• このトピックには1,219件の返信、16人の参加者があり、最後に夕月かかりて(愛知)により12時間、 58分前に更新されました。
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    感想:12月31日~1月13日

    2週間でこんなに❗別に書きましたが、梅とパインさん【小笑いタイム】ぷくぷくさん【想い】もあります。
    追い付きました。(;゚;Д;゚;; )ハアハア‥息切れ
    遅れて来た方に案内にもなればと、極力まとめて書かせて頂きます。

    妖怪千年おばばさん

    【竜の泪】【兎角この世は】【兎角この世は その2】
    No.432_唯パパ覚の専門は宇宙工学!考えも及ばなかったですが、方向性はやや尊に引き継がれてますね。
    スペースシャトル チャレンジャー号の悲劇を思い出しました。合掌。
    ☆カマアイナさんは当日フロリダに滞在中で、ハワイの空港には、オニヅカ氏に敬意を表し記念館が長くあったお話、心に響きました。
    No.441_鐘ケ江家の二の姫は小平太を密かに想っていた!
    嫁ぐ前に知らされても困っちゃう。
    いや、にぶい誰かさんのせいで どうにもならなかったので、せめて最後にという事か。小平太の絶叫と鐘の音がダブって聞こえました。(^^)v
    No.459_母美香子の薦めで唯は“合気道”を習得中!
    元々 体を動かす事は得意で上達は早そう。
    夜中に寝とぼけた若君が、唯の部屋に間違えて侵入したもんで… 抱腹絶倒の展開に ?。
    カラスも笑っておりましたかぁ。アシガールでは烏, 蛙, 馬も時に笑いますね。

    夕月かかりてさん

    【平成Days番号未定】【平成Days 25】~【平成Days 30】
    No.433_12/23の満月で戦国へ帰った2人から元旦に年賀状が届いた!これからの平成Daysで書くそうで待ってます。
    No.437_露天風呂は目をつぶって通ります?。
    家族に何を騒いでいたのか聞かれた2人は『興が乗ったまでのこと』?アハハ‥
    No.443_市場で魚介類を買い込み、お父さんは残り少ない平成Daysに、料理の腕を振るいたかったのね。娘を嫁がせる(た?)父の困惑振りが、可笑しく切なく ジ~ンときました。
    No.449_ホームセンターへ。パーティーグッズやらDIYコーナーやら。若君が母娘2人の時間を作ろうと気遣うのが麗しく、両親が若君を誉めるのが麗しく、戦国の若君らしく家長のお父さんに従うのが麗しく…。
    No.456_私はゲームに疎くジェンガを知らず調べたら動画まであって助かりました。
    ジェンガを手造りし、パーツに皆の名を書く。面白い良いアイデア、若君のアイデアですが、つまりは夕月さんのアイデア!
    No.461_残りのパーツにはこれから生まれてくる子や孫の名も書く❗
    ファミリーツリーみたいな壮大なジェンガになりますね。
    勘兵衛さんや阿湖姫や孫四郎… 戦国の皆の名もあって、速川家にも1セット置いてあげたくなります。あ、プリントして名前は残るのかな?
    No.467_尊は若君の師匠!そうですね、若君は戦国では知り得なかった多くの事を尊から学んだでしょう。そして尊も若君から学んだ事があったでしょうね。2人が敬い合い 仲の良い兄弟っぷりが麗しいです。ここでもジ~ン。

    ぷくぷくさん

    【つのる想い】【想う心】
    No.465_若君が嘘をつくまでして、唯を現代に帰した理由は理解できます(7-8話)。
    ドラマでは唯が直ぐ復活、私は心が付いて行けませんでした。
    復活までの隙間を埋めて下さってありがとうございました。
    若君には本当の事を唯に話して唯と話し合ってほしかったけれど、それではアシガールじゃなくなります。f(^^;
    No.469_兄上は 如古坊と母上の板挟み(9話)。
    兄上にとって2人は とても大切な人。如古坊を去らせ、自分は母と運命を共にするしかなかったですね。辛い選択 (;ω;)。
    どう如古坊を突き放したか、ぷくぷくさんの物語では、兄上は刃を向けることは出来ず、如古坊は察して離れて行ったように思えます。

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    【想う心】

    久が如古坊に頭を下げ礼を言っているが、言葉とは裏腹にその表情は鬼の形相。しかも囲炉裏の炎で恐ろしさが一段と増している。成之は母の顔を見て驚いた。

    「では、林に行って参ります」

    如古坊は自分の様な者に頭を下げてくれた久への礼に、時季ではないが甘い汁を飲ませようとツルを集めに出掛けて行った。

    「わたくしは、少し休みます」
    「はい」

    寝床へ行く久の後姿に成之は一抹の不安を覚えた。

    (もしや、母上は如古坊を手に掛けるのではなかろうか。その様な事は決してさせてはならぬ。手立ては・・・)

    成之は考えて答えを出し、如古坊の元へ。
    幼き頃よりずっと一緒に居た友と別れなければならない。だが、そうせねば母も如古坊も助ける事は出来ない。辛い気持ちを抑え、ツルを切っている如古坊の側に行った。久の為に嬉しそうにツルを切る如古坊の代わりに枝を切る成之の心など気付かない如古坊は成之に背を向け、籠に枝を入れている。

    「もっと、集めようかの。成之」

    振り向くと自分の方に刀を構える成之の姿。

    「なっ、成之?」

    成之は驚く如古坊の足元の地面に突き刺した。

    「なっ何をするんだ・・・どっどうした、成之?」

    成之は抜くともう一度、地面に刺した。

    「一体どうしたんだ?わしが何をしたのだ?」
    「死にとう無ければ、この場から立ち去れ!」
    「えっ・・・なっ・・・死に?」
    「忠清の命を狙った者の一人だとお前の名が時期に殿の耳にもの」
    「えっ、だが」
    「私の伴であろうが、私は知らぬ事と申せば済むであろう」
    「そんな」

    如古坊に話した事は嘘だった。

    「お前は羽木の領内にはもう戻れぬのだ・・・私達の前から消えろ!」
    「成之」
    「なんだ!」
    「わしは、お前と共にここまで来た。お前を信じて」
    「それがどうしたと」
    「どうした・・・ふっ、わしは何をしておったのかのぉ。お前の頼みだと忠清の命も、戦を仕掛ける事も、お前の望みを叶えるためにわしは・・・だが、わしは、これまでもこれから先もお前を裏切る気持ちを持つことは無かろう。幼き頃、わしの手を取り、笑い合った友であるからの」
    (如古坊・・・私もだ)

    成之の想いは見えないが如古坊は立ち上がり、

    「分かった、お前がそうしろと申すなら、わしはお前たちの前から消える」

    『消える』の意味が成之には不吉な言葉に聞こえ咄嗟に、

    「お前は生きろ!」
    「えっ?・・・成之」
    「何でもない・・・お前は」

    その後の言葉が出ずにいると、

    「わかった。お前が望むなら、お前に殺されかけた事をずっと覚えてて生きていく・・・お前も達者でな・・・あっ、一つ頼みがある」
    「なんだ」
    「これでお袋様に甘い汁を飲ませてやってくれ」
    「・・・あぁ」
    「世話になったの」

    如古坊は成之に頭を下げ、その場から走り去った。成之はその後ろ姿に深々と頭を下げた。

    (如古坊・・・許せ)

    地面に刺さっていた刀を抜き庵に戻った。久に話したところで信用しないかと考えた成之は様子を見て、久が起きてきたのを確かめ、桶で刀に付いた土を落としているがまるで血を洗い流している様に見せた。久は成之の言葉と洗う姿を見て、

    「ようやりました」

    成之は母のその言葉で、自分の行動は間違いでは無かったと。

    「己が決めた事にございます」

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    ぷくぷく行きまーす

    アムロ行きまーす風に(^O^)/
    夕月かかりてさんも、沢山のストーリの作があったのですね(*^_^*)
    どんどん図に乗っていきます(^_^)

    では、遠慮なくまた一つ(^_^;)
    第9回 囲炉裏端で久が成之の事を考えてくれていると如古坊に礼を言った辺りから、成之が刀を洗っている場面の間を(^_^;)

    その後はしばし、【宗熊の決意】第二章を進めていこうかと思います(^_^)
    途中まで書いていますが、やっぱり長くなってしまいますね(^_^;)

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    二人の平成Days30~17日21時、語り合おう

    兄と弟、膝を突き合わせます。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    8時59分、二階から降りてきた若君は、両親に会釈をし、実験室へ向かった。

    若君「尊、入って良いか?」

    尊「どうぞ」

    尊が何かを組み立てている。

    若「手伝おう」

    尊「ありがとう、若君。じゃあここ押さえててください」

    若「済まぬのう」

    尊「え?」

    若「我らに関わる物ではないか?」

    尊「うん、まぁそうですね。買い物の時点でバレバレですよね」

    若「先程まで手伝うてくれていたし、残された時間があまりないが」

    尊「大丈夫ですよ。複雑じゃないので」

    若「そうか」

    尊「壊れてもすぐに直してあげられないから、簡単な作りにするので」

    若「…尊が、永禄に居れば楽しいじゃろうな」

    尊「僕はダメダメー。お姉ちゃんほどタフじゃないから」

    若「わしの良き相談相手になって欲しいが」

    尊「えー嬉しいですけど、僕は色々調べられる環境に居ないと無理です。自分発信ができないから」

    若「尊の賢さは、強さに繋がる」

    尊「あー、戦術を考えるくらいなら役に立つのかな?」

    若「何より」

    尊「ん?」

    若「暴れる唯を止めてくれるからの」

    尊「あはは。忠清兄さん」

    若「なんじゃ?」

    尊「僕、生まれ変わっても、忠清兄さんの弟がいいな」

    若「生まれ変わって、か。未来の尊の傍におるんじゃな」

    尊「あ、そうとも言えるかも」

    若「唯も共に、が条件じゃが」

    尊「それはもちろん」

    若「未来の尊が、我らをどう助けてくれるか、傍で見られるなら楽しみじゃの」

    尊「はぁ~、なんか兄さんの考え方って、一味違うというか、現代人より現代的、いや未来的というかすごいなぁ」

    扉を叩く音。

    美香子「尊~、若君~、お風呂入んなさーい」

    尊「はーい。行きます?」

    若「二人で入るか」

    尊「あ、嬉しい。行きましょう」

    リビングから入ると、ちょうど唯が風呂上がりで、階段を上がっていく。

    尊「あ、お姉ちゃん」

    尊の声に振り向いたが、若君に向かって、あっかんべーをして、そのまま上がっていった。

    尊「ケンカでもしたんですか?」

    若「いや。思うところがあるのじゃろう」

    尊「…兄さん、実験室来る前、ここに居ました?」

    若「いや、唯の部屋じゃ」

    尊「なるほど」

    若「ん?」

    尊「エロ侍だ」

    若「…先程も聞いたな。速川軍の暗号か?」

    お風呂の洗い場。

    尊「傷、ほとんどわからないなぁ。あの時は、どうなっちゃうのかと思ったけど」

    若「よう、わしの世話をしてくれた」

    尊「いえいえ。母が医師で良かったと、あんなに思った事はなかったです」

    若「わしは、導かれた」

    尊「運命、さだめ、ですか」

    若「誰に礼を申すと良いかの」

    尊「お姉ちゃん?」

    若「父上母上が出逢っておらねばそれもない。父上母上が生まれておらねばそれもない。結果、ここまで繋がる全ての者に感謝じゃな」

    尊「…下手な先生の訓話よりためになる」

    若「ん?師匠か?わしの師匠は尊じゃ。様々な言葉を教えてくれた」

    尊「えー、大した事はしてない」

    若「師匠、お背中流します」

    尊「えっ、えー。それでは、忠清に頼もうか。わっごめんなさい」

    若「かわいいのう」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    二人とも、かわいいよ。

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    乗っちゃって~

    ぷくぷくさんへ

    隙間があいたままだと、今の時期寒いです。アシガールの隙間があいたままだと、心が寒いです。どんどん、図にも波にも乗ってくださいませ。

    カマアイナさんへ

    唯のカタカナ語は、永禄でも登場しています。パパとか、パワハラとか、勿論デートも。隠語にするつもりがなくても、ついしゃべっちゃうと思います。的確な日本語に変換してくれる尊が居ないのが、痛い所でしょうがね。

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    【つのる想い】

    若君に見送られ平成に戻ってきた唯は、すでに戦国に戻る気満々だったが尊の言葉に、二度と戦国に行く事が出来ない現実を知らされ、驚きと落胆。フラフラと立上り実験室を出て行く唯。お父さんが声を掛けても振り向きもせず自分の部屋へ。

    「そっとしておきましょ」
    「そうだな」
    「お姉ちゃん、大丈夫かな?」
    「明日になればいつものあの子に戻るわよ」

    ダイニングに戻り、天井を見上げ三人一緒に溜め息。

    「若君は、唯に本当の事を話していないようだな」
    「そうみたいね。でも、若君も真実は言えなかったのよ」
    「そうだな。あいつは本当のこと知ったら、戻るとは言わなかっただろうからな」
    「そうね。若君にも十二分に分かっていたから、本当の事を言わなかったのよね」
    「少しだけだったけど、僕にも若君は優しい人だって分かったもん」
    「そうだな。若君は本当に優しかったな」

    唯は電気も点けず、月明かりだけの薄暗い部屋で座りもせず呆然と立ちすくんでいた。ショックのあまりに思考が停止したように涙も出ない。本人もどれだけの時間が経ったのか分からないが、我に返り着物をハンガーに掛け、着替えてベッドに横になった。だが眠れない。気持ちが戻ったように涙が溢れてきた。ティシュー箱を抱える様に何枚も涙や鼻水を拭いて山の様になっていた。
    翌朝、お母さんがノックしてドアを開けると、ベッドに寄りかかる様に膝を抱え座って居る。テーブルにはティシューの山。降りてこない事で想像はついていたがこの状態までとは思っていなかった。

    「学校には欠席の連絡しておくから」
    「うん」

    ベッドの上に紙。

    「それは?」
    「若君から」

    お母さんはその手紙を手に取り、

    「唯、読んだの?」
    「ううん・・・読めなくて」

    涙が溢れてくる唯。

    「私が読もうか?大方読めると思うから」
    「えっ?」
    「忘れたの、お母さん、書道の段持ちよ」
    「じゃっ、じゃぁ、読んで」
    「今は駄目よ、午前の診察が終わったらでね。お父さんがお風呂とご飯の用意をしてくれているから、お風呂に入って、ご飯食べて、少し眠りなさい。寝ていないんでしょ」
    「でも」
    「起してあげるから」

    お母さんはティシューをゴミ箱に捨てて部屋を出て行った。唯は言われた通りにしたが、料理に少し箸を付けただけ。

    「ごちそうさま」
    「もう良いのか?」
    「うん・・・ごめんね」

    部屋へ向かうと、窓際のラックの肉食系Tシャツが目に留まった。

    「私が尊にあげたTシャツ、着てって言っても着てくれなかったのに、でも着てくれたんだ」
    「違うよ、それは、若君が此処に居る間、着ていたんだよ」
    「えっ!若君が」

    声のボリュームはいつもの唯だったので、これで元気になるかと思ったが、Tシャツをハンガーから外しジッと見ていてまた元気のない唯に戻ってしまった。お父さんが元気付けようと、

    「若君、結構気に入って、戦国に戻る時も、初めは着て帰りたいって言ってたんだけどな、でも、無地ならまだしも、そのふてぶてしい猫のイラストは戦国の人も驚くから止めた方がって。趣味が悪いと言われても若君が可哀想だからね・・・ハハハ」

    普段の唯なら『趣味が悪いなんて失礼でしょ!』と言うだろうがこの時は違った。

    「そうだね。若君が可哀想だもんね」
    「唯」

    唯はTシャツを抱きしめる様にして部屋に。そして袖を通した。洗濯していても若君の温もりを感じて、抱き締めてもらっている様な気持ちに。午前の診察が終わり、部屋に来ると、服は違うが朝と同じ様に膝を抱え座って居た。

    「眠れなかった?」
    「うん」

    お母さんは溜まっているティシューの山を片付けてから手紙を読んだ。涙を流しながら聞いていた。お母さんが読んでいるのだが唯の頭の中で聞こえる声は若君に変換されていた。読み終わりお母さんは唯の手を取り、

    「450年も離れているから今の唯の姿は若君には見えないけど、こうしている唯を知ったら若君はどう思うかな」
    「ん~」
    「悲しむでしょ。若君は唯の事を想って、そして私たち家族の事を考えて、唯に本当の事を言わずに送り出してくれたのよね」
    「ん~」
    「お父さんも言ってたけど、もし本当の事を知ったら唯は戻らないだろうって」
    「えっ!」
    「どうしたの?」
    「あの時、若君が言ったの、使えるのがもし一度だけだったらどうするって。もしかして、私がどう返事をするのか知りたかったのかな?」
    「ん~、そういう事ではないとは思うけど。若君は心の底では一緒に居たいって思っていたんじゃないかな。でも、私達に約束したから唯を戻すって。で、唯は何て言ったの?」
    「此処に残るって」
    「そう。若君は?」
    「何て言って良いか分からないけど、ほっとしてたような、喜んでいる様にも見えたな」
    「そう。お母さんが思うに、残るって言ってくれたことが嬉しかったんじゃないかな。で、きっと若君はその気持ちだけで充分で、だから必ず帰そうと思ったんじゃないかな」
    「だったら、嘘つかなくてもって思うけど」
    「それは若君の優しさだと思うわよ」
    「分からないでもないけど」
    「それに、唯の事を真剣に想っていなかったら、手紙を渡さなかったんじゃないの」
    「えっ?」
    「唯が若君に会う事は出来ないのよ。嘘をついた事だって唯は文句を言う事も出来ないでしょ」
    「うん」
    「黙っていればそれで済む事でしょ。それをこうして嘘を唯に謝る手紙をよこしてくれたって事は、もし、唯が怒って自分を許してくれないとしても構わないって」
    「構わない?」
    「唯はこっちの世界で、別の恋をして幸せになって欲しいから、自分が悪者を買って出たんじゃないかな。何も無かったら、若君の気持ちも分からず、ずっと若君を忘れられないだろうって考えたのかもね。若君は幸せになってくれることを望んでいるんだから」
    「うん」
    「でも、唯が忘れられないことも分かってる、いい思い出としてって事でね。私は、忘れるもよし心に残すもよし・・・ちょっと無責任かな?」
    「ううん」

