り桜が植えられている名所。まだ点いている街灯に、所々照らされ、長く続く様が見える。

    唯「すごーい、左を見ても、右を見ても、奥までずーっと桜!」

    枝が競うように伸び、川の中央でクロスする所も多い。

    尊「桜のトンネルだね」

    唯「キレイ~。あっ、川の中見て!」

    若「おおっ」

    尊「わー、花びらで埋まってる。一面ピンク色だ!」

    覚「花筏って言うんだぞ。川面に浮かぶ花びらを、こう表現する」

    若「花筏…実に美しい」

    覚「黒羽城公園は、お堀だから水の流れがないが、ここはゆったりと流れるから、それがまた筏らしくていいんだ。満開過ぎてるからこその風景だな」

    唯「で、これがオススメスポットのオススメ?」

    覚「これもいいんだが、そろそろ日の出だから、もうすぐだ」

    唯「ふーん。充分キレイだけど、なんだろ」

    しばらく待っていると、ようやく日が差してきた。覚がカメラを準備する。

    尊「なんだろ?ワクワクするね、若君」

    若「そうじゃな」

    その時、一瞬、風がそよいだ。

    覚「よし、今だ」

    優しい風に背中を押されるように、大勢の花びら達が枝から一斉に飛び立ち、辺りに舞い降りる。朝の柔らかい光を纏いながら、はらはらと踊り、橋の上にもやってきた。

    唯「わぁ、すごい!待って、待って」

    尊「えいっ、あー、惜しい!」

    桜色の世界を逃さないよう、頻りにシャッターを切る覚。花びらを捕らえようとはしゃぐ唯と尊。

    若「なんと雅な…」

    桜の最後の姿に見惚れる若君。そこへ、

    唯「んん~!」

    花びら一枚くわえた唯が、見てーとばかりに走ってきた。

    若「ほぅ、見事に咥えたのう。手ではなく口、が、いかにも唯らしいが」

    唯の唇から、桜をそっとつまみ取った若君。

    唯「うまく捕まえたでしょ?」

    若「あぁ。ただ…」

    唯「なに?あっ」

    若君の顔が近づく。周りを気にしながらも、そのまま花びら舞う中で口づけた。

    若「…桜に先を越され、ちと気に食わぬがの」

    唯「え、花びらに嫉妬?たーくん、なんてかわいいの~」

    ひとしきり撮影した覚が、デジカメを取り出した。

    覚 心の声(子供達も撮っておこう)

    眩しさを増した朝日を浴びて、桜が煌めく中、三人の姿を遠巻きに撮影。

    覚 心(もう十年以上前になるな)

    唯と尊は忘れてしまっているが、二人が小さい時、家族四人でここには訪れている。

    覚 心(あの頃と同じはしゃぎ方だ)

    カメラを持つ手を下ろし、三人の姿を見つめ微笑む。

    覚 心(若君も…もしその頃一緒に居たら、きっと喜んでくれただろうな)

    小さくも凛々しかったであろう、若君の子供時代を想像し、思いを馳せた。目を閉じると、子供の姿で三人が駆け回る。

    若「父上?」

    覚「…あ、あー若君か。どう?この桜」

    若「はい。儚げな様に趣があり、大変気に入りました」

    覚「良かった。春の風って、昼過ぎると強いだろ?この、落とすか落とさないか、って位の風はやっぱり朝なんだよ。ここは川幅が狭いから、綺麗にカメラのフレームに収まってこれまたいいんだ。って、あっ、つい熱く語っちゃったな」

    若「ハハハ。それゆえ、今、此処、なのですね」

    唯と尊が戻って来た。

    尊「お父さん、時々花筏がボコっと動くんだけど、何か魚いるの?」

    覚「あー、ここは鯉も鮒もいる。あそこに階段見えるだろ、近くまで下りられるぞ」

    唯「行く行くー。たーくん、行こっ」

    川岸近くで魚を見つけ、はしゃぐ三人。

    覚 心(連れてきて良かった。なにより僕が癒される)

    そろそろ帰ります。車に乗り込む。

    尊「お姉ちゃん、黒羽城公園には毎日行ったんでしょ?」

    唯「うん、たーくんと観察した」

    尊「写真、撮ってるよね?」

    唯「撮った。なんで?」

    尊「後でスマホ貸して。パソコンに、この前作ったカレンダーそのまま残ってるから、日付の所に写真貼り付けて、桜カレンダー作ってあげるよ」

    唯「えー、ありがとう~」

    若「唯」

    唯「はい?」

    若「今後、花見に行くならば、祭りがある時分で構わぬ」

    唯「そう?なんで?」

    若「満開になる頃、公園に少しだが店が出ておった。祭りは、そのような店が多く出るのであろう?」

    唯「うん」

    若「片っ端から、全て買うて食しておったじゃろ。唯は、店がある方が良かろうと思うての。己の身は己で守るゆえ」

    尊「あはは~、食い意地を見透かされてるよ」

    唯「やだぁ。じゃあいつか、行こうね!どのお祭りに行こっかな~」

    若「ハハハ。…父上」

    覚「何?若君」

    若「この桜、生涯忘れませぬ」

    覚「ありがとう。連れて来た甲斐があったよ」

    朝8時。ただいま帰りました。

    唯「お母さん、ただいまー。あーお腹空いたぁ」

    美「おかえりなさい。朝ごはん、できてるわよ」

    尊「わー、お母さんのご飯、久しぶりだ」

    若「母上も、作られるのですね」

    美「ちゃーんと、作れるのよ?」

    若「ご無礼致しました」

    覚「ただいま。母さん済まない、クリニックの準備もあるのに」

    美「いいわよ~期せずして若君に、私の腕も披露できたし。じゃあ食べてね。準備しに行くわ」

    覚「ありがとな」

    四人を見届け、クリニックへの廊下を歩く美香子。何かに気付いた。

    美「まぁ~、可愛いお客様が」

    廊下に、体にくっついて来たらしい花びらが、点々と数枚落ちている。

    美「そのままにしときましょ」

    桜、の唄を口ずさみながら、クリニックに入っていった。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    ずっと、美しい自然でありますように。

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    返信先: 創作倶楽部
    今までの二人の平成Days、番号とあらすじ、51から最終話まで

    no.529の続きです。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    51no.527、12/22、現代語と機転が完璧でコーチも納得

    52no.528、12/22、プレゼント決定。帰りの電車で戯れる

    53no.530、12/22、二人宛のDMが待ち遠しい

    二人のもしもDays2no.533、とある年の2月中旬、お手製雛飾りの前で祝言を再現

    54no.534、12/22、メッセージカード作成

    55no.535、12/22、爆笑テレビショッピング

    56no.536、12/22、涙涙でコメント聞けない

    57no.537、12/22、写真集見ながら姉弟コント

    58no.540、12/22、風呂あがりも超ラブラブ

    59no.544、12/22、布団五組並べて語り合う

    60no.545、12/16、好きが溢れる夜から朝

    61no.546、12/23、公園の案内板換えました

    62no.547、12/23、背中借りて決意の涙

    63no.548、12/23、ジェンガにそっくりなアレ

    64no.549、12/23、荷物確認。ハネムーンのようにレイを

    65no.551、12/23、呼び名戻す問題と餞の丸いケーキ

    66no.552、12/23、クリスマスパーティー。クラッカーに感心する若君

    67no.557、12/23、ケーキ入刀。若君の様子がおかしい

    68no.559、12/23、わかってるから隠さないで

    69(終)no.560、12/23、三人へのプレゼントを部屋のドアに。未来の展望を語る二人

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    返信先: 創作倶楽部
    ありがとうございました

    創作倶楽部が大賑わいでございます。

    梅とパインさん、ぷくぷくさん、てんころりんさん、ありがとうございます。

    全ての方に好まれて納得していただける物語、はそもそも無理です。お気に召さなかった回もあったと思いますが、その中で例え一話でも、心の琴線に触れるお話があったのなら、それだけで万々歳!恐悦至極に存じます。

    てんころりんさん、寸止め派。だと思いました。足早でも、読んでいただけて良かったです。

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    返信先: 創作倶楽部
    25秒の世界

    この度、無事に最終回まで辿り着けましたのも、温かく応援ならびに見守ってくださった皆様のお陰です。誠にありがとうございました。

    ドラマSPの、描かれなかった隙間を埋めたい。改めて結婚の許しを得た後から始めよう、終わりは実験室に五人居る直前に。途中どんな物語があったか、あって欲しいか。既に他の妄想作家様が書かれていたのは承知の上で、自分の解釈でやってみようと描き始めた次第です。なので、他の作家様が使われたモチーフや、連れて行ったデートスポットは極力避けたつもりです。

    SP、尊が若君に頭を下げた後から、パーティーでケーキ入刀終わるまで。これが、25秒でした。これを、長々と70話に伸ばし伸ばし。一話一話は、あえて短めに作ったつもりですが、それでも70回投稿してるんだから…。創作倶楽部があって良かったです。

    さて、これでしばらくお休み…なんて事はありません。今後の投稿予定ですが、まずは、最終回までの番号とあらすじの表を出します。そして、二人のもしもDaysを一つ出します。

    次に、最初から一話ずつ簡単?に振り返ります。番号とあらすじの表と同じに、三回に分けて説明いたします。今読むとなるとこっ恥ずかしいですが、書きっぱなしもなんですので、弁解・補足・込めた思いの説明などいたします。というかさせてください。

    その後は…文章が長くなりました。いずれ、お話ししますね(*^_^*)

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days69(終)~23日23時、永遠に名を呼んで!

    笑って、笑って。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    リビングに下りてきた。三人が立ち上がり出迎える。

    覚「おー、おかえり。今、ホットミルクいれるからな。これでホッと、してくれ」

    美香子「お父さん~」

    唯「ふふっ、お父さんありがと」

    尊「お姉ちゃん、もう写真足しといたから。で、あと」

    唯「ありがとう~、尊~。でなに?」

    尊「葉書、ラミネート加工して入れといたよ。その方がいいと思って」

    唯「えー!超仕事早っ!」

    唯、尊に抱きつき、ギュー。

    尊「わあっ!なんでだよ!」

    唯「嬉しい~!ありがとね!」

    若君が、深く一礼する。

    若君「気を遣わせてしまい、誠に申し訳、ありませんでした」

    覚「いいんだよ。まぁ、良かった良かった」

    美「若君、私からは少し言わせてね。まず、唯の母としては」

    若「はい、母上」

    美「ウチの娘は、たわけたおなごではあるけれど」

    唯「あー」

    若「ハハッ…はい」

    美「ちゃんと若君を理解してますから。もう少し、唯に心を許して、隠し事のないようにしてくださいね」

    若「はい」

    美「忠清くんの母としては…もうこの子ったら、いじらしくって、かわいくって~!くちゃくちゃーってこねくりまわしたいわ~」

    若「こね、くり?」

    尊「ちょっとー、いい場面が変な方向に行ってるよー、台なしじゃん」

    唯「お母さんに揉みくちゃにされてる、たーくんも悪くないけど」

    美「えー?いいのー?」

    覚「そこ、ストーップ!ホットミルク全員分あるから、座って」

    最後の団欒でした。

    唯「そろそろ、着替えるよ」

    美「わかった。じゃ、行きましょ」

    着物の置いてある、両親の部屋へ。

    美「若君は、一人で大丈夫よね。私は、唯に着付けながら逆を向いてるから、気にせず着替えてね」

    若「はい、わかりました」

    唯「って事は、私からは丸見え…」

    美「まだそんな事言ってる。そうよ、若君からも、唯の着替えは丸見え。はい、脱いで脱いで」

    唯「ひぇ~」

    永禄仕様に、着替え完了。

    唯「ありがとう、お母さん」

    美「どういたしまして」

    唯「レイが、私の部屋にあるから取ってくるよ。お母さん、先に下行ってて」

    美「わかったわ。ゆっくりでいいわよ。三人でリビングで待ってるから」

    唯「ありがとう」

    若「ありがとうございます」

    唯達は、部屋を移動。母は、階段を下りていった。

    唯「よし、行ったね。じゃあたーくん、まず」

    ベッドの上のレイをそれぞれ首にかけた。そして、布団をめくる。そこには、プレゼントとメッセージを入れた、靴下型の巾着袋が三つ。

    唯「たーくん、尊の部屋のドアノブに、これ引っ掛けてきて」

    若「あいわかった」

    唯は、両親の部屋のドアノブに、同じく二つぶら下げた。

    唯「よし、完了。三人の驚く顔は、見れないけど」

    若「直々には渡さぬのだな」

    唯「サンタさんは、知らない内に現れて、プレゼント置いてくの」

    若「そうか」

    唯「うん。お父さん、お母さん、尊、一日早いけど…メリークリスマス」

    若「メリー、クリスマス」

    唯「あっ、ありがとう~」

    唯の部屋に戻る。しばらく、沈黙。

    唯「へへ、つい黙っちゃった。あっそうそう、昨日デパートで、コーチに会ったじゃない」

    若「あぁ。あのコーチ殿なら、良い形で唯の事を伝えて貰えるであろうの」

    唯「お母さんに、さっきお風呂でその話をしたの。そしたら、若君最高!って、めっちゃ褒めてたよ」

    若「そうか?」

    唯「周りでそういう話になったら、合わせといてくれるって」

    若「父上母上に、迷惑はかからぬのじゃな?」

    唯「うん、大丈夫。あ~今思い出しても、あの時のたーくん…いや若君は、カッコ良かったあ」

    若「ん?」

    唯「そろそろ戻そうと」

    若「そうか。閨ではそのままで良いぞ」

    唯「いやん。じゃあ、おじいちゃんになっても、たーくんで」

    若「…その歳ならば、お手柔らかに頼む」

    唯「ん?どゆこと?尊には聞…かない方が良さそうな話?」

    若「ハハハ」

    唯「この手もそろそろ終わりだね」

    若「…唯」

    唯「はい」

    若「愛してる」

    唯「えっ?やだ、不意討ちなんて、心の準備が~」

    若「日毎に、想いは募る」

    唯「えー。なんて嬉しいコト言うのぉ」

    若「なぜであろうか」

    唯「え?私に聞く?」

    若「フッ、問うてみただけじゃ」

    唯「なにそれ~また?」

    若「一向にわからぬゆえ、ずっと共に居り、探る」

    唯「えー、それって、答えがわかったらどうなるの?まさか飽きて捨てられる…やだやだ、怖っ!」

    若「それは、天に誓って、永遠にない」

    唯「そう?安心していいのかな」

    若「唯は、誠、面白い。これからも、輝くその姿でずっと、わしの傍で跳ねて欲しい」

    唯「跳ねる?」

    若「雀のようにの」

    唯「雀?んー?まっ、かわいいからいっか。でも、面白いに戻るんだ?」

    若「ハハハ」

    若君が写真立てに目をやった。唯がメダルをくわえる例の写真は、時空の旅を経て、ここに戻って来ている。

    若「平成ライフ、もそろそろ終わりじゃ」

    唯「あーその言い方、あったね~。懐かしい」

    若「これから旅立つが」

    唯「はい」

    若「唯の様々な決意を胸に、必ずや守り抜く」

    唯「ありがとう。これからも、若君を守ります。あっ違った」

    若「違った?」

    唯「若君と子供たちを守るよ」

    若「子供達、か。無論、男子が跡継ぎとして必要じゃが、もし女子が産まれたら」

    唯「うん?」

    若「嫁には出さぬ」

    唯「えぇ?そんなん、戦国武将っつーか、親としてどうなの」

    若「唯に瓜二つの娘など、手離せぬ」

    唯「あらら。今から親バカ…えっと、溺愛でどうするの?」

    若「そうか、ハハッ」

    唯「うふふ」

    若「ハハハ。…それでは、良いか」

    唯「はい」

    若君が唯の手を取った。

    若「唯、参るぞ」

    唯「はいっ!若君さま」

    三人の待つリビングへ、そして、五人で実験室へ入って行きました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    二人の未来は、幸しかない。

    ご覧いただいた、全ての方に感謝です。長い間、お付き合いくださいまして、本当にありがとうございました。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days68~23日21時、開いてみせて!