    唯の頭を優しく撫で

    「夕飯はちゃんと食べてね」
    「うん・・・お母さんありがとう」

    お母さんが出て行った後、自分でもどうしたらいいのか分からず頭を抱えた。ふと目線の先に漫画本が。若君が読んでいたであろう漫画本を手にして、

    「若君はどう思ったのかなぁ。もぉ、感想も聞けないんだぁ・・・は~・・・若君様ぁ」

    力なく言葉にし、また、どっと落ち込んでしまった。いつの間にか夕方になっていた。殆ど食べていないにも関わらず腹が空かない。

    「身体はあっちの世界に順応してるんだなぁ・・・はぁ」

    そう考えて、ベッドに沈むほどの腑抜け状態の所に尊が入って来た。つい尊に愚痴った。呆れる尊。唯は尊の顔を見て思い出した『燃料が無い』だけならばと[燃料が有れば]と。目の前にタイムマシーンが現れた如くに元気になる唯。唯の催促に学校から戻ると毎日実験室へ。唯はいつもの様に学校へ行き授業中は居眠り、部活もこなし元気に過ごしていた。だが、満月の夜は電池切れの様に月を見上げて溜め息。その様子を毎回見ていた尊は強固に出て爆発。その頃、唯は木村先生が郷土史家の先生の所へ行く事を知り公園で戻るのを待って、松丸からのあの手紙を知り、婚儀の事も知った。

    「再会だ」

    その言葉に背中を押された。
    唯の自転車は、あとで家に連絡する事にして一先ず木村先生が学校の駐輪場に。

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    自画自賛第二弾

    てんころりんさん、カマアイナさん、夕月かかりてさん、妖怪千年おばばさん、皆様
    痛み入りまするぅ(*^_^*)
    NHK掲示板の時は隙間ストーリーが多かったです(^_^)
    場面場面の間を考えるのが楽しくて色々書きました。このような形でまた表現ができる事を覚えた私は、まだ幾つかありますので同じ様な形で此処に登場させて頂きます。昔はバスに乗っていましたが今は図に乗っています(^_^;)
    宗熊の決意第二弾は、どうすればみんなが幸せになれるのか考えて、スローペースになっています(^_^;)
    自画自賛の第二弾として、第8回ラストから第9回の隙間(唯が平成に戻って来てから城跡で木村先生に会った場面)の事を。
    因みに、〔ティッシュ〕と言っていますが、正式には〔ティシュー〕なのだと、50過ぎて知りました(^_^;)

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    夕月かかりてさん

    「父上、母上、9時には下りて参ります」って、ひょっとして今晩はもう満月ですか?
    まだですよね。現代を楽しむ時間がなさすぎー。

    ジェンガ、プレイバック、プリント、アイドル、スルー、ラブラブ、ラッキー、
    それに外来語ではないけど’ぷにぷに’ 私達の日本語からカタカナをご法度にされたら
    立ち往生してしまいます。永禄に戻ったら二人だけの隠語で、周りを煙に巻くことができるかな。

    若君の落ち着きぶりと唯の平成のJKぶりが、このおばばには時折カップルとして?と思えることも
    あるのですが、私のお脳が固すぎるのでしょう。
    唯のひたむきな思い入れと笑いをばらまく楽天的な天性は、どの時代にも通用するんでしょうね。
    どこへ行っても、どの時代でも、「唯は心配ない。」でありますように。

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    妖怪千年おばばさん

    くすっどころか、お腹がよじれてしまいました。
    毎回今までとは全然違う切り口で、フィクションの極意って
    この自由奔放さにあるんだろうなと、ただただ感心。

    先日まで見ていた「危険なヴィーナス」のシリーズで
    獣医の手嶋伯郎がよく妄想するシーンが出たのですが、
    今回の唯の強烈なアタック、将来のドラマ続編での若君が回想するシーンとして、
    時折ちらっと挿入されたら、ニタッときますね。。
    真っ白い煙の中、若君にパンチを喰らわせようとしたあのシーンを思い出します。

    それにしても若君の「寝台」、なんだか診察室の狭くて硬いベッドを
    想像してしまいます。日本語はご飯とライスでは茶碗とお皿を思い浮かべちゃうし、
    敷布は布団、シーツはベッドって相場が決まってるようだし、
    カタカナが氾濫する現代日本語って、器用に和洋折衷の生活様式を取り入れた結果ですね。

    さすが聡明な領主と感心するのが、救急手当て、薬や、保存食まで領民のためになりそうな
    ことを、せっせと習得する姿です。満月の出立では、忘れずに永禄にはない野菜、薬草、花の種を
    たっぷり袂に忍ばせて欲しいですね。本邦初X、Y、Zだらけで藩(?)も思いがけず潤うかもしれません。

    すみません、感想のはずが、たわいない妄想だらけになってしまいました。

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    二人の平成Days29~17日20時、妬いちゃう!

    聞かずに済むならって事もあるだろうに。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    美香子「それで、早々に三人で籠ってるのね」

    覚「悪いな、団欒を切り上げて」

    美「それはいいけど。若君って想像力豊かよね。でも、尊は良かったのかしら?何か作ろうとしてたみたいだけど」

    覚「自分のは、徹夜してでも完成させるだろ。二人に何か持たせる気なら特に。いいんじゃないか?多少無理しても、渡す頃には冬休みだ。いくらでも寝ていられる」

    美「私達の名前も入るかしら?」

    覚「真っ先に書いてたぞ。字もな、そこは読めた。今は実験室にあるけど…若君の達筆、取っておく?」

    美「うん。泣けるわね…」

    実験室。

    尊「お姉ちゃん、思い出プレイバックは後にしてよ。早く書いて」

    唯「ごめーん、どうしても気持ちが入るから」

    若君「書き忘れはないかの」

    唯「いいんじゃないかなぁ。ねぇ、ずいぶん余るけど、どうするの?」

    若「全て持って行く」

    唯「書いてないのも?予備?」

    若「子や孫の分じゃ」

    唯「え」

    尊「さすが若君、話がデカい…もとい、大きいよ」

    唯「惚れ直しちゃう~」

    若「そうか?それは嬉しい」

    尊「じゃあ、プリントするから、並べていって」

    完成しました。お名前一覧は、作者の体力気力耐久力を消耗し過ぎますので、涙をのんで割愛します。

    唯「見て見て~!」

    若「いかがであろうか」

    美「すごーい。尊はまだ何かやってるの?」

    唯「さあ。いちゃついてたら追い出された」

    覚「そりゃそうだ」

    唯「8時15分かー。今日はジェンガを眺めておしまいかな」

    美「戦国時代って感じね~、名前が。この勘兵衛さんとか」

    唯「勘兵衛さんは、命の恩人」

    若「え?そうなのか?」

    唯「おふくろさまの息子と間違えてくれたから、斬り捨てられずにすんだ」

    覚「さりげなく恐ろしい話してるな」

    唯「あ、孫四郎~!かぁわいいんだぁ、ぷにぷにしてて」

    若「ぷにぷに?うん、その言い方は、わからなくもない」

    唯「あ、阿湖姫」

    美「若君の許嫁だった?」

    唯「うん。元気かなー。かわいくて、現代に居たらアイドルになれるよ」

    若「アイドル?」

    唯「そこはスルーして欲しかったけど。人気者になれるって事。たーくんも、一緒の時楽しそうだったし…ん、なんか無性に怒れてきたっ」

    美「なんで?」

    唯「たーくんを半年ぶりに見た時、阿湖姫とすっげぇ楽しそうで、超ショックだった」

    若「何を見たのじゃ」

    唯「たーくんは笛吹いて、阿湖姫はカエル捕まえてた」

    美「聞いただけでは、全然ラブラブの場面じゃないわね」

    若「あの頃は」

    唯「ん?」

    若「唯に二度と逢えぬと思うていたし、羽木の為の婚儀であったし」

    覚「政略結婚か、時代だな」

    若「こういうものだ、と思うておったので」

    覚「そうか。なんていうか、諦め続ける人生だったんだな」

    唯「珍しく、深い事言ってる。でも、阿湖姫かわいくてラッキー!と思ったでしょっ」

    若「何を怒っておる」

    美「若君、嫉妬よ嫉妬。唯は居なかったんだからしょうがないでしょ」

    唯「だって~」

    若「案ずるような事は何もない。今のようにずっと共に居る訳ではないし。嫉妬か。かわいいのう」

    唯「ホントかな~?」

    若「欲しゅうなる」

    唯「…は?!何言ってんの?!」

    若「まだ時間は充分」

    唯「えぇっ?ちょっとー!おかしいでしょ!親の前でありえないし!」

    両親をおそるおそる見る。すると、二人が笑顔でバイバイ、と手を振っている。

    唯「えー!!」

    若「父上、母上、9時には下りて参ります」

    唯「うぅっ、とうとうその姿を現しよったな!このエロ侍め!まぁ、恥ずかしいような嬉しいような?あれぇ~」

    若君は、唯をひょいと抱えて、二階へ上がっていった。

    覚「なんというか、ほほえましいな」

    美「うん、かわいらしい。でも、若君も意外と、隅に置けないわね~」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯がそう言うんだからそうなんでしょ。

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    痛そう…

    妖怪千年おばばさんの新作、笑いました。

    だめだよ若君~、唯はそもそも戦国でだいぶ鍛えられてて、そこらの女子よりかは腕力がついているのに、また鍛えてるんだから逃げられないよ。あーあ、烏にも笑われちゃって。

    腕に跡が残って、結局バレないか心配です。

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    返信
    兎角この世は その2 ~満月はイブの前 こぼれ話 忠清編~

    はじめに
     この物語は、以前、投稿した
     “満月はイブの前”の番外編
     として書きました。
     アシガールSPを背景にして
     いますが、すべて妄想です。
     閨に悩む、ちょっと笑える若君を
     書いてみました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~

    静かな住宅街の中を、
    忠清と唯は歩いていた。
    毎朝恒例の、素振りを
    忠清が終えた後、
    唯が散歩に誘ったのだ。

    考え事でもしているのか、
    忠清は腕組みをしたまま、
    唯の少し前を歩いている。
    人通りはほとんどない。
    唯は、手を繋ぎたくて、
    早足で近づく。
    すると、忠清は
    何故か、足を速めて先に行く。

      “え?”

    唯は、もっと早く、足を動かす。
    すると、忠清は、また先に行く。

     “はあ?”

    二人で競歩状態になっている。
    距離は全く縮まらない。

    唯は、走った。
    すると、若君も走る。
    さっきより、むしろ、
    二人の距離が延びた。

     “な、何?”

    唯が思わず大きな声を上げる。

      「待って~!
       待ってください~!」

     “ん?このシチュエーション、
    どこかで、前にもあった気が?”

    初めて会ったあの時と同じく、
    朝御飯前で腹ペコだけど、
    幸い、今はスニーカーだ。

    唯は忠清に、何故先に行くのか
    訳を聞こうと、マジでダッシュした。
    やっと忠清に追いつき、
    さらに追い抜く。

    負けず嫌いな若君の事だ。
    絶対、追いかけて来るに違いない。

    ところが、忠清は、急に足を止め、
    走り抜ける唯を見送った。
    追って来ない事に、唯が
    気付いたのは、かなり先まで
    走ってからだ。
    後ろを振り返ると、忠清が、
    唯に向かって手を上げた。

    「所用を思い出した。
     先に戻る故、唯はゆるりと
     散歩を楽しんで来ると良い。」

    そう言い残し、忠清は唯に背を向け、
    一人で家に向かって走って行く。

     “んもう、いったい何なのよ!”

    唯は、その場で右足を強く
    踏み鳴らして叫んだ。

     「わ・か・ぎ・み・様~~~!!!」

    ・・・・・・・・

    唯を戦国に伴いたいと、
    唯の両親と尊に申し入れ、
    許しを得た翌日、
    美香子が、唯に向かって言った。

     「ねえ、唯。
      今までは何とかなってたかも
      しれないけど、
      戦国で、ただ、足が速いって
      言うだけでは、
      いけないと思うの。
      しかも若君の正室ともなれば、
      なおさら。
      でね。
      お父さんとも話したんだけど、
      こちらにいる間に、唯も何か、
      身につけた方が良くない?」

     「何かって、何?」

      「お母さんの知り合いに、
       武道家がいてね。
       まあ、昔の患者さん
       なんだけど。
       さっき、問い合わせてみたの。
       そしたらね。
       喜んで指導して下さるって。
       短期集中で。」

       「ぶ、武道?
        でも・・・」

    唯は思う。

    “何とか、期末試験も終えて、
    やっと、若君との時間をたっぷり
    楽しめると思っていたのに、
    いまさら、習い事とか考えられない。
    しかも、武道って。“

    それを聞いていた若君が
    身を乗り出す。

    「母上、それは、剣術であろうか?
     もしや、弓術?」

      「いいえ、合気道よ。」

    「合気道?
     そ、それはどのような?」

     「そうか!
      戦国にはまだなかったんだ。
      うーーーん。
      柔道はあったのかな?」

    「柔道?
     父上、それはもしや、
     柔術の事であろうか?
     槍や剣を失のうた時の為に、
     組手であれば、
     武士は皆、励むが。」

       「柔道から派生したそうよ。
        もっとさかのぼれば、
        組み手になるのかも。
        違う所はね。
        合気道は、自分からは
        攻撃しないんですって。
        稽古も型が基本でね。
        護身術に近いかな。」

    「それは良いの。
     備えになろう。
     唯、しかと身につけて、
     奥の者たちにも伝授すると良い。
     励め。」

       「えーーーー?
        でも、まだ、若君と
        行きたい所が沢山あるのに、
        稽古で時間をとられるのは
        ちょっと。。。」

     「唯が励むと言うなら、
      永禄に戻る前に、
      ラーメンデートを
      致しても良いのだが?」

       「それならやります!
        明日から行きます。
        なんなら、今からでも!」

         ・・・・・・・・・

    そうして、五日ほどが過ぎた。
    夜空の月が段々と丸くなって行く。
    それを見上げるにつけ、
    忠清自身も、もっと励まねばと思う。
    ここのところ、忠清は、
    尊と一緒にレンタル店を回り、
    歴史ドラマのDVDを借りるのが
    日課になっていた。
    戦記物については、
    アニメや洋画も見た。
    美濃の斉藤や、尾張の織田が使う
    長槍によく似たものを
    スペインの歩兵が
    使うのを見て驚き、
    ローマ兵が、戦車を馬にひかせて
    戦うのを見ては、
    あれを作れぬものかと言って、
    尊を困らせたりした。

    覚からは、保存食の作り方を習い、
    美香子からは、
    病気やけがの手当の仕方や、
    薬についての指導を受ける。

    そんなある夜。
    夜中に喉が渇いて目が覚めた忠清は、
    水を飲みに階下の台所に下りた。
    冷たい水を一口飲んで、
    ふうっと深いため息をつき、
    また二階へ。
    色々な事を一気に詰め込んだので、
    頭が朦朧としている。
    忠清は部屋の扉を開け、
    布団に入ろうとした。

    「ん?」

    敷いてあるはずの夜具が無い。
    うっすらと差し込んでくる
    月の明かりに、
    ようやく目が慣れた時、
    忠清は、思わず、
    何度も目を瞬いた。

    「唯?」

    “何故、わしの閨に唯が?
    もしや、忍んで来たのか?
    なんと、大胆な・・・“

    その時、唯が寝返りを打ち、
    掛けていた布団が落ちた。

    “んん?何故、寝台が?”

    忠清は、今回、客間の和室を
    寝室にしている。
    そこでやっと、忠清は気づいた。

    “マジ、ヤバイ!・・・とは、
     このような折に
     使うのであろうか?”

    ヤバイ時でも、そこは若君。
    驚き方もおっとりしている。

    以前、矢傷を癒していた頃には、
    唯の部屋で過ごしていたので
    うっかり間違えて
    入ってしまったのだ。

    午後八時以降、
    唯と過ごすは御法度。

    “必ずお守り申す。”と父上と母上に
     約束したのに、何という事だ!

    慌てて戻ろうとしたが、ずり落ちた
    唯の夜具が気になった。
    それをそっとかけ直す。

    唯は、寝息を立てて熟睡している。
    一目、寝顔を見ようと、
    唯の前髪に触れた。
    すると、唯の手が、
    忠清の手首をつかみ、
    思いきりひねり上げた。
    いきなり関節技をきめられ、
    忠清は、悲鳴を上げそうになる。
    奥歯を噛みしめて、
    必死でこらえた。

    「唯、わしじゃ。
     起きておるのか?」

    痛みをこらえて囁くが、
    返事がない。
    合気道の稽古の疲れで、
    爆睡しているのだ。

    “これも、稽古の成果かと思えば、
    喜ばねばならぬが、
    まさか、己が技を
    決められようとは!“

    このまま、朝になり、
    唯の部屋に忍び込んだと
    皆に思われるのは、
    まこと、具合が悪い。

    何とか、力ずくで、
    唯の腕から逃れようとするが、
    忠清があがけばあがくほど、
    腕が締め付けられる。

    テレビで見たプロレスをまねて、
    空いている手で唯のベットの端を
    叩いてみるが、
    やはり、唯は腕を放さない。

    “なんとかせねば。”

    焦りまくる忠清の目に、
    唯の本棚の絵本の文字が
    飛び込んで来た。

    「北風と太陽・・・あれは、
     以前、読んだ事のある書物。
     ・・・そうじゃ!」

    忠清は、唯の耳元で、優しく囁く。

    「唯、良いものをやろう。
     アーモンドチョコレートじゃ。
     その手を前に。」

    すると、唯は、
    空いている方の左手を差し出す。

    “くうう・・・違う!
     そちらではない!”