    良き妻じゃよ。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯「ちょっとだけ、二人きりになりたい。いい?」

    覚「行ってこい」

    美香子「うん」

    若君「どうした?」

    唯「いいから」

    若君の手を引き、二階へ上がる。

    覚「若君、あのままではな」

    美「やっぱりそう思う?」

    尊「えっ、どうなっちゃうの?時間ないよ?」

    覚「そうだがな」

    尊「さっき、お風呂ですごく楽しそうだったのに。あんなに笑う若君、見たことないよ?」

    覚「だから余計にだろ」

    尊「そういう事か…」

    美「あまり、思い詰めて欲しくないけどね」

    覚「彼の中でどう消化できるかは、唯にかかってるな」

    唯の部屋。ドアを閉めるやいなや、

    唯「たーくん、なんで言わないの!」

    若「何を申せと」

    唯「もうすぐ永禄に帰れる。嬉しい?」

    若「嬉しいのう」

    唯「そうは見えない」

    若「そんな筈はない」

    唯「今から帰る。これは決まってる、変わらない。でも、気持ちとして、帰りたくないと思ってはいけない、なんてない」

    若「それは…ない」

    唯「どうして隠すの?」

    若「隠すなど…」

    唯が大きく息を吸った。怒りをあらわにする。

    唯「この、大たわけっ!!」

    若「どうしたというのじゃ」

    涙目になっている。

    若「なっ、何ゆえ」

    唯「私、たーくんと心が通じあったと思ってた」

    若「それは変わってはおらぬぞ」

    唯「私は、たーくんが何考えてるかわかった。でも、たーくんは私に心を開いてくれない!」

    若「…」

    唯「さみしいとか、離れるのが辛いとか、思ったっていいんだよ!心が揺れたっていいじゃない。ずっと強いたーくんでいなきゃいけないなんてない!でも、でもその気持ちは打ち明けて欲しかった…気持ちを分かち合うって、こんな時必要なんじゃないの?なんにも言ってもらえなくてすっごく悲しい、悔しい!こんなにそばに居るのに…うゎーん!」

    子供のように泣き出した。

    若「唯…」

    困惑し、立ち尽くす若君。

    唯「うっ、うっ…」

    若「済まぬ」

    唯「見抜かれた、って思ってるでしょ」

    若「思うておる。されど」

    唯「あー、いいから。羽木家総領たる者、たとえ妻であろうと弱みを見せてはいけない、違う?」

    若「唯がここまでわしをわかってくれておる事に、心及ばなかった。済まない」

    唯「さっきあんなに怒ったのも、私にじゃなくて自分にだったんじゃないの?もしかして」

    若「そう思われて然るべきじゃ。どう詫びても詫び切れぬ」

    若君が、指で唯の頬を拭った。

    若「泣かせて悪かった」

    唯「たーくんも、泣いとこっか?泣くってね、いろんなモヤモヤも流れていってすっきりするんだよ」

    若「強くは申さぬのじゃな。こんなわしであるのに」

    唯「泣けなんて怒鳴りはしません。優しい妻なので」

    若「そうじゃな。誠、最上級の」

    唯「あっ、嬉しい」

    落ち着きを取り戻し、笑顔を見せる唯。

    若「笑うてくれたの」

    唯「うん。じゃあ、背中貸そか?」

    若「ハハッ、いや、是非正面で頼む」

    唯「ふふっ。じゃあ~ギュ?」

    若「ギュ、じゃな」

    唯「あっ、ちょっと待って」

    首にかけていたレイを取り、そっと二人分ベッドに乗せた。

    唯「これで良しと」

    ふと、ベッド横の壁に掛かっている、襷などの陸上部グッズが目に入った。

    唯「…あ、思い出した」

    若「ん?」

    唯「えっと、手、広げてくれる?」

    若「手?」

    唯「たーくんにゴールしたい」

    若「ゴール?ようわからぬが、こうか?」

    若君が腕を広げて、待ち構える仕草に。

    唯 心の声(あ~、夢に見たたーくんだ…走って走って頑張った私を、ゴールで待っててくれたあの!)

    若「妙に嬉しそうじゃの。何がいつもとどう違う?」

    唯「えへ。違うんだなぁ~これが」

    若「そうなのか。では唯、此処へ」

    唯「はいっ!速川行きまーす!」

    若「おぉっ」

    ぴょーん、とゴール!からのギュー。

    唯「あのね、お父さんもお母さんも、多分気付いてる」

    若「そうか」

    唯「だから、気の済むまで時間かけていいから」

    若「…忝ない」

    静かに抱き合う二人。

    唯 心(私もまだまだ、良き妻には程遠いなぁ。せめて、たーくんがこんな時、プライドを傷つけないようにしてあげたいな)

    若「ズズッ、あー」

    唯「あ?」

    腕を離して、顔を見る。

    唯「えっ!めっちゃ泣いてた!ぐちょぐちょじゃない!」

    慌てて、ティッシュケースを差し出した。鼻をかんでいる。

    若「唯の優しさに、気が緩んでしもうた」

    唯「ちょっと予想外でびっくり」

    若「泣き納めじゃ」

    唯「そっか。でも、これから私には、たーくんの弱い所も見せてね」

    若「そうじゃな」

    唯「約束だよぉ」

    若「肝に銘じる」

    唯「ふふっ、良かろう」

    若「ふう、酷い顔になっておろう?」

    唯「ううん、大丈夫。真夏の撮影で着物なんか着せられちゃって、放送は冬なのに、やたら顔がほてってる俳優さんみたいになってるだけ」

    若「なんじゃ?その言い回しは」

    唯「なんにも。じゃ、みんな待ってるから、一旦下に戻ろうね」

    若「あぁ、謝らねばならぬしの」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    次回、いよいよラストです。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days67~23日19時、怒りの矛先は

    一人何を思う。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯が、ナイフに飾りを付けている。

    唯「へっへ~」

    尊「何それ?あー、ウェディングケーキ入刀風にね。いいんじゃない?」

    唯「披露宴するならぁ~、ケーキは全部食べられる大きいのがいいなー」

    美香子「あぁ、入刀する部分だけじゃなくて」

    唯「だっていっぱい食べたいじゃん」

    尊「そんな時まで、食い意地が始動!」

    美「唯、大きく勘違いしてるけど、花嫁はほとんど披露宴の食事は食べられないわよ?お色直しを全くしないとか、誰にもスピーチしてもらわないなら別だけど」

    唯「え!そうなの!やだー。だから教会で二人だけの式とかあるんだ?」

    尊「それは違うと思う」

    唯「ひとまず、この目の前のケーキは食べられる。たーくん、ケーキ切るからね、一緒にナイフ持ってぇ」

    若君「切るのみなら、早々に終わりそうなものじゃが」

    美「若君、全女子の夢を叶えてあげて」

    若「それは随分と大仰な?わかりました」

    入刀します。若君が手を添える。その様子をパチリと撮影。

    尊「あ、この写真も欲しいよね?後でプリントアウトしておくよ」

    唯「わー、ありがと~」

    覚「間に合うのか?」

    尊「余裕。お姉ちゃん達が着替えてる時間にやるよ」

    ケーキ切り分けました。

    若「おぉ、この形なら見覚えがあるのう。ケーキとは、初めは丸い物なのじゃな」

    美「最近はそうでないのもあるけどね」

    尊「若君にとっては、ここ数年なんか全部最近だよ」

    美「そうでした」

    パーティーもそろそろお開きです。

    唯「あー、お腹いっぱい」

    尊「さすがに?」

    唯「今度いつ、満腹になれるかわかんないもん、食べるよー」

    尊「確かに」

    若君が、スッと席を立った。後ろへ歩いていく。

    唯「…」

    奥の棚に歩み寄り、じっと見つめている。指輪もだが、家族五人の記念写真も、既に飾ってある。

    尊「ついて行かないんだ」

    唯「来るなオーラが出てるから」

    尊「そう?なんだ」

    覚「温かいお茶でもいれるか」

    覚がキッチンに向かう。若君の様子を少し覗くが、その顔がかなり驚いている。

    美「お父さん?」

    急須や茶筒を手に小走りに戻り、ひそひそ話し始める覚。

    美「何だったの?」

    覚「若君が、物凄い形相で壁を睨んでいるんだ」

    美「壁?指輪や写真じゃなくて?」

    覚「ああ。あれは、何かに怒っているというよりは」

    唯「何?」

    覚「自分自身に苛立ってる感じだな」

    若君が戻ってきた。いつもの柔和な表情。

    唯「たーくん」

    若「なんじゃ?」

    唯「さっきから、全然笑ってないね」

    若「そんな事はなかろう」

    唯「えーい!」

    若君の頬をむにーと伸ばす。

    美「まぁっ!唯、何するの!」

    若「ハハッ、いえ母上、良いのです」

    静かに微笑む若君。

    唯「…」

    トナカイの角や鼻を外しながら、唯はずっと考え込んでいる。

    覚「はい、お茶どうぞ」

    お茶を飲みながらも、全員の視線が若君に注がれている。

    若「皆、いかがされた?」

    美「若君、なんかさみしそうね」

    唯「さみしそう…さみしそう。たーくん」

    若「なんじゃ?」

    唯「もうすぐ永禄だね」

    若「そうじゃ」

    唯「何か言いたい事、ない?」

    若「言いたい事…月が高い内に行かねばの」

    唯「それだけ?」

    若「それだけ、とは?」

    唯「…わかったよ、たーくんが何考えてるか」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    返信先: 創作倶楽部
    なかなか探せません

    妖怪千年おばばさん、NGワードを見つけるのはちょっと大変ですよね。
    でもそのお陰で安心して掲示板が使えるので、ありがたいと思います。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days66~23日18時、パーティー始めます

    刻一刻と迫るその時間。あ、クラッカーね。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    男性陣、お風呂出ました。

    尊「あはははー」

    覚「あー、楽しかった。若君、ありがとう」

    若君「ハハハ、いえ」

    美香子「大騒ぎね」

    覚「いやー、いい時間だった。風呂はスーパー銭湯でもホテルでも一緒だったけど、家の風呂はまた一味違ってさ」

    美「どう違った?」

    覚「より親密になれる」

    美「あら~良かったわね。じゃあ私達も続いて入りましょ」

    唯「はーい」

    覚「ちょっと休憩したら、そろそろ揚げ物始めるよ」

    若「はい父上。手伝います、尊と」

    尊「あっ、はい若君」

    お風呂。

    唯「お母さん、私気になる事があって」

    美「どうしたの?」

    唯「たーくん、もうすぐ永禄に帰れるから、もっと嬉しい顔してもいいと思うんだけど」

    美「んー、そんなに気持ちが前面に出る子ではないけど、確かにそれは思うわね」

    唯「帰るまでに何か起きるかも」

    美「一応、気にしておくわね。逆に唯は、朝より心なしか顔がスッキリしてるわ」

    唯「えっ?そっかー。たーくんが、色々気にしてくれて、話もいっぱいしたからかな」

    美「まあ、そうなの。若君はホントに心配りが素晴らしいわね」

    唯「その分、自分の事は後回しにするから心配だよ」

    二人、出ました。

    美「ふぅ、いいお湯でした。あら大変、パーティーの支度が進んでる」

    覚「あと、はさみ揚げだけだ」

    若「他は、運びます」

    美「サラダ盛り付けるわね」

    唯「あー、一気にお腹空いてきたー。尊、何してるの?」

    尊「カーテン閉めたらそこが寂しいなと思って、飾り付けの続きを」

    唯「手伝うよ」

    いよいよ、パーティー始まります。

    唯「ぐふふ。クラッカー登場」

    尊「悪い女だよ。そうやって戦国でも、若君をいたぶるんだな」

    唯「ちょっと反応見たいだけ~」

    尊「それを悪女と言う」

    覚「はい、お待たせ~。じゃあクラッカー持って、若君」

    若「これは?」

    美「パーティーの景気づけというか。せーの、メリークリスマス!でこの紐引いてね。あっ、人には向けちゃダメだから」

    若「景気づけに、やや危ない物を?」

    唯「あっ少し勘づいた」

    尊「だーかーらー」

    覚「はい、では始めるぞ」

    美「せーの!メリークリスマス!」

    パパパ、パンパン!

    若「…」

    若君は、しばらく、手元と天井を交互に見ていた。

    尊「若君、大丈夫ですか?お姉ちゃんがどんな物が説明しないもんだから」

    若「いや、構わぬ。これは戦に使えそうじゃなと思うた」

    美「どうせ余るから、持っていって。早速リュックに入れとくわね」

    若「忝のう存じます」

    尊「お姉ちゃん、若君に言う事ないの?」

    唯「ん?かわいかった」

    尊「やっぱり悪い女だ」

    蓮根のはさみ揚げをくわえて、パチリと撮影。

    若「唯、そのなりは…」

    唯「赤鼻のトナカイ。あ、もう説明はしません。こういう物と理解せよ」

    若「あいわかった」

    尊「言いくるめられてる」

    唯「しっかし、カロリー全部足すとすごいよねぇ。はさみ揚げ、唐揚げ、フライドポテト、ピザ、ケーキ」

    尊「ザ・背徳のメニュー」

    美「サラダも食べなさいよ~」

    唯「少しはね。平成の野菜、味薄いんだよね」

    覚「若君、そうなのか?」

    若「それは、思うておりました」

    覚「そうか。今度来る時は、野菜頼むわ」

    若「ハハハ、承知つかまつりました」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    野菜持ち出す余裕あるかな?

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days65~23日15時、バリアフリーです

    月もケーキも、今日はまんまる。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    まだまだ飾り付け中。ツリーにオーナメントを下げ、サンタグッズをキッチンの作業台に並べる。

    唯「あぁぁぁ~、はぁ」

    尊「うるさいな。なんだよその、口から魂が出そうな溜息は」

    唯「もうすぐ、たーくんって呼べなくなる~」

    尊「なんだ、そんな事」

    若君「名など何でも良い」

    唯「つい、たーくんって呼んじゃったら、たわけたおなごって言われる~」

    若「唯なら有り得るであろうな」

    美香子「さすが、わかってる」

    唯「うっかり呼んでさあ、それを聞かれて」

    尊「お咎めを受ける?」

    唯「真似されたら嫌だし」

    尊「そっち?」

    美「そんな恐れ多い事、周りはしないでしょう?」

    唯「陰でならわかんないよー」

    若「陰ならこちらにわからぬままであるから、放っておけば良いだけの事」

    美「大人ね~」

    若「どう呼ばれても返事はする」

    唯「はぁい」

    美「あい変わらず、優しいわね~」

    若「母上、実の所、唯の声は何故か、どこに居ても耳に入るのです」

    美「あら、そうなの~。若君だけに聞こえるのかしらね」

    尊「愛だな、愛」

    若「いつもどこからか、呼ばれておるような気がしておりました」

    唯「だいたいは、ホントに叫んでたけど」

    若「夜の森とかであるぞ?」

    唯「居た居た」

    若「一人でか?」

    唯「うん、そんな時もあった」

    若「それは物騒じゃ。金輪際、してはならぬ」

    唯「わかったー」

    若「夜、出るならわしと、お洒落してデートじゃ」

    唯「うん!」

    美「いーなー」

    尊「お父さんと行って」

    美「そうするわ」

    覚「仕方なく、みたいに聞こえるぞ」

    美「気のせいよ~。さて、そろそろケーキ受け取りに行かなくちゃね」

    尊「わかった。じゃあお姉ちゃん達、続きよろしく」

    唯「行ってらっしゃーい」

    若「行ってらっしゃい、母上、尊」

    飾り付け、完成。

    唯「いい感じ~」

    若「煌びやかじゃな」

    覚「こっちも、あとは焼いたり揚げてくだけだ」

    唯「お疲れ様~」

    覚「そう言えば、風呂はいつ入る?これだけ腹に詰め込んだら、そうすぐには入れないから、晩飯前がいいんじゃないか?」

    唯「そうだよねぇ」

    若「いくら大飯食らいの唯でものう」

    唯「ちょっとぉ」

    若「ハハハ」

    お風呂、準備中。

    覚「今日も二人で入るか?」

    唯「え」

    若「いえ、昨日、父上母上のお気遣いで、充分堪能しましたゆえ」

    唯「堪能とか言ってる!」

    若「唯は、違うと申すか?」

    唯「うっ。違うと言いたいけど、はい、堪能しましたっ」

    覚「素直じゃないな」

    若「で、父上。もし良ければ父上と尊と、入りとう存じます」

    覚「えっ、いいの?」

    尊「ただいまー」

    唯「あっ、ケーキが帰ってきた!」

    若「それは違う」

    唯「えへ。とうとう、たーくんのツッコミが入るまでに成長」

    若「成長か?」

    尊「飾り付けだいたい完成したね、お疲れ様」

    若君が、箱の中を不思議そうに覗いている。

    若「尊、以前食したケーキと形が違うのう」

    尊「ホールケーキだから。あっ、切り分けずに大きいままだからです」

    若「そうか。餞に相応しい、立派な品なのじゃな」

    美「ただいま。あら、もうお風呂用意してる?」

    覚「あ、そうそう。若君が僕と尊と三人一緒に入りたいって、嬉しい事を言ってくれるんだ」

    美「あら~、じゃあ唯は、私と入る?」

    唯「あ、うん!」

    尊「若君、ありがとう。最…やめとこ」

    唯「たーくん、実はウチのお風呂、普通よりちょっと広めなの」

    若「そうなのか?普通、がわからぬゆえ」

    覚「介護しやすくなってるんだよ」

    美「歳をとっても入りやすい、入れてあげやすい仕様で作ってあるの」

    若「将来を見据えたと」

    美「さっすがウチの息子ね~。だから男性三人でも狭過ぎないのよ。で、唯、それがどうしたの?」

    唯「湯船が大きいから、一緒に入っても色々見えて困るー」

    美「まだ言ってる」

    唯「もっと狭かったら、たーくんとくっついて入れたのに」

    美「広くてもくっつくでしょ?贅沢ね。二人でアパートにでも引っ越しなさい!」

    お風呂、沸きましたよ。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    お風呂の話題が多いのは、それも日常だからです。

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    返信先: 創作倶楽部
    最終話番号

    二人の平成Days、この後の投稿は、65話です。

    最終話は、69話です。今日入れて、あと5回となりました。

    5話が2つあるので、全70話となります。あと少し、お付き合いください。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days64~23日14時、蜜月

    指差し確認は必須。すぐには戻れないから。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯「では、持ち物確認しまーす」

    若君「ジェンガはここに」

    尊「おもナビくんイヤホン付、太陽電池、写真集」

    美香子「それ、機械と付属品、何か袋に入れた方が良くない?ちょうど唯が部活の着替え入れてた巾着、洗ってここにあるし。入れちゃうわよ」

    唯「ありがとお母さん。で、前ポケットに、ICカード二人分、写真館からの葉書」

    若「…そうじゃ、唯、もう一つ良いか?」

    唯「ん?いいよ、何?」

    若「持って参る」

    二階へ上がって行く若君。

    覚「唯、若君が何を取って来るかわからないが、後で蓮根のはさみ揚げ持たせてやるから」

    唯「あー、ありがとー」

    本を手に戻った。

    唯「あ、私の日本史の教科書。うん、こちらではお役御免だし」

    若「何か役に立つやも知れぬ」

    唯「じゃ、後で参考書も入れとこかな」

    尊「重そう~」

    唯「大丈夫、米よりは軽い。リュックはひとまず置いといてと」

    飾り付けの材料、各種。

    尊「折り紙切って、輪っか繋げようか」

    唯「どうやって分担する?」

    尊「若君は、ハサミやカッター使った事ないよね」

    若「初めて見るのう」

    唯「今、切り傷なんか作ったら大変だから、私とたーくんは、糊づけ班にして」

    尊「わかった。じゃあ僕は、切ってく班で」

    唯「たーくんまずはお手本ね。この細長い紙の端に、これ、糊って言うんだけど、このベタベタしてる部分をこすりつけて」

    若「ほぅ」

    尊「スティック糊だから塗りやすいはず」

    唯「端と端を貼りつける。二個目からは、輪っかに紙を通して貼る。ね、これで輪を繋げてくの」

    若「鎖のようじゃ」

    唯「あー、そうそれ。いろんな色あるから、隣同士が違う色になるようにしてね」

    若「センスが問われるのじゃな」

    唯「そう、センスセンス」

    尊「学習してる」

    美「じゃあ、私は同じやり方でレイを作るわ」

    唯「よろしく。名前のシール貼ってね」

    尊「名前?って何」

    唯「アルファベットのシール売ってたから、それで名前作って、私の、尊のって作る」

    尊「ふーん。それ若君に説明してあげないと」

    美「そうよね。じゃあ書きましょ。この文字を並べて、若君の名前ならこうなるのよ。TADAKIYO。唯はYUI」

    若「この文字はよう見かけるが…これも、名前なのですか?」

    美「そうよ」

    若「カードは…」

    美「あれは、カタカナよね。これはアルファベット」

    若「うむ…」

    尊「難しいよね」

    若「母上。その名前の入るレイ、も頂戴して良いですか?」

    美「どうぞ~。まだ出来てないけど」

    唯「私も首にかけてこーっと」

    美「ハワイでハネムーン、みたいに?」

    唯「お母さん…いい、それいい~!もぉ絶対二人して首にかけてく!」

    尊「また説明がいる事しゃべるんだから。若君、ハワイは海の向こうにある異国の島々です。ハネムーンは新婚旅行」

    唯「新婚って私達の事だよぉ。ホヤホヤ、ラブラブな~」

    尊「だーかーら。結婚したばかりでまだアツアツな、って、あー同じような言葉だった、説明がこんがらがる!」

    若「尊、何とかわかる。では、父上母上も新婚か?」

    美「あら残念、私達は違うのよ」

    若「大変仲睦まじいので、そうかと」

    美「いや~ん、若君ったら嬉しい事言うんだから!」

    覚「何?僕らが新婚?そりゃーずっと新婚気分だぞ」

    尊「それは誰が見てもその通り」

    若「父上母上を、見習いとう存じます」

    唯「ずっと新婚みたいにラブラブ?きゃ~!嬉し過ぎるぅ」

    尊「飽きられないように」

    唯「うわっ、励みます」

    若「わしも、励まねばの」

    唯「はいはい、励め」

    尊「おいおい!」

    唯「ついつい~」

    若「良い良い 」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    リュックは相当重い。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days63~23日12時、似て非なるもの

    重要な品なのに、しばらく隠れてました。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯「ただいまー、あ~あったかーい」

    若君「ただいま帰りました」

    尊「おかえり、若君、お姉ちゃん」

    美香子「寒かったでしょう」

    唯「ううんそんなには。ご飯なに?」

    覚「こらこら、まずは帰ったら手洗いうがい!」

    お昼ごはんスタート。

    覚「はいお待たせ~、今日の晩ごはんは油分たっぷりだから、昼はさっぱりとな。でも魚介類総動員だぞ」

    唯「わあ、豪華海鮮鍋!」

    全員「いただきまーす!」

    覚「唯のリクエストも入ってるぞ」

    唯「え?私、何言った?」

    覚「つみれ、って」

    唯「そうだったっけ」

    覚「違ったか?元々入れる予定で、冷凍しといたんだけどな」

    唯「なあんだ」

    美「日本酒ひっかけたくなるわね」

    覚「ま、今日はやめとくけどな。いつか、若君と酒を酌み交わしたいなあ。あと一年?二年?」

    若「酒は…永禄では飲んでおりましたが」

    覚「聞かなかった事にする」

    尊「別にその時代は、法律違反じゃないから」

    覚「そうだな。こちらで飲んでいい年齢になったら。楽しみにしてる、と言っておくよ」

    若「父上、ありがとうございます。そんな日が参りましたら、是非、盃を交わしたいです」

    美「唯、何やってるの」

    唯「蟹の身が取れないー、あっ!」

    尊「わっ!飛ばすなよー!」

    美「もっと丁寧に、キレイに食べて~」

    若「ハハハ」

    ごちそうさまでした。お茶タイム。

    美「唯、持って行く荷物、忘れ物がないように確認しときなさいよ」

    唯「はーい」

    若「あっ、父上。以前の話で恐れ多いのですが」

    覚「何だい?」

    若「ジェンガを、結局片付けさせてしまい、すみませんでした」

    覚「あー、いいよいいよ。入れ物見繕っておくよって言ったのは僕の方だからね。で、ぴったりなのがあったんだよ」

    覚が席を立つ。若君もついていく。キッチン作業台の下をゴソゴソ。

    覚「これ、ちょうど良くってさ。入れといた」

    半透明の大きめタッパー。中身が少し透けて見える。

    若「父上、ありがとうございます」

    尊「へー、袋とかよりは個数も分かりやすくていいね」

    若「では、頂戴します。あ?」

    覚「何?」

    若「あの…もう少し重さがあったように思うのですが」

    覚「え?そう?あっ!間違えた、こっちだ!」

    唯「間違えた?」

    同じタッパーがもう一つ出てきた。見た目があまり変わらない。

    覚「ごめんごめん、若君開けて確かめて」

    若「わかりました。…はい、確かに作ったジェンガで、名も入っております」

    美「え?何と間違えたの?」

    全員ぞろぞろやってきた。

    覚「別にしとけば良かったなー。すまんすまん。こっちの中身はこれだ」

    開けると、薄茶色の四角い物体がきちんと収まっている。

    唯「え?なに?巨大ジェンガ?」

    美「あー。もうやだお父さん、これ高野豆腐じゃない」

    尊「高野豆腐!」

    唯「高野豆腐?え、最初はこんな、木みたいなんだー」

    覚「使う時に水で戻すからな」

    若「あの、宿の晩に出た物ですか?」

    美「そうそう。若君は勉強熱心よねー。ちゃんとこれは何か聞いてから食べてたもんね」

    唯「でも危なかった~。もう少しで違う物持ってくトコだった」

    尊「高野豆腐は、それなりに喜ばれるとは思うけど」

    唯「ダメだよ、名前書く計画なんだから」

    美「書く?」

    唯「子供や孫ができたら、まっさらなジェンガに名前書くんだよ。たーくんがそうしたいって。え?言ってなかったっけ?」

    覚「そんな壮大な計画だったとは」

    美「若君…凄いわ。唯、頑張ってね」

    唯「うん、ばんばん産む」

    若「励みます」

    尊「サラっとすごい事言ってるよ。慣れたけど」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    二つ三つ、隙間に高野豆腐入れといたら。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days62~23日9時、心も支度します

    城跡だから、広い公園。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯「まだお昼まで全然時間あるから、公園プラプラする?」

    若君「ゆるりと歩くのじゃな」

    一周、ぐるっと巡っている。

    唯「ここで壁ドン、あっちの池でスワンボート。あ~、思い出がいっぱい。この公園には」

    若「よく参った。朝日も眩しかった。おぉ、自転車もここで乗れるようになった」

    唯「あはは、子供みたーい。そうだね、ここは、二人の定番のデートスポット」

    若「と、申すのじゃな」

    若君が、唯の顔を見ていて、何かに気づいた。

    若君 心の声(これは…このまま帰す訳にはゆかぬ!)

    若「唯、こちらへ」

    唯「えっ?」

    腕を掴み、ぐいぐい引っ張っていく。

    唯「えっ、なに」

    人目に付きにくい、公園の隅にやってきた。手を離し、唯の正面に立つ若君。

    若「唯」

    唯「はい…」

    若「ここで、泣いておけ」

    唯「えっ」

    若「先程から、顔つきがうつろじゃ。やはり家族との別れが辛いのであろう?」

    唯「まさか、気のせいだよ。私全然、平気だよ」

    若「まだ昼まで時間はある。今、思いの丈に泣いておけ。我慢をするな」

    唯「なんで?そんな、永禄に戻るの、すっごく楽しみなだけ、だよ」

    若君の視線が鋭く変わった。

    若「なぜ聞かぬ!泣けと申すに!!」

    唯「キャー!」

    その剣幕に、唯は涙目になり震えている。

    唯「ひどい…そんなに怒鳴られたら、泣きたくなくても泣いちゃう」

    若「ここで思い切り泣き、家ではずっと笑うて居て欲しいのじゃ」

    口調はいつもの若君に戻っていた。頭を撫でる。

    若「済まぬ。怖がらせたの」

    唯「ううん、いい。言われた通りだし、私と家族を思って言ってくれてるのはわかるから」

    唯が大きく息を吸った。

    唯「ふぅ。じゃあ、たーくん」

    若「なんじゃ?」

    唯「背中、貸して」

    若「背中?」

    唯「泣くのは我慢するつもりだった。だから見られたくないの」

    若「幾度も、唯の泣く姿は見ておるのに?」

    唯「…決意の涙だから、見ないで欲しい」

    若「…そうか」

    背中を向ける若君。後ろから、抱きついた唯のすすり泣きが聞こえてきた。

    若 心(空は…今日も澄んでおる…)

    しばらくして、背中が静かになった。

    唯「たーくん、ありがとう」

    前に回り、すっきりとした笑顔を見せた。

    若「憑き物が取れたようじゃ。良かった」

    唯「たーくんはなんでもお見通しだね。心配させてごめんなさい」

    若君が唯を抱き締める。

    若「怖かったのは、わしの方じゃ」

    唯「そう…なの?」

    若「唯に背中を向けると、消え去ってしまうのではないかと不安になる」

    唯「あ…」

    若「辛さが甦る」

    唯「私、どこにも行かない、ちゃんとここに居るから」

    お互いの存在を確かめあうように、固く抱き合う二人。

    若「わしと唯が生を受け、今日まで」

    唯「はい」

    若「共に居ない時間の方が長かったのに、とは思う」

    唯「うん。私もそう思う。でもそれって、好きだから、でいいんじゃない?」

    若「超好き、じゃな」

    唯「ふふっ、そうそう。これからは、一緒の時間は長くなってくばっかだよね?」

    若「そうじゃ。嬉しい限りじゃ。ずっとこうしていたいが」

    唯「ん、そろそろ帰らないと、ね」

    公園の出口。さっきの立看板。

    唯「いつか、もっと未来に、またいい方向に書き換わってるといいね」

    若「そうじゃな、切に願う。そういえば」

    唯「なぁに?」

    若「今日のこれは、クリスマスイブイブデートと申すのではないか?」

    唯「あっ!そう、そうですぅ~」

    若「その顔を、三人に見せてやってくれ」

    手をつないで、帰ります。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    城があった時も、ない今も、残るのは素敵な思い出。

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    返信先: 連絡掲示板
    ご丁寧なお返事ありがとうございました

    投稿原稿を一行目からしらみつぶしに変えては送信を繰り返しましたら、ようやく完了いたしました。ご迷惑をおかけしました。

    掲示板を、安全に楽しく使わせていただけるのも、一重にマスター様のおかげです。できるだけ、お手間はかけないように致しますが、何分投稿数の多い私、以後、文章に気を付けます。ありがとうございました。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days61~23日日曜7時、塗り替えました

    最後の朝です。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君、朝稽古中。

    若君「いつもより身を入れて動いたら、冬とはいえど随分と温まるのう」

    唯「たーくんカッコいいっ」

    尊「ふぁ~、ん?あれっ、寝坊のプロがもう起きてる!」

    唯「なによそれ。戦国の朝は早いのじゃ」

    尊「慣らし運転?だったらもっと早い日から始めない?今日だけじゃん」

    唯「昨日も早かった」

    尊「二日だけじゃん」

    唯「最後まで寝坊よりはいいでしょ」

    尊「まあね。若君、おはようございます」

    若「おはよう、尊」

    覚「若君、冷たいお茶にしたよ。どうぞ」

    若「あっ、父上、忝ない」

    二階から母が下りてきた。

    美香子「あ、尊起きたわね。起きた早々で悪いけど、使った布団一式、二階へ持ってって」

    尊「はーい」

    美「じゃ、テーブル戻すわよ」

    若「母上、わしが持ちます」

    元通りにセッティング完了。

    覚「じゃあ、運んでー」

    朝ごはん。

    美「今日の予定は?」

    唯「えっと。たーくん、多分…行きたいよね」

    若「あぁ、墓と城跡には参りたい」

    唯「それ、午前中に行かない?で、昼ごはんからはずっと家に居ようよ」

    若「あいわかった。昼からは?」

    唯「工作する。パーティーの飾り付けとか」

    若「心得た」

    美「ケーキ注文してあるから、夕方に受け取りに行くわ。尊と」

    尊「崩さないよう、抱えて持ち帰るよ」

    覚「僕は、張り切ってごちそうづくり」

    美「お願いします」

    唯「じゃあたーくん、ちょっと休憩したら早速出かけよっか」

    若「そうじゃな」

    二人、着替えました。

    美「え?今日もそれ着てくの?」

    二人とも真っ赤。

    唯「せっかく買ってくれたしー、やっぱお揃いは着たいし。あっ、ゆうべちゃんとファブっといたから」

    美「そう?よっぽど臭わないとは思うけど」

    唯「内緒だけどぉ、たーくんのは、ファブる前に、クンクンしちゃったぁ」

    尊「聞こえてるよ」

    美「あら、呼んで欲しかったわ~」

    尊「おいおい!」

    覚「お前ら、自由過ぎるぞ」

    若「?」

    美「唯」

    唯「なに?」

    美「ありがとう、二回目があって嬉しいわ」

    唯「ううん、えへへ。じゃ、行ってきまーす」

    若「行って参ります」

    お墓に到着。

    唯「これって、私達が永禄に戻ったらどうなるのかな。ずっとあるのかなあ」

    若「生害と伝えられたままであれば」

    唯「その方が安全だよね?」

    若「然り」

    唯「えっ、現れない方がいいとか…」

    若「どう転ぶかはわからぬ」

    城跡。

    若「今宵戻れば、元の姿の筈ではあるが」

    唯「複雑?」

    若「いや、この姿も良い。なにより、この先の世に馴染んでおる」

    唯「そっか。きっとね、石垣も、この時代にまで会いに来てくれてありがとう、って思ってるよ」

    城跡を離れ、歩き出す。

    唯「たーくん、私見せたい物がある。こっち来て」

    若「見せたい物?」

    黒羽城公園の立看板前。

    唯「これなんだけどね。読んでみてくれる?特に最後の方」

    若「羽木家は滅亡したと考えられていたが、近年の発掘調査により、通説が覆りつつあり、現在も調査は続いている」

    唯「これね、私も最近気づいたんだけど、書き換わってるの」

    若「換わっておる?」

    唯「最初見た時は、羽木家は滅亡した、で終わってた」

    若「そうであったか…それは、一重に唯のお陰じゃな」

    唯「私、歴史を変えようなんて全く考えずに行動してたけど、あっ変えたのかもって。あとね」

    若君の正面に立つ。

    唯「実はこの、滅亡した、ってのを見て、たーくんを守らなきゃ!って決意したの」

    若「…」

    唯「その頃は、たーくん…死んじゃうって歴史になってて、絶対嫌、嫌だって」

    若「…わしや羽木の者達は全て、唯に出逢い命を長らえた。それだけではない。わしは、唯の傍で幸せを噛み締めておる」

    唯「私も幸せ。なにが幸せって、こーんなに好きになれるたーくんに出逢えたから!」

    ぴょん、と抱きついた。若君が、しっかりと抱き締め返す。

    若「唯。羽木家総領として、改めて礼を申す。速川忠清としては」

    唯「ん?」

    若「会いに来てくれて、心から、ありがとう」

    唯「えー、感動~」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    続きます。

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    返信先: 連絡掲示板
    NGワードはどのような

    こんばんは。創作倶楽部に投稿しようと、送信ボタンを押すのですが、送信されず、この投稿先欄に残ったままとなります。多分、そちらに届いていない状態だと思うのですが、もし届いていて、フィルターを解除するだけでしたら、解除していただき、投稿完了は可能でしょうか?
    文章中にNGがあるのかと、色々変えてみましたが送信されません。この言葉がダメ、というのは、マスター様でわかる物でしょうか?