    「唯、今度はチョコボールじゃ。
     沢山あるぞ。
     片手では足りぬ。
     両の手を差し出せ。」

    唯は、今度は両手を出し、
    忠清はやっとの事で、
    関節技から解放された。
    夢の中でチョコを食べているのか、
    唯の口がわずかに動く。

    忠清は足音を忍ばせ、
    唯の部屋から脱出した。
    和室に戻って自分の夜具に
    もぐりこんだが、腕が痛くて、
    なかなか寝付けない。
    やがて、空が白々と明けてきた。

    唯に、散歩を誘われたのは、
    まさに、その朝の事だ。

           ・・・・・・・

    小走りに、速川の家に戻りながら、
    忠清は思い悩む。

    わしのおらぬ隙に、
    妻の寝所に忍び込む不届き者が、
    もし、おったとしても、
    あのような目に合うのだと思えば、
    心安くはあるが・・・

    戦国に戻ったら、
    唯と閨は共にしたい。
    共にしたいとは思うものの、
    昨夜のあの状況が繰り返される
    としたら、身が持たない。

    毎夜、チョコボールで
    済むものだろうか?
    もっと、唯の好きなものを
    知っておかねばならぬのでは。

    合気道の道場と化す閨が、
    脳裏に浮かび、
    忠清は思わず天を仰いだ。

    ”敵陣に切り込むような勢いで、
     腹を決めねばならぬのは、
     わしのほうであったか!
     まこと、悩ましいものよのう。”

     「ち・ち・う・え~。
      如何したらよいのじゃ~!」

    静かな朝の空に、
    忠清の切ない声が響く。

    朝だと言うのに、
    どこかでカラスが鳴いている。
    いや・・・
    笑っているのかもしれなかった。

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    返信
    寒波

    首都圏は、またまた
    緊急事態宣言ですね~。
    寒波も厳しい。
    そんな中、こちらは、
    ほんわか温かく、嬉しいです。

    ぷくぷく様
    唯が消えて行くシーンは、
    何度見ても切ないっす。
    読んでも切なさがこみ上げます。
    そんな中で、吉乃様と、信近殿が
    結ばれたのは嬉しい事でしたね~。
    唯が戦国に戻った時に、
    ”吉乃様”とあらたまって呼ぶ唯に
    ”おふくろ様で良い。”と、言う
    吉乃様、かわいかったですね。

    夕月かかりて様
    若君が速川家の一員になって行く
    様子がほのぼのと、楽しいですね。
    思わず、
    ♪おさかなくわえた、ドラネコ・・・♪
    とか、歌いだしちゃいそうです。

    カマアイナ様
    長文の作品投稿有ですもの、
    ”長文の感想、ぜんぜんOKっす。”
    って、マスター様も皆様も
    おっしゃると思いますよ~。

    では、新春第二弾、
    おばばも行きますね~。

    投稿フォームへ

    返信
    夕月かかりてさん

    では安心して、感想はこちらに書きます。
    たーくんは数限りない速川家のおもてなしで、
    目の回るような楽しい経験をしっぱなしですね。
    生活のリズムだけでもお能の世界から
    急にジェットコースターに飛び乗ったぐらいな感じでは。
    スマホに、テレビに、プリンターやらホームセンターまで、
    若君が若いとはいえ、たぐい稀な順応性です。 脱帽!

    タイムスリップの時に刀のスイッチを手に持って、
    二つの世界を行き来できるなら、
    若君に手土産として超軽量、折りたたみ車椅子を持たせてあげたいですね。
    体にくくりつければ、持って帰れないかしら?
    でも舗装された道路なしでは、じいも家の中でしか使えないかな。
    カートよりもずっと乗り心地がいいとは思いますが、
    永禄の人達に怪しまれないようにどう説明したらいいんでしょう。

    唯は簡単に「たーくんテレビでも観てて。」って言ってますが、
    アシガールの再放送してたらどんな反応を見せるかな?

    投稿フォームへ

    返信
    二人の平成Days28~17日月曜16時、一つ一つ心をこめて

    あの唯のリュックの中には、これも入ってたんだね。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    下校時の待ち合わせは、最近はいつもの黒羽城公園。高校の校門では、毎回JKが騒がしいので変更した。

    唯「あ、たーくん居た。良かったー」

    若君「唯、おかえり。それは居るじゃろ」

    唯「ううん、さっきお父さんから謎のLINEが来て、家に居るのかなって」

    若「謎?」

    唯「帰ったら、若君を手伝ってくれ…って、たーくんここに居るし。何手伝うの?」

    若「さあ?わからぬ」

    唯「わからぬ~?家では何してたの?」

    若「ジェンガを父上と作っていた」

    唯「え~?それで、できたの?」

    若「まだじゃ」

    唯「ふーん。それの関係かなぁ」

    ただいま帰りました。

    覚「おー、唯、若君、おかえり。待ってたぞ」

    唯「お父さん、ちょっとちょっと。たーくん、テレビでも観てて」

    若「わかった」

    若君から離れて、ひそひそ話。

    唯「何がどうなってるの?」

    覚「まあ、聞いてくれよ…」

    時間を戻します。

    ┅┅今日11時、庭にて┅┅

    覚と若君、二人で木片に一つ一つヤスリをかけている。

    覚「大分磨いたから、滑りはいいと思うぞ。ちょっと量が多かったかなー?54でいいのに100もあるけど。3の倍数でもなかったな。若君、指痛くないか?」

    若「大事ないです。父上こそ大丈夫ですか?」

    覚「なんとか。少し休憩しよう」

    二人でお茶タイム。覚がスマホを取り出した。

    覚「売ってるのはこんな感じかなー」

    若君が、ジェンガの商品ラインナップの画面を覗き込む。

    若「父上、何やら書いてある物があります」

    覚「ん?あー、商品名とか数字とか入ってるね」

    若「…名。ふむ」

    覚「何かあった?」

    若「父上」

    覚「何?」

    若「これは、人の名でも良いですか?」

    覚「え?一つずつに名前を入れるって事?!若君、さすが画期的だね~。何入れるんだい?」

    若「速川と、羽木の家族や家臣達、親しい者達を。僕や唯の大切な者達の名を記したいです」

    ┅┅回想終わり┅┅

    覚「で、昼飯の後、試しに書いてもらったんだけど」

    唯「ヤな予感」

    覚「もちろん、筆ペン渡したぞ?」

    唯「的中しそう」

    覚「見せてもらったら…」

    唯&覚「読めない」

    唯「にょんにょん字だよね~」

    覚「達筆と言え」

    唯「前にたーくんにメール持たされた時、どんだけ読むのに苦労したか忘れたの?」

    覚「いやー、その時はまだ感動してたから」

    唯「うん、いい話だけどね。たーくんって、知らないってのもあるけど、ちょいちょい、とんちんかんなんだよねー」

    覚「人の事言えるほど…」

    唯「はいはい、ここにも一人居ますぅ」

    覚「という事で、羽木の皆さんの名前がわかるお前が、若君から聞き取りして読める字にしてくれ。晩ごはんの後でいいから」

    唯「わかった。たーくんお待たせ~」

    尊「ただいまー」

    唯「おっ、グッドタイミング!」

    尊「は?」

    唯「晩ごはん食べたら、たーくんを手伝うから、あんたもプリンター用意して」

    尊「いきなり、繋がりそうにないワードが並んだけど」

    若「尊、済まんの。よろしく頼む」

    尊「はい。まあ、きっと楽しい事なんだろな」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    とんちんかんって…純粋と言って。

    投稿フォームへ

    返信
    お答えします

    カマアイナさんへ

    創作倶楽部の作品への、ご意見ご感想は、このままここに書きこんでくださいませ。

    原作の漫画やドラマの世界観を大切になさっている方々は、あえてこちらにお越しにならないので、他の板だと驚かれてしまいます(((^^;)

    妄想作家の私達が必ず目を通すこの板で、思う存分語ってください!少なくとも私は、長ければ長い程励みになるんですぅ。

    これからも、もちろん他の皆様も、長文短文、よろしければで良いですが、お待ちしてます。

    ぷくぷくさんへ

    久々に拝見しました。以前の作品も、充分読み応えのある長さだと思いましたが、大分、相当、加筆されてましたね。うぅ…若君、その姿に目頭が熱くなります。

    どうぞ、こちらでは消化不良にならないよう、書ききってください!

    投稿フォームへ

    返信
    創作オンパレード

    ほんの暫く書き込みを怠った間に、
    次から次へと、時代も話題もスタイルも、
    千差万別な素晴らしい創作が溢れていました。
    皆様の文才は、読んでいて心底感嘆していますとしか言いようがないです。
    各々への感想を述べていると、創作倶楽部のスペースを取りすぎてしまうのと、
    ボケてどなたかのお名前を書き忘れて、失礼をしてしまう心配もあるので、
    感想は書かなくても、毎回超楽しんでおります。
    皆様にまとめてありがとうございます。

    ただ一言、公式掲示板にたどり着けなかった者としては
    ぷくぷくさんの隙間埋め創作の数々があるのでしたら、
    徐々にこちらに掲載していただけないでしょうか?
    唯は3分後に戻ると信じてにこやかに、若君は2度と会えないことを知りつつ、
    唯を送り出す場面の、あの消えゆく唯に手を伸ばすシーンはYouTubeで見て、
    全部のストーリーを知らなくても、切なくてジーンときました。
    なるほど、なるほどと隙間解説で、感激を2度味あわせていただきました。

    結局、長文になり失礼いたしました。
    創作の場を長い感想で埋めるのは申し訳なくて、
    どなたか、どの掲示板に感想を書くのが最適か、教えていただけますか?

    夕月かかりてさん、妖怪千年おばばさん、梅とパインさん、ぷくぷくさん、
    他にも私の知らない創作作家さん達、今年も多いに楽しい作品で賑わせて下さい。
    楽しみにしております。

    投稿フォームへ

    返信
    ぷくぷくさん.。o○

    すっごい良い考えですね!?
    私は公式掲示板ラバーでコピー保存してますが、オリジナルは2018/4/2, 4/26でしょうか?
    芯になる大事な言葉は残して、物語として生まれ変わってました!??

    そしてアシガール板の旧作も、出し直す方法ありますね❗
    ぷくぷくさんは事情あり登録なさらず編集機能を使えないので、手直ししたい所あるのでは?
    創作が独立してなくてコメントが一緒にあったりします、純粋に物語としてリニューアルされてみては‥ (^^)v
    目次を作っても、探して読んで頂くのはなかなか難しそうですし‥
    お気が向いた時に、一部書き換えた改訂版、 今日の様に再構成した新編集版、 オリジナルのままも何でもあり!
    公式掲示板もアシガール板も、リニューアルバージョン楽しみにしてます!((゚∀゚*))

    ☆妖怪千年おばばさん☆夕月かかりてさん~*
    ご免なさい。お一人ずつのペースに合わせるのは大変で、二週間に一度くらい、皆さん一緒に感想書かせて頂こうと思います。
    ぷくぷくさんは新企画立ち上げなので今回だけ‥

    投稿フォームへ

    返信
    【想い】

    満月の下
    何か言いかけた唯の姿が目の前で消えた事に驚きもあり差し出した手をジッと見ていた。そして力強く握り「ふ~」と息を吐きお馬番の方へ歩いて行った。お馬番は二人の様子を見ないように視線を逸らし待っていた。

    「では、参ろう」
    「若君様、あの者は?」
    「里へ戻ったのだ」
    「えっ?」

    こんな場所から一人でと聞きたかったが、月明かりに照らされる若君の寂しげな表情にお馬番は黙った。それから城に着くまで言葉を掛けずに。若君は背に唯の温もりを感じていた。城に戻り、

    「今宵の事は」
    「若君様、承知しております。誰にも申しません」
    「ん・・・ご苦労であった」

    お馬番は若君の肩を落とした後姿に深々と頭を下げ厩に戻った。そこに千吉が居た。

    「十助、若君様のご用とな何だったのだ?」
    「あぁ・・・月が美しいから遠駆けに参られたいと仰せになってな」
    「そうか、ご苦労だったな」

    お馬番は疾風を厩に連れて行った。
    若君は部屋に戻り、文箱から金メダルをかじった唯の写真と、残り少ないアーモンドチョコの箱を持ち、濡れ縁に腰を下ろした。写真を手にして、

    「文を読んだ唯は腹を立てておるであろうの・・・許せ」
     
    そしてチョコを一つ頬張り、

    「甘いの・・・美味いの・・・」

    唯が己の目の前で食べていたあの笑顔を思い出し涙が零れた。『おなごと心など通じ合わなくとも良い』と言っていた自分が、初めて心を通わせたいと想った唯とは二度と会えない。若君が見ている月は真ん丸だが、若君の瞳にはいびつな月が。頬を伝う涙が月明かりで輝いていた。

    「唯」

    床に入り目を閉じ眠りにつこうとしたが、笑顔や泣き顔、怒った顔が浮かんでは消え、また浮かび一睡もすることなく朝を迎えた。唯本人は3分後に戻るつもりでいたから吉乃達には何も言っていないだろうと。若君は唯の事を伝えに天野家へ。吉乃もまた戻らぬ唯を心配して寝付けず起きて待っていた。すると表で足音が聞こえ、今迄どこに行っていたのだと言うつもりで障子を開けたが、そこには唯之助ではなく若君の姿が。

    「若君様?」
    「唯之助が」
    「唯之助にご用でござりまするか?唯之助は昨夜から戻ってはおりませぬ」
    「その事なのだが」
    「此処では。お上がり下さいませ。ただいまお茶を」
    「いや。お袋殿もここに」
    「では」
    「お袋殿・・・唯は生まれ故郷に帰ったのだ」

    吉乃は初めこそ驚きの表情を見せたが、しっかりと若君の顔を見て、

    「さようですか。若君様がそう仰せは、唯之助がわたくしの子ではないとご存知なのですね」
    「ん。だが、お袋殿は驚かぬのか?」
    「はい。あの子がわたくしの元に現れ、共に暮らして居りましたが、心のどこかに、いづれは居なくなるのではと思うておりました」
    「さようか。昨夜、わしが唯之助を見送った」
    「さようでしたか」
    「急な事であったのでな、だが、仔細は」
    「はい。尋ねませぬ」
    「ん・・・お袋殿に言わずに。唯・・・唯之助は気にしておった。わしから申すとな」
    「唯之助の里の父上も母上も喜ばれる事でしょう。唯之助・・・まことの名をご存知でございまするか?」
    「・・・いや、わしは知らぬ・・・尋ねてはおらなんだ・・・のでな」
    「さようですか。ですが唯之助の母上も、父上も唯之助に似て明るいお人なのでしょう」
    「そうじゃの」
    「えっ?」
    「あっ、いや、そうであろうと」
    「はぁ」
    「それにじゃ、唯之助からは文は届かぬでの。すまぬ」
    「若君様が詫びる事ではございませぬ。あの様な文ならば届かなくとも。無事で居ればそれだけで」

    吉乃の寂し気な表情に、二度とは戻らぬ事は黙っていようと。立ち上った若君に、

    「若君様、唯之助は笑っておりましたか?」
    「ん・・・良い笑顔であった」
    「さようですか。その事だけで、わたくしは充分にございます」

    若君の寂しそうな顔に、吉乃は根掘り葉掘り聞く事は酷なような気がしたので、それ以上は何も言わず見送った。吉乃は三之助と孫四郎を呼び、

    「唯之助は生まれ故郷に帰ったのです」
    「かか様、唯之助は戻りますか?」
    「もう戻りません」

    その言葉を聞いた二人は、あの日、唯之助が現れた日、兄の弥之助が戻らないと言われた事を思い出し、大好きな人がまた自分達の前から消えた事に驚き泣き出した。吉乃ももう戻らないと言ってしまった事を悔やんでいた。三之助と孫四郎を抱きしめ、

    「母にも分かりません。ですが、故郷でまことの父、母の元にて幸せに暮らすのです。お前たちが悲しむ事など望んではおりませんよ。さっ、涙を拭いて。良いですか、唯之助が母の子では無い事は誰も知り得ません。里に一人帰ったと申せば子では無いと疑われるでしょう。また間者として疑われ、いつの日にかわたくしたちの前に現れた唯之助が捕らえられてしまうかもしれません。母は、唯之助は修行の旅に出たと周りの者に話します。お前たちも誰かに尋ねられた折にはそう申すのですよ。分りましたね」
    「はい」
    「はい!」
    「では、わたくし達も梅谷村に戻りましょう」
    「かか様、唯之助が戻って来た時、かか様や孫四郎が居らなくては?」

    吉乃は二度と戻らないような気がしていたから、

    「案ずるでない。この場に戻れば私達が梅谷村に居る事も知り得ますから」

    二人にはそう話した。じいが唯之助の姿が見えないと言ってきたので旅に出たと話し、小平太に伝わり、見回りの際に小平太が若君に話した。吉乃の機転に感謝した。小平太は素直に信じていたが、文の一つも来ない事に心配もしていた。そして半年後、唯之助の姿を見て「生きておったのか」と言ったのだった。