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days60~16日日曜4時、ずっと熱いままです

    二人の平成Days24no.427温泉宿で結ばれた

    25no.437露天風呂で始まる朝

    この間、深夜から唯が起きてくるまでの、若君の様子をお送りします。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    宿の部屋。二人は布団の中、唯は若君の腕に抱かれている。さっきまで話をしていたが、

    唯「もうダメ、眠い、ごめんたーくん」

    と、すとんと眠りに落ちてしまっていた。

    若君 心の声(口が開いたままじゃの。幼子のようじゃ)

    微笑みながら寝顔を眺め、感慨にふける。

    若 心(長かった)

    唯と出逢ってからの様々な出来事が、走馬灯のように頭の中を駆け巡る。

    若 心(…漸く、此処まで)

    唯を抱き寄せ、目を閉じた。

    若 心(この静けさ、鼓動まで聞こえそうな)

    何時かはわからない。周りが静まり返る中、唯の寝息だけがかすかに聞こえる。

    若 心(そうじゃ)

    腕を緩め、唯の浴衣姿を確認し、そっと囁く。

    若君「唯、済まぬが、整えさせて貰う」

    布団をめくり、起こさないようにそっと、浴衣を裾まで真っ直ぐ伸ばし、脚をくるんで前の合わせを整えた。

    若 心(これで、片足だけ飛び出す事はない)

    ┅┅回想。3時、布団の中┅┅

    唯「やだ、なんで中にもぐってるの」

    若「んー?」

    唯「とぼけ方が怪しい。えっ、なに…キャー!」

    若「うっ!」

    唯「あわわ、うわぁっ、またやっちゃった…」

    唯の膝が、若君のみぞおちにクリーンヒット。

    唯「ご、ごめんたーくん」

    慌てて、蹴った所をさする唯。

    若「ゴホッ、あー、見事な膝蹴りじゃったの」

    唯「胡乱な動きなんかするからっ」

    若「胡乱とは、聞き捨てならぬ」

    唯「あっ開き直った!」

    若「近う寄りたいだけじゃ」

    唯「ホントにぃ?ごめんね、痛かったよね」

    若「もっと下を蹴られていたら、相当痛かったであろうが」

    唯「下?…あっ」

    若「まあ、蹴り上げてしまったならば、今と同じく、そっと優しくさすってくれれば良いだけの事」

    唯「…」

    若「何をじりじりと下がっておる?」

    唯「無理無理無理」

    若「申すのは一度で良い」

    唯「大事なコトは、三回言うのっ」

    若「まだ蹴られてはおらぬが」

    唯「いやぁ万が一ってあるしぃ、備えよ常にと申しましてぇ」

    若「今更何をうろたえておる」

    唯「い、いまさらとか言わないっ」

    若「布団から出てしまっておるではないか」

    唯「退陣で」

    若「敵となった覚えはない」

    唯「えー」

    若「近う参れ」

    唯「あー、その言葉は心が揺らぐー」

    若「たわけ。四の五の言わず、早う、此処へ」

    ┅┅回想終わり┅┅

    若 心(乱れを整えておけば、起きた時に慌てる事もなかろう)

    再び布団の中。肩に触れると、浴衣が少しひんやりしている。

    若 心(しまった、時間をかけ過ぎ、体を冷やしたか)

    温めようと、抱き寄せた。

    若 心(眠っておれば、逃げはせぬが)

    つい、腕に力が入り、きつく抱き締める。

    唯「ん…」

    唯がかすかに動いた。

    若「あぁ、痛かったか、済まぬ」

    腕を緩め、ふんわりと包みながら、目を閉じた。

    若 心(ん…雀、か)

    どれだけ経ったか、雀の鳴き声がし始めた。

    若 心(空が白んできたか)

    部屋の中も徐々に明るくなる。

    若 心(よう、眠れておるかの)

    唯の寝顔を覗く。

    若 心(消えてはおらぬ、此処に居る。共に朝を迎えられるのは、この上ない喜びじゃ)

    頬にかかる髪を、そっと払いのけた。

    若 心(そういえば)

    唯を仰向けに寝かせ直し、そっと布団から出た。

    若 心(海の様子は、如何ばかりか)

    外に出た。海を臨む位置に露天風呂がある。

    若 心(あれは、風呂か。そういえば隣にもあったのう)

    露天風呂に近づく。

    若「ん?…なんと!湯が沸いておるではないか」

    手を入れると、いい湯加減。

    若「ほぅ。まさしく、温かい泉じゃな。折角じゃ、入るとするか」

    早速、入浴する。湯船に体を沈めた。

    若「朝方の海もまた、格別じゃ」

    色を差し始めた海を眺め、時が経つのを忘れる。

    若「ふう」

    大分温まったので、湯船に腰掛けた。

    若「雀は、せわしく賑やかじゃの」

    あちらこちらで、チュンチュン、ちょこまかと跳ねる。眺めていると、背後で音がした。

    若「こちらの雀も、お目覚めか」

    振り向くと、ちょこまかと跳ね、表情をくるくると変えながら、唯が覗いていた。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君の傍で跳ね回る姿が、愛らしい。

    いよいよ、次回から最終日のお話です。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days59~22日23時45分、川の字で

    夜が明けちゃうよ。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    美香子「ようやく勢揃いね」

    唯「お待たせしました」

    美「布団並べたけど、どこに誰が寝る?」

    唯「あぁ」

    若君「父上は、一番奥と決まっております」

    覚「え、そうなの?何で?」

    若「家長は上座にて」

    覚「えっ、そうなんだ」

    美「さすが若君ね~。ホント感心しちゃう」

    覚「ありがとう若君。この位置なら、朝ごはんの支度もしやすいし」

    唯「家長って…」

    尊「なにを言い出す?」

    唯「家事全般隊長?」

    尊「えー!また突拍子もない事言って」

    若「…ハッハッハッ!」

    唯「ひどーい、そんなに笑うなんて」

    若「いや、我が父忠高が、掃除機をかけておるのを思い描いての」

    唯「ぷっ。それは愉快じゃ。でもエプロン似合うよ、きっと」

    美「普通お殿様は掃除機かけないけど、ウチのスーパーお殿様は、なんでもこなすわよ」

    覚「戦に出ろ、と言われたら、逃げるけどな」

    尊「ははは、それは僕も。だから若君はすごいって思う」

    若「戦は無いのが一番じゃが」

    美「そうね…。で、残りはどうしよう?」

    尊「お父さんは決まったから、あと奥からお母さん、お姉ちゃん、若君、僕?」

    美「それが妥当かな」

    若「いや」

    尊「あ、若君に発言権を譲ります」

    若「本来は母上が次じゃが、奥から、唯、母上はいかがじゃ。わしと尊はどちらが端でも良いが」

    唯「え?たーくんと離ればなれ?」

    若「大袈裟じゃのう。今宵は、父上母上の傍らで休むが良い」

    美「若君…」

    若「最後、とは申しませぬが」

    覚「いやー、その心持ちに感動だよ」

    美「ありがとう、若君。もう一つお願い。私の隣の布団で寝てくれないかなー」

    尊「それがメインか?」

    美「違うわよ、多分」

    尊「いいよ。じゃあ、お父さん、お姉ちゃん、お母さん、若君、僕だね」

    若「両親と唯が仲良く休むゆえ、わしと尊は」

    尊「なに?」

    若「抱き合うて寝るか?」

    唯「キャー!やめてー!」

    尊「そ、それは勘弁してください、お姉ちゃんが恋のライバルとか、嫌です」

    唯「は?そっちかよ」

    若「ハハハ」

    美「若君に迫られたら、尊だってなびくわよねぇ」

    尊「うん」

    唯「おいおい!」

    覚「それだけ、若君が魅力的って事だ」

    美「ホントに。常識も礼儀もわきまえてて、しかも戦にも強い。安心して唯を託せます」

    若「それは…恐悦至極に存じます」

    唯「あ!私が殿の前でとっちらかったヤツ!」

    覚「そういう言葉が、サラっと言えるのも素晴らしいな」

    唯「思い出した、たーくん、殿の脇でなんとも言えない顔してた!」

    若「妙な事を思い出させてしもうたのう」

    唯「でも、その後助けに来てくれたから、許す」

    美「ふふふ、いい思い出なのね。場所も決まったし、布団入って。電気消すわよ」

    月明かりだけが灯る部屋になりました。

    唯「暗くなったら、あっという間に寝ちゃいそう」

    尊「一緒に寝る意味ないじゃん」

    唯「うっかり寝入っちゃうといけないから、」

    美「何?」

    唯「お父さん、お母さん、手、つないでいい?」

    覚「唯…」

    美「やだ、泣けちゃうわ」

    尊「もらい泣きしそう」

    若「そうじゃな…」

    三人、手つなぎ。

    覚「こんなの、小さい頃、動物園に行った時以来じゃないか?」

    美「そうね、こーんな小さい時。お父さんが尊を抱っこして、三人お手手つないで」

    唯「覚えてないよぅ」

    美「そうよね、でも親って、子供達との一日一日が、とっても大切なの」

    唯「そういえば、前にたーくんが毎日大切って言ってた」

    美「そうなの?」

    尊「誕生日は大切な日だ、って話したら」

    若「毎日誰かの誕生日ゆえ、毎日大切と申しました」

    美「まあ…」

    覚「若君は、どこまで僕らを感動させてくれるんだ?」

    若「そこまで喜ばれるとは」

    覚「また、サラっとカッコいい事言ってー。僕も抱き合って、唯と取り合いしようかな?」

    唯「やだっ、たーくんは誰にも渡さないっ!」

    若「わしも、唯以外は考えられぬ」

    覚&尊「あー、振られちゃったー」

    若「ハハハ」

    夜は、ゆっくり更けてゆきました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    次回、最終日が目前ですが、一回日付が戻ります。

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    返信先: 創作倶楽部
    妖怪千年おばばさんへ

    どうぞお気遣いなく。私のお話のクライマックスは、もう少し先です。延びて延びて、4月入ってから、メリークリスマスって言ってる予定です。

    あれだけ名前を連呼するなら、役名知りたかったですよね。確かにコーチ、としか書いてありませんでした。
    ウェディングドレスでオペは、以前のお話と続いてたんですね。今回の美香子さんも、パワフルでした。

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    返信先: 連絡掲示板
    ありがとうございます!

    直した方が復活しておりました。早急の解除の手配、ありがとうございました!

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    返信先: 連絡掲示板
    場所を伝え忘れました

    創作倶楽部no.540と541相当です。もし無理なようでしたら、先のno.540を復活でも結構です。すみません。

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    返信先: 連絡掲示板
    申し訳ありません

    投稿が、消えました。修正の仕方が良くなかったのか?わかりません。できればダブっている後の方を復活していただけると助かります。お世話かけます。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days58~22日23時、多数決です

    逆に恥じらいがないのも困りものですが。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    戻ると、リビングに布団が五つ敷いてある。

    美香子「おかえり~」

    若君「母上、遅くなりました」

    唯「お父さん、はいお盆。ありがとね」

    覚「はいよ~」

    美「尊は?」

    唯「追加で作業頼んじゃった。もうすぐ来るよ」

    美「あーそう。お風呂入って欲しいんだけど。もう遅いし」

    唯「そっか、ごめん遅くなって」

    美「尊がまだなら唯でも若君でも、どっちが先でもいいけど。それか、一緒に入ってもらってもいいわよ~?」

    唯「えぇ?」

    美「どういう風でも。ねっ、お父さん」

    覚「まぁ、お前達の好きなようにでいいぞ」

    唯「…はいっ、私、先に入る!」

    美「なんで?」

    その瞬間、若君が、逃げようとする唯の腕を掴んだ。

    美「あ、捕獲した」

    唯「えーっ!」

    若「…」

    唯「ものすっごく、目が訴えてる!えー、うーん。じゃあ一緒に入る?」

    美「じゃあって何。初めてじゃないでしょう」

    唯「初めてみたいなもんだよ~」

    覚「行ってこい、若君が満面の笑みだ」

    唯「うへぇ」

    美「嫌なの?」

    唯「いや、ビビリなだけっす。じゃあたーくん、着替え取りに行こっか」

    若「父上母上、ありがとうございます」

    唯「私には?」

    若「ん?ハハハ」

    二人が階段を上がっていると、尊が実験室から出てきた。

    美「え、思ったより早い」

    覚「ややこしくなるから、止めるか」

    リビングから、二人で尊に向かって、身振り手振りで大きな✕を出した。

    尊「なになに?来るなって?」

    実験室に戻る尊。ほどなく、唯達が着替えを手に、浴室へ向かった。美香子が尊を呼びに行く。

    美「ごめんね尊」

    リビング。

    尊「何が起こったかと」

    美「ごめんごめん。お風呂にね、二人で入ってもらおうとしてて、唯が尊の顔見ちゃったら、男子二人で!って言いそうだったから」

    尊「また、けしかけたの?変な親」

    美「軽ーく、話振っちゃった」

    覚「振ったからには、ダメとは言えないしな」

    美「あら、ダメだった?」

    覚「いや、もう、どうもこうも言わない」

    美「寛大でよろしい。ウチのお風呂広めだから、二人でも全然余裕だし」

    覚「お前、そんな理由は後付けだろ」

    美「どうかしらね~」

    尊「え、でもお姉ちゃん良かったのかな。旅行の時は、完全に体隠して露天風呂だったらしいよ」

    美「えぇ?そんなややこしい事を。だから、初めてみたいなものって言ったのね。一瞬、嫌そ~な顔したし。結婚した、って自分で言ってるのにね」

    覚「なんかトゲがある言い方だな」

    美「事実、届を出すなんて話じゃないでしょ」

    尊「そんな超現実的な話する?」

    美「しないわよ、ファンタジーだから」

    尊「ファンタジー。確かに」

    覚「まあ、ファンタジーだな。ははは」

    美「ふふふ。まっ、いずれにせよ、今更お風呂になにを反対してるんだかって話よ」

    尊「僕は賛成」

    美「私も賛成」

    覚「僕も賛成だ」

    美「じゃあ、少なくとも8割が賛成なんで」

    尊「まあ、もう入ってるんだから全会一致だけど。ってかなんで多数決?」

    美「尊が言い出したからでしょ」

    お風呂の中は、二人の秘密なので解説はいたしません。お風呂あがりへ飛びます。

    唯「はぁ~。あっつーい」

    美「入る前も真っ赤だったけど、出ても真っ赤じゃない」

    唯「のぼせたー、いろんな意味で。ちょっと涼んでくる」

    外へ出て、ウッドデッキに腰掛けた。

    唯「わあー、今日が満月かと思うくらい、まんまる」

    空高く輝いている。

    唯「いよいよ明日かぁ」

    サッシが開く。

    若「唯、そのままでは風邪を引く」

    若君が、手に毛布を持って出てきた。

    唯「あー。たーくん、ちゃんと髪乾かした?もー、自分がまだびしょびしょなのに、私が先って聞かないんだから」

    若「唯に風を与えた事がなかったからの」

    唯「イケメン美容師だったよ。あ、美容師は髪切る人ね」

    若「そうか」

    隣に座り、毛布を広げ、二人一緒にくるまった。

    唯「私、涼もうと思って外に出たんだけど」

    若「すぐに冷えてしまうぞ」

    唯「また、ほてっちゃうよぉ」

    若「尊が風呂を出たら、中に入る。それまでは、しばし月見じゃ」

    唯「え?もう尊そこに居るよ」

    振り向くと、リビングに風呂上がりの尊。

    若「早いの」

    唯「ホントにー」

    尊、外からの視線に気づく。

    尊 心の声(うわっ、なに?!二人とも、なんでそんなに睨んでくる?)

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    ようやく、五人勢揃いかな。

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    返信先: 創作倶楽部
    遅くなりました

    昨夜は投稿できず、一日おきのペースが崩れてしまい、失礼いたしました。もう遅れる事はないと思いますが、2日後以降になりそうな時は、一度ご連絡いたします。

    てんころりんさんへ

    優しく励ましてくださいまして、心より感謝いたします。

    ひろげ過ぎた大風呂敷、平成Days終了時にちゃんと畳めてるかは、皆さんのご判断におまかせです。ただ、二人には心晴れやかに気持ち良く旅立ってもらいたい、と切に願い、私自身納得がゆくまで、推敲は随時やっております。

    制作秘話なんて大それたものは、持ち合わせておりません(((^^;)。各話ごとに、この回はこれを伝えたかった!とか、このセリフが肝!とかはありますが。でもそれを始めると、またものすごい文章量に…投稿番号遡って読み直す皆様が続出で大変では。
    書く事自体は全く苦ではありませんので、それでよろしければ回を追って振り返らせていただきます。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days57~22日22時15分、普通ってなに

    それぞれが個性的な音を奏でる、三重奏のようです。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    上映会、終了。

    尊「じゃあ、また明日フル充電しとくよ」

    唯「よろしくー。さていよいよ写真集を」

    表紙をめくる。

    唯「いきなりこれからスタート?ほぼ最後じゃん」

    洋装姿でチャペル前のキスシーン。

    尊「せっかくだから、一番喜びそうなのをトップに」

    唯「えへへ~、ありがと」

    尊「あの頃は、許可制だったよね。それが今ではそこらじゅうでイチャイチャして」

    唯「悪い?」

    尊「限度はある」

    唯「え?嫉妬?」

    尊「なんでやねん」

    唯「なんで関西弁やねん」

    尊「お姉ちゃん達見てると、普通の恋愛ができそうにない」

    唯「なんで?」

    尊「ドラマチックじゃないと恋に落ちないかもしれない、どうしてくれる?」

    唯「いちゃもんつけてる!」

    若君「尊。普通、とは何じゃ?」

    尊「え?」

    若「わしはこれが普通じゃ。どう違うのかがわからぬが」

    尊「そう言われればそうかも」

    若「尊は、尊なりの頃合いで、愛しい姫に巡り逢うであろう。一瞬で落ちるかもしれぬ、いつの間にか心を占拠されておるやもしれぬ。始まっておらぬのに、憂う事はない」

    尊「そっか。はい、わかりました」

    唯「たーくんの言う事はすぐ聞くじゃん」

    尊「若君は、恋愛の師匠だから。心がさらわれた、なんて超カッコ良かった」

    唯「あ、それならもう返した」

    尊「は?返した?」

    唯「それは、二人は一つだからぁ」

    尊「さっきから同じ服着てくっついてるから、一つの物体に見えなくはないけど」

    唯「物体なんて、つまんない言い方~」

    若「通じあったのじゃ。心も体も一つにの」

    尊「へぇ、もう心なんてどっちが持ってる持ってないって話じゃないと。なるほど…」

    若「…尊?何か探しておるのか?」

    尊「恋愛の名言が出たら、書かなきゃと思ってメモを」

    若「ハハハ、自ずから出てくる言葉じゃないと、胸に響かぬぞ」

    尊「わっ!本物だ!」

    唯「ほらね、一心同体ですからぁ」

    尊「この姉、侮れない」

    唯「なにその早口言葉。さてはバカにしてたな?」

    若「あー、もう良い良い、全く写真を見ておらぬではないか」

    唯「ごめーん。この辺りは和装だね。たーくん素敵!新郎とか若君というよりすでに殿の風格だけど」

    若「いつまでも、若君、ではないからの」

    唯「え!そんな一気に老けちゃうの?!」

    尊「違うな」

    若「呼び名など変わりゆく」

    唯「そりゃそうだよね」

    若「唯には、全て見届けて貰う」

    唯「え、おじいちゃんおばあちゃんになるまで?」

    若「ハハッ、そうじゃ。良いな」

    唯「はい…」

    尊「キュン、だ」

    唯「キュンだよぉ。さぁ次は洋装。王子様だぁ」

    若「シンデレラの唯も、実に麗しい」

    尊「おっちょこちょいでとんちんかんだけどね」

    唯「とんちんかんなのは二人ともだけどね」

    尊「あ、やっぱそうなんだ」

    唯「そっ」

    若「?」

    見終わりました。

    唯「ねぇ、これって、ページ増やせる?」

    尊「できるよ。リクエストがあれば入れるよ」

    唯「んとね、私のスマホに入ってる写真、入れらんないかな」

    尊「あー、いいよ。え、見るのもはばかられるような、きわどいのとかはこっちが困るけど」

    唯「ないない、ラブラブなだけ。えっとリュックの中に…はいスマホ、お願いしまーす」

    尊「よし、これで、と。どれにする?」

    唯「えっとね~、これと…」

    尊「え、顔が妙な事になってるけどいいの?」

    唯「いいの、これはね~」

    若君 心の声(こんなに仲睦まじい姉弟を、離ればなれにさせるのは辛いのう…)

    尊「あとはプリントするだけだから、先に戻ってて」

    唯「わかったーよろしく。じゃ、たーくん行こっか」

    若「尊、済まぬの。両親も待ちわびておるじゃろうから、先に参る」

    尊「どーぞー」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    夜も大分更けましたが、ようやく家族の時間です。いや、どうかな。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days56~22日21時30分、優しいハーモニー

    親の気持ちを、ちゃんと受け止めているからこそ、です。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    イルミネーションの映像が流れ始めた。

    唯「綺麗だったよね~」

    若君「そうじゃな」

    唯「もっと、色んな所でデートしたかったなー」

    若「また、遠乗りに参ろう」

    唯「うん。あ、今度はちゃんと乗せてくれる?」

    若「ハハ、乗せる」

    尊「え?乗せなかったってどういう事?」

    唯「疾風の後を走ってくんだよ」

    尊「え、罰ゲーム?ロマンスのかけらもないけど」

    若「唯はその時分、配下の者であったゆえ、そうなったが」

    唯「いや、そうじゃなくても走らされた気がする。だって、もっと早く走れ~って笑ってたもん!」

    若「そうだったかのぅ」

    唯「もー」

    尊「そもそも、もう走っちゃダメなんじゃないの?ジェンガに名前入れるんでしょう?」

    若「おぉ、その通りじゃ。さすが師匠殿」

    唯「お気づかい、痛み入りますぅ」

    海と朝日のタイムラプス。

    唯「すごい技だね。テレビでちょっと見た事はあったけど」

    若「絶景じゃ」

    尊「この映像の辺りで、大騒ぎが聞こえたね」

    唯「もぉーさぁー、脱がそうとするわ見えちゃうわで、大変だったんだから」

    尊「脱がす?風呂に服着て入ってたの?」

    若「完全武装じゃった。残念じゃ」

    唯「なにそれ」

    尊「ははは。お父さんに言っとくね」

    唯「お父さん?なんで」

    覚「一緒にお風呂、って聞いただけで倒れそうだったから」

    若「風呂は父上とも入ったが」

    唯「お父さんとお風呂なんて、もう十何年も入ってないよ?」

    尊「んー、そういうのとは、ちょっと違うんじゃないかなー」

    尊 心の声(僕が煙に巻かれてるのか、二人してとんちんかんなのか、どっちだ?)

    家族写真、スタートです。

    唯「なんか声聞こえるよ?!なになに?」

    尊「両親のコメント入り」

    唯「うっそぉ!いつの間にー」

    若「服を買うた日の夜だそうじゃ」

    唯「あ゛」

    尊「なにその渋い顔」

    唯「あの日は…結局たーくんは全っ然元気で」

    若「ん?確か…唯がどんな花を咲かせるのか、問うた覚えはあるが」

    尊「暗号?」

    唯「もー全然休んでなかった」

    尊「さっきから、そんな話ばっかりだな。ていうか、ちょっと待てぇー!」

    唯「なに」

    若「どうした尊」

    尊「ちゃんとこれ観てる?」

    唯「観てるよ。懐かしいな、たーくんカッコいいなって」

    尊「コメント、聞いてる?」

    唯「それが、聞けないんだよぉ」

    尊「どうして?」

    唯「さっきから、ちらほら会話が聞こえるんだけど、もう泣きそうで」

    尊「やっぱり?」

    唯「やっぱり…ってなに」

    尊「録音中、聞いてた僕も胸がジーンとして何度も泣きそうになって、で、鼻すするのとかマイクが拾ったらマズいと思って」

    若「どう切り抜けたのじゃ」

    尊「タイムマシンの燃料作る時の、防護マスクかぶってた」

    唯「そんな、尊が聞いてて泣けるなら、私なんて絶対まともに聞けないよぉ」

    若「ならば、音を消して観ようではないか」

    尊「若君…」

    若「わしも、心穏やかには聞けそうにない」

    唯「たーくんも?」

    若「然り」

    尊「わかりました。では消音、と」

    若「唯、永禄に戻ってから、共に聞こう」

    唯「うん、そうする。ねぇ、観終わったらこっちの写真集見ようよ」

    若「そうじゃな。わしもまだ見ておらぬゆえ」

    尊「あっ、映像の最後に両親の顔出しコメントがあるから」

    唯「えーダメダメ、号泣しちゃう」

    尊「その前で止めるね」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    両親のコメントは、きっと私も泣いてしまうから、描きません。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days55~22日21時15分、お電話お待ちしています

    現代語の習得は、メディアの力も大きかったかも。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    晩ごはん後。

    唯「明日は、蓮根のはさみ揚げもある?」

    覚「あるぞ」

    唯「中がつみれ、って事はない?」

    覚「それがいいのか?」

    唯「いや、勘弁してー。お肉でお願いします」

    尊「ケーキも食べるし、脂だらけだね」

    唯「カロリーオーバー?」

    尊「それ、若君に説明がいるからあえて黙ってたのに」

    唯「あ、ごめん。たーくん、ひっくるめて、楽しく食べようって事で」

    若君「そうか」

    尊「まあ、そうだね」

    覚「お待たせ。はい、コーヒー持ってけ」

    唯「あーありがとう~」

    手にしたお盆に、マグカップ三つとミルクと砂糖。

    尊「じゃあ、行きますか」

    若「尊、よろしく頼む」

    唯「行ってきまーす」

    覚&美香子「ごゆっくりー」

    三人、実験室。目の前に機械。

    若「父上母上は?」

    尊「一緒には、恥ずかしいんだって。もう完成品は見せてあるんで」

    若「そうであったか」

    尊「それではお待たせしました。ジャジャーン!」

    唯「へー、画面付いてる。カーナビみたいだね」

    尊「あ、似てるかも。ってなんで知ってるの」

    唯「テレビショッピングでやってる」

    尊「そっか」

    唯「で、名前は?」

    尊「え?名前?あっ、付け忘れた」

    唯「珍しい」

    尊「昨日できたばっかりで」

    若「尊は忙しかったからの」

    唯「で、カーナビなの?」

    尊「違うけど。もしそうだったらいつ使うの」

    唯「そりゃそうだ」

    尊「ん?カーナビ…あっ、これで行くか」

    唯「へ?」

    若「何かひらめいたようじゃの」

    尊「皆様、本日ご紹介するこの商品」

    唯「あっなんか始まった」

    尊「まるでカーナビのようですが、ナビをするのは、道ではございません」

    唯「はあ」

    尊「ナビするのは、思い出でございます」

    唯「まー、素敵!」

    ノってきた。

    尊「その名も、おもナビくん」

    唯「ほー。って今付けてるし」

    尊「こちらのボタンで、操作します。今回、付属品として、こちらの太陽電池」

    唯「ほ?」

    尊「広げて、昼間日光に当て充電します。夜には本体に接続し、映像をお楽しみください」

    唯「すごーい」

    尊「そして、もう一品、特別ご奉仕にて、イヤホンをお付けします」

    唯「え、イヤホン?!やーん、超嬉しい~!」

    若「…何ゆえそこまで喜ぶ?」

    尊「そして、なんとなんと!今から30分以内のお電話で、こちらのミニ写真集もお付けします!」

    手には、一部プリントアウトした写真の束。

    唯「えー!欲しい欲しい!って、そのままくれるんじゃないんかい!あははは~ウケる~!」

    尊「こちら商売ですから~、ははははー!」

    唯と尊、お互いを指差しながら、ひとしきり大笑い。

    唯「あー、はぁ。涙でてきたよ~。…あ」

    尊「あ」

    若君が、静かに笑顔。

    唯「ごめーん、たーくん、訳分かんないよね。置いてけぼりにしちゃった」

    尊「ごめんなさい若君、勝手に盛り上がって」

    若「それは…」

    唯「わー、マジごめん」

    若「フリーダイアルに、電話すれば良いのじゃな?」

    尊「え」

    唯「え!なんでわかるの」

    若「テレビでよく観た」

    唯「あーそっか、平日の昼間なんて、そんなんばっかだよね。だからかー」

    若「尊、あっぱれであった」

    尊「へへ、褒められちゃった」

    若「名も、無事付いた事だし」

    唯「うん、めでたしめでたし。って、まだ観てなーい!」

    若「ハハハ」

    尊「では、上映会、始めます」

    唯&若「お願いします」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君、そういえば日中はテレビっ子だったわ。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days54~22日19時30分、感謝を形に

    まずは、結菜さん、おめでとうございます!
    ┅┅
    ほとんど、ひらがなで書いてない?
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯の部屋。

    唯「では、デレデレメロメロのたーくんが攻めて来る前に」

    若君「ハハハ。攻めなどせぬ。期が熟すのを待つ」

    唯「え~?優しーい。やらなきゃならない事があるからね~」

    白紙のメッセージカードと、靴下の形の巾着袋が三つずつ出てきた。

    唯「靴下なんだよ、かわいいでしょ~」

    若「何ゆえ、この形なのじゃ?」

    唯「クリスマスのプレゼントは、靴下に入れるのである」

    若「答えになっておらぬが。ん、まあ良い、そういう物だと覚えれば良いのじゃな?」

    唯「うん、もう、そう納得して。尊には聞かないでね、あいつ勘がいいからバレちゃう」

    若「あいわかった」

    唯「…ん?言葉、戻してきてる?」

    若「少しは」

    唯「現代語、忘れちゃう?」

    若「それはない。朝、おはよう、とか行ってらっしゃい、とか言うてしまいそうじゃ」

    唯「ふふっ。夜、おやすみは言ってね」

    若「閨が同じなら、寝かさぬが」

    唯「はぁ?」

    若「あっ、す、済まぬ」

    唯「で、作業なんだけどね、この紙にね」

    若「え…いっそ詰られた方が気が楽じゃが」

    唯「はいはい。じゃ、お父さんお母さん尊あてのプレゼントに、それぞれ文を付けるよ。まずは尊に、はい、しゃべって」

    若「しゃべる?」

    唯「感謝の言葉とか、伝えときたい事とか話して。私がたーくんからの文として代わりに書くから。プレゼントと一緒に渡します」

    若「なるほど。それは良きはからいじゃ。ならば…師匠、大変世話になり申した」

    唯「ははは。…申した、はい」

    若「次は、師匠も永禄に来られる、起動装置刀を所望」

    唯「ふふっ、これ見てまた悶絶しそう。じゃあ次はお母さんに」

    若「母の愛とは、心の底から充たされる物だと知る事ができました。優しく抱き締められた事は生涯忘れませぬ」

    唯「え?!初耳なんだけど」

    若「筆が止まっておるぞ」

    唯「あ、あー。気になる~!」

    若「後ろより、そっとであったが」

    唯「そうなんだ。えー色々聞きたいけど、まずは書く。では最後、お父さん」

    若「父上、尊敬しております。料理の指南ありがとうございました」

    唯「…ございました」

    若「父上の様な、優しき父になれるよう励みます」

    唯「えっ、父!父…」

    若「また止まっておる」

    唯「ごめん、ちょっとウルウルしちゃった。…励みます。あ、追伸、品はわしが選びました、と」

    若「唯は書かぬのか?」

    唯「私は、ゆうべもう書いた。じゃ、それぞれ袋に入れて」

    プレゼント袋三つ完成。

    唯「じゃあ、これは、今日ここで寝ないからベッドに隠しとこっかな」

    若「この後使うが」

    唯「あ、そうだった。って、おいおいっ!」

    若「ハハハ。唯」

    唯「はい」

    若「その、服の」

    唯「ワンピースの?」

    若「中がどうなっておるのか、ずっと気になっており」

    唯「えっ?!ずっと?!もしかして朝から?」

    若「朝から」

    唯「やだ、一日そんな事考えてたの」

    若「エロ侍じゃからの」

    唯「ははは。名前気に入ってる?えー、涼しい顔してコーチとしゃべってたよね」

    若「その折は、別の理由でちと危なかったがの」

    唯「そうなの?全然そんな風に見えなかったよ」

    若「コーチ殿が、子が既に居るように仰せられるので、嬉しゅうて顔が緩みそうじゃった」

    唯「そっかあ。ふふっ、まだわかんないけどね。あー、自分で言ってて照れちゃう~」

    若「待ち遠しゅうてならぬ」

    唯「そうだね。一緒に待ってようね」

    若君は、唯を抱き上げ、ベッドに寝かせた。

    若「唯…」

    頬を撫で、顔を近づける。

    唯「たーくん…」

    若「おぉ、そうじゃ」

    唯「へ?」

    若「腹は、今宵も黙っておらぬかのう」

    唯「あー、それなら大丈夫。さっき、お饅頭つまんどいたから」

    若「ほぅ?いつの間に。ハハッ、相当腹が減っておったとみえる」

    唯「えぇまぁ、それは、そのような…」

    若「ん?いかがした?」

    唯「え?ううん、なんにも…」

    若「…もしや?まさかと思うが、この時を待ちわび…」

    唯「わー!聞こえない聞こえないっ」

    若「…そうか」

    唯「そうか?ってなに」

    若「いよいよ、花が咲くのじゃな」

    唯「え?花?えー、わかりません」

    若「ならば」

    唯「聞いてないし」

    若「しかと、見届ける」

    唯「し、しかと、って…」

    若「じっくりと」

    唯「じっくり?じっくりってなにー!」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    時間いっぱいまで、ご自由に。

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    二人のもしもDays2、うれしいひなまつり篇

    今日は、「もしも」の方をお送りします。
    1とこのシリーズの説明は、no.510にあります。本来、二人が現代には居ない時季のお話となっております。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    2月中旬、水曜の夕方。速川家リビング。