    おしまい

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    自画自賛コーナー

    梅とパインさんお声がけありがとうございます(*^_^*)
    今年も作家の一人として頑張ります(^O^)/
    チョイひととき
    今は見る事の出来ないNHK掲示板の中にも自画自賛の話があります。そこで二つの投稿を新たに編集して書かせて頂きます(^_^)
    【第8回 満月よ!もう少しだけ】
    この副題について以前にも書きましたが、若君の気持ちではないかと。唯ならば3分後には戻ってくるから、そこまで〔もう少しだけ〕とは思わないのではないかと考えて、少しでも一緒に居たいと思った若君の気持ちだったのではと。それに何故お馬番を伴にしたのか?若君が己の想いを隠し唯を見送る。だが、帰したくない思いで取り乱してしまうのではないかと考えての事では。

    唯を見送ったのち、吉乃に話し、吉乃も梅谷村へ戻るまでの事を(^_^)
    以前は文字制限がありましたので、今回はめっちゃ思いっきり書かせて頂きます(^_^)
    では(^_^)

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    ありがとう♪

    千絵さんの PR動画と 千年さんのラーメンデートの動画、久しぶりに見ました。懐かしかったです (^.^)。
    ありがとうございました m(__)m。

    そして…
    てんころりん さん・千年さん・千絵さん・夕月さんも、お粗末様ながらの「源ちゃんトヨちゃん」を楽しんで下さったようで嬉しゅうございます。また たま~に気が向いたら、考えてみますね (^^)。

    では、引き続き「傑作・大作」の競演を 楽しませて頂きま~す♪

    ☆ ぷくぷく さんも休憩終わったら、頑張ってね~ p(^^)q。

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    二人の平成Days27~16日14時、親子水入らず

    また、乗せようとしてる。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    ホームセンター。しばらくして、唯が尊の元にやってきた。カゴを覗いている。

    唯「何買うの?」

    尊「こんな感じ」

    唯「…なんにも浮かばない」

    尊「どうせわかんないんだから、聞いてもしょうがなくない?」

    唯「ひどっ。まぁ、パーティーグッズはまかせたまえ~」

    唯、言い残してピュ~っと走り去った。

    若君「また何やら考えておるのか?」

    尊「わっ!兄さんここに居たんだ。置いてかれてるよ?」

    若「良い。お母さんの所じゃろう」

    尊「兄さんもしかして…」

    若「なんじゃ?」

    尊「姉と母、二人だけにしてあげました?」

    若「尊はやはり賢いのう」

    尊「すごいな、兄さん。僕、若君が兄さんでホントに良かったです」

    若「わしも、尊が弟で嬉しいぞ」

    尊「やった~相思相愛。あ、そういえば」

    若「あ。お父さんは、何処じゃろうか」

    覚を捜していると、ペット用の大きいカートに犬を乗せている客とすれ違った。

    若「あれは?」

    尊「ここは、ペット用品売場があるから、愛犬とか連れてくる人達のためのカートです」

    若「…」

    尊「天野のじい、ですか?」

    若「なぜわかった」

    尊「先週の、カート話のインパクト…もとい、衝撃が強くて」

    若「下に何か敷かぬと、乗りにくそうじゃ」

    尊「乗せる気満々だよ」

    覚、DIYコーナーに居ました。

    覚「おーい、ここだ。今、木材切ってもらってるから」

    尊「切るまでやってくれるのは、お手軽だよね」

    若「切らぬと、重いのか?」

    尊「え?えーっと…切らないと重い、切ると軽い、あー!お手軽の意味かー。うーん」

    若「何か、悩ませるような事を申したか?」

    尊「いや、言ってないです。兄さん、切らなくても軽いですから。お手軽って?便利?いや、楽チン?ん?楽チンのチンって何?」

    若「尊?」

    尊「チンって何だよ~!」

    覚「尊~、落ち着け。その言葉は大声では恥ずかしい」

    尊「あ。失礼しました。日本語って難しいー」

    若「唯にそっくりじゃな」

    買い物終わって全員集合。

    唯「バッチリ買えたよぉ~ふっふっ。クラッカーも」

    尊「兄さんに、それ説明しなくていいの?」

    唯「しーっ。いいの、当日のお楽しみで」

    尊「お姉ちゃんが、楽しみなだけじゃん。まあ何とでもして」

    帰路についてます。

    美「三人とも、寝たわよ」

    覚「そうか。じゃあ、小声で話すか」

    美「もうちょっと、運転頑張ってね」

    覚「うん。しかし若君には、恐れ入った」

    美「そう?ゆうべの話?」

    覚「全般的に。まず、さっきホームセンターで唯と買い物しただろ?」

    美「うん。若君は?って聞いたら、尊と一緒って言ってたわよ」

    覚「それな、気を利かせて、お前達二人の時間を作ってくれたんだぞ」

    美「えっ!そうだったの!なんていい子なの~」

    覚「もちろん、期待に応えました話も驚いた」

    美「それ、オープンに話してるというより、主君に何でも報告してる、って感じだったわよ」

    覚「まぁ、ふざけてるとは全く思わなかったけどな」

    美「家長には、従うのよ」

    覚「そうか。あ?結局、僕がけしかけた感じ?」

    美「そうよ~気づくの遅い。生きる時代が違うんだから、父上の言う事は絶対、なのよ」

    覚「失礼しました。いや、反対してるんじゃないから。決断力は彼を見習わないとダメだな」

    美「あと、私達と話す時は、極力現代語だし」

    覚「そうだな。美香子に叱られてた時もな」

    美「普段の口調が、偉そうに聞こえるんじゃないかって、心配になったらしいの。そんな、いいのにね」

    覚「彼自身が、発想が現代的なんだな。だから唯ともうまくいく」

    美「えー、そこは、愛情のなせるわざでしょ」

    覚「初恋同士なんだってな」

    美「なぁに?羨ましいの?」

    覚「いえ、美香子さん、唯一です」

    美「大好きな美香子は、私一人だけって事?」

    覚「そうじゃ」

    美「あら~、かつて若かった君~」

    覚「上手い事言うなあ」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    僕は、君と居る時が、一番幸せなんだ。16日のお話は、ここまでです。

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    新春ですね

    梅とパインさん、幼馴染爆笑漫才は、新年一番にお正月の風情で良いですね!昔の方々は、逢瀬も一苦労だったでしょうし。じりじりと関係が進んで、次の一手は源三郎かトヨか?が楽しみです。

    私も含め、妄想作家の皆様の描く男性陣は、やたらと女性に翻弄されてますよね。普段は、命懸けでキッチリ仕事をこなしてるからこその、ギャップがいいんですが。

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    ありがと~~~う??

    千年おばばさん?
    よくぞ 見つけてくださいました‼️

    超ラブラブな
    唯が若君としたかった
    制服着てラーメンデート‼️

    お丼?交換しちゃってる~‼️
    ご馳走さまで~す

    ※※※※※※※※※※※※※※
    梅Pさん❗
    源ちゃんトヨちゃん
    いいね!?楽しいです❗
    創作板 益々 活性化?

    投稿フォームへ

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    ラーメンデート

    千絵様
    ラーメンデートの動画が見つかりました!
    張りますね~?
    https://www.youtube.com/watch?v=PTdwlNw0BS8

    梅とパイン様
    源ちゃんトヨちゃんコンビは永遠ですね~。
    楽しい掛け合いありがとうございます。(^_^)v

    夕月かかりて様
    家族で温泉旅行、良いですよね~。(*^^)v
    早くコロナ終息して欲しい!

    てんころりん様
    おばばも”鐘”使わせて頂きましたよ~。
    小平太の絶叫に併せて、響く鐘の音。(^_^)v
    ぐお~~~んんんんん
    ちょっと低めがいいかも。

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    梅パさん、おおきに。

    リクエストに応えてくれはって、ありがとさんどす。
    待ってました!!(^з^)-☆
    源ちゃん、トヨちゃん、夫婦漫才 、可愛おすなぁ (京都弁?)
    源「どんな耳?」ト「こ~んな…」って、
    マギー審司さんの大きな付け耳?が見えましたがな (何弁?)
    カマアイナさん、マギー審司さんが分からないと悪いんで、ダンボの耳も入れときまひょ。
    私のこと、ネタに使ってもろて、おおきに。
    で☝️これほんまですわ。
    私は昔から“効果音オタク”です (楽譜読めないし音楽は語れない)。
    鐘の音, カエルやトンビの声, 風の音‥ 色んな効果音が面白くて、あーだこーだ書きました‥
    ?ヘッドホンして 耳ダンボにして聴いてます。
    キャハ! (*`▽´*) 梅パさんの豊かな想像力のお陰で遊ばせてもらってます。
    源ちゃん、トヨちゃん、鐘の中に入るん?
    安珍・清姫「道成寺」ごっこやな。
    ヨッ!美男美女!絵になるなぁ。
    チャカ チャンリン チャンリン‥♪三味線で引っ込んじゃった。
    なかなか進展しない2人・・
    感想文は改めますね・・

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    小笑いタイム

    チャカ チャンリン チャンリン チャンリン♪
    源三郎「どうも皆さん、源ちゃんで~す♪」
    トヨ「トヨちゃんで~す♪ 二人合わせて」
    二人「源ちゃんトヨちゃんで~す♪」
    源「そのまんまやな」
    ト「源ちゃん 関西弁になってるで。あ、私も うつってしもたわ」
    源「しかしまぁ何ですね~ この創作倶楽部は 傑作・大作揃いですね」
    ト「ねぇ スゴいね~。そやけど源ちゃん、私らは 出して貰われへんみたいやねぇ」
    源「俺は…出てたような…」
    ト「え、ほんま?いつ?」
    源「忘れたけど…」
    ト「なんや 忘れたんかいな」
    源「いや、これ書いてる人が覚えてへんねん」
    ト「あぁ 梅とパインっちゅう人ね」
    源「そうそう、あの 人見知りで 感想文苦手で ふざけた妄想しかせえへん 記憶力無い人」
    ト「ボロカスやな。 ところで源ちゃん、除夜の鐘は聞こえた? 何でも お城の近くのお寺の鐘の音が、時々違って聴こえるらしいよ。私は よく分からないんやけど…」
    源「なんか そうらしいね。聴き分けた人 スゴいなぁ。どんな耳してはんねんやろ?」
    ト「こ~んな…」
    源「形はええねん!」
    ト「ハハハ(笑)。で、お正月は何してました?」
    源「正月は 忙しかったよ~。無礼講ってことで 皆 飲んで騒いでハチャメチャやったから、俺らは 城内・城外の警備や 酔っぱらいのケンカの仲裁やらで、もう大変やったよ。トヨちゃんは何してました?」
    ト「私も ず~っと お仕事ですよ。天野家もお客様が多いのでね。 洗い物する水が冷たそうやな~と眺めたり、ご馳走の味見という名の つまみ食いしたり…」
    源「仕事してないやん!」
    ト「ちゃんと指導もしてたよ~」
    源「休みは もらえた?」
    ト「今から」
    源「俺も今から」
    ト「じゃあ、一緒に遊ぶ? お寺の鐘の陰でイチャコラする?」
    源「ト、トヨ! え?え?ええ~?! ん?ちょっと待って、お寺の鐘の陰って…中で…か? 宙吊りで…か? 時間が来たらゴ~ン!!て打たれるんか? …って言うか、俺ら いつから そんな関係になった?」
    ト「い・ま・か・ら♪」
    源「トヨちゃん…」(デレ~ッ)
    ト「ウソ ウソ!冗談やし! そんなん しません しません!」
    源「ええ~~」(ガッカリ)
    ト「さ、そろそろ終わりましょか」
    源「オチが 無いねんけど?」
    ト「よか よか」
    源「急に九州やな!」
    ト「それでは皆さん、またいつか~」笑顔で手を振りながら 去って行く トヨ。
    源「トヨちゃん! もう~ほんま自由なヤツ。皆さん すみませんね~。トヨちゃ~ん!」追いかける源三郎。

    いやぁ、グダグダですね (^o^;)。
    お後がよろしいようで……
    チャカチャンリン チャンリン チャンリン♪

    皆さま、こんな相変わらずの 梅パではございますが、今年もよろしくお願い申し上げます m(__)m。
    〈 挨拶 遅っ!しかも この板で この時間… f(^^; 〉

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    二人の平成Days26~16日10時、磯の香り漂います

    蓮根のはさみ揚げの中身って、もしかしてお肉じゃなかったの?
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    チェックアウトしました。

    覚「よーし!張り切って行くぞ~!」

    尊「さっきまでとは別人だし」

    美香子「お父さんにとっては、これからが一大イベントだもんね」

    覚「海鮮市場に出発~」

    若君「お父さんが楽しそうじゃ」

    唯「海の幸、いっぱい買い込むんだって。たーくん、多分運ぶのにこき使われるよ」

    覚「忠清くん、多分じゃなくそうなっちゃうけど。尊もな」

    尊「え~」

    若「お父さん、なんなりと仰せ付けくだされ」

    尊「わー、兄さんがそう言うなら、断る訳にいかなくなった」

    車内に、笑い声がこだました。

    唯「ねえねえ、マジすごい量なんだけど」

    市場に到着し、買い物真っ最中。袋やら、発泡スチロールの箱やら、持参したクーラーボックスやらが、どんどん車に積みこまれている。

    若「これで最後か?」

    尊「うん」

    覚「いや~助かった、二人ともありがとな」

    唯「ちょい魚くさい」

    美「まあ、そうなるわね」

    唯「えっ、これから毎日魚介?」

    美「毎日ではないだろうけど。あなた達の為に、張り切ったのよ。かわいいじゃない」

    唯「クリスマスパーティーで、焼き魚?」

    美「それはないと思うけど…多分」

    覚「では出発。ちょっと移動して昼飯にするか」

    高速道路の、サービスエリアで昼食中。

    唯「ふあ~」

    美「口そんなに開けてー。あくびが大き過ぎ」

    唯「はふぅ。やっぱ眠いかも」

    尊「そんな遅くまで起きてたの?」

    唯「遅かったかも。たーくん、何時に寝たっけ?」

    若「時計を見ておらぬゆえ、わからぬ」

    美「仲良く起きてたのね。良かったわね、お父さん」

    覚「今僕に話振らないで。心静かにお茶を飲みたい」

    美「またグダグダしてるわね~、イジメちゃおかな?唯、ずっと話とかしてたの?それか~」

    覚「やめてくれー」

    唯「ご想像」

    尊「におまかせします?」

    唯「どおり」

    覚「ブッ!」

    尊「あちゃー。驚いてお茶吹くなんて、昭和だよ」

    唯「隠してもしょうがないし、この家」

    美「忠清くん、そうなの?」

    若「期待に応えるべく努めました」

    覚「は、ははは~」

    尊「傷口に塩擦りこんでる」

    美「尊はこの話、平気なのね」

    尊「もう慣れた。こんな大恋愛が間近で繰り広げられてるとさ。元々忠清兄さんの味方だし」

    若「ありがとう、尊。尊もいつかはな」

    尊「はい。いつの日か頑張ります」

    車に乗り込む。

    唯「磯臭がスゴ過ぎる」

    覚「まあそう言うな。このまま帰ろうと思ってたんだが、色々材料買いたいし、寄り道するぞ」

    唯「材料?」

    美「ジェンガとか、パーティーの飾り付けとか」

    尊「あ!ホームセンター?」

    覚「そうだ」

    尊「行きたい行きたい!僕もちょっと仕入れたいし」

    唯「何を?」

    尊「色々」

    覚「では、ホームセンターに出立~」

    若&唯&尊「出立~」

    美「まぁ~!かわいい!」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    寄り添おうとする努力で、かわいい。

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    小平太~

    千絵ちゃんさん

    歌詞の続きは、“目をつぶれば君がいる”で、唯達にとっては、ここまでがセットかも。
    その続き、”友達と恋人の境を決めた以上もう泣くのも平気“ですが、唯と若君は、友達だった事は一瞬もなく、配下の者からご寵愛の暴れガッパ(←奥の院、怖ーい)へジャンプアップだったので、さぞかし城は混乱したでしょうね。

    妖怪千年おばばさん

    久々の二の姫登場でしたね。なぜか、私の中の彼女のイメージは、綺麗な富士額で、キリッとした太眉(^_^;)今回も凛々しかったですね。小平太ったら、もう。

    カマアイナさん

    皆さんそれぞれの、若君のイメージから大きく外れないようにはしていますが、ちょっとくらいくだけた感じもいいんじゃないかなーって思ってます。

    投稿フォームへ

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     兎角この世は  ~十三夜こぼれ話 小平太編~

    はじめに
     この物語は、私が以前に投稿した
     ”十三夜 
     (序、早、急、結びの段)”の
     番外編として書きました。
     登場する鐘ヶ江家の”二の姫”は
     私の妄想上の姫で、ドラマにも
     原作にも登場しません。
     鈴鳴神社も同様です。
     二の姫は、家の行く末を案ずる
     武芸に秀でた、”男装の麗人”
     としてお読みいただけましたら
     幸いです。m(__)m

    ~~~~~~~~~~~~~~~ 

    漆黒の東の空に、
    うっすらと薄い橙色の光が、
    山の稜線を描き始めた。
    その上の空の色が、
    濃い紫から明るい薄紫へ、
    更に一気に白へと変わる。
    橙色の線の上を、
    紅の絵の具を乗せた筆で
    なぞったかの様に、
    山が姿を現す。
    放射状に白い光を放ちながら、
    山の麓から陽が昇り始めた。

     「なんと、神々しい!」

    手を合わせながら、小平太は、
    朝日から目を離せずにいる。
    凛とした空気の中、
    初日の光を浴び、
    心も体も引き締まる思いがする。

    空が明け切り、
    たなびく雲の中に
    陽が隠れたのをきっかけに、
    小平太は、馬の向きを変えた。

    ゆっくりと鈴鳴神社へ向かう。
    馬を下り、入手水舎の水で
    心身を清めたあと、本殿の前に立ち、
    鈴を盛大に鳴らす。
    二礼二拍手の後、
    今年一年の安寧を祈願した。
    そして、さらに深々と一礼する。

    ふと、横を見ると、
    巫女がこちらを向いて立っていた。
    手に、竹筒を持っている。

       「鈴の音が聞こえまして。
        御祈祷をなされますか?」

     「いや、後ほど改めて参る。
      家人に言わずに参ったので、
      戻らねば。」

       「それでは、こちらを。
        甘酒にございます。
        温まりますゆえ。」

     「これは、かたじけない。」

    あえて引き止め様とはせず、
    頭を下げて見送ろうとする巫女に、

     「ちと、新月の様子を
      見せて貰おう。」

    そう言い残し、本殿の裏手にある
    厩に向かった。

    新月は、羽木家から鈴鳴神社に
    奉納された馬だ。
    小平太が仕えている若君と同じ年に、
    黒羽城の厩で生まれた。
    若君が袴着の儀を済ませた翌年、
    鈴鳴神社に奉納された。
    袴着の儀は五歳で行われる。
    その一年を無事に過ごした
    祝いの印として、
    納められたのだった。

    新年の神事の為か、
    新月の漆黒の毛並みは、前にも増して
    美しく整えられていた。

    弓を射る音が聞こえてきた。
    厩の横には、的場があり、
    近隣の若武者たちの
    弓の教練場ともなっている。
    誘われるように小平太の足が、
    的場に向かう。
    張り巡らされた板塀の隙間から、
    弓を射る人の姿が見えた。
    矢が、的に吸い込まれるように
    真ん中に当たったのを見届けて、
    小平太は中に入り、
    射手に声をかけた。

    「相も変わらず、見事な腕じゃの。」

    弓を射ていたのは、
    鐘ヶ江家の二の姫だった。
    まるで、小平太の声が
    聞こえぬかのように、二の姫は、
    次の矢をつがえる。
    その矢も、
    見事に的の真ん中を捉えた。

    満足げな笑みを浮かべて、
    二の姫が振り向いた。

     「これは、天野小平太殿。
      如何なされた。」

    「この先で初日の出を拝み、
     立ち寄った。」

     「さようか。」

    「まこと、熱心じゃの。
     寒稽古とは。」

     「年明けの、
      初的神事の為じゃ。
      それに・・・」

    「ん?」

     「先日、信茂殿より、
      小次郎殿からの御文を頂いた。」

    「小次郎の?
     嫁がれる佐々殿ではなく、
     今は亡き我が弟、小次郎の文か?」

     「さよう。
      父から、信茂殿がご覧になった
      という夢の話を伺い、
      しかも、信茂殿が婚礼の
      祝いの品は何が良いかと
      お訊ねとの事で。
      小次郎殿からの御文を
      所望いたした。」

    「ほう。」

     「御文に、この病が癒えたら、
      ぜひ、弓の指南をとあったので、
      益々励まねばと。」

    「さようか。
     小次郎も、今頃、
     雲の上で喜んでおろう。
     佐々殿との婚儀は、
     この春と伺ったが。」

     「さよう。」

    「嫁がれても、佐々殿とお二人で、
     鐘ヶ江家の屋敷内に
     住まわれるそうじゃの。」

     「そのように。」

    「何故、佐々家へすぐに
     入られぬのか?」

      「成さねばならぬ事がある故。」

     「如何様な?」

    二の姫は、小平太の問いには答えず、
    着替えに立ってしまった。

    その姿も心意気も、並みの男は
    太刀打ち出来ぬ男前とは言え、
    二の姫がおなごである事には
    変わり無い。
    おなごで、しかも婚礼を
    控えている身であれば
    なおさら、許嫁ではない男と
    二人だけで居るのは
    控えねばならぬ。

    しかし、先ほど聞いた、
    “成さねばならぬ事”とは何か?
    小平太は気にかかって仕方がない。

    小平太は、出直さずに本殿に戻り、
    玉ぐしを捧げる事にして、
    その後、二の姫の話をもう少し
    聞かせて貰えぬものかと考えた。
    禰宜殿に同席して貰えば、
    話し込んでも障りはなかろう。

    着替えを済ませ、
    戻ってきた二の姫に、
    小平太がその旨を申し出る。
    そして、
    巫女から貰った竹筒を渡した。
    姫は素直にそれを受け取る。
    いつもの、
    挑んでくるような圧が無い。
    いささか戸惑いながら、
    二の姫の様子を窺う。
    断られるかと思いきや、
    二の姫からは意外に
    あっさりと返答があった。

     「承知した。」

       ・・・・・・

    小平太は、本殿でお祓いを
    受けた後、脇の小部屋で、
    禰宜を交え、しばしの間、
    二の姫と向き合った。

    「ところで、二の姫殿の
     “成さねばならぬ事”とは、
     如何様なものであろう?
     姫は、我が弟が幼心にも
     お慕い申し上げた御方、
     存命であれば、義妹と
     お呼びしたやもしれぬ。
     何か、お力添えできる事が
     あればと。」

      「ありがたきお言葉、
       痛み入りまする。
       それは、この鈴鳴神社の
       縁起にも深くかかわる事
       でも有り、禰宜殿のお許し
       を頂かねば、私の一存では
       お話しいたしかねまする。」

    「それでは、この鈴鳴神社の
     縁起は私から。」

    そうして、禰宜が語り始めた。

       ・・・・・

    今ではこのように、
    羽木家の御加護のもと、
    荘厳な社殿を誇っておりまするが、
    当初は、小垣の森の片隅に、
    人知れずひっそりと佇む
    小さな祠でありました。
    それを、小垣の領主となられた
    鐘ヶ江家の、当時のご当主が、
    領内の見回りの際に、
    見つけられたのです。
    埋もれていた石碑を
    掘り起こしてみれば、わずかに
    八幡大神の名が読み取れました。

    これは、武家なれば、
    丁重にお祭りせねばならぬ。

    当主は、新たに社をその場に建立し、
    氏神として崇め奉りました。

    ここからは、鐘ヶ江家に伝わる
    昔語りになりますので、二の姫様から
    語られた方がよろしいかと。

    二の姫が、禰宜の言葉を継ぐ。

    鈴鳴神社の八幡大神が、
    鳶に姿を変えられて、小垣の空に
    羽を広げておられた時、
    村の童の仕掛けた罠の近くを、
    野兎が飛んでいるのが見えた。
    逃がそうとして野原に舞い降り、
    その野兎に近づいた。
    驚いた野兎は、逃げるどころか、
    鳶に向かってぴょんとはねる。
    慌てて後ずさった拍子に、
    鳶は不覚にも罠にかかった。
    隠れて見ていた童たちが、
    鳶に石を投げつける。
    野兎を取り損ね、
    その憂さ晴らしを始めたのだ。

    童の声を聞きつけ、娘がやって来た。
    摘んだ若菜を分けてやり、
    童たちを村に帰すと、
    罠を外し、鳶の手当てをした。
    やがて鳶は、黄昏の中、
    鈴鳴神社の森に向かって
    飛び去った。

    娘は、小垣の領主、
    鐘ヶ江家の娘であった。
    ある日、娘が部屋から夕焼けを
    眺めていると、一羽の鳶が
    庭先に舞い降りた。
    あの折の鳶かと、
    娘が思い至った時、
    夕日が、西の山の端に沈んだ。
    すると、鳶は瞬く間に、
    若武者の姿に変わった。
    娘は驚いたが、その場から
    動く事が出来なかった。

    それから、一月ほど、
    その若武者は黄昏時に現れ、
    娘と語らい、夜を過ごした。
    幾日も夕餉に姿を見せない
    娘を当主は案じていた。
    間もなく夜も明けようとする頃、
    娘の部屋から物音が聞こえた。
    そっと部屋を覗くと、
    娘が若武者と手を取り合っている。
    当主は部屋に入り、声を上げた。
     「何者じゃ!」
    その時、朝日が昇った。
    若武者は、鳶に姿を変え、
    朝焼けの空に消えてしまった。

    当主は、妖かと慌てふためき、
    娘の部屋を移し、夕刻が近づくと、
    日の落ちる前から板戸を下し、
    娘を閉じ込める夜が続いた。
    そして、すぐに娘の縁談を整え、
    嫁がせてしまった。

    若武者と引き裂かれた娘の
    嘆きは深く、まもなく病を得て
    とうとう息を引き取った。
    その日は、まさに、鈴鳴八幡の
    例大祭の日であった。
    娘が息を引き取った直後、
    鳶がその家から飛び立った。
    その鳶は、鈴鳴の社の上で
    姿を消したと言う。

    あれは、鈴鳴神社の
    八幡大神であったかと
    悟った当主は、祟りを恐れ、
    神社に籠り、祈りを捧げた。
    すると、夢の中でお告げを得た。
    例大祭には、鐘ヶ江の娘を斎王とし、
    舞を奉納せよと。

    以来、鐘ヶ江家には男子は生まれず、
    生まれたとしても、病弱で短命。

    私は、弟が幼くしてみまかった際に、
    その因果を断ち切る為の願を掛けた。
    一心に武芸に励み、成人した後には
    鈴鳴神社の守り人となる故、
    鐘ヶ江家に男子を授けて欲しいとな。
    その証として、
    いつか流鏑馬奉納にて、
    見事すべての的を射抜くと。

          ・・・・・

    「そのような事が。」

      「佐々殿との婚儀も一度はお断り
       したのですが、佐々殿が、
       私の願掛けを知り、
       御自身も願をかけられて。」

    「如何様な願を?」

    二の姫の代わりに、禰宜が答えた。

    「百度の祈祷の後、
     奥の院と本殿を繋ぐ回廊と、
     更にその先の、脇の鳥居までの
     通し矢を奉納されるという
     ものでありました。
     それを果たした暁には、
     二の姫との婚儀を
     お許し願いたいと。」

     「佐々殿は、それをすべて
      果たされたのか。」

    二の姫が、恥じらいながらも
    小さく頷く。

     「なれば、
      佐々家にお入りになるのも、
      何の障りもなかろう?」

      「私は、一度は八幡大神の
       守り人となる事を決めた者。
       それを覆すは神への裏切り。
       やはりお断りしようと
       したのですが。」

    「なれば、
     二人で守り人を務めようと、
     佐々殿が申されまして。
     私も、そのようにお勧めを。
     お二人のお心が神に届き、
     晴れて男子を授かれれば、
     因果が断ち切れた証とも
     なりましょう。」

    その後、小平太は、二の姫を
    屋敷の前まで送り届ける事にした。
    幼き日の思い出が蘇る。

     「随分と、
      精進してこられたのだな。」

    二の姫は、それに答えず、
    馬の歩みに身を、任せている。
    婚儀を控えているというのに、
    相変わらずの若武者姿だ。

      「小平太殿には、
       思うお方はおられぬのか。」

     「今は、若君にお仕えする事が
      第一じゃ。」

      「小平太殿は、あの頃と
       少しも変わらぬのじゃな。」

     「あの頃とな?」

      「鼻の上に蛙が乗って、
       泣きべそをかいて
       おった頃じゃ。」

    二の姫は、独り言の様に語る。

      「あの頃の私は、
       己がおなごであることが
       悔しくてたまらなかった。
       家老の家柄とはいえ、
       ぬしが若君付きに
       取り立てられた事が
       妬ましかった。」

    「それ故、まるで仇を取るかの様に、
     わしを打ち込んだと?」

     「許せ。幼かったのだ。
      その代わり、私はその日から、
      黒羽城の剣術の教練場には
      出入り禁止となった。」

    小平太は、何故、教練場から
    二の姫が姿を消したのか、
    やっと飲み込む事ができた。
    今までのわだかまりが消えて行く。

    気が付けば、そこは、
    鐘ヶ江家の門の前だった。
    二の姫が、小平太に言う。

     「見送り、かたじけない。
      では、これにて。」

    「おなご故に、その力量が
     認められぬのも辛い事じゃの。」

    門の中に入りかけた二の姫が、
    振り向く。

     「それは、まだ、ましやもしれぬ。
      己の気持ちが全く通じぬ
      鈍いおのこに、出会うよりもな。
      この文の送り手が、
      ぬしであればと
      思わぬでも無かった。」

    「ん?・・・
     それは、ど、どの様な・・・。」

    ちらりと、懐から取り出して見せた
    文を懐に戻すと、二の姫は、
    艶やかな微笑みを残し、
    門の中へ入って行った。

    「は?」

    小平太は、その後姿を
    ぼんやりと見送ったが、
    やがて我に返って絶叫した。

    「え、えええええ???!!!」

    新たな年の、空いっぱいに、
    小垣の鐘の音が響いていた。

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    返信
    今年もよろしくです!

    夕月かかりて様
     私の年末最後の投稿が消えてしまって、
     ご迷惑をおかけしました。
     遠慮なくご自身のタイミングで
     投稿してくださいね。
     読んだだけで、のぼせてしまいそうなシーン、
     有難うございます!(^_^)v

    カマアイナ様
     お読みいただき、お褒め頂き
     有難うございます。m(__)m
     しばらく前のラフなプランの
     段階で、オニズカ氏の
     エピソードは書こうと決めて
     いました。
     その後、カマアイナ様の
     初書き込みを拝見し、
     これは、すぐに書き上げねばと
     筆が進みました。
     まさか、あの日にコロラドに
     いらっしゃったとは!
     コナコーヒー、初めて知ったのは、
     元の職場の先輩からでした。
     ブラックで一口飲んでから、
     ミルクを入れると劇的に
     風味が変わって、
     二度おいしいよ~。
     と教えてもらい、すっかり虜に。
     でも、日本では
     なかなか手に入らず。
     その後、デパ地下で見つけた時は
     舞い上がりました。
     実は、知り合いのギタリスト氏に
     誘われて、数年前にハワイに行く
     チャンスがあったのですが、
     とある事情で見送りました。
     今は、かなり後悔してます。
     いつか、いけるかな~。

    千絵様
     感想有難うございます!
     そうですね。
     この板の皆様の作品の内、
     どれか一つでも関係者の
     目に留まって、ドラマ化
     されたら、嬉しいですよね。
     励みます!

    皆様
     ”竜の泪”につきましては、
     覚と美香子の初デートの日を、
     よりドラマチックにしたくて、
     当初、2003年の”ハヤブサ”打ち上げの日
     としたのですが、すぐに、
     それでは唯と尊の年齢に合わないと気づき、
     その前の火星探査機”のぞみ”の
     打ち上げの日に変更させて頂きました。
     ”のぞみ”は、成果が芳しくなく、
     ドラマチックさが、やや薄い感じ
     ですが、その後の”はやぶさ”に
     つながる事には違いがありませんので、
     お許し下さい。
     ”のぞみ”の打ち上げとした方が、
     覚氏の実直な感じが出るかもしれないと、
     今は思っています。m(__)m

    では、これより、新年の初投稿を!
    ちょっと残念で笑える愛すべき小平太氏が
    描けていたら良いなと思います。

     

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    返信
    夕月かかりてさん

    夕月かかりてさん
    この回はほのぼの感満載で、微笑ましくなってしまいました。
    若君のユーモアのセンスにまたまたクスッです。
    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    若「腹決める?ここで?大胆じゃの」

    唯「しゃっ!」
    若「ハハハ、風呂の中は敵陣らしいのう」
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    ああ、もうすぐ永禄に出立ですね。
    織田信長の権力の増大を思うと、
    タイムマシーンをたっぷりリチャージして行きますように。

    投稿フォームへ

    返信
    本当に妄想ですか?

    『竜の泪』壮大でした~‼️
    そういえば唯パパ 覚さんの
    前職が何だったかと
    深く考えたことが
    ありませんでした
    それがスペースシャトル迄
    繋がっていくとは
    最早、ドキュメンタリーかと
    思ってしまいます
    カマアイナさんの体験とも
    リンクしていますものね
    「アシガール・スピンオフ」として
    映像で見られたらいいのに‼️

    千年おばばさん!
    版権しっかり握っていてくださいね✊
    【追伸】「ビリギャル」
    家族愛に感動します❗
    ご覧になられていない方
    機会があれば是非!

    ※※※※※※※※※※※※※※
    「逢えない時間が
    愛育てるのさ?」
    なんて切ない歌詞でしょう
    私は中学から ずっと
    「郷ひろみさん」のファンです
    作詞は安井かずみ先生
    作曲は筒美京平先生の
    【よろしく哀愁】
    傑作・秀逸ですよね♪

    「アシガール」は
    ラブコメ時代劇ですが
    二人が揃うシーンは
    思っている程多くなく
    「逢えない時間」ばかりです
    そしてその方が想いは募りますね?

    夕月かかりてさん!
    入浴シーンで脳内チカチカで~す

    投稿フォームへ

    返信
    二人の平成Days25~16日日曜7時、特別な朝

    その姿、朝から射抜かれる。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯が目覚めた。

    唯「朝だ。あれ?私一人?」

    スマホを見る。6時30分。

    唯「えっ?えーっと、浴衣は着てる…よし。たーくんどこ?」

    露天風呂に気配。

    唯「居たっ。は、いいけど~、えーお風呂~?しかも入ってない。そんなん見れない~でも見たい、どうしよう」

    若君は、湯船に腰をかけ海側を向いていた。朝の澄んだ光が、体に纏う水滴を輝かせる。姿勢良く均整の取れた大きな背中。程よく鍛えられた腕、引き締まった腰。

    唯 心の声(う、美しい~。見とれちゃう~。あ、もしかして私ヤバい人じゃない?)