    尊「ただいまー。わっ!何!」

    リビング入ってすぐのスペースに、背丈程もある何かを組み立て中で、入口が塞がっている。

    覚「おー、おかえり尊。ちょっとこの端押さえててくれ」

    尊「は?はぁ、わかった」

    若君が、逆側を押さえている。

    尊「若君も、手伝わされてるんですね」

    若君「母上の大切な品と聞いての。是非にと」

    覚「よし、傾いてないからいいな。留めてくか」

    階段状の骨組完成。

    尊「ところで何?これ。あっ、あ~」

    奥で美香子と唯が、大きな箱から、和紙にくるまれた色々な形大きさの物を、取り出し並べている。

    尊「雛人形?」

    美香子「おかえり尊。当たりよ」

    尊「え?だって奥にもうあるじゃん」

    リビング奥の棚の前に、男雛女雛二体のみの親王飾りが、綺麗に飾ってある。

    美「あれは、唯の。これは、私のよ」

    尊「へ?一人に一つなの?」

    美「そりゃそうよ~」

    尊「お母さんの、あったんだね。初めて見る気がするけど」

    美「ホントは良くないんだけどね、ずっと仕舞ってて。でも今年は、若君も居るから見せてあげようかなって」

    若「先程、あちらの雛飾りは唯の物と聞き、では母上のは?と尋ねたのじゃ」

    唯「で、出すなら一気にってね。でもわかるよー、出したくなかったの。すっごいアイテムが多くて細かーい!」

    尊「で、あれがもしや七段飾りとか言うヤツ?」

    さっきの骨組は、毛氈が敷かれて雛壇らしく変身。

    尊「着替えたら手伝うよ」

    豪華七段飾り、完成。リビング入口側のスペース中央に、庭を向いてどーんと鎮座。

    唯「場所ってここでいいの?もっと隅っこじゃなくて」

    美「雛飾りは、東向きか南向きと決まってるのよ。この部屋、北も西も壁がないから。そんなに邪魔じゃないでしょ」

    唯「うん。ドアにぶつかるよりいっか。久しぶりに箱の外に出られたから、お日さまの方に向けてあげたいしー」

    若「母上の雛飾りもこれまた美しい。お付きの者も多く、豪華じゃ」

    唯「私のが貧弱に見える?」

    若「双方立派じゃ」

    美「あい変わらず、優しいわね~」

    晩ごはん後。

    若「尊、後で実験室に行っても良いか?9時過ぎになるが」

    尊「あ、いいですよ」

    9時過ぎの実験室。

    若「尊に、折り入って頼みたき儀がある」

    尊「わー、儀。久しぶりに聞きました。若君、何でござろうか」

    若「雛飾りを見て、思い付いたのじゃが」

    尊「へー?なんだろ」

    若「わしと唯は、永禄で祝言をあげた」

    尊「はい。お姉ちゃん、今でもその話が出ると嬉しそうです」

    若「互いの姿は目に焼きついておるが、この先の世にある、写真、はない」

    尊「こんな感じだよ、がわかりづらいと」

    若「何とか、形に出来ぬか?よく、検索、と言いながら調べておる中に、そのものがあれば、尊にも伝わるかと思うての。できれば、雛のように飾れる形で」

    尊「平面じゃなくて、立体って事ですね。…割と簡単にできると思います。だって、若君のは前に着てたアレですよね?」

    若「色は瑠璃紺じゃ。あと烏帽子」

    尊「お姉ちゃんの装束と髪型がわかれば、楽勝ですよ」

    若「尊には雑作ばかりかけるが。今日は、何か作業があったのではあるまいか?」

    尊「いえ、ないです。若君と待ち合わせだ~って、ときめきながら待ってました」

    若「かわいい弟じゃ」

    二人、パソコンで検索したり、細かい部分は紙に描いたりで、作業は翌日も続いた。

    尊「さすがに、顔は表現できないんで、まっさらでいいですか?」

    若「構わぬ。笑顔にしか見えぬゆえ」

    尊「カッコいい~」

    深夜、3Dプリンターが動き出した。

    若「ここまで苦労かけたのう」

    尊「ようやく雛二体できたんで、明日、雛壇とか作りましょう」

    そのまた翌日、金曜の夜。

    尊「できたー」

    若「尊、大儀であった」

    若君が、尊をギュッと抱き締めた。

    尊「えー!」

    若「喜びや感謝を伝えるには、このようにするのではないのか?」

    尊「えっ、その」

    若「違うと申すか?唯がよく、こうするが」

    尊「い、いえ、間違ってはないです」

    若「合ってはおるのじゃな」

    尊「はい、充分、充分わかりましたから」

    ようやく体が離れた。

    尊 心の声(はぁ。若君ってホント素直だなー。でもかなり、罪作りだよ)

    若「して、これはいつ皆に披露する?」

    尊「明日の朝で、どうですか」

    翌朝。朝ごはん前。

    尊「発表します、ジャジャーン!」

    唯&覚&美「おーっ」

    屏風の前に、雛二体。右の若君男雛は瑠璃紺、左の唯女雛は純白で、烏帽子や扇子や刀も表現されている。

    唯「あー、ちゃんと髪型が、戦国姫結びになってる!」

    前髪と横を4か所、つまんで結んである。

    美「お顔はつるんとしてるけど、もう、笑顔にしか見えないわ~」

    唯「言えるー」

    若「そうであろうの」

    覚「これが、祝言の時のか」

    唯「うん、すごく再現してあるよー。尊、たーくん、遅くまでありがとう!」

    尊「作ってて楽しかったよね?若君」

    若「あぁ。喜ばれ嬉しい限りじゃ」

    美「どこに置こうかしら?」

    覚「そんなに大きくないから、唯の雛飾りの置いてある台に、一緒に並べるか」

    雛飾り、二つ並びました。

    覚「雛壇が三つもあって、まさしく、雛のお祭だな」

    美「ふふっ、うまくまとまった?じゃあそろそろ」

    全員「いただきまーす!」

    食後、唯は出来上がった雛飾りの前にぺたんと座り、ずっと見入っていた。若君は、ソファーに座りその様子を見守っている。

    唯「なんか…色々思い出しちゃう」

    若「そうじゃな」

    唯「楽しい思い出ばかりじゃないのが、ちょっと切ないけどね」

    若「…今が平穏ならば、それで良い」

    唯「そうだね」

    その時、二人同時に何か思い付いた。

    若「そうじゃ」

    唯「あっ」

    顔を見合わす。

    若「なんじゃ?唯、申してみよ」

    唯「ううん、たーくんの方が早かったから、先に言って」

    若「そうか」

    キッチンで覚が作業しているのが気になる模様で、様子を覗く若君。

    若「父上には、聞かれないようにしたいが」

    唯「わかったぁ」

    座る若君に近付き、耳を寄せて聞く。

    唯「…えっ!やだ~!たーくんったらもーもーもー!」

    聞いた途端、若君の肩や胸を、バシバシ叩き始めた。

    若「痛い、それは強い、唯」

    覚「おーい、唯?若君をいじめるなよ~」

    覚が、作業したまま声だけかけた。唯が、若君の隣に座り、叩いた所を撫でる。

    唯「ごめんね、痛かったね。たーくん…あのね、あのね私も、同じ事考えてたの!」

    若「そうであったか。やはり我らは通じあっておるのう」

    唯「超嬉しい~」

    肩にもたれる唯。若君も顔を寄せる。

    若「ならば、支度をせねばならぬの」

    唯「うん!あ~でも、色々動くとバレちゃうから」

    若「そのような折は」

    唯「困った時の尊頼み~。これも意見は一致だねっ」

    若「ハハハ。師匠には頭が上がらぬわ」

    その日の晩ごはん後。

    尊「はーい、ではイベントの準備しまーす」

    若「あいわかった」

    唯「はーい」

    美「え?何?」

    覚「何だ?」

    三人が動く。テーブルをソファーの近くまで移動し、できたての雛飾りを上に置いた。座布団を五枚運び、テーブル前に二枚、その向かい、母の雛飾りの手前に三枚並べた所へ、尊が両親を呼ぶ。

    尊「ここに座って、待ってて」

    覚&美「はい?」

    唯と若君が洗面所に入って行った。尊は二階からお盆を持って来た。

    美「甘酒?と」

    覚「盃?いつの間に」

    唯達が現れた。唯の髪は戦国姫結び、若君は髷にした後軽くピンでまとめてある。座布団に座る。

    尊「お待たせしました。それでは、これより小垣城での祝言の、再現を始めます」

    覚&美「えっ…」

    唯「お父さん、お母さん、もっと早く見せてあげれば良かったけど、遅くなってごめんね。服もこんなままでごめん。後ろのお雛様のカッコしてると思って、見てて」

    覚&美「…」

    尊の手で、盃に甘酒が注がれる。再現スタート。

    覚&美「…」

    粛々と進む。

    美「若君の所作、とっても流麗で素敵…直垂着てるようにしか見えないわ」

    覚「そうだな」

    最後、若君が飲み干す場面で、盃が上下するのに合わせて、首を動かしながらじっと見とれる唯。

    覚「あはは、実際こうだったんだろうな」

    美「きっとそうね」

    終了。二人、前を見て微笑む。

    尊「以上です。皆さん、お疲れ様でした」

    覚「…ありがとう、ありがとう、凄く、良かったよ」

    両親とも涙目。

    美「本当にありがとう。すごく嬉しいわ。これは、どっちの発案なの?」

    若「二人、時を同じくして、です」

    美「えっ、そうなの?一心同体ね」

    唯「うん!」

    若「尊、色々世話をかけ、済まなかった」

    尊「ううん。このミッション、すごく楽しかった。僕も見てみたかったし。若君、超カッコ良かったです」

    唯「私もかわいかったでしょ?」

    尊「超好き!って気持ちは、よくわかったよ」

    唯「ん、まぁ合ってるからよしとする」

    若「ハハハ」

    覚「甘酒、飲みたくなったな。温めて、生姜入れてやるか」

    唯「賛成~。じゃあ、テーブル元に戻そっ」

    美「まずお雛様戻して」

    唯「はーい」

    家族団欒と温かい甘酒に、心も体も暖まった夜でした。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    切ない思い出が、温かい思い出に変わりました。

    次回、通常の平成Daysに戻ります。

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    久々の来訪者に喜びました

    てんころりんさん、今回もご感想をいただきありがとうございました。

    しばらくこの板、私以外の投稿がなかったので、少しさみしい思いをしておりました。
    そりゃアンタが一日おきに頻繁に来とるからじゃろ、心をグワングワンと揺さぶり、感想を言わずにはおれない、なんて話作ってから言え、って話ではあります。精進します。

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    二人の平成Days53~22日19時、新居に届きます

    尊、休む暇なし。
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    唯「ただいま~!」

    若君「ただいま帰りました」

    覚「おー、おかえり~。今お茶いれるから」

    尊「おかえりなさい。楽しかった、よね?聞くまでもないか」

    若「尊に尋ねたい事が、数多あっての」

    尊「お姉ちゃんが、答えられずに?」

    唯「だって聞いた方が早いもん」

    尊「それも明日までだよ」

    唯「ギリギリまで聞きまくる」

    尊「聞いた内容は、ちゃんと覚えててよ?」

    唯「たーくんが覚える」

    尊「はあ」

    若「ハハハ」

    覚「はい、お茶。長旅お疲れさんでした」

    美香子「あ、お父さん、8時30分スタートで決定で」

    覚「了解」

    若「父上、あの、ありがとうございました」

    覚「いいよ~」

    美「で、カードだけど、唯のも持って行ってね」

    唯「二つともいいの?」

    美「二人はセットでしょ」

    唯「うん!良かったね、たーくん」

    若「ありがとうございます、大切にします」

    美「でね、追加でこれもって思って」

    葉書を差し出した。印刷がカラフルだ。

    若「葉書、じゃ」

    美「あら、良くご存じ。宛先を見て」

    唯「ウチの住所と…あっ!速川忠清様、唯様って書いてある!」

    若「なんと!何ゆえ、この名で」

    美「写真館から届いてたの。案内というか、広告だけどね。ちょっと嬉しくて、取っといたのよ」

    唯「なんか、ここにたーくんと二人で住んでるみたーい。やーん、感激っ」

    若「そうじゃな。これは嬉しい文じゃ。母上、この葉書も頂戴して良いのですか?」

    美「どうぞ。これってね、それこそ今後、季節毎に届くと思うの」

    尊「そうだね、DMってそういう物だし」

    美「受け取る度に、そうよ二人は今ここに居るのよ、って思えるわ。二人の新居に配達される葉書ね。楽しみよ」

    唯「なんか、じわっときた…」

    若「それは…わしも嬉しゅう思います」

    唯「ありがとう、お母さん」

    美「いいえ~」

    尊「いい話だね」

    覚「でも、あんまり行かないと、届かなくなるぞ?」

    美「じゃあ、孫の七五三とか、撮りたいわ~」

    唯「わあ!夢みたいだね」

    若「そうじゃな。叶うと良いとは思うが」

    一斉に尊に視線が集中。

    尊「わっ、今の僕では無理なんで、長い目で待ってください…」

    覚「最短でも三年後だろ」

    尊「えっ、だってタイムマシン2号も、いつの時代から未来の僕が送ったかわからないし」

    若「尊、済まないとは思うておるが、許せ、頼む。気長に待つゆえ」

    尊「うへー」

    尊を残して、四人、大笑い。

    唯「さてと。たーくん、今から部屋には行くけど、まだ色々やる事あるからね」

    若「心得た」

    唯「ずっとニヤけてるし。なんかー、こんなに現代になじんちゃって、ちゃんと立派な総領に戻れるか心配になってきた」

    美「大丈夫でしょ。唯に甘えてるだけよ」

    若「そうですね。今は、唯と、家族に甘えさせて貰うております」

    覚「速川の家族、じゃなく、家族、ってところが嬉しいなあ」

    美「そうね。だから唯、心配無用」

    唯「そっか、わかった。じゃあ、ちょっくら行ってきます」

    尊「では、後程」

    唯「のちほど…」

    若「後程、懐かしいのう」

    尊「あっ、なんか秘密の会話だ」

    二階へ上がって行きました。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    そう、夜は今日が最後だから。

    次回、平成Daysは一回お休みして、「もしも」シリーズの第2回を挟む予定です。

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    今までの二人の平成Days、番号とあらすじ、26から50まで

    no.503の続きです。
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    26no.443、12/16、海鮮市場。父が茶を吹く

    27no.449、12/16、ホームセンター。両親車内で語る

    28no.456、12/17、ジェンガに名を書きたい若君。達筆で読めない

    29no.461、12/17、完成したジェンガを前に永禄の仲間達を回想

    30no.467、12/17、若君と尊は仲良し兄弟

    31no.472、12/18、デート服がない唯とシェフデビューが決まった若君

    32no.476、12/19、朝から料理の特訓

    33no.477、12/19、両親の溢れる愛情に感涙

    34no.481、12/19、デート服を買いに行く。校門近くで車内に潜む若君

    35no.484、12/19、ペアルック購入。若君がときめき過ぎ

    36no.486、12/19、若君の体調を心配してるのか別の意図があるのか

    37no.489、12/20、唯と尊のしゃべくり漫才

    38no.490、12/20、料理披露

    39no.492、12/20、年賀状書きます

    40no.493、2019/1/1、年賀状届きました

    41no.497、12/21、唯は退学。オムレツ作って帰りを待っていた若君

    42no.500、12/21、尊が若君に機械の説明

    43no.504、12/21、収録内容確認。no.486の意図がわかる

    二人のもしもDays1no.510、とある年の2月上旬の日曜、バレンタイン直前でチョコ味の唯

    44no.515、12/18、イヤリング購入。唯の雪の思い出

    45no.516、12/22、デート当日。母から色々貰える

    46no.517、12/22、芳江とエリに挨拶。若君自動改札初体験

    47no.522、12/22、電車と飛行機。公共の場ではラブ自粛

    48no.523、12/22、貴重な写真を激写。人生の未来図を語る唯

    49no.524、12/22、公園ランチ後のラブラブタイム

    50no.525、12/22、土産に欲しい物有り。三人へのプレゼント買いに行く

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    二人の平成Days52~22日15時30分、まるわかりです

    早く決めないと、自由時間が減ります。
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    雑貨売場で、睨みをきかせ、仁王立ちの唯。

    若君「唯、贈る品を選んでいる姿には到底見えぬぞ」

    唯「悩む、悩み過ぎて訳分からなくなってきた」

    若「ハハハ、気持ちは分かるがの」

    唯「はあ。ねぇ、たーくんなら何にする?」

    若「そうじゃな…」

    若君が、手にすっぽり入るサイズの、スノードームを手に取った。

    若「これは、どういった物じゃ?」

    唯「これはね、一旦逆さにするの、そうすると」

    中で雪が舞う。

    若「なるほど、雪の風景になるのじゃな」

    唯「スノードームかぁ。家にあるのはもっと大きいし、このサイズならかわいくていいかも。いろいろ、中の風景も種類あるし」

    若「小さいは、小さいのう」

    唯「よし、たーくん三つ選んで」

    若「わしがか?それで良いのか?」

    唯「たーくんが選んだとなったら、みんな喜ぶから」

    若「そうか。責任重大だが、選ぶとする」

    三つ決まりました。お会計。

    唯「ふう。任務完了。ありがとね」

    若「どういたしまして、じゃ」

    駅まで来た。地元へ戻る電車を、ホームで待っている。唯が足元をじっと見ている。

    若「いかがした?何かあるのか?」

    唯「うん。思い出した事があって」

    電車に乗り込んだ。座ろうと思えば座れるが、二人は立っている。

    唯「このブーツね、たーくんのお墓が見つかったって聞いて、慌てて見に行った時に履いててね」

    若「うん」

    唯「もう、悲しくて悲しくて、お墓の前で泣いて泣いて」

    若君が唯の肩を抱く。

    唯「で、涙がポタポタ落ちて、今でもシミになってるの」

    爪先の辺り、数か所色が変わっている。

    若「そうか。しかしわしは生きておる。もう泣かずとも良い」

    唯「うん。あの頃は、ずっと暗黒の世界で。何をする気にもなれなくて、実は髪も切らずにそのままだったの。小垣城で撫でてもらった時から、切れなくて」

    若「そう、だったのか」

    唯「まっ、そんな事もありましたって話。永禄に戻ったら、また髪は切らずに伸ばしてくね。本格的に、姫にならないと」

    若「どんな姿でも唯は姫じゃが」

    唯「えへへ。でも、暴れガッパのままじゃ、なんだしさぁ」

    若「暴れガッパ?唯は、河童でなくとも暴れるであろ…ふひ」

    唯「もーっ!どの口が言うのじゃ~?」

    若君が、両頬を横にむにーと伸ばされている。

    唯「ふふっ」

    若「ふう。してやられたのう、ハハハッ」

    駅では、母が待っていた。

    美香子「おかえり~、二人とも。楽しかった?」

    唯「うん!」

    若「お迎え、ありがとうございます」

    車内。

    若「母上、あの」

    美「はい」

    若「カードですが、母上のお気持ちに心を打たれました。謹んで頂戴します」

    美「いいえ~、そんなに喜んでくれたなんて嬉しい。こちらこそありがとう。それでね、追加で渡したい物があるから」

    若「物?」

    美「きっと喜んでくれると思う。後でね。ところで唯」

    唯「なに?」

    美「この後の予定は?」

    唯「帰って、晩ごはんまでを二人の自由時間にしようって、たーくんと決めた。食後に尊の作品発表会、その後は家族全員一緒に過ごす」

    美「うん。って事は、ごはんが遅いと、自由時間が増えるわよね」

    唯「それはそうだけど、晩ごはんは8時位って、朝ごはんの時に聞いたよ」

    美「それが、8時30分に変更はどう?ってお父さんが。遅過ぎても何だから、プラス30分で手を打たないか~って」

    唯「へ?それは嬉しいけど、なんで?」

    美「今朝見送った時、あまりにも若君がデレデレのメロメロで、これはプラスの時間が欲しいだろうって」

    若「えっ!わし、が」

    唯「たーくん、そんな顔してたの~?気づかなかったー、もっと見とけば良かったあ」

    美「唯はもっと分かりやすかったからね」

    唯「あ、そーすか」

    美「もうすぐ7時だから…まあまあ時間あるかな?」

    唯「うん。嬉しい!良かったね、たーくん」

    若「そうじゃな。父上に、礼を申さねばの。されど…」

    唯「なに?」

    若「顔に出たとは不覚じゃ」

    美「え?ダダ漏れよ?エリさん達なんか、可愛かった可愛かったって、仕事中ずっと言ってたわよ」

    若「こ、これはしたり」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    あんなに泣いた時もあった、と過去形で言えるのは、今が幸せだから。

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    二人の平成Days51~22日15時、守り抜きます

    誠実さは、初対面でも伝わるよね。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    デパートで、プレゼント物色中。

    唯「どうしよっかな~」

    若君「どういった類いの品を、探しておるのじゃ?」

    唯「心がこもっていれば、どんなのでもいいんだけど、基本的に小さい物」

    若「小さい?何ゆえ?」

    唯「私のリュックに、三つ入れて帰るから。明日まで隠しておきたいから、たーくんが持ってる方には入れられないの」

    若「なるほど。その品に込めた存念は、物の大小に関わらぬ。それで良い」

    唯「ありがと、たーくん」

    誰かが、駆け寄って来た。

    男「速川、速川じゃないか?」

    唯「あっ、コーチ!」

    若「コーチ?」

    唯「うん、えっと、学校の陸上部で、指導してくれた」

    コーチ「珍しい所で会ったな。なんかいつもと全然イメージが違うから、最初わからなかったぞ。デートか?」

    唯「うん。コーチこそ、プレゼントでも買いに来たの?」

    コ「あぁ。娘も小学生にもなると、リクエストが具体的で、デパートまで探しに来た」

    唯「だから、こんな所でバッタリなんだね」

    コ「それより、速川。退学とは…驚いたぞ。昨日は、報告だけして逃げるように行ってしまって。今日会えて良かった」

    唯「はい。ごめんなさい」

    コ「かなりの有望株だったから、残念だけどな。まぁ、お前にも事情があるんだよな?」

    唯「はい」

    コ「どうしたんだ?」

    唯「あの、えっと…」

    若「失礼します」

    若君が、困っている唯の前に出た。

    コ「君は…そういえば以前、速川が超イケメンと帰って行くって、部員が騒いでたな。君だったのか」

    若「初めまして、コーチ。速川忠清と申します。唯が、お世話になっております」

    深々と一礼。

    コ「え?速川?え?」

    若「僕達、結婚したんです」

    コ「え?!結婚?!えっ、お婿さん?ずいぶんと若く見えるけど」

    若「早い、とお思いでしょうが」

    コ「急ぐ理由…えっ!まさか妊娠…もしや、それマタニティドレス?えーっ!」

    唯 心の声(うまい事進んでる。たーくん、がんばって!)

    若「事情は、お察しください」

    コ「は、はあ」

    若「暫く、僕の故郷に連れて帰るんです」

    コ「そ、そうなんだ。速川を名乗ったって事は、いずれ家を継ぐのかな?確か、実家のお母さんは医者だったよな?」

    唯「はい」

    若「故郷にて、精進して参ります」

    コ「それは、医師免許取得に向けて?」

    若「そう…ですね」

    コ「そうか、よーくわかった。速川!」

    唯「はい、コーチ」

    コ「お前は、恋愛などせず、走りを極めるのかと思っていたが」

    唯「まっ、そう見えてましたよね」

    コ「こんな、若いのに凄くしっかりした旦那さんに出会えていたとは。良かったな。おめでとう」

    唯「ありがとうございます。私、幸せになりますから」

    コ「そうか。うんうん」

    唯「私、みんなに何も言わず辞めちゃったんで、コーチから、今日の事言ってもらってもいいですよ」

    コ「そうなのか?」

    若「皆様に、よろしくお伝え願います」

    唯「速川は、最上級の素敵な旦那をゲットしたってね」

    コ「そうだな。じゃあ、これで。幸せになれよ」

    唯「はい!」

    若「ありがとうございました」

    若君は、また深々と礼。

    唯「…もうコーチ見えなくなったよ。顔上げて」

    若「そうか」

    唯「たーくぅん、ありがとう~!もぉ聞かれた時は、やばっ!マジで~?って焦った~」

    若「上手く勘違いもされたようだし、無事に事が運んで良かったの」

    唯「現代語、完璧だったよ」

    若「そうか?」

    唯「すっごくカッコ良かった。ますます惚れ直したでござるよぉ」

    若「それは嬉しい。全ては唯を守る為じゃ。守れておったか?」

    唯「うん!」

    若「あ、ここも公共の場じゃな」

    唯「そうなの~ざんねーん、私も。ふふっ」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    此度の嘘は、誰も傷つけてはおらぬ。

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    返信先: 創作倶楽部
    時空を超えるICカード

    前回の平成Daysで、若君は、速川の名前のカードに感激していましたが、きっとそのカードのデザインも気に入ってくれたと思うんです。イメージした交通系ICカードは、マナカです。

    https://manaca.jp/type/index.html

    まるで…。交通事業者によると、無名のキャラクターで、月とは関係ないんですが。

    no.491の考察でもお話ししましたが、唯達が住む黒羽市は、三重県北勢地方の推測です。実はこの辺りを通る鉄道会社の路線では、ICカードを導入していません。
    でも、このエピソードを入れたかったので、今回は使える物としちゃいました。実際は使えないでしょ!とか言わないでね(;^_^A

    勝手に何もかもリンクさせてますが、大企業を敵にまわすつもりは、毛頭ありません…。関係者の方々がご覧になりましたら、人気のキャラクター御用達、にしましたので、売上に直結はしませんが、御容赦くださいますようお願い致します。

    このカードをお使いのアシラバの皆様!おめでとうございます、若君&唯とお揃いです!妄想の域を出ませんが。

    私の定期もお揃いです~。こんな些細な事でも、生活が少し潤うようです。自分で設定しておいて何なんですが。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days50~22日14時、手のひらに想い出

    唯、なんやかやで願いが少しずつ叶ってます。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    建物内に戻りました。

    若君「暑いのう…」

    唯「うん、外もだいぶ暖かかったから。上着脱いで」

    脱ぐのを手伝う唯。

    唯「上着は、邪魔になるからおなかに巻いとけばいいよ」

    若「そうか」

    若君が上着の袖を、体の前で結んでいる姿に、

    唯 心の声(ん?なんか普通の人と違う…あ、そっか!おなかじゃなくて、腰骨の上で結んでるから、ビシっと決まってるんだ。んもぉ無駄にカッコいいんだから~。あっそうそう!)

    唯「たーくぅん、袖もまくって~」

    若「こうか?」

    唯大好物の、腕まくり姿。

    唯「へ、へへへ~」

    若「姫がおかしな事になっておる」

    土産物屋の前を通過中。

    若「色々売っておるようじゃの」

    唯「そうだね。何か欲しい物ある?」

    若「いや…」

    唯「あ?それって、なんかあるとみたぞぉ」

    若「永禄に持ち帰りたい物は、ある」

    唯「えーそうなんだ、なんだろ?」

    若「母上に許しを乞わねばならぬが」

    唯「えっ?それって、もしかして…」

    若君が、ICカードを出した。

    唯「すごく気に入ったんだね。やっぱ名前入りだから?」

    若「わしが、この先の世に居た証じゃからの」

    唯「そっかぁ。なんか私も嬉しい~。きっと喜ぶと思うけど、お母さんに今聞いてみるね」

    若「頼む」

    LINEでパパっと送信。即返信あり。

    唯「ふふっ。見て、これ」

    若「おぉ」

    号泣しているスタンプと、OKマークのスタンプが連続して来た。

    唯「良かったね、たーくん」

    若「あぁ。帰ったら、母上に礼を申す」

    駅の改札前。

    唯「そろそろ移動するよ。もう飛行機は堪能した?」

    若「良いぞ。実にこの、技術や人々の努力には、目を見張るばかりであった」

    唯「もし、もしいつか機会があったら…飛行機、乗ろうね」

    若「そうじゃな。いつか」

    唯「もしかしたら、その頃にはもーっと遠くまで行ける乗り物に、乗れるかもしんない」

    若「遠く?」

    唯「月にとか」

    若「月?!」

    唯「もしかしたら、ね」

    若「それは、どのように」

    唯「あ、えーっと…」

    若&唯「帰ったら尊に聞く」

    唯「わー、どうしよう。もうすぐこの手使えなくなる」

    若「ハハハ」

    電車内。

    若「この後はどうするのじゃ?」

    唯「さっき人がいっぱい居た駅の所で、デパートに行くよ。あのね、お父さん達にクリスマスプレゼント買いたいの」

    若「買い物に行くのじゃな。しかしその場所には、色々な呼び名があるのう」

    唯「そうだね。スーパーはわかるよね?」

    若「米など買う処」

    唯「うん、合ってる。あとは?」

    若「ショッピングモールは、床が柔らかい。ホームセンターは、じいの大きいカートが有り、手軽で楽チン」

    唯 「…他に覚え方なかったの」

    下車し、デパートに向かっている。都会は、そこかしこに、イルミネーションやツリーがある。

    若「昼間から眩いのう。綺麗じゃな」

    唯「あ」

    若「ん?いかがした」

    唯「ううん、綺麗だね。えへへ~」

    若「ようわからぬが、唯がご機嫌なら良かろう」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    じい、居ないのに登場回数が多い。

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    二人の平成Days49~22日13時、風を纏って

    お母さん、あの選択、グッジョブでした。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    公園ランチ、そろそろ終わり。

    若君「なんと、茶がまだ熱い」

    唯「なにげにすごいでしょ~」

    冬にしては、暖かい日だ。飛行機が置いていく風も、心なしか柔らかい。

    若「よい風じゃ」

    唯「ホントだ。…ふふっ懐かしい」

    若「そうじゃな」

    空を見上げる若君。真上を、大迫力で飛行機が行き交っている。

    若「羽ばたきもせず、なぜ飛ぶのかの…」

    唯「私に聞いてる?」

    若「帰ったら尊に聞く」

    唯「それが正解~」

    若君は、シートから降りた。芝生の上に寝転び、空を仰ぐ。

    若「草の匂い、土の匂いじゃ」

    弁当箱や水筒を片付ける唯。

    唯 心の声(セーターの赤色が、芝生に映えて綺麗)

    若君は、眠ったようだ。時折、額にかかる前髪が風に揺れる。

    唯 心(無防備な寝顔が、かーわいい)

    シートも片付け、隣に座った。

    唯 心(こういう時間、今度はいつ手に入るかな…)

    いつの間にか、若君に見つめられている。

    唯「わぁ!起きてたんだ」

    手を伸ばしてきた。

    若「おいで」

    唯「えー」

    若「ん?」

    唯「そう言えば、絶対来ると思ってるでしょ」

    若「思うておる」

    唯「否定しないし~」

    若「来ないのか?」

    唯「どーしよっかなー?…えいっ!」

    寝転ぶ若君に、ダイブ!なかなかの衝撃。

    若「うっ、く、苦しい…」

    唯「えー?なにぃ?だって来いって言ったもーん」

    若君の胸元に顔をうずめていたが、

    唯 心(ダメダメ、このままじゃイヤリングがセーターに引っ掛かっちゃう)

    体を起こした。すると、

    若「…唯の向こうに、広がる空は」

    唯「空?」

    若「永禄も、この先の世も変わらず、一面澄んでおる」

    唯「450年変わらないかぁ。あっ、でも飛行機は飛んでない」

    若「ハハ、そうであったの」

    若君が、唯を乗せたまま体を起こした。

    若「そう言えば…まだ、遠いか?」

    唯「え?」

    若「体が境界線で近づけぬ、と申しておった」

    唯「うん。もっとそばに、もっとって思って。あー?たわけたおなごが無茶言ってる、って思ってるんでしょ」

    若「いや、構わぬ。唯の全てを慈しんでおるゆえ」

    唯「…難しい。帰ったら尊に聞く」

    若「ハハハ。もう、境はなかろう?」

    唯「うん。今はもうない。なんでだろ、いつの間にか消えてた感じ」

    若「宿の夜に消えたのであろう」

    唯「…」

    若「そのような意味合いではない」

    唯「うん、わかるよ。心も一つになったって事だね。たーくんもそう思う?」

    若「思う。今もそうであるし」

    唯「今?」

    若君が、視線を下に落とす。

    唯「え?わかんない」

    若「二人は一つじゃ」

    唯「え?あ、あーっ!ホントだぁ」

    同じセーターを着ているので、重なった部分で二人が一続きになっているように見える。

    唯「一つになってる、境目がなーい」

    若「そうじゃ。望み通りであろう?」

    唯「よく気がついたね!すごーい、感動しちゃったぁ」

    若「ハハハ」

    唯「たーくんと私は、一心同体~」

    また抱きついた。

    若「そうじゃな」

    唯「ふふっ。はぁ~、なんか幸せ過ぎて、溶けちゃいそう」

    若「溶ける?それはならぬ」

    唯「えぇ?」

    若「決して消えてはならぬぞ」

    唯「そっか~。あはは~」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    聞いているのは、風だけ。

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    二人の平成Days48~22日11時、告白します

    撮ろうと思って撮れるものじゃないから、超貴重。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    建物内に戻ってきた。

    唯「クリスマスツリーだ~、あっ、雪だるま見っけ!」

    大きなツリーの足元に、雪だるまのオブジェがある。

    若君「大きいのう。我ら程もある」

    唯「写真撮ろっと」

    まずは雪だるまをバックに、二人並んで自撮りでパチリ。

    唯「ポーズ変えよっ。え?たーくん何してるの」

    唯の背後に回っていて、顔を近付け、両手を肩に乗せている。

    若「良いぞ」

    唯「あぁ、前後にね。では、はい、ポー…」

    その瞬間、若君の両手が唯の両頬をつまみ、横にむにーっと引っ張った。パチリ。

    唯「ふひっ、あーっ!ちょーっとー!たーくん!」

    若「ハッハッハッ、愉快じゃ」

    唯「もーーっ!!ひどーい!」

    逃げる若君、追う唯。本気で逃げてない若君と、マジで追う唯なので、あっという間に捕獲完了。

    唯「かわいく撮りたいのに~!もーっ」

    若「かわいいではないか。見てみるが良い」

    撮れた写真を確認。

    唯「あ、かわいい…」

    若「で、あろう?」

    唯 心の声(たーくんが、超かわいい!)