    唯に気付き、振り向いた。

    若君「おはよう、唯。ん?いかがした」

    引き戸の隙間から、半身だけ出して覗いているので、確かにかなりヤバい。

    唯「おはよう、たーくん。だって~、裸」

    若「この風呂は裸で入るものじゃろう」

    唯「そうだけどー、み、見えちゃう」

    若「何が」

    唯「えっ?!えーと、下」

    若「下。今更か?」

    唯「い、いまさらって言った…!」

    若「そうか、昨晩は暗がりでよく見…」

    唯「わーわー!聞こえない聞こえない!」

    若「唯は面白いのう」

    唯「えっ?尊に、戦国での面白いの意味聞いたけど、なんか今違う意味が入ってた気が」

    若「兼ねておる。かわいい、しかも滑稽じゃ」

    唯「ひどーい」

    若「ところで、眠れたか?」

    唯「うん、たぶん」

    若「そうか」

    海側に向き直り、湯船に体を沈める。

    若「海が刻々と変化するので、眺めておった。美しい」

    唯 心(いやいや~、たーくんの横顔の方がずっと綺麗だし)

    若君が振り向く。

    若「ふく」

    唯「え?」

    若「ふくも来るか?」

    唯「えー、なに~その懐かしいフレーズ」

    唯 心(逃げちゃったあの頃が懐かしいな。ん?そんな事より、一緒に風呂に入るかって言ってる?えー、めっちゃ丸見えじゃーん!恥ずかしいし刺激が強いというかなんというか)

    若「唯」

    唯「は、はい」

    若「おいで」

    唯「え~。また反則使った~。うーん。よし、腹決める」

    若「腹決める?ここで?大胆じゃの」

    唯「違ーう!この、入る話で!わかりました、少々お待ちを」

    体にバスタオルを巻いて登場。

    唯「しゃっ!」

    若「ハハハ、風呂の中は敵陣らしいのう」

    海が明るくなってきた。二人並んで。

    唯「お母さんがね」

    若「ん?」

    唯「会えない時間が愛を育てる、って言ってた。なんか歌の歌詞なんだって」

    若「そうか。同感じゃ」

    唯「そう?ふくって久しぶりに呼ばれて、あの時は全然会えなくて切なかったなぁって。でも今は…まさか一緒にお風呂入りながら海眺めてるなんて。会えない時間に頑張ったごほうびかな」

    若「そうじゃな。わしも褒美を貰ったようじゃ。頑張ったかはわからぬが」

    唯の後ろに回り、そっと抱きかかえる。

    唯「あ…あっ、でもたーくんはいつも頑張ってるよ。で、ごほうびは私?なーんて」

    若「そうじゃ。しかも、如何様にもできる」

    唯「如何様?なんとでもって意味だっけ」

    若君がバスタオルに手を掛けた。

    唯「えー!なんとでもできるってそういう事?!ちょっと待っ…」

    若「さて、わしは出る」

    唯「は?」

    若「温まってから出るのだぞ」

    唯「あーっ、またからかわれたぁ~」

    若「では」

    唯「きゃー!!目の前で立ち上がらないで!もー怒った!奇襲攻撃じゃ!」

    風呂の湯を、若君めがけてバシャバシャかけ始めた。笑いながら逃げる若君。一瞬、振り返るが、

    唯「やだー!だから体はこっち向いちゃダメだって!」

    若「お、おっと、ハハハ」

    唯「あはは~」

    隣の尊部屋。尊が露天風呂から出た。

    尊「あー朝風呂は気持ちいい。お姉ちゃん達、もう起きてるよ」

    美香子「あら、そう?」

    尊「一緒にお風呂入ってた。若君の笑い声も聞こえたよ」

    美「あらー、良かったわ~」

    覚「一緒に風呂…そういう事か。そういう事か!」

    美「お父さん」

    覚「はい、取り乱しました、すいません」

    7時50分。部屋の前に集合。

    唯「おはよ~」

    若「おはようございます。お父さんお母さん、尊」

    覚「お、おはよう」

    尊「ん?まだ動揺してる。おはようお姉ちゃん、おはようございます、兄さん」

    美「二人共おはよう。よく眠れた?」

    唯「うん」

    尊「さっき、外風呂で騒がしかったね」

    覚「えっ?聞いちゃうの?」

    唯「あー、あれは」

    唯&若「興が乗ったまでの事」

    尊「うわっ、一心同体。えっ?ゆうべはそんな練習してたの?」

    唯「してない。仕込みは成功。まっ、深い絆って事で」

    美「絆が深まったのね。じゃ、朝ごはんに行きましょ」

    覚「絆、絆か~」

    尊「お父さん、まっすぐ歩いて」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    後ろ姿ならセーフらしい。曲名、わかりました?

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    返信
    す、すみません…

    カマアイナさん、わかりにくい投稿で惑わせてしまい、反省しております。

    妖怪千年おばばさんに、SPの説明をしていただきましたが、その中で、唯と若君が平成に居た日付は、ドラマ内ではっきりカレンダーが出た訳ではありませんが、確定しています。

    若君が唯を抱き上げて平成に到着したのは、2018年11月23日の夜、早めのクリスマスパーティーが行われ、永禄に帰っていったのが2018年12月23日の夜です。タイムマシンの起動スイッチは満月に作動しますので、必然的に満月から満月の間となります。

    私のno.433の投稿は、2019年1月1日のお話です。唯達は残念ながら永禄に戻っており、平成には居ません。
    no.427、その「がった~い」←かわいい表現ありがとうございます、は2018年12月15日のお話です。その後に急に日付が飛んで、居ない話は戸惑われましたよね。失礼しました。

    そのため、表題も番号が入っていません。いずれ唯が年賀状を書く日付に到達したら、番号を入れて加筆して再投稿致します。私のお話は、番号と日付が時々時系列から外れるので混乱の素なんですが(>д<)

    要は、まだまだ終わりませんからご心配なく!です。カマアイナさんに、できるだけ引き伸ばしてと心からお願いされたのを、忘れておりませんので、粛々と遂行しております。

    この後また、no.427「がった~い」の続きのお話に戻します。ちゃんと二人とも出てきますのでご安心くださいね。

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    返信
    妖怪千年おばばさん

    これだけで、ゆうにテレビドラマ一作はできるでしょう。
    着想の豊かさと、目に見えるようなストーリーの展開に、
    ぐんぐん引き込まれてしまいました。
    覚と美香子の馴れ初めから結婚までも、
    あまりにも説得力があって、千年おばばさんはひょっとしたら、
    美香子さんのお母さんでは、なんて勘ぐりたくなります。
    共同作業のさわりでは、笑わせ方も上手だなーとパチパチ。

    ’ビリギャル’とか’ヤマンバ’とかこのおばばの知らない
    新種族の日本語も勉強させて頂きました。
    私の知っていた日本は竹の子族どまりです。
    日本は略語発明の一大文化で、浦島花子は、よく難儀いたします。

    エリソン・ジョージ・オニヅカが予告のあった日系人ですね。
    ハワイ島のコナの空港には、長いこと彼に敬意を評して、
    小さな展示館がありましたし、
    彼の生家はコナコーヒー生産地の真っ只中にあります。

    なんとあのとんでもないチャレンジャーの事故があった時、
    私はコロラドに滞在中でした。
    大勢で壁の大型テレビで中継中の打ち上げを見守る中、
    あの竜の泪の映像が飛び込んできたのです。
    皆さん、’Oh, my God!’と叫んだっきり、シーンとしてしまったショックは
    今でもはっきり心に焼き付いています。

    このお話を読んであらためて、私の憶測は当たらずとも遠からずなのではと、
    確信を深めてしまいました。本物のプロの脚本家では???
    まさかネットの掲示板で、こんなに面白い創作群に出会えるとは、
    思ってもいませんでした。ありがとうございます。

    今後の続投を楽しみにしております。

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    返信
    夕月かかりて(愛知)さん

    前作でやっとこさ「がったーい」しましたか、
    と思ったらもう永禄に帰られたんですか?
    なんだかシュンとしてしまいます。
    心のどこかで、できるだけ長く永禄に帰らないで欲しいと
    思ってたんでしょうね。でも若君にとっては、、、、
    複雑でやるせない心境になります。

    今日、私も妖怪千年おばばさんの大作を読んで、
    雄大な着想にうなってしまいました。
    ドラマでは出てこなかった(ですか?)覚と美香子の結ばれるまでのお話など、
    絶対そうだったに違いないとこの単細胞は信じてしまうぐらい、説得力がありました。

    夕月かかりてさんのお話は若君が現代にポーンと放り込まれて、
    色々な体験をする所が、ちょっとした所で若君が見せる現代への反応が、
    クスッと笑ってしまいます。
    速川家にもこの上なく絶大な信頼を持って受け入れられ、
    ほんわか心が温まります。 ありがとうございます。

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    二人の平成Days番号未定~2019年1月1日9時、時空を超えて

    皆さんに、ほんのお年玉代わりの、短いお話。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    元旦の速川家。届いた年賀状の仕分けをしている。

    美香子「えっ、えー!」

    覚「何?」

    美「唯達から、年賀状が届いてる!」

    覚「えぇ?!あー、まぁ配達のシステムからすると、こちらに居る内に投函すれば今届くからなあ。中々の嬉しいアイデアだ。で、なんて?」

    裏を見る。若君が書いたと思われる達筆。

    覚&美「読めない」

    尊が起きてきた。

    尊「…読めない。訳文付けといてくれないとー」

    美「時間かけて、解読するしかないわね」

    覚「年賀状というより…いや、嬉しいんだぞ?」

    美「で、何」

    覚「挑戦状?なんじゃ」

    尊「縁起の悪い事は書いてないと思うけどさ、正月中、解読して楽しめって事じゃない?」

    美「正月の新聞見開きで、まちがいさがしとか数独とか載ってるのみたいに?」

    尊「少なくとも、若君はそんなつもりはなかっただろうから、これはお姉ちゃんが悪いよ」

    覚「まあ、優しい気持ちが配達されました、と」

    美「そうね」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯達の作成過程は、通常の平成Daysで後日出てきます。
    番号が確定しましたら、加筆して、再投稿しますね。
    元旦の話は元旦に(^3^)v

    素敵な話の後にすみません。私がこの話を投稿したのは、できれば時間を合わせたくて、おばばさんの投稿が行方不明中の時だったので…。

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    竜の泪 ~覚と美香子の物語~

    少し早い速川家の
    クリスマスパーティーの最中、
    唯の思いがけない
    ウエディングドレス姿を見て、
    美香子は号泣した、

    “分からぬ時は、
    分かった顔で何も言わぬ。”

    それが信条の忠清も、流石に
    この事態にはうろたえた。

    “確かに、唯の見慣れぬ装束には
    驚いたが、母上は何故このように
    泣き続けるのであろうか?“

    「母上、如何されましたか?」

    忠清が恐る恐る訊ねる。
    唯の母、美香子は、
    答えようとするが、
    嗚咽がこみ上げて言葉にならない。
    その代わりに、
    夫である覚が答える。

    「いや、僕たちも色々あってね。」

    覚が、美香子の肩を抱き、
    なだめる様に言う。

    「母さん、若君が、
     心配するじゃないか。」

    美香子は頷きながら、目頭を抑える。

    尊が、若君の視線を
    そらすように言う。

        「そう言えば、
         父さんたちの結婚式の写真、
         見た事ないよね。」

    覚が困ったような顔をして答えた。

    「ええ?そうだったかな。」

       「無い、無い、
        見た事無い。見せて!」

    唯にせがまれ、覚は、二階に上がると、
    古いアルバムを持って降りてきた。
    そこには、若かりし頃の父が、
    モーニングコート姿で映っていた。
    唯が、ケーキカットの写真を
    指さして言う。

       「これって、なぜ、
        おばあちゃんなの?」

    尊と若君がその写真をのぞき込む。

        「ホントだ!
         おばあちゃんが
         写ってる!」

    「何事?」

    若君は、訳も分からず尊に訊ねる。
    尊が答えた。

       「先ほど若君は、
        お姉ちゃんと
        二人でナイフを持って、
        ケーキを切りましたね?
        実はあれは、現代の
        結婚式の披露宴で、
        新郎と新婦が行う
        ものなのです。
        本来のクリスマスでは、
        その家の主、
        この家の場合はお父さんが、
        切り分けて皆に
        配るのです。」

    「さようであったか。
     父上、申し訳ない事を。」

     「いやいや。
      僕たちがそうして
      欲しかったんだから。
      少しでも、こちらでの
      結婚式の雰囲気を味わって
      貰いたくてね。」

    「では何故、この写真では、
     母上の母御が父上と
     手を携えられておられる
     のであろうか?」

     「実は、この日、美香子の
      患者が急変しましてね。」

    覚は、遠い目をして、
    でも、微笑みを浮かべながら
    語り始めた。

     「当時、美香子は大きな総合病院に
      勤めていまして。
      あの日、式場で
      ウエディングドレスは着た
      ものの、そのまま病院に
      向かったんです。」

        ・・・・・・

    その頃の覚は、
    美香子を妻にする上で、
    とても祝福してもらえる様な
    立場ではなかった。
    なにしろ、闘病中で無職のオヤジ。
    美香子より6才も年上。
    反対されながらも、
    結婚式を上げたのは、
    どちらかというと、覚の、つまりは
    “ケジメを付けたい。“という
    希望からだった。
    美香子のお腹の中に、
    新たな命が宿っていたのだ。

    美香子がやっと取れた休暇に合わせ、
    ささやかな披露宴を開いた。
    覚の家族とお互いの友人たち数人。
    美香子の方は、
    親戚や祖父に猛反対されていたので、
    出席した家族は、彼女の母親だけ。

    それでも、美香子は嬉しそうだった。
    選んだウエディングドレスは、
    シンプルすぎるくらいだったけど、
    美香子の笑顔は、本当に綺麗だった。
    ベールがその笑顔を包んだ時、
    花嫁の控室に置いたバッグの
    中の携帯が鳴り響いた。

      「先生!すぐ来てください!
       患者さんが!」

    美香子は着替えもせず、
    そのままの姿でタクシーに飛び乗ると
    勤務先へ。

    ベールを翻し、病院のロビーを走る。
    外来の患者や受付の職員が驚く中、
    止めようとした守衛の手を
    振り切って、叫んだ。

     「外科の速川よ!
      これから緊急オペ開始!」

      「先生!お待ちしてました!
       早くこちらへ。」

    待ち構えていた看護師の前で
    ベールを脱ぎ捨て、
    美香子は猛然と手術棟に入った。

    数日後、病院のベッドにいたのは
    美香子の方だった。
    緊急手術は10数時間にも及び、
    終了直後、美香子は気を失って
    倒れたのだ。
    そして、そのまま産婦人科病棟へ。
    流産の危機が迫っていた。

    覚は病院に到着したものの、
    美香子のベッドは看護師に囲まれ、
    なかなか近づけなかった。

    うっすら、涙を浮かべて謝る
    美香子の手を取り覚は言った。

    「謝る事なんかないさ。
     君は本当に立派だった。
     今は、とにかく安静が
     一番だそうだ。」

    「美香子、安心して。
     あなたの代理は、お母さんが
     ちゃんと務めましたから。
     本当に、良い披露宴だったのよ。
     お母さん、感動しちゃった。
     覚さんとケーキカット
     させて貰って。
     お父さんともした事
     なかったしねえ。」

       「えええええ?!
        ケーキカット?!
        二人の初めての
        共同作業のはずなのに
        ???!!!」

     「何言ってんの!あなた達、
      共同作業はとうに済ませて・・」

      「す、すみません。。。」

    覚は、ただ頭を搔くしかなかった。

       ・・・・・・・・

    「そのような事が。」
     
     「退院した後、改めて、
      婚礼写真を撮ろうかって
      言ったんだけどさ。」

      「私が、遠慮したの。
       一度は着たんだし、
       その思い出で十分。
       ごめんね。
       その頃の事、色々
       思い出しちゃって。」

       「じゃあ、今、写真撮ったら?
        このドレス着て。」

      「遠慮しとく。
       それは、唯への大切な
       プレゼントだし。
       ただ・・・、
       唯の白拍子の衣装なら、
       着てみたいかな。」

    「では、父上はわしの衣装を
     召されては如何?
     戦国に行ってみたいと
     仰せであったし。」

       「え、良いの?」

    美香子の弾んだ声に忠清がうなずく。

    その後は、
    まるで写真撮影会の様。
    美香子は華やかな衣装を身に着けると
    すっかりはしゃいで踊る真似をした。

     しずやしず 
     しずのおだまき くりかえし
     むかしをいまに なすよしもがな
     いっしゃくのぬの なおぬうべし
     いわんやこれ そうしゃ 
     ひゃくしゃくのいと
     よしのやま みねのしらゆき
     ふみわけて
     いりにしひとの あとぞこいしき

    若君は驚き、そして絶賛した。

    「母上、見事な歌じゃの!」

    皆があっけにとられて見つめる中、
    忠清に真顔で褒められて、
    美香子は恥ずかしそうに言った。

       「これしか、知らないのよ。
        妊娠に気づいた時、
        たまたま、静御前の
        この歌と出会ってね。
        それで、決心したの。
        覚さんと結婚しようって。
        どんなに反対されてもね。」

     「若君ったら。
      私の舞とどっちが素敵?」

    唯が頬を膨らませて忠清に詰め寄る。

    「い、いや、それは・・・。
     唯は唯じゃ。
     比べる事は出来ぬ。」

    唯は忠清をちょっと睨んだが、
    すぐに話を変えた。

      「そう言えば、
       お父さんとお母さんの出会い、
       聞いて無かったよね。」

     「こ、今度はそっち?」

       「うん。聞きたい。
        今、聞きたい!」

    「父上、わしもじゃ。
     先ほどの母上の歌から察するに、
     かなりの困難があったようじゃ。
     それをどのように
     おさめられたのか、
     まこと、興味深い。」

     「話すと、長くなるけど。」

    「遠慮は御無用。
     長い話は、爺で慣れておる。」

    忠清のその一言で、皆が笑った。

     「美香子と出会ったのは、
      実は、予備校の講師と
      生徒としてだったんだ。」

      ・・・・・

    美香子が高校2年生だった頃の事。
    覚は大学院2年目。
    憧れのコロラド大学の
    航空宇宙工学科への留学を夢見て、
    細々と資金をためている頃だった。

    当時は、宇宙開発において
    旧ソ連より、米国が一歩先んじて、
    着々と成果を上げていた。
    覚がコロラド大学を目指したのは、
    そこが、憧れの人の出身校
    だったからだ。

    エリソン・ショージ・オニヅカ氏
    ハワイ出身の日系三世。
    1978年、スペースシャトル計画
    第一期飛行士として選出される。
    1983年6月来日。
    スペースシャトルについて、
    東京で記念スピーチを行う。

    その時、覚は、23才。
    大学院の研究室と
    バイト先の予備校を往復する毎日。
    航空工学を専攻していた覚は、
    もちろんその会場に駆け付け、
    オニヅカ氏のスピーチを、一言も
    聞き漏らすまいと熱心に耳を傾けた。
    大学の教授の紹介もあり、
    少しの間、面会することができた。
    その後は、何度も手紙を送り、
    オニズカ氏もまた、
    丁寧な返事をくれた。
    今でも、それは覚の宝物だ。

    その頃の美香子は、
    いわゆる、“ビリギャル”。
    髪は茶髪。メイクは濃いめ。
    制服のスカート丈は短め。
    少し前の“ツッパリ”と、
    その後の“ヤマンバ”の間の、
    なんともビミョーな服装で、
    たまに友人の家に“プチ家出”する
    高校生活を送っていた。

    そんなある日、
    夏季講習の説明を受けに、美香子が
    覚のバイト先の予備校にやって来た。
    覚は、美香子を一目見るなり、
    その母親に言った。

     「お母さん。
      今回の夏期講習は、
      難関校を目指すクラスで、
      補修指導はしないんです。
      お嬢さんには、
      個別指導をお勧めしますが。」

    「さようでございますか。
     では早速、個別で。」

    言うなり、母親は、
    入室手続きを済ませると、
    さっさと一人で帰ってしまった。

    覚はあっけに取られて、
    しばし立ち尽くす。

    「君のお母さんって、
     いつもあんな調子?」

     「変わってますよね~。
      私が言うのもなんですけど。」

    「あ、いや。まあ、ともかく、
     一学期の成績表を見せて貰おうか。
     持って来た?」

    美香子は、悪びれもせず、
    それを差し出す。
    覚は予想をはるかに上回る事態を
    突き付けられ、言葉が出ない。

    美香子は、教室を眺めまわすと、
    併設されている英語教室の
    出席カードに目を止めた。

    「ねえ、先生。
     私もここに通ったら、
     このシール貰えるの?」

    そこには、女子に大人気のネコの
    キャラクターシールが並んでいた。
    カードの出席した日付け欄に、
    一枚ずつ張って行く。
    お気に入りのシールが増えていくのは
    励みになるらしい。

    「ああ、それ。小学生用だけどね。
     まあ、どうしてもって言うなら、
     どうぞ。」

     「ラッキー!じゃあ、遠慮なく~。」

    美香子は、シールを一枚はがすと、
    右頬に張り付けた。

    「ところで、志望校は?」

     「聞いてどうすんの?
      今、成績表、見たでしょ?」

    「分かっては、いるんだね。
     今の状況。」

    美香子はおおらかに笑った。

     「自分の事は自分が一番、
      よおっく分かってますよ!
      でも、一応、家族の希望を
      言っとくね。」

    「うん。」

     「女子医大!」

    大きな声でそう言い残し、
    彼女は颯爽と帰って行った。

    「女子・・・医???!!!」

    覚は、あんぐりと口を開けたまま、
    その場に崩れ落ちた。

    シール欲しさに、美香子は暫くの間、
    毎日通ってきていたが、
    10日目から、ぷっつりと
    姿を見せなくなった。

    自宅の電話は留守電のまま。
    当然、母親とも連絡が取れない。

    退室手続きを郵送しようと、
    書類を持って郵便局に向かった
    覚の前に、いきなり美香子が
    姿を現した。

    すっかりやつれた様子で、
    まるで別人だ。

    「兄と父が亡くなりました。」

    そのまま放っておいたら、
    消えてしまいそうだ。
    覚は、美香子を連れて
    予備校に戻った。

    美香子はうつろな様子で、
    絞り出すように話し出す。

    彼女の兄は、日本屈指の医大の、
    優秀な学生だった。
    今年、教授の推薦を受けて、
    ドイツで開かれた若手医学研究者向けの
    研究会に派遣された。
    セレモニーや論文発表、
    地元の病院の視察も含めて
    5日間の日程を終え、
    帰国したのが、1週間前の夜。

    父親が車で迎えに行ったが、
    深夜の高速道路で事故に巻き込まれ、
    救急車が到着した時には、二人とも
    もう、心肺停止の状態だったという。

    「とにかく、予備校の席は
     空けとくから。
     落ち着いたら、連絡して。」

    夏なのに、入口の自販機で買った
    ホットココアの缶を、
    美香子は両手で握りしめ、
    放そうとしなかった。

    やがて、2学期が始まり、
    美香子が予備校にやって来た。
    覚は、思わず彼女を
    二度見してしまった。

    黒髪のショートカットにノーメィク。
    制服のスカートは、
    両膝を隠している。

    それからの彼女は、
    指導の無い日でも自習室にこもり、
    参考書と問題集に向かった。
    そして、予備校の出席カードの
    ネコキャラシールが増えて行くのに
    比例して、成績も見事に
    上がって行った。

    それから、1年半後。
    覚は念願の米国留学へ。
    美香子は、
    現役合格は果たせなかったものの、
    上位の成績で高校を卒業し
    一浪の末、見事、
    医大合格を勝ち取った。

    2年間の米国留学も終わりが近づき、
    日本の企業への就職活動と
    帰国準備に追われていたある日、
    覚の電話が鳴った。
    すっかり親しくなったオニヅカ氏の
    明るい声が響く。

    オニズカ氏は、昨年の1月に
    “ディスカバリー号”に搭乗し成果を上げた。
    今度は、“チャレンジャー号”に搭乗すると言う。

    覚は迷わず、打ち上げ基地のある
    フロリダに行くことにした。
    搭乗前に会う事は叶わなかったが、
    覚は、なんとか発射の様子が
    見られる場所を確保した。
    忘れもしない1986年1月28日。
    轟音と共に、ロケットが発射された。
    打ち上げは成功したかに思えた。
    皆が歓声を上げる。
    それが次の瞬間、悲鳴に変わった。
    歓喜からわずか73秒後、
    オニヅカ氏は青い空に散った。

    “竜の泪”
    ロケットが爆発した後の白煙を、
    誰かがそう表した。

    フロリダの陽差しが、
    覚の心に悲しく重く刻まれた。

    その後、覚は日本に帰国した。
    念願の企業に就職し、
    ロケット部品の開発に携わった。
    その後のNASAの
    ロケット打ち上げ計画は、
    当然の事だが中断され、
    事故原因の徹底解明がなされた。

    勤務先のロケット部品製造チーム
    への対応も厳しくなった。
    開発予算は縮小、
    配置転換の検討も進み、
    覚も、その対象になった。
    覚の能力を惜しんだ大学教授の
    勧めに従い、覚は転職した。
    惑星探査用エンジンの開発が
    新たな仕事になった。

    激務が続いた。
    少ない人員の上、研究費は削られる。
    その一方で、
    最大限の成果を求められた。
    覚の体は、とっくに悲鳴を
    上げているにも関わらず、
    覚自身は、自分の体の変調に
    気づく余裕すらなかった。
    そして、とうとう血を吐いて倒れた。

    覚の胃には、特大の穴が開いていた。

    美香子はその頃、とある病院の、
    救急センターに勤務していた。
    父と兄の突然の死が、
    彼女に救急医療の道を選ばせた。

    当直の日、
    仮眠をとろうとしていた所へ、
    急患が運び込まれて来た。
    緊急手術となり、
    美香子が執刀する事に。

    患者の名前を見て驚いた。

     「覚・・・先生?!」

      ・・・・・・

    そうして、僕と美香子は再会した。
    胃潰瘍が落ち着いたにも関わらず、
    体の不調は続いた。

    ある日、美香子が病室に来て、
    心療内科のカウンセリングを勧めた。
    その頃は、まだ、“心療内科”についての
    認知度が低い頃だったから、
    僕はなかなか踏み切れなかった。

    それでも、毎日、熱心に
    美香子が勧めるので、
    受診することにしたんだ。

    それから、暫くして、
    僕はようやく退院することができた。
    暫くは通院が続いたけど。
    でも、正直に言うと、
    その頃の僕には、それが
    たったひとつの楽しみだった。
    医師と患者としてではあっても、
    美香子に会える事が嬉しかった。

    1998年7月、
    僕は美香子を、ダメ元で誘った。
    せめて、手料理で感謝の意を伝えたかった。
    失業中のおじさんの誘いに乗るとは思えず、
    あきらめかけた時、
    僕のおんぼろアパートのチャイムが鳴った。

    「ごめんなさい。遅くなって。
     また、急患が入って。」

    テーブルの上に山盛にした
    レンコンのはさみ揚げを見つけると、
    美香子は嬉しそうに、指でつまみ、
    口に放り込んだ。
    そして、屈託なく笑いながら言う。

     「先生、私もここに通ったら、
      このはさみ揚げ、貰えるの?」

    その日はまさに、日本初の火星探査機
    “のぞみ”の打ち上げの日だった。
    僕は美香子と、元の同僚がパソコンに
    送信してくれる動画で、
    その様子を見守った。
    会社は辞めていたけど、
    自分がかかわった仕事の成果を、
    美香子に見て欲しかった。

    打ち上げが成功し、
    僕と美香子は、歓声を上げながら、
    お互いを抱きしめた。
    僕にとっては、また、
    一生忘れられない日が出来た。
    今度こそ、最高に嬉しい日として。

    なあ、尊。
    僕も、戻れるものなら、
    あの日に戻りたい。
    オニヅカさんが電話をくれた日に。
    でも、無理なのはわかってる。
    たとえ戻れたとしても、
    国家規模のミッションを、
    僕が止められるとは思わないしな。

        ・・・・・

    父が語り終えると、
    母はお茶を入れに行った。

    この速川クリニックは、
    母の祖父、つまりは僕の
    曾祖父が開業したものだ。
    曾祖父は、母の兄を溺愛していて、
    母には素気なかったらしい。
    母の兄、つまりは僕の伯父が
    亡くなった後、
    母が医大に合格しても無関心で、
    母と父の結婚は反対だった。

    曾祖父にアルツハイマーの症状が
    出始め、世話をする人が必要になり、
    父がその役をかって出た。
    曾祖父は、最初は父を
    疎ましく思っていた様だが、
    覚の不器用な優しさに触れるにつれ、
    娘や孫に世話をされるより、
    男同士の方が、気楽な事に
    気づいたそうだ。
    そして、母はこのクリニックを
    継ぐことになった。

    「そのような事が。
     父上も母上も、
     大切な者を失うた心の痛みを、
     生きる力に変えてこられたのだな。
     どの様な困難にも誠実に
     向かわれた故の、今という事か。」

     いっしゃくのぬの なおぬうべし
     いわんやこれ そうしゃ 
     ひゃくしゃくのいと

    忠清は、義母の美香子が歌った詩を
    小さくつぶやいた。

    父の話を聞きながら、
    今度は姉が涙ぐんでいた。

      「お父さんも、お母さんも、
       凄すぎ。
       私も、そうなれるかな。」

    忠清は、優しく唯の涙を指で拭うと、
    力強く頷いた。

    夜空には、
    大きな満月が浮かんでいる。
    二人が戦国に飛ぶ時間が
    迫っていた。

     「向こうに着いたら、
      何とか知らせる。
      必ず、知らせるから。」

    姉が名残惜しそうに言う。

    知らせる方法・・・。
    そんなに簡単に見つかる
    はずもない。
    いつも僕に丸投げの姉の事だし。

    尊は、ため息をつく。

    ”戦国と、平成を繋ぐ物なんて、
    あるんだろうか?”

    その時だった、
    尊の記憶の中で、とある場面が蘇った。
    ”オヤジ狩り”にあった木村先生を助けたあの日、
    若君は木村先生を見て驚いて言った。

    「木村?!」

    若君が驚くくらいだ。
    木村先生は、本当に、
    小垣城代の末裔かもしれない。

    姉の話では、確か、学校の
    歴史の資料室に鎧があったはず。
    あの鎧が、正真正銘、
    木村正秀の物だったら・・・。

    消えかけた姉に向かって僕は叫んだ。

        「お姉ちゃん!
         鎧だ!!
         木村先生の鎧!」

    姉の口元が、“え?”
    の形のまま固まる。
    そして、姉は
    完全に見えなくなった。

     ”頼む、気づいてくれ!
      そして、確かめて。
      木村正秀の鎧を。”

    尊は、身震いしながら外に出ると、
    満月に向かい、
    いつまでも祈り続けた。

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    返信
    年内最後の

    皆様。
    今年に入りましてから、こちらにお邪魔させて頂くようになり、
    皆様の温かい歓迎を受け、感謝の毎日です。
    来年もよろしくお願いいたします!
    では、これより本年最後の投稿を。
    編集作業で年を越してしまったら、
    笑ってやってください。

    てんころりん様
    感想有難うございます!
    来年も励みます。

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    返信
    今年を振り返って

    まずは、てんころりんさん、ご感想ありがとうございます。

    幸せ。そうですね、元々こうあって欲しい!という願望ありきなので、幸せで楽しいです。ただ、話を考えていると、唯と若君が目の前でずっとイチャイチャしてる状態なので、あまりのラブラブさに、私がノックアウト寸前でフラフラです(;^_^A

    少しでも、読んでくださる皆様の心に残るお話が書けて、嬉しく思っております。そんな神回はもうないんじゃないかな。それは今後、皆様でご判断ください。

    若君の現代語、違和感ありありですよねぇ。彼は彼なりに考えて行動しているんだ、とご容赦ください。品の良さを保つよう、努力しておりますゆえ。

    両親公認で、唯も許してくれたし…若君を躊躇させるものは何もない(^_^;)私は、平和で安全な今の内にどうぞ、と思っています。行き過ぎた表現がありましたら、ごめんなさい。これも私のアシガール愛あればこそ、なんです。「寸止めが美」の方はご覧になってない筈ではありますが。

    さて、前置きが長くなりましたが、振り返ります。今年、大変ではなかった方はいらっしゃらなかったのではないでしょうか。もちろん全人類が、現在進行形で闘っている状態で。

    そんな中、奇跡的にアシガールと遭遇。生活が華やぎました。そしてこの地むじなランド。ますます生活が彩られ。

    私、投稿し始めてまだ一月半も経ってないんですよね。大きい顔してのさばってすみません。まだまだ平成Daysは続きますので、よろしくお付き合いくださいませ。

    大晦日、ご新規さんも参加で、嬉しいですね。

    それでは皆様、よいお年を。

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    返信
    照れますが、嬉しいです。

    てんころりんさん
    お誉め頂きありがとうございました(^○^)
    もっと考えてみようと思いました(^_^)
    また、過去の自画自賛の投稿をNo.と共に書かせて頂きます(^○^)

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    返信
    夕月かかりてさん『二人の平成Days 13~24』

    現代にいる間に二人に体験させてあげたい事を次々実現させてますね。
    夕月さん書いてらして、あれこれ苦心はあっても、きっと幸せですよね?
    読む方も分けて頂いてます。(^^)v
    ウェディングの記念撮影で、若君は尊の協力で指輪を用意‥ いつもリビングにあるお母さんの指輪と一緒に現代に残す‥ グッとくる感動エピソードでした❗

    岩盤浴や温泉旅行、こういう時間があって良かったと思わせてくれます。
    唯は現代に残った方が幸せでは?若君が迷い、母·美香子が叱り諭し、父·覚が然り気無くフォロー‥ 良かったです。(つд;)
    若君の現代語は最初違和感あり‥ 努力する素直なキャラクターに だんだん好感度アップ❗
    いつも冷静で若君贔屓の尊くんも なかなか良いです!