    そこには、悪戯を企んで、瞳が子供のようにキラキラと輝いている若君が写っていた。

    唯「えへへ」

    若「掌を返したように、ご機嫌じゃの」

    空港併設の、公園に来た。芝生の上。

    唯「ごはん、ごはん、お腹空いたでしょ」

    若「唯ほどではない」

    唯「どーせ食い意地が張ってますよっ」

    レジャーシートを広げて座り、弁当箱と水筒もろもろを出した。

    唯「それでは~」

    唯&若「いただきます」

    唯「見て見て、おにぎりこんなに大きいよ」

    若「父上の愛情の大きさじゃな」

    唯「そうかも?はい、たーくん、あーんして」

    パクリ。

    唯「うふふ、かわいい~」

    若「そういえば、唯の手料理は、食しておらぬままじゃのう」

    唯「ギクッ。そ、それは」

    若「言うてみただけじゃ」

    唯「へ?」

    若「それを言うたら、母上のも尊のも食しておらぬからの」

    唯「ん?これはからかわれてるのか?まぁいいや。他の事を、今後がんばりますのでお許しを」

    若「ほぉ。例えばどのような?」

    唯「え?えーっと…」

    若「ん?何を恥ずかしがっておる」

    唯「あの、たーくんの子供、いっぱい産みます」

    若君の動きが止まった。

    若「そ、それは」

    唯「ジェンガに子や孫の名前書くって聞いて、感動したの、だから」

    若「…ありがとう、唯。一応尋ねるが、戦は?」

    唯は、若君の前に座り直し、正座した。若君も、体を唯の正面に向けた。

    唯「戦には、もう出ません」

    若「そうか。それは安心じゃ」

    唯「私、赤ちゃんに早く会いたくて」

    若「えっ」

    唯「戦は他の足軽でもできる。でも赤ちゃんは私しか産まないよね?」

    若「そうじゃ、愛するのは唯のみじゃ。側室など要らぬ」

    唯「お腹に居るかもしれないのに、無理に戦に出て何かあったら…たーくんも私も悲しいでしょ」

    若「…」

    唯「私は、私にしかできない事をがんばる。これからは、たーくんと、子供と、全部守るから」

    若「…唯!」

    唯の細身の体が折れてしまいそうな程、強く抱き締める若君。

    若「ありがとう、唯…」

    唯「いつか言おうと思ってたから。でも早く言って良かった。こんなに喜んでくれて」

    若「唯、ここも公共の場であろうが…」

    唯「あっ、あー。そうだけど、周りにあまり人居ないし…許します」

    熱いキスが続いた。

    若「唯」

    唯「はいっ」

    若「腹が鳴っておるの」

    唯「ひゃー!ごめんなさい~、だってぇ私まだ一口も食べてない」

    若「ハッハッハ。唯の腹は、恋路にも容赦ないのう」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    腹が減っては、戦もラブラブもできぬ。

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days47~22日9時、エスコートします

    二人、羽根生えて飛んで行きそう。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    地元の電車はかなり混んでいた。扉付近で立つ二人。

    唯 心の声(近い~。壁ドンなんか比べものになんないっ)

    壁にもたれる唯の前で、被さるように肘を壁に当てて立つ若君。

    若君「唯」

    唯「なに?」

    唯 心(見上げるともっと近いー)

    若「キスしとうなる」

    唯「えっ?!だめですっ」

    若「駄目なのか?」

    唯「だめなものは、だめ。ここは公共の乗り物の中だから、我慢してっ」

    若「…」

    唯「そんな顔してもだめっ」

    唯 心(ひゃ~!今されたら、私は瞬殺だし、周りのチラチラ見てる女子達も秒殺だよ~)

    大きな駅に到着した。乗り換えで移動する。

    若「平和な世の筈であるが、戦並みに人が行き交うのう」

    唯「乗り換え駅だから特にね」

    若「ここを進むのか?」

    唯「うん、がんばって行こー」

    雑踏を進む。唯が人にぶつかりそうになると、若君が肩を抱き、さっと引き寄せる。

    唯 心(守られてるー、感動~)

    乗り換え完了。今度の電車は、二人掛けの席に座る事ができた。窓際の若君が外に目をやる。

    若「速い、速いのう。先程は唯を隅々まで眺めていたゆえ、外に気付かず」

    唯「やだぁ。そうだね、今までたーくんが乗った乗り物の中では一番速いね」

    若「まだ速い馬があるのか?」

    唯「うん。今から行く所にね。私達が普通に乗れる乗り物ではそれが一番速いから、たーくんに見せてあげようと思って。馬というよりは、鳥だけど」

    若「鳥?!空を人が舞うのか?!」

    唯「そうなの。でもごめんね、乗るんじゃなくて見るだけだけど。近くで見たらきっと迫力あるから、腰抜かさないでね」

    若「そうか。心して見よう。なんと申す鳥じゃ?」

    唯「飛行機だよ。今、空港って場所に向かってるの」

    窓の外が一変した。空港島へ伸びる海上の線路を走行中。窓の外は海。反対側の窓の外も海しか見えない。

    若「なんと!我らは浮かんでおるのか?!」

    唯「ホントだ~なんか、天国への道、って感じ?」

    若「唯と共になら、いずこでも天国じゃが」

    唯「え~嬉しい。すっかり殺し文句がうまくなっちゃって、この子は」

    若「…母上にそっくりじゃの」

    唯「え?そう?」

    改札を抜けると、そこは空港。

    若「またここも、戦並みな」

    唯「年末近いから、人は多いかな」

    人種も様々。

    若「悪丸に似た者がおるの」

    唯「そうだね。私、悪丸にどこの国から来たの?って聞いた事あるんだけど」

    若「それで?」

    唯「すっかり忘れちゃいました~」

    若「ハハッ、そうであるか」

    唯「たーくん、そこから外に出られるから。いよいよ飛行機とご対面だね」

    デッキに出た。何機も並んでいる。

    若「これはなんと巨大な。しかも何羽も」

    滑走路近くのため、かなりの迫力と音。

    若「このような鋼の塊が、飛ぶとな」

    唯「うん。ほら、今、飛び立つよ」

    耳をつんざく音と共に、滑空していく。

    若「このような物を考え、形にした者が幾人も居るのじゃな」

    唯「そうだね。尊みたいなのがいっぱいね」

    若「感謝せぬとな」

    唯「未来の事まで感謝なんて、たーくん素敵!」

    若「そうか?」

    唯「大好き」

    若「わしもじゃ」

    唯「あっ、ここも公共の場だから」

    若「…読まれたのう。では代わりに」

    唯をお姫様抱っこで抱き上げた。

    唯「きゃっ」

    若「姫、くるくるか?」

    唯「うん!くるくる~」

    360度回転。

    唯「きゃー、えっ二周!」

    若「ハハハ~」

    唯「あはは~」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    若君のそんな顔、それは唯にしか見せない顔。

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    返信先: 創作倶楽部
    10年ですか

    今回の地震は、先の震災を引き起こした地震の影響を受けて発生しているとの事。10年前のあの日、何をしていて何を考えていたかは、今でも鮮明に思い出されます。
    被害にあわれた地域の皆様に、早く平穏な日々が戻りますように。

    妖怪千年おばばさんへ

    お菓子タワーは子供の夢ですね。子供だけじゃないか?いくら好きなお菓子でも、いつまで経っても無くならないので、しばらく見たくなくなりそう。

    あまりにも、花男がわからないので、画像検索しました。なるほど、ピンクでした。若君似合いそうです。

    まゆちゃんは、クラスメート三人娘の、一番背の高い子ですね。やっぱり、地元のアイツ推しなんだ(^o^)

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    返信先: 創作倶楽部
    二人の平成Days46~22日7時30分、扉が開く

    遠足かも。どっちが引率かわからないけど。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    二人、着替えました。

    覚「なるほど、眼福はわかるな」

    尊「お姉ちゃん、若君を守るのを相当頑張んないと」

    唯「えー。ねぇ、私の服装にコメントは?」

    尊「ない。若君にはあるんじゃない?…あ、黙ってると思ったら、またときめいてるし」

    若君「…あ?ん、何か申したか?」

    尊「コメントは差し控えます」

    美香子「唯、髪はどうしたいの」

    唯「イヤリング着けるから、耳が出るようにして欲しいな」

    美「んー、じゃあ前髪は残して、横を編みこんであげよう」

    唯「やったぁ、ありがとう」

    美香子の手が、唯の髪を少しすくっては編み、すくっては編みして顔周りに三つ編みが出来上がっていく。

    唯「たーくん、そんなにじーっと見られると恥ずかしいよ」

    若「まさか、母上も術の使い手とは」

    美「あら~。なんか凄い人になった気分ね」

    お弁当、出来ました。

    覚「いつものリュックで持ってくのか?」

    唯「そのつもりだよ」

    覚「水筒もあるから、案外重いぞ」

    若「わしが持つので大丈夫です」

    美「じゃあ唯の鞄は?」

    唯「このリュック」

    いつものリュックに比べて、かなり小ぶり。

    美「まぁ、合格ね」

    唯「良かったぁ。しゃっ!」

    美「支度は完璧?ならちょっと待ってて」

    唯「ん?」

    芳江とエリが来た。

    芳江「んまぁ~、なーんてかわいらしいカップルなんでしょ!唯ちゃん、若君、よーく似合ってますよ」

    エリ「初々しいわね~。赤もとってもお顔に映えて綺麗。最後にこんな、天使みたいな姿が見られるなんて」

    美「お二人に、少し早く出勤していただいたのよ」

    唯「あっ、そうなんだ。ありがとう~」

    芳「私達は、お会いできるのが今日が最後だから」

    若「芳江さん、エリさん、今まで大変お世話になりました」

    エ「嬉しいわ~ホント、楽しませてもらいました。ありがとう。では、お元気で」

    芳「お達者でね」

    美「では、急いで駅まで送ってきます。さっ、出かけるわよ」

    唯「はーい。じゃあたーくん、参るぞ~」

    若「ハハハ、では、行って参ります」

    尊&覚&芳&エ「行ってらっしゃーい」

    車を見送った。

    尊「お父さん」

    覚「ん?」

    尊「若君、デレデレだったね」

    覚「おー、顔にメロメロって書いてあったぞ」

    尊「ははは。いい思い出になるといいね」

    覚「そうだな」

    駅に到着。

    美「二人きりなんだから、唯は若君を、若君は唯を守るのよ」

    唯「心得たっ」

    若「心得ました」

    美「二人ともいい笑顔ね。行ってらっしゃい」

    いよいよ自動改札を通ります。

    唯「あそこ今、入口がふさがってるじゃない。でね、カードをその光ってる所に当ててみて」

    いつものように、素直に言われた通りにする若君。ゲートが開いた。

    若「おおっ、動いた」

    唯「これで開くの。通って」

    若「急いでか?」

    唯「普通に歩けばいいよ」

    そろりそろりと通る。通過したらゲートが閉まった。

    若「おおっ」

    唯「そんな感じでーす」

    後ろから、唯も入ってきた。

    若「慣れておるのう」

    唯「慣れてはいないけど、学校の部活の大会とかしょっちゅう行ってた時に使ってたから。だから家にあるはずなんだけど、たぶんお母さんの事だから、買っちゃえ~って思ったんじゃないかな」

    ホームで電車を待っている。

    若「先程の話じゃが」

    唯「ん?改札?カード?」

    若「学校じゃ」

    唯「あ、そちらの話」

    若「…もう行かぬと決めたのじゃな」

    唯「バレてたかぁ」

    若「済まぬ、唯。わしの為に、様々な事を辞めたり、諦めたりさせておる」

    唯「いいの。だって、それは嫌だから行かない、って言ったら困るでしょ?」

    若「それは、身を裂かれる思いじゃ」

    唯「うん、だから気にしないでね」

    急に、抱き締められた。

    唯「えっ」

    若「わしが、唯を守る」

    唯「ありがとう。私も、たーくん守るからね」

    若「離さぬ」

    唯「うん。絶対そうしてね。たーくん」

    若「なんじゃ?」

    唯「ここでは…恥ずかしい」

    若「そうか」

    腕を緩めたところに、ちょうど電車が入ってきた。

    唯「じゃあ行こっ」

    出発します。

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    どこに向かっているかは、次回。

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    二人の平成Days45~22日土曜7時、ピッとね

    電車は初めて、でも最後なの。
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    今日は待ちに待ったクリスマスイブイブイブデート。朝ごはん食べてます。

    唯「お母さん、後で、髪結んで欲しい」

    美香子「あらそう、いいわよ」

    覚「駅には何時だ?」

    唯「8時に家出れればいいかな」

    覚「じゃあそろそろ作るか」

    唯「やったぁ、お弁当、お弁当~」

    若君「楽しそうじゃ」

    食卓も片付け終わりました。

    美「そろそろ着替えるわよね。二人に、渡す物があるの」

    唯「なに?」

    美「まずは唯に」

    袋が出てきた。

    唯「え?何だろ」

    タイツが複数。柄が入っている物が多い。

    唯「え!すごーい、かわいい~」

    美「ワンピースに合わせて穿いて欲しいな、って思って、買い揃えちゃった」

    唯「えーどうしよう~、たーくんどれがいい?」

    若「そうじゃな」

    唯「え」

    若「ん?」

    唯「選んでくれるの?」

    美「何よそれ。聞いたのは唯の方でしょう」

    尊「僕が進言した」

    美「あら、急に」

    若「尊に、わからぬのは致し方ないが、求めに出来るだけ応えるのも優しさとな」

    唯「えー、なんて嬉しいコトを~ありがとう!尊」

    尊「どういたしまして」

    唯「じゃあ、たーくんどれがいい?」

    若「これはいかがじゃ」

    唯「これ?」

    白地に、パステルカラーの水玉が散りばめられていて、少しラメが入っている。

    美「あら、かなりラブリーなのをチョイスね」

    唯「して、その心は?」

    若「夜降った雪が、朝日に照らされ、溶ける間際の輝きのようじゃ」

    美「まあ、なんて叙情的」

    若「雪だるま、の耳飾りに合わせての」

    唯「えー!すごい、たーくんセンスいい!」

    若「扇子?」

    唯「そう、扇子扇子」

    尊「通じてるのか?」

    美「ブーツがキャメル色だから、いい感じよ。でね、もう一つは二人に」

    色違いの定期入れが二つ。

    唯「え?何、定期?あー、ICカード?」

    美「そう。今日は電車も乗り継いだりするから、ピッって通れる方がいいでしょ。券売機で毎回買ってもいいだろうけど、若君も覚える事が少ない方が楽だしね」

    唯「そっか、ピッで通れるから」

    美「ただ買うだけでも良かったんだけど、記念になるかなって思って…カードをよく見てみて」

    唯「え?あー、名前が入ってる!って事は、たーくんのは?」

    若「どこじゃ?」

    唯「あ、これこれ。ハヤカワタダキヨ、って書いてあるよ」

    若「なんと」

    美「ごめんなさいね、若君。記名式を買う時は連絡先を登録しなきゃいけなかったんで、写真館の時と同じにしたの」

    若「これは…母上、ありがとうございます」

    唯「羽木が良かった?」

    若「いや。速川で嬉しい」

    若君が、カードの名前の部分を感慨深く指でなぞっている。

    美「じゃあ、そろそろ二人とも着替えてらっしゃい」

    若&唯「はいっ」

    美「ん~いい返事だこと」

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    このままだと、カードの名前がピッだと勘違いされそう。

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    二人の平成Days44~18日火曜17時、冬に遊ぶ

    クリスマスイブイブイブデートの前に、デート服を買った際に唯が話していた、イヤリングを買った時の様子をお送りします。
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    ヘアアクセサリーなどを売っている、ショップに到着。

    若君「おなごは、かんざしや櫛が好きじゃの」

    唯「え?誰かに贈ったりしたの?」

    若「してはおらぬ」

    唯「ホントかなぁ」

    若「してはおらぬし、今もわしが支払う訳ではないゆえ、贈った事にはならぬし」

    唯「いいの、たーくんが選んでくれた~ってのが嬉しいから」

    若「そうか。しかし、此処は眩い場所よのう」

    様々なアクセサリーが並んでいる。ライトが当たっているため、まぶしい位だ。壁に全面貼られた鏡に、光を集めた若君が映っている。

    唯 心の声(わぁ~綺麗。たーくんが)

    鏡の中の、若君に見とれる唯。

    唯 心(あ~周りが霞んで見える、綺麗過ぎる~。そんなたーくんは私のもの。私は、たーくんのもの。いや~ん、ぐふふ)

    若「唯?」

    鏡の向こうから、若君が声をかける。

    唯「あっ、なんでもないですぅ」

    しばらく店内を眺めていたが、あるイヤリングに目が止まった。

    唯「かーわいい!雪だるまみた~い」

    真珠を模した丸い玉が、上下重なりぶら下がって揺れる。上が小さめなので、確かにそう見える。

    唯「ねっ、雪だるまみたいでしょ?」

    聞かれた若君が首を傾げている。

    唯「え?何?」

    若「雪、だるまとはなんじゃ?雪はわかるが」

    唯「え~?!えっ、だるまがわからない?」

    若「わからぬ」

    唯「え~、歴史ありそうなのに。戦国時代にはなかったのかなあ」

    スマホで検索。

    唯「あ、なかったみたい。たーくん、ごめんね」

    若「それは良いが、そのように唯が喜ぶ、雪だるまとは何じゃ?」

    唯「あー、こんな感じ」

    画像を見せる。

    若「ほぉ。なるほど。雪でこのように形作るのじゃな」

    唯「うん!小さい頃、庭に雪が積もると、尊と一緒によく作ったんだよ。でも、どっちかというと、雪合戦に変わっちゃってたけど」

    若「合戦?幼子らがか?」

    唯「あっ、そういえば戦でした。雪を丸めて玉にして投げ合うから、痛くないよ。冷たいだけ」

    若「そうか。それは良い思い出じゃな。ならばそれにするが良い」

    唯「これでいい?待って、着けてみるね」

    頬にかかる髪を耳にかけ、着けて顔を揺らすと一緒にゆらゆらと。

    若「かわいいよ、唯」

    唯「気に入ってくれた?」

    若「あぁ。唯は何をしていてもかわいいがの」

    唯「やだぁ~どこでそんな返し方覚えたの?でも超嬉しい!」

    買い物終了。帰宅途中。

    唯「あの、これから向かう緑合も、雪がよく降るかなあ」

    若「そうじゃな…訪れた事はないが、山合いであったと思う」

    唯「そっか。じゃあ雪が積もったら、雪だるま作ってあげるね」

    若「共に作ろうではないか」

    唯「わぁ、楽しみ!」

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    二人の熱で、即解けるって。

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