    若君が唯を戦場に出させない唯一の方法は、子供をたくさん産んでもらうこと‥ 確かに。
    勿論 愛あってこそ、命を繋ぎ 家を残す事になりますね。(*^^*)
    色々心配な両親に質問されて、若君が気づくと言うか、後押しされたと言いますか、その辺り微笑ましいです。

    妖怪千年おばばさん『黒羽の守護神』

    ドラマで小垣城に相賀一成が現れる場面は、始めから赤い房飾りを付けた馬がいます。
    相賀は若君の背を踏み台にして乗りますが、あの馬を若君の“颯”とされたんですね。
    私は相賀の馬かと‥でもそれだと馬だけ先にいるのも変なんです。(^^;
    勝者の相賀が颯を奪おうとしたと考えると、なるほどです。(^^)d

    物語のユニークな構想に度胆を抜かれ、アシガールのフィクションとして楽しみました。
    あ、アシガールもフィクションですが 今ではすっかり日常化しちゃいました(笑)
    勇猛果敢な颯、馬上に武者の姿が見えるところ、“戦で命を落とした者の念が宿る”と言われる黒い大鳥、忠義と城を愛する心の化身の様です。
    神話的世界にちょっと怖い映像が見えました。
    パーフェクトな若君像ですね。

    ぷくぷくさん『アシガール掲示板の旧作』

    アシガール掲示板の6作品紹介されましたね。
    すごく良いアイデアですね❗
    これからも休憩中に(笑)、こんな風に小分けにして紹介お願いします。

    ★新しい皆さまへ~*
    ぷくぷくさんは創作倶楽部ができる前に、アシガール掲示板に創作投稿を沢山されています。
    一話完結《山椒は小粒でピリリと辛い》名作が多いです。
    普通の投稿と一緒なので、前置きに他の方へのコメントがあったり、タイトルが「物語の題」でないものがあり、見つけ難いです。
    ご本人から紹介して頂くのが一番❗
    アシガール掲示板は、1~1000, 1001~2000, 2001~ に分かれています。
    ご案内[no.425]の投稿Noと投稿タイトルで見つかりますょ。

    ⭐皆さま、今年もお世話になりました。
     ではではまた来年に。

    投稿フォームへ

    返信
    二人の平成Days24~15日23時、あなたの全て

    ひとまず、助け舟を出します。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    唯 心の声(どうしよう、 たーくん固まってる)

    若君 心(済まぬ事をした)

    唯「ごめんなさい」

    若君「いや、謝るのはわしの方じゃ」

    唯&若 心(気まずい…)

    ……若君、若君。

    若「ん?誰じゃ」

    唯「へ?」

    天の声です。お取り込み中すみません。

    若「いつも解説や、 話の最初と最後に出てくる者だな。許す。申してみよ」

    唯「え!なにそれ!なんで、すんなり受け入れるの?!」

    若「むやみに騒ぐは、 愚かな事じゃ」

    唯「え~?!超ウケるんですけど」

    先程、話しながらでもできるというお話だったんですが、それを事細かに解説…はちょっとこちらも困りますので、馳せ参じました。

    若「なるほど」

    そうされるなら、いっそ会話のみで解説はなしはいかがでしょう。 実際二人が何してるかは、わかりにくくなりますが。

    若「ハハハ、そんな話か。そちも大変じゃのう」

    若 心(唯の表情が緩んでおるな、助かった、よし)

    若「悪くない。ただ、それはかえって…」

    あー。かえって、エロい。ですか。

    若「そう、それじゃ」

    唯「うっそぉ!え~!解説ありに一票~」

    …と、言ってますが。

    若「では所々で頼む」

    わかりました。では所々、かいつまんで解説します。それで、唯、

    唯「なに?」

    これは、ひっくるめてファンタジーです。軽く流しましょう。

    唯「はあ」

    それでは失礼します。……

    若「ファンタジーじゃ」

    唯「なにそれ。んもぅ、意味わかってないでしょ?」

    若「ん?わかったような?ハハハー」

    唯「え~?あはは~はぁ。たーくんごめんね。痛かったでしょ」

    若「心が、な」

    唯「あれ?そこにはないんじゃなかった?」

    若「さらっていった唯が、痛かったじゃろ」

    唯「あちゃー、一本取られた。その通りです」

    尊部屋。覚も美香子もビールを次々空け、尊もコーラをがぶ飲みしている。

    覚「酔いが冷めると、現実を受け入れられなくなる」

    美香子「なにそれ~?弱い弱い!頑張って物わかりのいい父親になりきらないと~。じゃあ、部屋は別、子作りはここではするな、って言えば良かったじゃない」

    尊「お母さん、直接的過ぎ」

    美「さっきまで、ノリノリだったじゃない」

    尊「僕は若君の味方だから、話に乗るよ。お姉ちゃんさー、他の事は突っ走るのに、この件だけグズグズしてて、若君可哀想だと思わない?」

    覚「思う。思うが~今イチ踏み切れない自分がいる」

    美「お父さん、そんな分かりやすくしょんぼりしない!武士に二言なし!」

    覚「武士には一生なれそうもない」

    尊「若君、頑張れー、僕は応援するー!」

    美「それホントにコーラ?尊が一番酔ってるじゃない」

    唯部屋です。

    唯「えっと、実は、前からたーくんにして欲しい事があって」

    若「なんじゃ?」

    唯「腕枕…」

    若「お安い御用じゃ。おいで」

    唯「あっ…何、キュンとさせる作戦?」

    掛布団の上に寝そべり、右腕を横に出している。

    唯「お邪魔します」

    腕に頭を乗せ、若君の方を向いた。

    唯 心(ごめんね、避けてるんじゃないの。ただ…)

    若「唯」

    唯「あっ」

    若君が抱き寄せ、あっという間に胸元に。

    若「やっと、捕まえた」

    両手で、しっかり抱き締めている。

    若「唯。大好きな唯は、一人しかおらぬ」

    唯「はい」

    若「逃げないで欲しい、受け入れて欲しい」

    唯「ごめんなさい」

    若「謝る必要はない。唯を失うたら生きてゆけぬのは、わしの方じゃから」

    唯「うん」

    若「という訳で、支度」

    唯「へ?」

    唯を抱き上げ、隣の布団に降ろし、掛布団をめくって、唯を元の位置に戻し、布団に入った。この間、数秒。

    唯「えー!はやいはやいはやい!」

    若「布団を掛けぬと、寒かろう」

    唯「そりゃそうだけど」

    若「脱ぐと冷えるし」

    唯「脱ぐって言った!」

    若「あー、わしが掛布団になれば良いか。このように」

    布団の中で、唯に覆い被さった。

    唯「ちかいちかいちかい!」

    若「どうしたら、わかってくれる?」

    唯「あ…かわいい。あのね、たーくん」

    若「ん?」

    唯「私、嫌とかやめてとか一言も言ってないんだけど…」

    若「そうか?そうじゃな」

    唯「たーくん、優しいから。超グイグイ迫るけど」

    若「随分待ったからの。唯と二人きりでは、平常心ではおられぬ」

    唯「そっか。ごめんね。あの」

    若「なんじゃ?」

    唯「あのね、嫌なんじゃないの。義務とか、使命とか、なんか…それだけだとさみしいなって思っちゃって」

    若「そんな事はない、全くない。済まぬ、気にしておったんじゃな」

    唯「好きだから、でいい?」

    若「好きだ、愛してる。総領として、ではなく一人の男忠清として…唯が欲しくて堪らない」

    唯 心(きゃー!!溶けちゃいそう~。このまま流れに乗っちゃいたい~、でも、やっぱりちゃんと言って欲しい)

    唯「じゃあ、申し込んでください」

    若「え?腹は?」

    唯「うん。今までごめんね。グズグズしてた私は、やっぱり子供だったなぁって」

    若「許してくれるのか?」

    唯「ちゃんとお願いしてくれたら。たーくんの言葉で」

    若「そうか」

    唯「言って」

    若「…わかった」

    布団をのけて、唯を起こして座らせ、前にかがんで片膝をつき、手を取った。

    若「唯。愛してる。狂おしい程じゃ」

    唯「…うん」

    若「唯も同じく思うてくれておるなら、わしの気持ちに応えて欲しい」

    唯「…うん」

    若「唯と結ばれたい。一つになりたい」

    唯「…うん」

    若「この忠清に、唯の全てをゆだねてくれ。…いや、違うな」

    唯「え?」

    若「済まぬ。もう一度」

    唯「?」

    若「この忠清に、唯の全てを、ゆだねてもらえませんか?」

    唯「…はい。ありがとう。優しいね。私も、負けないくらい愛してるから、全てたーくんに捧げます。受け取ってください」

    16日1時。尊部屋…は、さすがにもう三人とも寝てました。唯部屋に戻ります。

    若「明るい所で見たかった」

    唯「えっ?!何を?!」

    若「ん?かわいい、あんな、こんな顔」

    唯「か、顔ね」

    2時。まだ起きてます。

    唯「おやすみ、たーくん」

    若「いや、まだ休まぬ」

    唯「えー」

    若「いたって元気じゃ」

    唯「…そのようで」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    先程は、失礼しました。所々だけで、充分溢れてましたね。

    投稿フォームへ

    返信
    動画が・・・

    千絵様
    若君と唯のラーメンデートの動画、
    探したのですが見つからず。
    削除されたのかもしれません。
    ごめんなさい。m(__)m
    また、どなたかがアップして
    下さるのを待つばかりです。

    投稿フォームへ

    返信
    すごい!

    創作(妄想)作家の皆様、精力的の創作活動凄いです(^_^)
    私は今は、馬小屋で藁にうずもれている唯の言葉「休憩中で~す」(^_^)
    NHK掲示板では文字数制限がありましたので書きたい事も省くとかしていましたが、マスターさんのこの場はマスターさんの計らいで文字数もい~っぱい書く事ができますのでありがたいです。
    この場に来てからも沢山書かせて頂きました。振り返ってみて自画自賛でいっぱいです(^_^)
    その中でもいくつかの話は自分でもウルッやジ―ンって来たりします。めっちゃ自画自賛だぁ(^O^)/
    で、此処で改めて紹介させて頂きます(^O^)/
    アシガール掲示板内
    ●本編:久様が天野家にやって来てから心を開くまでの話
    (№759・投稿:目出度い日なのでお許しを・・・その2)
    ●本編:唯が指名手配になって山へ逃げ、その後に山の中で阿湖姫と出会うまでの話
    (№1335・投稿:今日もひとつ)
    ●SP:小垣城にて、唯が閨で泣きながら眠った後の事(短い文章です)
    (№748・投稿:すみませんが妄想しちゃいました)
    ●SP:小垣城から唯を平成に逃がした後の、若君の行動
    (№885・投稿:SPのあの日の事)
    ●妄想:成之と如古坊の出会い
    (№757・投稿:目出度い日なのでお許しを・・・その1)
    ●妄想:吉乃が孫兵衛と夫婦になった頃の話
    (№660・投稿:「大したことは無い」)
    他の作品も自分で書いておきながらですが好きです(*^_^*)
    考える事は本当に楽しいですね(*^_^*)

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    返信
    鈴守でした❗

    簡単に「鈴」としてしまいましたが
    烏森神社の御守りの
    1つですね
    天照大神(あまてらすおおみかみ)が
    天岩戸(あまのいわと)へ
    お隠れになってしまい
    なんとかお戻りいただくよう
    天鈿女命(あめのうずめのみこと)が
    岩戸の前で舞踊った際に
    持っていらしたであろう鈴の
    (今風に云えば)縮小レプリカでしょうか
    神楽鈴の原型とも❓

    ラララ会でもお持ちの方は
    皆さん月光舞に
    合わせてシャンシャンと?

    千年おばばさんの仰るように
    「コロナ退散‼️」と鳴らしたいですね
    シャンシャン❗

    投稿フォームへ

    返信

    千絵様
    アシガールは、ほぼ、お笑い担当はゆいなちゃんでしたよね。
    本来のお笑い芸人さんは、超生まじめな小平太役に撤してましたしね。
    鈴、羨ましい~。
    私も欲しいよ~。笑
    その鈴で、コロナ退散の舞とか踊りたいですね。

    尊と若君の“平成の小姓“、もっと見たかったですよね。(o^・^o)
    シリーズ化して欲しかったな~。

    唯と若君がラーメンを食べる動画が何処かにあったはず。
    探してみますね。
    尊と若君が行ったお店と同じでしたよ。
    割箸を尊が割るのをみて、“術か?“と
    驚く若君が可愛かったですね。

    投稿フォームへ

    返信
    二人の平成Days23~15日22時、ショック!

    ゲームから。
    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    ジェンガです。

    尊「兄さん、遊び方ですが、ブロックをこう三個ずつ並べて井桁に重ねて」

    若君「こうか?それで?」

    尊「交代で、片手だけ使ってブロックを一つずつ抜いていきます。抜けたら一番上に置きます。倒してしまった人が負けです」

    若「ほぅ。単純だが、奥が深い」

    唯「戦国に持っていっても、流行りそうだよね」

    若「そうじゃな。あー、倒れた。これは戦法を熟考せぬと」

    美香子「忠清くんは勉強家ね」

    唯「戦国で役に立つかなー?」

    覚「持っていくか?これは借り物だから、別のを」

    美「買って持たせる?」

    覚「いや、木材を切って加工すればいいから、来週一緒に作るか?忠清くん」

    若「はい、お願いします!あっ、倒れた」

    ジェンガを堪能し、お茶をすする五人。

    覚「さて、部屋割りだが」

    尊「おっ、佳境に入った」

    覚「茶化すな、尊。唯と忠清くんに、一部屋与える事にする」

    唯「え?」

    若「わかりました、お父さん」

    唯「えー!即答?!」

    若「家長には従うのみじゃ」

    唯「わー、こんな所にまで縦社会」

    美「まさか、嫌なの?」

    唯「嬉しいけどー、なんかさっきの話で、みんなに見張られてるみたいで」

    尊「わかった!まだ腹が決まってないんだ?」

    唯「いや、先週一度決まったんだけど…」

    美「あ、あのぐずった時ね。抱いて~って顔してたもの」

    尊「あー、夜が更けてきて、発言がみんな深夜向きになってる」

    覚「じゃ、そういう事で。移動開始して」

    若「はい。では唯、参ろう」

    唯「はぁい」

    美「もっと喜びなさい~」

    隣の部屋に入る。誰も居なかったので少しひんやりするが、

    唯「二人部屋だから、布団二つ敷いてあるね」

    若「一つでいいじゃろ」

    唯「いえ二つで。お茶入れてあげる」

    若「また?」

    唯「何杯でも飲んで」

    素直に、お茶をすする若君。

    若「唯、さっき答えが出た」

    唯「あ、そうそう。それは気になってた。何だったの?」

    若「そなたは共に戦に出ると申したが、ずっと、行かせずにすむ方法を考えていた」

    唯「それって、えーっと…あっ!初キスの時」

    若「そうじゃ。子ができたら、子を一番に考えて欲しい」

    唯「それは、もちろん」

    若「そして、戦には出なくなる」

    唯「あー、そうなるね。え~?ずっと妊娠してろって事?」

    若「そこまでは言わぬ。戦も大事じゃが、体を労り、子の母としても、わしを支えて欲しい」

    唯「それも、たーくんを守れる?」

    若「勿論じゃ。わしも、守る者が増えれば励みになる」

    唯「わかりました。じゃ、どんどんお茶飲んで」

    若「まだ?」

    隣の、尊達の部屋。尊が、煎餅をバリバリ食べている。

    尊「二人からそれぞれ聞いた話をまとめると」

    覚「うん」

    尊「若君は、お姉ちゃんをかわいい、好きだと思った時から、ずっとお預け状態なんだ」

    美「え~?そうなの?」

    尊「他の姫になりすまし、若君の閨に入った。が、逃げた。まっ、逃げたのはそこに行くのを助けてくれた人の安全も考えた上だったみたいだけど、若君にとっては、あー行っちゃった~って感じ」

    美「いつ頃の話?」

    尊「若君が、初めてウチに来た時よりも前」

    美「あらら~随分たつわよ。ホントに祝言あげたのかしら」

    覚「そうかー。若君は紳士だなあ」

    美「ずっと待たせてるなんて、罪な女ね」

    尊「似合わねー」

    唯部屋。

    若「わしの事が、嫌いになったのか?」

    唯「そんな訳ないでしょ、好き、超好き」

    若「では何ゆえ、避ける」

    唯「私の気持ちを置いてけぼりにして、勝手に話を進めるから」

    若「そうか。済まぬ。わしも、戦に出さぬ方法が見つかり、少し浮かれておった」

    唯「いいよ。たーくんが誠実なのはわかってるから」

    若「ひとまず、朝までずっと一緒じゃ」

    唯「うん、それは超嬉しい」

    若「話をするかの」

    唯「ずっとしゃべってる?眠くならないの?」

    若「唯が傍に居て、眠るのは勿体ない」

    唯「そうなの?ふふっ」

    若「それに」

    唯「え?」

    若「話しながら、できなくもない」

    唯「話しながら…えっ?やっぱり狙ってた?えー!だってこちらの世ではしないって」

    若「父上母上の気を揉ませてはならぬと思うていたが、逆であったからの」

    唯「うっ、そうなるとは気づいてたけど」

    若「唯」

    若君が少し近づいた。

    唯「えー!待って、そんな!」

    気が動転した唯。反射的に手が動き、なんと若君の頬へ。

    若「痛っ!」

    唯「あっ!」

    若君は、頬を押さえ、呆然としている。唯も、自分のした事に驚いている。

    唯 心の声(やだっ!どっ、どうしよう!思いっきりひっぱたいちゃった!!)

    若 心(しまった!怖がらせてしもうた…唯、済まぬ)

    若「…」

    唯「…」

    ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

    あら大変そう。次回、なんとかしますね。初キスと若君の思案の様子は、no.329若君篇をご参照ください。

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    返信
    SP 再び?

    千年おばばさん
    SP再現 ありがとうございました
    唯のお腹のグ~までも❗
    夕月かかりてさんの
    平成での生活へと
    続くのですよね

    月光舞の鈴持っています?
    なんちゃって本当は
    新橋駅そばの烏森神社の
    鈴が似ていると話題になり
    ゲットしました
    こちらのアシラバの皆さんも
    入手されてる方いらっしゃいます

    NHK公式HPのSPの方に
    (今は残念ながら見られませぬ)
    矢傷を負った若君が
    平成で治療後、制服を着て
    尊とラーメン屋へ行ったり
    城址を散歩したり
    自転車に乗ったりする
    動画があったのに
    カマアイナさんや
    最近アシラバになられて
    またご覧になっていない皆さんに見ていただけず残念です
    YouTubeなどにあるかどうか
    探したことはないのですが…

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